天使のローブ

茉莉花 香乃

文字の大きさ
上 下
140 / 173
第七章

09

しおりを挟む
「ぁぁっ…んっ…アシュ…気持、ち、ぃぃょ…ぉ…」

魔法で解したからか痛みは全くなく、痺れるような快感だけが僕を包む。

「ジュリ…」

呟くように名前を呼ばれ、碧い瞳に吸い寄せられるように唇を寄せた。触れる唇は僕だけのもの。柔らかい感触をお互いが楽しむようにキスをする。

舌を絡ませ、口内の感じるところを難なく探し当て、そこばかりを執拗に舌先で刺激する。サラリと触れる舌は僕を痺れさせる。

「ジュリ、愛してるよ」

アシュリーの愛が溢れている。言葉だけじゃなく、碧い瞳が僕だけを見つめる。胸の突起を抓るように揉まれて、腰が揺れてしまう。

深くまで繋がっているのに、少しでも身体が離れると寂しくなる。離れないように首に腕を回してしがみ付いた。身体が密着すると僕の立ち上がったおちんちんは二人の間で擦れてしまう。それに煽られて腰が揺れる。

「ぁん…ア、アシュ…いっぱい、ちょうだい…僕、もぉ…ダメ…ぁぁぁっ…んっ」
「ジュリ、イクよ」
「うん、きて…んっ、んっ…あああっ…」
「んっ…ジュリ」

アシュリーに抱きしめられ、ベッドに横たわる。僕は今、アシュリーの毛布だ。向かい合って全身をアシュリーの上に乗せている。アシュリーが僕のベッドになっている…の方が正しいかもしれない。

まだお互い裸だから、アシュリーの熱を感じて身体の奥が疼く。

「いつものジュリだ。もう平気だね」
「うん、いつもありがとう」
「考えるなって言っても無理だと思う。俺も考えてしまうから。だから、そんな時はいつでも、どこでも俺の側にいて抱きついておいで」
「うん、そうする」
「……」
「どうしたの?」
「いや、いつものジュリなら、ここは恥ずかしがるかなって思った」
「は、恥かしいけど…嬉しいから」

アシュリーは満面の笑みで、僕を少し浮かせ顔の高さを合わせるとキスをした。

「ねえ、アシュリーは先代の記憶があるんだよね?じゃあ、この二重の虚構のことは知ってたの?」
「先代の記憶が俺の中に入ってきた時に、そんなことは見えなかった。先代は同じ運命の俺にさえ教えなかったってことだよな。まあ、混乱するだろうし…もし、誰かに…例えば父上にしゃべってしまったら困ると思ったんだろうな」
「そうだね」





「もう、大丈夫みたいだな」

そんなふうにジョナスに普通に言われると恥かしい。魔力の回復に僕たちが何をしていたかは知られている。

「顔、赤いぞ?いつまでもジュリアンは恥ずかしがり屋なんだな」

こんなことを言うダレルも揶揄からかう様子ではない。

「良かったですね。魔力も落ち着いてます。今までより強くなってますね」

凄いですね、なんてイーノックにまで真顔で言われると居た堪れない。

『ア、アシュ…恥かしい』
『気にしなくても良いよ。みんなわかってる』
『だから!それが恥かしいのに』
『そうか?』

笑顔で抱き寄せ頬にキスをする。ちらりとみんなを見ると気付いていても何も言わない。これは…良いのか、悪いのか?これがアシュリーと僕の距離って思われてるんだ。

「そう言えば…、先生に何を渡されたの?」

出発の時、バーンズ先生が魔法の道具をダレルに手渡していた。

「ああ、一つはこれ」

そう言って僕の頭にベールを被せた。途端にブロンドの髪になる。風が吹いても飛んでいかないように丁寧にピンで留めてくれた。

ジョナスにも同じようにベールを被せる。ジョナスの髪色は漆黒からブラウンに変わった。黒髪の人も居るには居るけれど、これで印象はぐっと変わる。声をかけられても、髪色が違うから、似ているねと言われるだけだろう。もう少し田舎の方に行くまでは歩いて移動する。だから、目立たなくなるこのベールは有難い。

ダレルが僕の髪色を変えようとしていたことをご存知だったのかな?

田舎道に入ってからは、暗くなってから使い魔に乗って移動する。そこまでは歩いて行くのだそうだ。急いでいるからずっと使い魔に乗っていくのかと思っていたけれど違うみたいだ。

「この旅は見聞を広める為にも丁度いい。お前らあまり地方には行ったことないだろ?陛下のお気持ちだ。このベールがあるから、もうちょっと行ったら宿に泊まるのもいいかもな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

幸せの温度

本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。 まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。 俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。 陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。 俺にあんまり触らないで。 俺の気持ちに気付かないで。 ……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。 俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。 家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。 そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

処理中です...