逢魔刻に氷菓を手折り

茉莉花 香乃

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東雲

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ちか、今度は僕からね」
「ああ…」

仕方ないなとでも続けたそうな親彬を、見ないふりをする。尊はもう、主導権を渡すつもりはなかった。

希望と現実が乖離していても、希望は希望。だって、親彬が良いって云ってくれた。襲われないために必要なことなんだ。そう、これは、仕事!本当は仕事だとは思いたくはない。愛のないセックスができるほど、尊はドライではない。昨日は受け入れた。優しくしてくれたけれど、心はキリキリと痛む。けれど、それは云っても仕方ない。

(えっと…確か、首筋からだったよね)

絶対に同じでないといけないわけでもないけれど、経験のない尊には、今は先程の親彬がバイブルになる。昨日されたことなんか、覚えていない。もう二度と必要ない物かもしれないけれど、今の尊にはムードを作るために必須だった。

親彬を横たえ、首筋にキスをする。耳たぶを甘噛みして、親彬の顔を覗き込んだ。

(んー、まだ、感じてない?僕ならもうメロメロなのにな)

顔中にキスをする。昨日は恥ずかしくなったら目を瞑れば良かったけれど、今日はそうもいかない。精悍な顔を眺めて、ドキドキしながら舌を出した。時々くすぐったそうな声が聞こえたけれど、無視だ。

首筋に舌を這わせ、鎖骨に移動しようとして戸惑った。二人には身長差が二十センチ以上ある。身体の厚さも倍とまではいかないけれど、感覚的にはそれに近く、体勢が取りづらい。仕方なく、乗り上げるように鎖骨を舐めた。途中できつく吸ってみるけど、上手に痕を残すことができなかった。

片手を親彬の腹に乗せてそれで支えながら、先程は素通りした胸を目指す。

(親は、絶対感じてた。僕の胸を素通りしたのは…きっと…)

「はっ、ぁぁっ…尊、そこは…やめろ…」
「何云ってるの?ここ、感じてるでしょ?」

乳首にカリッと歯を当てると、わかりやすく反応が返ってくる。尊は両方の胸を、舌と指先で弄び、親彬の快感を引き出してゆく。乳輪がぷくりと膨れ、粒は大きくなった。

(この舌にくる刺激、堪らん!何か、ずっとレロレロしてたい!)

次第に自分の息子が成長しているのを感じ、尊は可愛い顔で悪戯っぽく笑った。
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