おはようの挨拶はキスで

茉莉花 香乃

文字の大きさ
上 下
19 / 45
第三章

07

しおりを挟む
器用に動く豊の舌は僕の口内のあらゆるところを確かめるように動く。
僕の身体がピクリと跳ねるとしばらくそこばかり刺激して次の場所を探検する。

キスで惚けてしまった僕は豊の手が胸の突起に触れていることにびっくりした。

「んっ…あぁ…やっ」

なんか変な感じ。

「く、くすぐったいから」
「直ぐによくなるよ」
「えっ…あっ…んっ…」

こんなとこが感じるなんて思ってなかった。ベッドに触れる背中からお尻、足先までジワジワと痺れてくる。
豊の手は僕の身体全てを性感帯に変えてしまったんじゃないかって思えるほどだ。

ペロッて舌先がそこに触れると更に感じてしまい高い声が出そうになり恥ずかしい。

舌のざらりとした刺激と濡れた先端にかかる吐息にキスによって勃ち上がった欲望が更に硬さを増すのがわかった。

舌で転がすように舐められ、指でクリクリと摘まれて初めての感覚にどうしていいかわからない。

ふっと顔を上げた豊と目があうと両手を伸ばして、目でキスをせがむ。僕の気持ちがわかったのかキスをくれた豊の背中に腕を回して、キスの合間に「好き」と囁く。

「…俺、かなり我慢してるんだから、煽るなよ」

えっ?
煽ってませんけど?

顔じゅうにキスを降らせ、耳を甘噛みされた。豊の唇は首筋に、鎖骨に、胸に…。きつく吸われ、チリっとした痛みまで快感に変わる。

さっき解したから大丈夫だと思うけど…と言いながら手に何かを取り、冷たいものがお風呂で充分に解された後孔に触れる。僕の様子を気にしながら指を増やされるのをただ抱きついて、キスをせがんで耐えた。

豊のキスは僕を幸せにしてくれる。
愛情一杯のキスに心も身体も満たされる。

胸から腹へ大きな掌で撫で下ろし、その先の下腹部に触れる。長い指でそれを包み込まれ、ゆるゆると扱かれると僕のものからは先走りが溢れた。

ずるりと指が抜け身体が震えたけれど、豊に抱きしめられたら不安なんか感じない。

膝が胸につくほど脚を押し開かれた。頭を撫でながらキスをくれる。ふわっと笑った顔は見惚れてしまう。豊の猛ったものが宛てがわれるとドキドキと心臓の音が激しくなる。
豊と一つになれるんだ。
怖さもあるけど喜びの方が強く心を支配していた。

「豊、好き」
「好きだよ…」

頬に手を当てキスをせがむ。キスに夢中になってると後孔に熱いものが押し挿ってくる。

「ぁあぁっ…んっ…」
「きっつ…大丈夫か?」
「んっ…う、うん」

大丈夫じゃない。
優しくしてくれるから怖くはないけど、痛い。僕が苦しそうにしてるからか豊の身体が離れていく。

「いゃ…離れ、ない、で…」

何だか離れるのが怖かった。こんなに痛がって…って呆れられたらどうしようって…、大袈裟な奴だなって思われないか不安だった。

心許ない気持ちで泣きそうになりながら豊を見ると心配そうな顔で見つめられた。

「でも、痛いだろう?涙まで流して…」

チュっと涙を吸い取るように目尻にキスを落とし、僕を見る目はただ、心配してるって顔だ。頭を優しく撫でる手も宥めるように動く。きっと我慢してるんだ。今すぐにでも、突っ込みたいって思ってるんだろう。
だってあんなに熱くて、硬くて…愛おしい。

心配なんかしなくてもいいのかな…。

でも…
「だ…だい、じょぶ…お、願い…」

早くひとつになりたかった。

大好きな、ずっと触れることのできなかった豊とこうしていられる幸せをもっと、もっと確かなものとして感じたかった。

「わかった…好きだよ」

僕を見つめる眼は欲情していて、求められていることが嬉しくなる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…

まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。 5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。 相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。 一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。 唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。 それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。 そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。 そこへ社会人となっていた澄と再会する。 果たして5年越しの恋は、動き出すのか? 表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

【完結】白い森の奥深く

N2O
BL
命を助けられた男と、本当の姿を隠した少年の恋の話。 本編/番外編完結しました。 さらりと読めます。 表紙絵 ⇨ 其間 様 X(@sonoma_59)

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

処理中です...