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第七章
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「ジュリ!ジュリ!目を開けて!」
「んっ…」
「あっ、大丈夫?良かった」
ふっと夢から覚めて、さっき欲しかった優しい腕に包まれる。でも、僕とアシュリーのベッドはカーテンが開けられ、ジョナスとダレル、イーノックの他、五匹の使い魔、つまりこのテントの中の全員が心配気な顔で僕を見てた。
「ど、どうしたの?」
「急に目を閉じたと思ったら…気を失って、魔力が今までのどんな時より、セシリアを癒した時より急激に減って…びっくりしたよ」
本当に良かったと僕を抱きしめるアシュリーに身体を預け目を閉じる。
「ジュリアン、大丈夫か?」
ギルバートが膝に乗りもっと上に這い上がってこようとする。アシュリーに抱き上げられ僕の手に乗るとペロペロと舐める。
「でもさ。これはこれで良いかもしれない」
「どう言うことだよ!良くないだろう?」
「落ち着けよ、アシュリー」
落ち着きのないアシュリーにギルバートが宥めるように優し気な声で続ける。
「ジュリアンにとってアシュリーがどれだけ大事かってことが証明されたってことさ」
「だからって、アルシャントが企んでいることを阻止できるのか?」
「それは…でも、考えただけでこんなふうになってしまうんだ。アルシャントだって直ぐに気づくだろ?これは、きっとアシュリーでないと癒せない。俺でもダメなんだ。アシュリーとジュリアンの絆がこれほど強くなっているのは…」
「なっているのは?」
「ミネルヴァとミシェルが今度こそ一緒にと思っているからだよ。ジュリアンの気がミシェルと同じなように、アシュリーのもミネルヴァと同じだ。そうだろ?マクシミリアン」
「ああ、そうだな」
「そうですね。そのことはアルシャントがいつも後悔をしています」
シルベスターが続けて言うことにみんなが驚いた。
「後悔してるなら…」
アシュリーが僕を抱きしめて絞り出すように声を出す。
「後悔してるなら…ジュリを俺から取らないでくれよ!」
◇◇◇◇◇
本当の伝承を聞いた後、初代さまたちの話を聞いた。
使い魔たちは北の山に着いてからのことしか知らないけれど、闇黒を退治しに来たのは昔話の通りらしい。五人はアルシャントの母親を看病した。特にミシェルは大地を揺らす張本人(張本ドラゴン?)だからと怖がらずに、献身的に手当てした。
五人が北の山に着いてから一年くらい経った時、五人の介抱も虚しく母親は死んでしまった。残った力全てで国を護ると約束して、息子のことを託した。死ぬ前に母親は自分の力を五人に与えた。特にミシェルには努力で得られない力を与えた。
アルシャントは五人が帰ることを望まなかった。さらに一年一緒に過ごしたけれど、残してきた人々が気にかかるから戻らなければならない。アルシャントに帰ると報告すると、泣いて嫌がった。ミシェルだけは帰らないで、そうでなけりゃ国は護らないと拗ねた。
……僕が見たのはこの時の二人だったんだ。離れ離れになってしまう寂しさがよくわかった。僕にはその理由はわからなかったけれど、アシュリーは未来の子どもたちのためにって言ってた。それは未来の国のためにってことだったんだ。
『アシュは知ってたの?』
『こんな理由で離れてしまってたなんて知らなかった』
それからシルベスターは僕に向かって落ち着いて聞いてくださいと前置きして話し出した。
「アルシャントの具合が数年前から悪いと先ほど言いましたが、これは本当です。そして、寂しいと何度も言うのです。母親はアルシャントを産む時に力尽きてしまいましたが、ドラゴンが些細なことで弱ることはないのです。身体が弱っている理由はわかりませんが、そのことにより気持ちも弱くなっています。ジュリアンの気がミシェルとそっくりだというのは、アルシャントも気付いています。恐らく、アルシャントは……ジュリアンを離さないと思います」
「えっ…」
「どういうことだよ?」
「落ち着いて」
マクシミリアンがアシュリーの手を舐めている。僕はシルベスターの話がうまく飲み込めない。
アシュリーと離れ離れになるの?
国を護るために?
