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第三章

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それから二人でご飯を作って食べた。夕飯を一緒に食べたのは初めてだ。
豊が作ってくれたオムライスは美味しかった。今まであまり料理をしなかったから手伝いしか出来なかったけど、これから少しずつ覚えていこうかな。大学の時はたまに作って食べたけど、なかなか上達しないからだんだん作る回数は減っていた。

ご飯が終わって、紅茶を淹れて飲んだ。ティーパックだけど、これくらいはできると僕が淹れた。

テレビは点いてるけど豊のことばかり見てしまう。

「ん?どしたの?」って度々聞かれるけど「何でもないよ…」って返事する。きっと僕がずっと見てるの豊は気付いてると思う。ルームシェアを始めた時から見ないようにしてた。堂々と見られるようになったんだ…見ちゃうよね…。

「お風呂、一緒に入る?」

えっ…、一緒ですか?
もじもじしていると、聞いてくれた。

「嫌?」
「…嫌じゃないよ」
「じゃ、入ろ」

凄い笑顔だ。
僕たちは昨日恋人になったばかりのホヤホヤでまだ湯気が立っているほどの柔らかい関係なのに、展開早くないですか?昨日の夜も『一緒のベッドで寝たい』とか『もう遅いから、何もしないのに』とか言ってたっけ。
抜き合いしたけど…。

ここで躊躇っててもしょうがないと、さっさと上着を脱いでいく僕に、驚いた顔をした。

「さっき、あんなに恥ずかしそうにしてたのに、割と大胆」
「嫌?」
「全然!大歓迎!…でもさ、一つだけ聞いていい?」
「ん、何?」
「経験あるの?」
「ないよ…」

恥ずかしいこと聞くなよ!
改めて聞かれるとさ…、初めてだと嫌なのだろうか?

誰にも相談できなくても、ネットで調べることはした。でも細かいとこまではわからない。
初めての奴相手には色々とややこしいものなのだろうか?

準備とかしといた方が良かったのかな?
不安になって脱いだ服をもう一度着ようとする僕を、豊は慌てて止めた。

「な、何服着てるのさ?」
「えっ、だって…僕、初めてだしよくわからないからさ…準備とかしてないし…」
「何を言ってるの?もう!俺がするから!隆、可愛い」

力強く言ってくれたから、恥ずかしいけど言われるままに頷く。

でも…でもさ…、
「あの…初めてなので……ここで初めてはちょっと…」

勢いで、服を脱いだけど、尻すぼみに気持ちは沈んでいって恥ずかしさだけが残った。

「わかってる。俺に任せて」

頭を撫でられながらキスをする。背中に腕を回して抱き付くと普段触れることのない自分以外の体温が心地良い。上半身裸だから、素肌同士が触れてその体温が上がるのがわかる。そう言えば…昨日は下しか脱がなかったな…。キスに夢中になっていると豊は器用にベルトを外し、ズボンとパンツを脱がしていく。

「入ろ。抱いて入りたいけど、狭いから…歩ける?」

キスでふにゃふにゃになってしまい、そこに豊がいないと崩れ落ちてしまうくらい、ちょっと足に力が入らない。

「手、持って?」

素直に甘えた。甘えることに多少の恥ずかしさはあるけど喜んでくれてるみたいだし…いいよね。
腕を持たれて、直ぐそこにある逞しい胸板に惚れ惚れする。思わず手を伸ばしてその胸に触れる。キスした時に背中も触ったけど、僕にはない男らしい身体は恥ずかしさよりも、欲望に従った僕にはとても魅力的で思わず…思わず手を伸ばしていた。

「好き?」
「えっ?…うん。好き」
「ねえ…どっち?どっちが好き?」
「どっちって?何」

二人で浴室に入り、シャワーを浴びながら豊が僕に意味のわからない質問をする。
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