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第四章
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碧空くんに抱きついて顔を隠した。
その抱きついていることが恥ずかしいとかそんなことは考えられなくなってる。沸騰するんじゃないかと思うほど顔が熱い。
「可愛い…姫…俺にも顔、見せてくれないのか?」
「後で…」
「でも、それじゃ何も食べられないよ?食べさせてあげようか?」
「今日はいらない」
「でも、俺が食べられないよ?」
「……それは…」
「じゃあさ…後で姫をいっぱい食べさせてくれる?いっぱいキスして、いっぱい啼かせたい。身体中にキスさせて?」
耳元で囁く声は僕にだけしか聞こえてないとは思うけどそんな返事は恥ずかしくて出来ない。
「碧、好きだよ」
「!……僕も…」
「我慢できない…今から俺の部屋行こう」
「ダ、ダメだよ」
「どうして?」
「せっかく、来たのに…」
そうだよ。恥ずかしさを我慢してここまで来たのに。それに今は昼休み。寮には行けない。
「じゃあ、生徒会室行こう」
あの日、美都瑠と智親くんは僕が泣き止んだ時にはそこにはいなかった。心配かけたけどその時は美都瑠や自分の部屋へ行くために、寮内を歩き回ることができそうになかった。
今更ウイッグを付けるのも変だし、かと言ってコンタクトをしないでみんなの前に出るのも勇気が必要だった。犯人がどうなったのかは知らないけれど、もしばったり会ってしまったらと思うと碧空くんの部屋から一歩も出られなかった。
土曜日の夜に制服や学校で必要なものを僕の部屋から取ってきてもらった。もう見られて困るものは置いてない。
日曜日は一日中二人で過ごした。一緒に勉強したり、碧空くんに食材の買い出しに行ってもらい一緒に料理した。碧空くんはたまに料理するみたいで、調味料は揃っていたから問題なかった。
それから、いっぱい話した。
離れ離れになっていた五年半をどのように過ごしたかをお互いが知りたかった。二人で同じベッドで寝るのはどうかと思ったけど、お願いされれば嫌とは言えない。それに……僕も一緒が良かった。
碧空くんの胸に顔を寄せ碧空くんの匂いのするベッドで幸せに包まれて眠った。
「何二人でヒソヒソ喋ってんの?みんなの注目の的なんだけど!」
「そうだよ!僕も碧とお昼食べたい」
智親くんと美都瑠が同じテーブルに座る。
「お前らあっち行けよ。空気読めない奴らだな」
「空気読めないのは碧空だ」
「そうだよ!碧、こっちおいで~」
美都瑠が僕に手を伸ばすけど、碧空くんはその手を払いのけた。顔を上げて美都瑠を見ると頷いてくれる。
「本当に綺麗なブルーだね」
「本当?嬉しい」
こんなふうにストレートに目の色を、碧空くん以外から褒められたことはなかった。以前の学校の同級生はちょっと距離があって、なかなか親しく話しかけられたことはなかったから。
それから智親くんと美都瑠が料理を取ってきてくれたから、四人で食べた。僕たちが食べ始めるとみんなも席について、食べ始めたから食堂の人たちに迷惑だったかもしれない。
高倉さんと尾崎さんは食堂にいたみたいだけど、話しかけてくることはなかった。犯人がどうなったのかは知らない。自宅謹慎か停学になったのか昼休みの食堂では見なかった
その抱きついていることが恥ずかしいとかそんなことは考えられなくなってる。沸騰するんじゃないかと思うほど顔が熱い。
「可愛い…姫…俺にも顔、見せてくれないのか?」
「後で…」
「でも、それじゃ何も食べられないよ?食べさせてあげようか?」
「今日はいらない」
「でも、俺が食べられないよ?」
「……それは…」
「じゃあさ…後で姫をいっぱい食べさせてくれる?いっぱいキスして、いっぱい啼かせたい。身体中にキスさせて?」
耳元で囁く声は僕にだけしか聞こえてないとは思うけどそんな返事は恥ずかしくて出来ない。
「碧、好きだよ」
「!……僕も…」
「我慢できない…今から俺の部屋行こう」
「ダ、ダメだよ」
「どうして?」
「せっかく、来たのに…」
そうだよ。恥ずかしさを我慢してここまで来たのに。それに今は昼休み。寮には行けない。
「じゃあ、生徒会室行こう」
あの日、美都瑠と智親くんは僕が泣き止んだ時にはそこにはいなかった。心配かけたけどその時は美都瑠や自分の部屋へ行くために、寮内を歩き回ることができそうになかった。
今更ウイッグを付けるのも変だし、かと言ってコンタクトをしないでみんなの前に出るのも勇気が必要だった。犯人がどうなったのかは知らないけれど、もしばったり会ってしまったらと思うと碧空くんの部屋から一歩も出られなかった。
土曜日の夜に制服や学校で必要なものを僕の部屋から取ってきてもらった。もう見られて困るものは置いてない。
日曜日は一日中二人で過ごした。一緒に勉強したり、碧空くんに食材の買い出しに行ってもらい一緒に料理した。碧空くんはたまに料理するみたいで、調味料は揃っていたから問題なかった。
それから、いっぱい話した。
離れ離れになっていた五年半をどのように過ごしたかをお互いが知りたかった。二人で同じベッドで寝るのはどうかと思ったけど、お願いされれば嫌とは言えない。それに……僕も一緒が良かった。
碧空くんの胸に顔を寄せ碧空くんの匂いのするベッドで幸せに包まれて眠った。
「何二人でヒソヒソ喋ってんの?みんなの注目の的なんだけど!」
「そうだよ!僕も碧とお昼食べたい」
智親くんと美都瑠が同じテーブルに座る。
「お前らあっち行けよ。空気読めない奴らだな」
「空気読めないのは碧空だ」
「そうだよ!碧、こっちおいで~」
美都瑠が僕に手を伸ばすけど、碧空くんはその手を払いのけた。顔を上げて美都瑠を見ると頷いてくれる。
「本当に綺麗なブルーだね」
「本当?嬉しい」
こんなふうにストレートに目の色を、碧空くん以外から褒められたことはなかった。以前の学校の同級生はちょっと距離があって、なかなか親しく話しかけられたことはなかったから。
それから智親くんと美都瑠が料理を取ってきてくれたから、四人で食べた。僕たちが食べ始めるとみんなも席について、食べ始めたから食堂の人たちに迷惑だったかもしれない。
高倉さんと尾崎さんは食堂にいたみたいだけど、話しかけてくることはなかった。犯人がどうなったのかは知らない。自宅謹慎か停学になったのか昼休みの食堂では見なかった
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