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プロローグ

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今日もあいつが部屋に来た。

僕が寝ている部屋にだ。

部屋には常夜灯が点いている。
真っ暗でも寝られるけど小さな頃からの習慣で何となく点けてしまう。だから僕のことは見えるはず…。

そんな僕の部屋であいつの習慣となりつつあるのが…、一週間位前から始まった『おでこにチュー』だ。

僕の額にかかる髪を丁寧に掻き上げ、そっと触れる唇。

息を詰めているのか離れる時に漏れる吐息が心臓に悪い。あいつは僕が寝ていると思っているだろうから、眼を開けることは出来ない。
僕の方が息が詰まる。

おでこにチューの前は『頬をなでなで』だった。

さわさわと優しく触れてくる指は滑るように動く。その動きは僕にはもどかしい。行ったり来たりを繰り返し、時々「フッ」っと吐息が漏れる。眼を開けられないから、笑ってるのかわからないけど、嘲笑するような嫌な感じはなかった。

頬だけでなく耳に、鼻に、顎に、唇に…触れることもある。

頬がピクピクと痙攣しそうで、なんで僕が気を使わなくちゃいけないのかわからないけど、緊張してしまう。

一番最初は『顔を見て、ほっと安堵のため息』だったのに…。

頑張って寝息を作る僕は…上手に誤魔化せているのかな?

僕が寝ているのを確認するあいつは何を考えているのだろう。










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