1 / 45
プロローグ
ーーー
しおりを挟む今日もあいつが部屋に来た。
僕が寝ている部屋にだ。
部屋には常夜灯が点いている。
真っ暗でも寝られるけど小さな頃からの習慣で何となく点けてしまう。だから僕のことは見えるはず…。
そんな僕の部屋であいつの習慣となりつつあるのが…、一週間位前から始まった『おでこにチュー』だ。
僕の額にかかる髪を丁寧に掻き上げ、そっと触れる唇。
息を詰めているのか離れる時に漏れる吐息が心臓に悪い。あいつは僕が寝ていると思っているだろうから、眼を開けることは出来ない。
僕の方が息が詰まる。
おでこにチューの前は『頬をなでなで』だった。
さわさわと優しく触れてくる指は滑るように動く。その動きは僕にはもどかしい。行ったり来たりを繰り返し、時々「フッ」っと吐息が漏れる。眼を開けられないから、笑ってるのかわからないけど、嘲笑するような嫌な感じはなかった。
頬だけでなく耳に、鼻に、顎に、唇に…触れることもある。
頬がピクピクと痙攣しそうで、なんで僕が気を使わなくちゃいけないのかわからないけど、緊張してしまう。
一番最初は『顔を見て、ほっと安堵のため息』だったのに…。
頑張って寝息を作る僕は…上手に誤魔化せているのかな?
僕が寝ているのを確認するあいつは何を考えているのだろう。
2
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
その日君は笑った
mahiro
BL
大学で知り合った友人たちが恋人のことで泣く姿を嫌でも見ていた。
それを見ながらそんな風に感情を露に出来る程人を好きなるなんて良いなと思っていたが、まさか平凡な俺が彼らと同じようになるなんて。
最初に書いた作品「泣くなといい聞かせて」の登場人物が出てきます。
※完結いたしました。
閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。
拙い文章でもお付き合いいただけたこと、誠に感謝申し上げます。
今後ともよろしくお願い致します。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
目標、それは
mahiro
BL
画面には、大好きな彼が今日も輝いている。それだけで幸せな気分になれるものだ。
今日も今日とて彼が歌っている曲を聴きながら大学に向かえば、友人から彼のライブがあるから一緒に行かないかと誘われ……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる