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穏やかな日々
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いつもの土曜日。でも、いつもと少しだけ違う。流石に休みの日までは練習の見学はできなかった。直輝に今更だよと言われたけれど、そこはまだハードルが高い。
練習が終わるのを校門の近くで待っていた。他の部員が通ったけれど、隠れるように座っていたら、全員には気付かれなかった。気付いた人も何も言わなかった。一緒に学校出て、一緒に買い物して、一緒に僕のアパートに帰る。母親は、土曜は同伴出勤することが多く、いつもより早めに出掛ける。今までは、一緒に学校を出ることはなかったから、そのままアパートまで直輝がいてくれることに不思議な気分…。
今日の晩ご飯は簡単に焼きそばと具沢山のスープ。焼きそばは三玉の麺と、豚肉、キャベツ、玉ねぎ、ピーマンともやしでボリュームがある。スープは玉ねぎ、人参、キャベツ、トマトの水煮をコンソメと塩で味付けたあっさりしたもの。最後にウインナーを入れて、こくとボリュームをアップ。
僕と違い、運動後の直輝はお腹が減っている。スープに合わせてパンも少し買った。帰宅後、手際の良い直輝が、玉ねぎと人参を切って、さっと炒めて、水を入れて火にかける。コンソメと塩で簡単に味付けて、シャワーを浴びに行った。その間に、キャベツとトマトの水煮缶を入れて後は煮込むだけ。焼きそばの野菜も切っていく。狭い台所で悪戦苦闘しながら野菜と向き合っていると、サッパリとした男前が腰にタオル一枚で立っていた。
「な、何てカッコで…」
目の毒です。ガウンなんてオシャレなものはない。僕の服は直輝には小さい。でも、ここには直輝のパンツと部屋着が置いてある。洗濯は僕の仕事なので、母親に気づかれる心配はない。もし気付かれても変な疑いはかけないだろうし、そもそも僕がどんな服を持っているかなんて知らないだろう。
狭いアパートだから、タンスの場所もそのタンスのどこに自分の下着とスウェットがあるかなんて知ってるのに。あっ、出しておいて欲しかったとか?
「僕に用意しておいて欲しかった?待ってて、持ってくる」
直輝は時々凄く甘える。そんな時はいっぱい甘えさせてあげる。だって、いつもは僕がべったり甘えてるんだから。お返しは必要だよね。
包丁を置いて、手を洗い、タオルで拭く。
「違うって」
直輝が僕の手を持って振り向かせた。
「へっ?」
「だから、最近筋トレ頑張ってたから、ほら、ここ見て?」
自分の腹筋に力を入れて、引き締まった肉体を晒す。
丸岡によると、僕と離れていた約十日、練習に身が入らず、別メニューを言い渡されることが多かったらしい。だから、走り込み、筋トレは人の倍していたようだ。僕が見学していた時は笑顔さえ見せて、それらのメニューをこなしていた。けれど、そりゃイヤイヤしてたわよと、自称美人マネの丸岡は教えてくれた。文化祭後の練習も若干多かったようだけれど、その理由は知らないふりをする。
「うん、凄いね。僕は筋肉が付きにくいから、羨ましい」
「何言ってるんだよ、睦己は今のままで良いんだよ」
「でも、早く服着ないと風邪ひくよ?ほら、はい」
「そうだな。さっさと作って、食べようか。睦己、好きだよ」
「僕も、僕も好き」
直輝の膝の上で向かい合わせで座っている。隣に座るより、手を繋ぐより、一番近い場所。抱きしめる腕に幸せを感じる。服越しに伝わる体温にドキドキする。直輝の手が髪を梳いたり、耳をくすぐったりする度にピクリと身体が反応する。
シャンプーの匂いにクラクラする。いつも僕が使っている物なのに、直輝の体臭と混ざるからか違った物に感じる。まるで媚薬。凄く落ち着く匂いだけど、同時に胸の奥がソワソワとして体温が上がる。
ああ、ホント好き。
一目惚れだから、顔は勿論僕の好みど真ん中。性格も凄く良いし、僕に優しいなんて、嫌いになる要素ゼロ。おまけに体臭まで好きとか…変態入ってる…。
