彼氏未満

茉莉花 香乃

文字の大きさ
上 下
30 / 40
穏やかな日々

10

しおりを挟む
嫌なのは、感じすぎるから。

「素直じゃないんだから。そんな睦己も可愛いけど。好きだよ」
「やっ…好き…はぁっ…好き」
「ホント、可愛い」

そうしてる間も、僕の中の指は動きを止めることはない。

「指じゃ、やっ…な、なお…はぁっ、直輝のが…ねっ、お願い」

僕は仰向けにひっくり返され、激しいキスを受ける。舌を絡め、荒々しい息を吐き、余裕がなさそうに見える。

二人の身体が離れると同時に唇も離れる。しばらくは銀の糸が二人を繋いでいたけれど、ぷつりと切れた。

直輝がTシャツを脱ぐのをぼんやり見ていた。さっきも見たけれど、汗で湿った身体から目が離せない。スウェットと下着を一緒に脱ぐと直輝の熱はぷるんと存在を主張していた。上半身を密着させるように僕に覆いかぶさる。両手を上げて直輝に抱きついた。

「欲しいの?」
「うん…」

意地悪だ。

「…直輝は、…直輝は僕の事、欲しくないの?」
「そんなの決まってる。欲しいよ」

両脚を大きく広げられ、足の間に入った直輝の視線が僕の身体に注ぐ。素早くコンドームを付けて、膝裏を持たれた。

先端を宛てがわれ、グッと押し挿入る。太いカリ部分が挿入ると、揺さぶり、ゆっくりと奥を目指し突き上げる。待ちわびたものを飲み込むように、僕の中に直輝のものが収まった。

優しい腕が抱きしめてくれる。きっと直ぐにも動きたいだろうに、僕が辛くないようにいつもこうしてくれる。

「なお、…動いて?」

我慢なんかして欲しくない。

二人の関係が永遠でないのは知っている。でも、あの時終わってしまったと思っていたのに、こうしてまだ続いている。夢の続きがいつまでかはわからないけど、今は僕の事だけ考えて欲しい。求めて欲しい。ただの性のはけ口じゃなかった。それだけで言い知れない程の多幸感がある。

「くっ…っ、睦己…優しくしたいのに…」
「うん…なお、きはやさし、いよ…大好き…ふぁっ…やっ…ぁぁっ…」

僕の言葉を最後まで聞かずに激しく奥を突き上げる。溶けちゃうよ。熱い。激しく腰を振り奥を突いたかと思うと、穏やかに揺さぶり感じる場所を狙って擦り付けるような動きを繰り返す。翻弄される。

「あぁぁっ…んっ…ひゃ…ぁ…っ…ふぁ…な、お…好き…す、き…もっ、と…好き」
「ぐっ…っ…睦己…」

もう何を言っているのか、自分でもわからない。直輝の手が僕のを掴み、一緒にと目で訴える。見つめ返し、頷いた。先走りで滑った竿を上下に擦り、時折先端の柔らかな亀頭を親指で刺激する。奥を突かれ、感じるところを攻められ、僕は呆気なく達してしまう。

「あぁぁっ…んっ」
「…っ…睦己…」

達した時の収縮で僕の中が直輝のを締め付けたのか、数度激しく突き上げると直輝も達したようだった。



狭い浴室で一緒にシャワーを浴びた。このまま朝まで一緒にいたいけど、母親が帰ってくるのでそれはできない。
唯一、僕との約束で守ってくれているのが彼氏をこの部屋に連れ込まないってこと。だから、日曜の朝に帰ってこないことがあっても、毎週じゃない。彼氏がコロコロ変わる時があるから、その日の予定なんか地雷すぎて話題にもできない。だから、泊まってもらうことはできなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「じゃあ、別れるか」

万年青二三歳
BL
 三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。  期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。  ケンカップル好きへ捧げます。  ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。

田舎に逃げたら

切島すえ彦
BL
僕は高校生の時に憧れの先輩に告白してついいことになったが、うまくいかず。社会人になって僕はまたある人と付き合うが…その人にも裏切られ僕は田舎に行き農業をすることにすると…

支配者に囚われる

藍沢真啓/庚あき
BL
大学で講師を勤める総は、長年飲んでいた強い抑制剤をやめ、初めて訪れたヒートを解消する為に、ヒートオメガ専用のデリヘルを利用する。 そこのキャストである龍蘭に次第に惹かれた総は、一年後のヒートの時、今回限りで契約を終了しようと彼に告げたが── ※オメガバースシリーズですが、こちらだけでも楽しめると思い

パラレルワールドの世界で俺はあなたに嫌われている

いちみやりょう
BL
彼が負傷した隊員を庇って敵から剣で斬られそうになった時、自然と体が動いた。 「ジル!!!」 俺の体から血飛沫が出るのと、隊長が俺の名前を叫んだのは同時だった。 隊長はすぐさま敵をなぎ倒して、俺の体を抱き寄せてくれた。 「ジル!」 「……隊長……お怪我は……?」 「……ない。ジルが庇ってくれたからな」 隊長は俺の傷の具合でもう助からないのだと、悟ってしまったようだ。 目を細めて俺を見て、涙を耐えるように不器用に笑った。 ーーーー 『愛してる、ジル』 前の世界の隊長の声を思い出す。 この世界の貴方は俺にそんなことを言わない。 だけど俺は、前の世界にいた時の貴方の優しさが忘れられない。 俺のことを憎んで、俺に冷たく当たっても俺は貴方を信じたい。

お客様と商品

あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

未必の恋

ほそあき
BL
倉光修には、幼い頃に離別した腹違いの兄がいる。倉光は愛人の子だ。だから、兄に嫌われているに違いない。二度と会うこともないと思っていたのに、親の都合で編入した全寮制の高校で、生徒会長を務める兄と再会する。親の結婚で名前が変わり、変装もしたことで弟だと気づかれないように編入した、はずなのに、なぜか頻繁に兄に会う。さらに、ある事件をきっかけに兄に抱かれるようになって……。

からかわれていると思ってたら本気だった?!

雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生 《あらすじ》 ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。 ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。 葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。 弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。 葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

処理中です...