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エピローグ
04
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学園に戻ると日常が待っていた。
そして、ルシアン兄上が待ち構えていた。封印のことを聞けないのは知っているので、道中のことをしつこく聞いてくる。兄上も一年領地で過ごしたので地方独特のおおらかさに、とても楽しい旅だったと伝えた。
「みんなもだけど、ジュリは逞しくなったね。魔力もますます強くなった」
アルシャントを癒すたびに五人の魔力が増えていった。最初は慣れないドラゴンを癒すことが疲れる原因だと思っていたけれど、違ったようだ。どうやら増えた魔力が身体に順応してなかったことが原因だった。アルシャントが秘宝に掛けた魔法が更に僕たちの魔力を高めた。
思いの外早く帰ってきたことで、この長期の休みが封印の儀式ではと思っていた生徒たちに、違うかもしれない…と本人とは関係ないところで噂が回っていた。
「もしかして……イクシュ鉱山に寄ってくれた?」
ケントが手を握りしめ、ありがとうと言う。
「あそこはテニエルの領地なんだ。鉱山までなかなか手が回らなくて、王都に陳情しても魔道士の派遣がなかなか来ないって父上が嘆いてた。けど、ある日五人の若者が来てさっと直して、直ぐにいなくなったって言ってた。お礼を言いたかったのに父上がそこに行くともう姿はなかったって」
「ああ、うん」
「やっぱり!他でも噂は聞いたんだ。今回はそのお役目だったの?」
「えっと……」
「ああ、ごめん。言えないよね。とりあえず、父に代わり俺からお礼を言わせて欲しい。本当にありがとう。あそこはもうダメかもって半分諦めてたんだ。ジュリアンたちが修復してくれてから、金脈も見つかってさ、そりゃ喜んでた」
ケントがニコニコと僕と話してる後ろでガイも頭を下げる。
しばらくぶりの学園は何事もなかったように僕たちを迎えてくれた。
増えた魔力のせいでもう学園に在籍し続ける意味がないと言われるかもと心配したけれど、どうやらあと少し学生でいられるようだ。実際もう僕たちが学ばなければならないことはない。しかし、あと少しこの仲間たちと同じ時を過ごしたい。
◇◇◇◇◇
あれから、災害をもたらす異変は起きていない。
北の山の神は今もこの国を守ってくれている。
五人の勇者がいる限りこの国は安泰だ。
あれは神が風邪でもひいたのではないか、と嘘のような本当のような噂が囁かれていた。
当たらずとも遠からず。
僕たちは暇を見つけて守人の所へ遊びに行く。リミントン夫妻は変わらずもてなしてくれる。あの庭に立つとアルシャントを近くに感じる。きっとアルシャントにとっては王都でもどこでも関係ないのかもしれないけれど、僕たちにはそう感じる。
アルシャントは時々夢に遊びに来てくれる。アシュリーの夢にも来たそうだ。その夢は忘れることなく、翌朝も指輪にほんのり温もりを感じる。それはダレルが作り直してくれたネックレスのおかげ。夢の中のアルシャントは五本のネックレスをしていた。そのネックレスと指輪が共鳴しているのか、結び付きは強くなった。
起きてる時にアルシャントを強く感じることはないけれど寂しくはない。
『また来るね』
いつもそんな言葉でお別れする。そこに悲しそうな雰囲気はない。
話を聞くと僕にだけ多く夢に出て来るのではなく、五人のところに満遍なく行ってるみたいだ。ある時心配になって聞いてみた。
『無理してない?』
途端に寂しそうな顔をする。
『ジュリアンは僕に会うの嫌?』
『違うよ?心配してるだけ』
『無理なんかしてない』
『じゃあ、いつでも会いにきて』
『うん』
笑顔で答える可愛いアルシャントは僕より少し小さな子ども。庇護欲が湧き上がる。
学年が上がり八年生になると徐々に夢に見る回数は減ってきた。それを寂しいとは思わなかった。アルシャントが落ち着いてきた証なのだと嬉しかった。
相変わらず食事会をこなし、クラスメイトと勉強する。時々講師として低学年の教壇に立つ。初々しい生徒たちは僕たちも通ってきた道だけど、もう何年も昔の出来事のようだ。
そして、ルシアン兄上が待ち構えていた。封印のことを聞けないのは知っているので、道中のことをしつこく聞いてくる。兄上も一年領地で過ごしたので地方独特のおおらかさに、とても楽しい旅だったと伝えた。
「みんなもだけど、ジュリは逞しくなったね。魔力もますます強くなった」
アルシャントを癒すたびに五人の魔力が増えていった。最初は慣れないドラゴンを癒すことが疲れる原因だと思っていたけれど、違ったようだ。どうやら増えた魔力が身体に順応してなかったことが原因だった。アルシャントが秘宝に掛けた魔法が更に僕たちの魔力を高めた。
思いの外早く帰ってきたことで、この長期の休みが封印の儀式ではと思っていた生徒たちに、違うかもしれない…と本人とは関係ないところで噂が回っていた。
「もしかして……イクシュ鉱山に寄ってくれた?」
ケントが手を握りしめ、ありがとうと言う。
「あそこはテニエルの領地なんだ。鉱山までなかなか手が回らなくて、王都に陳情しても魔道士の派遣がなかなか来ないって父上が嘆いてた。けど、ある日五人の若者が来てさっと直して、直ぐにいなくなったって言ってた。お礼を言いたかったのに父上がそこに行くともう姿はなかったって」
「ああ、うん」
「やっぱり!他でも噂は聞いたんだ。今回はそのお役目だったの?」
「えっと……」
「ああ、ごめん。言えないよね。とりあえず、父に代わり俺からお礼を言わせて欲しい。本当にありがとう。あそこはもうダメかもって半分諦めてたんだ。ジュリアンたちが修復してくれてから、金脈も見つかってさ、そりゃ喜んでた」
ケントがニコニコと僕と話してる後ろでガイも頭を下げる。
しばらくぶりの学園は何事もなかったように僕たちを迎えてくれた。
増えた魔力のせいでもう学園に在籍し続ける意味がないと言われるかもと心配したけれど、どうやらあと少し学生でいられるようだ。実際もう僕たちが学ばなければならないことはない。しかし、あと少しこの仲間たちと同じ時を過ごしたい。
◇◇◇◇◇
あれから、災害をもたらす異変は起きていない。
北の山の神は今もこの国を守ってくれている。
五人の勇者がいる限りこの国は安泰だ。
あれは神が風邪でもひいたのではないか、と嘘のような本当のような噂が囁かれていた。
当たらずとも遠からず。
僕たちは暇を見つけて守人の所へ遊びに行く。リミントン夫妻は変わらずもてなしてくれる。あの庭に立つとアルシャントを近くに感じる。きっとアルシャントにとっては王都でもどこでも関係ないのかもしれないけれど、僕たちにはそう感じる。
アルシャントは時々夢に遊びに来てくれる。アシュリーの夢にも来たそうだ。その夢は忘れることなく、翌朝も指輪にほんのり温もりを感じる。それはダレルが作り直してくれたネックレスのおかげ。夢の中のアルシャントは五本のネックレスをしていた。そのネックレスと指輪が共鳴しているのか、結び付きは強くなった。
起きてる時にアルシャントを強く感じることはないけれど寂しくはない。
『また来るね』
いつもそんな言葉でお別れする。そこに悲しそうな雰囲気はない。
話を聞くと僕にだけ多く夢に出て来るのではなく、五人のところに満遍なく行ってるみたいだ。ある時心配になって聞いてみた。
『無理してない?』
途端に寂しそうな顔をする。
『ジュリアンは僕に会うの嫌?』
『違うよ?心配してるだけ』
『無理なんかしてない』
『じゃあ、いつでも会いにきて』
『うん』
笑顔で答える可愛いアルシャントは僕より少し小さな子ども。庇護欲が湧き上がる。
学年が上がり八年生になると徐々に夢に見る回数は減ってきた。それを寂しいとは思わなかった。アルシャントが落ち着いてきた証なのだと嬉しかった。
相変わらず食事会をこなし、クラスメイトと勉強する。時々講師として低学年の教壇に立つ。初々しい生徒たちは僕たちも通ってきた道だけど、もう何年も昔の出来事のようだ。
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