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第二章

07

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スウェットの中で形を持ち始めたものの存在を土屋くんに知られないように胸を押した。

何度も触れたいと思った胸板。僕にはないしなやかな筋肉の乗った胸は…しかし、体格差は無情だ。ビクともしない土屋くんの腹に当たりそうで、落ち着かない。

「んっ…あっ…あの…ちょっと離れて?」

思い切って言ってみたけど、余裕の笑みで、「これ?」と僕の反応を始めたものを掴んだ。

「あっ…や、止めて…土屋」

他人に触られたことのないそこには、土屋くんの手は刺激が強すぎる。

「大丈夫だよ。俺も…」

と僕の手を自分の股間に持っていくとしっかりと芯を持ったものが存在を主張していた。
思わず「大きい…」と呟くと嬉しそうな顔をしてキスをする。自分のものを僕に擦り付けるようにしてるのはわざとなのだろうか?

「安心して、今日は何もしない。…キスはもうちょっと…」と僕の唇を再び塞いだ。

しばらく土屋くんのキスに酔っていたけど、経験不足の僕にいきなりの濃厚なキスは身体に悪い。

それに、『今日は』何もしないと言ったのに土屋くんの手は僕のスウェットの中に入ってくる。直接触られて身体が硬直してしまいそう。

嬉しそうな顔はいつもの爽やかな笑顔ではなくて怪しく誘い、もうどうにでもしてって思ってしまう。キスもほとんどしたことないから勿論その先の経験なんかない。

僕だって興味がなかったわけじゃない。誰かとこんなふうに触れ合えるなら…って思ってた。でもその誰かは誰でもいいわけじゃなくて好きになった人が良い。だから、告白したことのない…告白する勇気のなかった僕が誰かと触れ合うことはできなかった。

「こんなになって、凄いヌルヌルだぞ。辛いだろう?」

そんなことを耳元で言われ、恥ずかしさと、ゾワゾワと背中から下半身に痺れが走り更に先走りが溢れる。どうしていいかわからないから土屋くんに抱きついた。

「あっ、んっ」

僕だけが辛い訳ない。さっき触れた土屋くんのは僕より硬くなってた。グリグリと押し付けるようにしていたものは僕にその強さを見せつけていたのに…。

「ぼ、僕も触って良い?」
「えっ…」

あれ?嫌なのかな…。
膨らんでいた気持ちが一気に沈んでしまいそう。触られたくないのかな…。

「いや、ち、違、から」

疑いの目で見つめれば、チュッと唇が触れて、土屋くんの笑顔がそこにある。これは…?僕がそんなことを言わないと思ってた?返事を待たずに手を伸ばすとさっきより硬くなったものが下着にシミを作ってた。二人で服を脱いだ。僕のは土屋くんが脱がしてくれたから、土屋くんのは僕が…うぅっ照れる…。

お互いのものを握りあって扱くけど、こんなふうに他人に触られたことがないから、土屋くんのを上手にしてあげられない。土屋くんが僕のと自分のを一緒に持って僕の手の上から動かしだした。二人分の先走りが漏れて更に動きがスムーズになる。気持ちいい。キスしたい。

「つ、土屋…キ、キスした、い」

思うまま口にすれば、直ぐに塞がれる唇に僕も拙いながらも舌を差し出す。舌先を甘噛みされてピクッと身体が震えた。

「あっ…んっ…はっぁ…」
「んっ…」

同じように扱かれてるのに僕だけ追い詰められているようで、もうイキたいけど…我慢する。

「んっ…ん」
「イッて良いよ、俺も…」

顔を見ると色っぽく僕を誘い、見つめ合ったままほぼ同時に果てた。





二人でベッドに座り何故か手を繋いでいる。

「なあ…今なら、俺を避けてた理由教えてくれるか?」

もう好きって言っちゃったし…今更気持ち悪がられたりしないよね?あんなこともしちゃったし…。

「僕、ゲイなんだ…今まで黙っててごめん。太田にも言ってないからあいつも知らない。この部屋気に入ってたし、できればずっと同居したかったんだ」
「別に俺を避けなくても普通にルームシェアできただろ?」
「そうなんだけど…好きになったら困るから…。僕が土屋を恋愛対象として見ていることがわかったら、追い出されるだろ?」
「そんなことしない!」
「それは、土屋が僕のことを好きだって思ってくれてるからだよ。普通は気持ち悪いだろ…」
「もう、外で時間潰したり、この部屋に閉じこもったりしない?」

伺うように見つめられて、ドキンと心臓が跳ねた。真剣な顔で聞かれたことは質問ではなく、そして答えは「Yes」しか許されない…。

僕は抗うことなく…、
「うん。しないよ」と素直に答えた。
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