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第六章

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「いつから?」
「最初に見たのは入学式の翌日だった。あの日眼鏡忘れた?終わって直ぐ帰らなかった?桜咲いてて、風がふわって吹いて、花弁が凄く綺麗でさ……、一目惚れだった。名前分からないし、でも顔は覚えてたから、探したよ。でも全然見つからないの。……幻だったんじゃないかって思い始めてた。諦めかけた時神田さんと一緒に居るの見かけたんだ」
「あっ、あの女の子と一緒に居た…」
「ああ、でもその周りに他の奴も居たんだけどな」
「そ、うなんだ…」
「神田さんが『ユキ』って呼んでるの聞いて、名前が分かればもう辿り着けると思った。けど、やっぱり分からない。神田さんと付き合ってるのかもとか思ったけど、神田さんって橘と噂あったし、すっごい気になって。実は…神田さんには悪いけど、確認する為に告白したんだ。酷い奴だろ?軽蔑する?」
「…ううん」

ふるふるって首を振る。

「奈津美は大学生の彼が居るから」
「ユキ……裕樹と…ああっ!何て呼ばれたい?ユキ?裕樹?」
「…裕樹」
「分かった。俺だけが『ユキ』って呼んでるんならユキが良いけど、神田さんが呼んでるなら意味無いしね。それで……裕樹と神田さんの関係は?」
「従兄弟だよ」
「!…なんだ、そうなんだ。安心した。神田さんは何で『ユキ』って呼ぶの?」
「小さい頃『裕樹は女の子みたいだから可愛い名前が似合うから、今日から「ユキ」って呼ぶ』って…それから奈津美だけ。あっ、奈津美の彼もかな」
「それは許せないな」
「……?」
「…いや、何でもない。どうして眼鏡して、前髪伸ばしてるの?可愛い顔が隠れちゃってるよ」
「奈津美からの命令だよ。小さい頃から逆らえない」
「ああっ、でも、多分隠しきれて無かったよ。
石原がいつも一緒にいたし『神田さんの彼氏』って噂があったから、学校では誰からもアプローチが無かったんだよ」
「!…そんな事無いよ」
「俺も気になってた」
「…?」
「入学式の日トイレで迷ってた。次は書道の教室。
隠れてるけど仕草の可愛い子だと思ってた。俺、中学の時女の子に待ち伏せとかよくされててさ『またかよ』って最初思ったんだ。でも何だか本当に迷ってるみたいだし、ほっとけない感じですっげー気になってた」

彰君は学校で一番のイケメンだって誰かが言ってた。凄くモテてたんだろう。

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