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朝朗

05

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(やはり、どんな姫より尊が可愛い。この仕草、この上目遣い。何も知らない感じがまた、良い!やはり言葉にしなければならなかったんだな)

親彬は思わず口走ってしまった『好きだ』の一言に焦った。しかし、尊の気持ちも自分に向かっていることがわかり、上皇に云われた通りだなと思った。

年の離れた異母兄は大切にしてくれたけれど、親彬が政争の具にされることを恐れた。親彬の母は女官だったのだが、時の帝に見初められ親彬を身篭った。一時、更衣こうい(天皇の妻)として殿舎を賜っていた。色々あって、母と共に翁に預けられたのは三歳の頃。言葉を発するようになると、翁にその才能を見出されたのだ。その母はもういない。

あの時、母と引き離されていたならば、自分だけが疎外されたと思い穏やかな気持ちで兄と対面できなかったかもしれないが、親彬の母は翁の元へ出されたことに大変感謝していた。

兄嫁(男だけど…)からのアドバイスは『独りよがりはすれ違いの元。気持ちをきちんと伝えなさい』だった。
やはりこの二人も、もう少しで行き違いがあり離れ離れになるところだったようだ。周りの助けがあったものの最後は二人の気持ちが大事。大切なことは言葉にしなければわからない。

小さな粒が硬くなり、幼さの残る身体は次第に親彬を誘うように身をよじる。

「親、親、イヤッ…ねぇ、親ぁ」
「尊、愛してる。気持ちイイ?」
「ひゃん、親…僕も、好き…で、も…ダメってぇ…はぁ…や、らぁ…」

舌で何度も粒を転がし、歯を当てる。

「あぁっ、あっ…ち、かぁ」

柔らかな膨らみはないが、その分肌理が細かい。少し暗い中でも、それとわかるほど赤く色づく肌はいつまででも撫でていたい。

「尊、俺は尊に会うために今まで生きてきたんだと思う。確かにこれまで数々の出会いはあった。しかし、どれも俺の心には残らなかった。これは運命だったんだ。あの森で出会ったあの時に…。いや、尊をこちらに呼び寄せる前から、胸が高鳴っていたんだ。ほら、わかるだろ?」

そう云って尊の手を自分の胸に導く。

「俺の側にずっといて…、もう離れるなんて……できない。離さないから」

正常な尊の脳なら、『何キザな台詞を僕なんかに』とか思うのだろうが、完全に熱に浮かされているのでウットリと聞き惚れ、うんうんと首を縦に降る。親彬はその仕草を満足げに見ていた。

胸から腹へ撫で下ろし、その先の下腹部に触れる。愛撫でゆらゆらと揺れる幼い屹立を掌で包み込み、ゆるゆると扱いた。尊のものからは先走りが溢れ、ぬちゃっと隠微な音がする。エロ上司からもらった陶器の小瓶を用意する。しっかりちゃっかり、懐に忍ばせていた親彬だった。
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