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初めて恋を知りました
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☆★☆ ★☆★ ☆★☆
藤壺の女御が出仕してからしばらくが経った。
噂通り綺麗な人だ。
最初の対面の時に震える声と、今にも倒れてしまうのではないかと思う儚さは守ってあげたくなった。
それでもわたしに向ける微笑みは華が咲いた様に可憐で非の打ち所がない。
金泥の檜扇を持つ手がふるふると震え女房に支えられている様は思わずわたしが手ずから支えてあげたくなった。
けれど…あれは男ではないのか?
右大臣は知っているのか?
いや、知っているはずはないだろう。
あんなに喜んで、準備をしていたのだ。
失脚を覚悟してまでその様な愚かな事などしないだろう。そもそも意味がない。
六条の別邸で育ったと云っていた。
その時に何かがあったのだろうか。
藤壺の女御が気になって仕方ない。
何故わたしを騙しているのだろう…。
問いただす事は出来なかった。
追い返す事も。
徒然に飛香舎(藤壺)を訪れては、たわい無い話をして帰る。
初め、慣れない後宮に床に臥しがちだと聞いていたけれど、わたしが顔を見せるとはにかむ様な可愛らしい笑顔で迎えてくれるようになり、飛香舎を訪ねるのが楽しみになっていた。わたしの問いかけに、だんだんと会話も弾むようになってきた。
けれど、やはり男なのだ。
あれから、夜の御殿(天皇の寝室)に呼んではいない。
あの日…
入内しても最初の一日で自分の命は終わると覚悟があったのか、帳台の端に座り、額ずき先ほどよりも更に震えている。
可哀想になってきた。
男だと気付いている事を伏せて「まだ、恥ずかしいのだろう?今日は話でもしようか?」と云ってみると、途端に顔を上げてやっと可愛い顔を見せてくれた。青ざめて、驚愕に目を見張り涙まで流している。
安堵からかふっと倒れてしまったのを抱きとめた。
わたしはどうかしてしまったのか?
騙されているのに…。
何故か庇ってあげたくなる。
始め、誰もが驚いた。
勿論右大臣も『何故?』と問うた。
姫の話題を持ち出した左大臣もやいやいと云って来る。
けれど、誰も気付かないのか?
後宮に上がってから右大臣にも対面していないらしい。
『三条邸に移られてからも、床に伏しがちだったのでございます。後宮に上がられる前にはお元気になられていて、安心しておりましたのに。申し訳ございません』
と逆に恐縮していた。
藤壺の女御が出仕してからしばらくが経った。
噂通り綺麗な人だ。
最初の対面の時に震える声と、今にも倒れてしまうのではないかと思う儚さは守ってあげたくなった。
それでもわたしに向ける微笑みは華が咲いた様に可憐で非の打ち所がない。
金泥の檜扇を持つ手がふるふると震え女房に支えられている様は思わずわたしが手ずから支えてあげたくなった。
けれど…あれは男ではないのか?
右大臣は知っているのか?
いや、知っているはずはないだろう。
あんなに喜んで、準備をしていたのだ。
失脚を覚悟してまでその様な愚かな事などしないだろう。そもそも意味がない。
六条の別邸で育ったと云っていた。
その時に何かがあったのだろうか。
藤壺の女御が気になって仕方ない。
何故わたしを騙しているのだろう…。
問いただす事は出来なかった。
追い返す事も。
徒然に飛香舎(藤壺)を訪れては、たわい無い話をして帰る。
初め、慣れない後宮に床に臥しがちだと聞いていたけれど、わたしが顔を見せるとはにかむ様な可愛らしい笑顔で迎えてくれるようになり、飛香舎を訪ねるのが楽しみになっていた。わたしの問いかけに、だんだんと会話も弾むようになってきた。
けれど、やはり男なのだ。
あれから、夜の御殿(天皇の寝室)に呼んではいない。
あの日…
入内しても最初の一日で自分の命は終わると覚悟があったのか、帳台の端に座り、額ずき先ほどよりも更に震えている。
可哀想になってきた。
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わたしはどうかしてしまったのか?
騙されているのに…。
何故か庇ってあげたくなる。
始め、誰もが驚いた。
勿論右大臣も『何故?』と問うた。
姫の話題を持ち出した左大臣もやいやいと云って来る。
けれど、誰も気付かないのか?
後宮に上がってから右大臣にも対面していないらしい。
『三条邸に移られてからも、床に伏しがちだったのでございます。後宮に上がられる前にはお元気になられていて、安心しておりましたのに。申し訳ございません』
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