そして、アシュリーの腕の中で意識をなくした。
勇者と発表されてからの不安定な心の原因がわかった。
「んっ…」
「あっ、大丈夫?良かった」
ふっと夢から覚めて、さっき欲しかった優しい腕に包まれる。でも、僕とアシュリーのベッドはカーテンが開けられ、ジョナスとダレル、イーノックの他、五匹の使い魔、つまりこのテントの中の全員が心配気な顔で僕を見てた。
「ど、どうしたの?」
「急に目を閉じたと思ったら…気を失って、魔力が今までのどんな時より、セシリアを癒した時より急激に減って…びっくりしたよ」
本当に良かったと僕を抱きしめるアシュリーに身体を預け目を閉じる。
「ジュリアン、大丈夫か?」
ギルバートが膝に乗りもっと上に這い上がってこようとする。アシュリーに抱き上げられ僕の手に乗るとペロペロと舐める。
「でもさ。これはこれで良いかもしれない」
「どう言うことだよ!良くないだろう?」
「落ち着けよ、アシュリー」
落ち着きのないアシュリーにギルバートが宥めるように優し気な声で続ける。
「ジュリアンにとってアシュリーがどれだけ大事かってことが証明されたってことさ」
「だからって、アルシャントが企んでいることを阻止できるのか?」
「それは…でも、考えただけでこんなふうになってしまうんだ。アルシャントだって直ぐに気づくだろ?これは、きっとアシュリーでないと癒せない。俺でもダメなんだ。アシュリーとジュリアンの絆がこれほど強くなっているのは…」
「なっているのは?」
「ミネルヴァとミシェルが今度こそ一緒にと思っているからだよ。ジュリアンの気がミシェルと同じなように、アシュリーのもミネルヴァと同じだ。そうだろ?マクシミリアン」
「ああ、そうだな」
「そうですね。そのことはアルシャントがいつも後悔をしています」
シルベスターが続けて言うことにみんなが驚いた。
「後悔してるなら…」
アシュリーが僕を抱きしめて絞り出すように声を出す。
「後悔してるなら…ジュリを俺から取らないでくれよ!」
◇◇◇◇◇
本当の伝承を聞いた後、初代さまたちの話を聞いた。
使い魔たちは北の山に着いてからのことしか知らないけれど、闇黒を退治しに来たのは昔話の通りらしい。五人はアルシャントの母親を看病した。特にミシェルは大地を揺らす張本人(張本ドラゴン?)だからと怖がらずに、献身的に手当てした。
五人が北の山に着いてから一年くらい経った時、五人の介抱も虚しく母親は死んでしまった。残った力全てで国を護ると約束して、息子のことを託した。死ぬ前に母親は自分の力を五人に与えた。特にミシェルには努力で得られない力を与えた。
アルシャントは五人が帰ることを望まなかった。さらに一年一緒に過ごしたけれど、残してきた人々が気にかかるから戻らなければならない。アルシャントに帰ると報告すると、泣いて嫌がった。ミシェルだけは帰らないで、そうでなけりゃ国は護らないと拗ねた。
……僕が見たのはこの時の二人だったんだ。離れ離れになってしまう寂しさがよくわかった。僕にはその理由はわからなかったけれど、アシュリーは未来の子どもたちのためにって言ってた。それは未来の国のためにってことだったんだ。
『アシュは知ってたの?』
『こんな理由で離れてしまってたなんて知らなかった』
それからシルベスターは僕に向かって落ち着いて聞いてくださいと前置きして話し出した。
「アルシャントの具合が数年前から悪いと先ほど言いましたが、これは本当です。そして、寂しいと何度も言うのです。母親はアルシャントを産む時に力尽きてしまいましたが、ドラゴンが些細なことで弱ることはないのです。身体が弱っている理由はわかりませんが、そのことにより気持ちも弱くなっています。ジュリアンの気がミシェルとそっくりだというのは、アルシャントも気付いています。恐らく、アルシャントは……ジュリアンを離さないと思います」
「えっ…」
「どういうことだよ?」
「落ち着いて」
マクシミリアンがアシュリーの手を舐めている。僕はシルベスターの話がうまく飲み込めない。
アシュリーと離れ離れになるの?
国を護るために?
そして、アシュリーの腕の中で意識をなくした。
勇者と発表されてからの不安定な心の原因がわかった。
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