おはようの挨拶はキスで

第三章

08

いっぱい、いっぱいキスをする。

ゆっくりと挿入ってくるのを感じながら、キスの合間に深く息を吐く。

「はぁぁ…んっ…あぁぁぁ」

僕の身体が少し弛緩したのを見逃さず、豊のものが僕の中にグッと押し挿る。

「ゆ、豊…す、き…大、好き…いっ、ぱい…し…あっ…」
「んっ…俺も好きだよ…隆、優しくしたいのに、…隆はエロ可愛いな…」
「そ、そんな…あぁ…」

こんなにかっこ良くて、何でも出来る豊が僕のことだけを考えてくれて、余裕なさげに囁く言葉は僕の方が堪らない。

「だ、だって…あっ…だ、い好きなん、…」

その先の言葉は豊の口の中に消えていった。

「…っん…隆、大丈夫？」

みっちりと隙間が埋まり豊で一杯で、身体が熱くなっていく。全部挿入ったのか全てを包むように抱きしめられれば、どんなに痛くても、どんなに苦しくてもそれは苦痛ではない。

だから…、
「…動いて…だ、大丈夫だよ…」

首筋に顔を埋めてキスをくれる豊の頭を抱きしめる。

「…ごめん、優しくできないかも…ダメだったら言って…」

頷いて答えたけど、きっとどんなに苦しくても途中で『止めて』なんて言わないよ。心が満たされているから。いっぱいキスしてくれるから。豊は僕がどうすれば幸せになれるか知っているのかな？欲しいものばかりくれる。

ゆっくりと動く腰使いにだんだんと慣れてくる頃、少し角度が変わり、

「あぁぁ…い、や…はぁぁ…」

激しく身体が跳ねた。

「そこ…へ、へんに、なるぅ…はぁぁんっ…」

さっき浴室で解してくれている時もある一点でどうしていいかわからなくなるところがあった。切なくなるほど感じてしまう。

「はあぁっ…んっ」

再奥を突くのと同時に胸に触れる手にピクリとする。人差し指と親指で突起を挟まれ、強いくらいに揉まれれば、痛さよりも快感が背中から足先まで伝う。足先をピンと反らせ、シーツを掴んでやり過ごす。

「はっぁ…んっ…ゆ、ゆた、か…気持、ちい…」
「隆…」
「や、ぁ……」

吐息が熱くなる。

豊は奥を目指して腰を振り立てた。柔らかくとろけた粘膜を抉られると今まで感じたことのない快感が僕を襲う。

屹立を扱かれ、胸の突起を摘まれ、いっぱいのキスを一度に与えられ、敏感になった粘膜がさらなる快感を連れてくる。
初めてなのにこんなに感じて嫌われたりしないだろうか？快感で潤んだ目で見つめれば、余裕なさげな顔で、でも優しく微笑んでくれるから心配なんかしなくていいのかな…。
だから、大好きって気持ちを込めて豊の背中にしがみついて快感を受け止める。

「あぁぁ……はぁ…ゆ、たか…ダメ……あっん…もっ…」
「んっ…ダメなの？…もっと？隆の、欲しいものを、あげる。言って…」

豊は上半身を起こして、僕を見つめる。その間もゆっくりと腰を動かしているから、「…やっ、もっと…」ちゃんと言葉にならなかった。
けれど、ますます腰遣いを速めたから伝わったみたい。

豊の身体が離れたから縋るものがなくなって枕の端を持った。僕の身体が離れないように腰を持って、一際強く、激しく押し付けるように最奥を突かれた。

「あぁぁぁ！…はぁぁ」

頭を振って、どうしていいかわからない快感を全身で受ける。豊に揺さぶられて、さっきとは違う涙を流しながら豊の背中に腕を伸ばす。

「隆、イクよ」

覆い被さり、力強く抱きしめてくれる。

「はぁぁ…ぁ…」

同じように抱きしめ返し大好きな人の体温と汗を確かめる。僕のものを扱きながら、一層強く突き上げられて体内で熱い飛沫が弾けるのを感じ、僕も二人の間に白濁を飛ばした。

「んっ…ゆ、た…」

力が入らないから強く抱きしめられないけど、その分豊が抱きしめてくれる。ずるりと僕の中から逞しいものが抜け出ていく瞬間は、まるで内蔵を引き抜かれてしまうような喪失感があり「あっん…」まるでもっとと強請るような声になってしまい恥ずかしい。

「隆、気持ちよかったよ」
「んっ…僕も…嬉しい……」
「ん？」
「だって…もう、…」
「な、に？」
「嬉しいから嬉しいの…」

こんなに満たされたことはなかった。汗でしっとりとした腕に包まれて、豊の胸にキスをした。