あれからチャチャっと焼きそばを仕上げ、スープと一緒に食べた。とても美味しくて、普段ではあり得ないくらいの量を食べてしまった。シャワーを浴びた直輝にフライパンで炒め物は悪いと思ったけど、そんなのは気にしなくて良いといつも言ってくれる。僕がするより手際が良いのだ。おとなしくここで待つだけだった時にはなかったこと。
その間に僕にもシャワーを勧めるとか……。これからのことを意識して、ちょっと緊張していたけれど、真っ赤な顔の僕の背中を押して浴室に押し込めた。これは料理の腕を上げて、僕に任せてもらえるようにならなくては!何もかも直輝に頼りきりじゃダメだよね。
練習が終わるのを校門の近くで待っていた。他の部員が通ったけれど、隠れるように座っていたら、全員には気付かれなかった。気付いた人も何も言わなかった。一緒に学校出て、一緒に買い物して、一緒に僕のアパートに帰る。母親は、土曜は同伴出勤することが多く、いつもより早めに出掛ける。今までは、一緒に学校を出ることはなかったから、そのままアパートまで直輝がいてくれることに不思議な気分…。
今日の晩ご飯は簡単に焼きそばと具沢山のスープ。焼きそばは三玉の麺と、豚肉、キャベツ、玉ねぎ、ピーマンともやしでボリュームがある。スープは玉ねぎ、人参、キャベツ、トマトの水煮をコンソメと塩で味付けたあっさりしたもの。最後にウインナーを入れて、こくとボリュームをアップ。
僕と違い、運動後の直輝はお腹が減っている。スープに合わせてパンも少し買った。帰宅後、手際の良い直輝が、玉ねぎと人参を切って、さっと炒めて、水を入れて火にかける。コンソメと塩で簡単に味付けて、シャワーを浴びに行った。その間に、キャベツとトマトの水煮缶を入れて後は煮込むだけ。焼きそばの野菜も切っていく。狭い台所で悪戦苦闘しながら野菜と向き合っていると、サッパリとした男前が腰にタオル一枚で立っていた。
「な、何てカッコで…」
目の毒です。ガウンなんてオシャレなものはない。僕の服は直輝には小さい。でも、ここには直輝のパンツと部屋着が置いてある。洗濯は僕の仕事なので、母親に気づかれる心配はない。もし気付かれても変な疑いはかけないだろうし、そもそも僕がどんな服を持っているかなんて知らないだろう。
狭いアパートだから、タンスの場所もそのタンスのどこに自分の下着とスウェットがあるかなんて知ってるのに。あっ、出しておいて欲しかったとか?
「僕に用意しておいて欲しかった?待ってて、持ってくる」
直輝は時々凄く甘える。そんな時はいっぱい甘えさせてあげる。だって、いつもは僕がべったり甘えてるんだから。お返しは必要だよね。
包丁を置いて、手を洗い、タオルで拭く。
「違うって」
直輝が僕の手を持って振り向かせた。
「へっ?」
「だから、最近筋トレ頑張ってたから、ほら、ここ見て?」
自分の腹筋に力を入れて、引き締まった肉体を晒す。
丸岡によると、僕と離れていた約十日、練習に身が入らず、別メニューを言い渡されることが多かったらしい。だから、走り込み、筋トレは人の倍していたようだ。僕が見学していた時は笑顔さえ見せて、それらのメニューをこなしていた。けれど、そりゃイヤイヤしてたわよと、自称美人マネの丸岡は教えてくれた。文化祭後の練習も若干多かったようだけれど、その理由は知らないふりをする。
「うん、凄いね。僕は筋肉が付きにくいから、羨ましい」
「何言ってるんだよ、睦己は今のままで良いんだよ」
「でも、早く服着ないと風邪ひくよ?ほら、はい」
「そうだな。さっさと作って、食べようか。睦己、好きだよ」
「僕も、僕も好き」
直輝の膝の上で向かい合わせで座っている。隣に座るより、手を繋ぐより、一番近い場所。抱きしめる腕に幸せを感じる。服越しに伝わる体温にドキドキする。直輝の手が髪を梳いたり、耳をくすぐったりする度にピクリと身体が反応する。
シャンプーの匂いにクラクラする。いつも僕が使っている物なのに、直輝の体臭と混ざるからか違った物に感じる。まるで媚薬。凄く落ち着く匂いだけど、同時に胸の奥がソワソワとして体温が上がる。
ああ、ホント好き。
一目惚れだから、顔は勿論僕の好みど真ん中。性格も凄く良いし、僕に優しいなんて、嫌いになる要素ゼロ。おまけに体臭まで好きとか…変態入ってる…。
あれからチャチャっと焼きそばを仕上げ、スープと一緒に食べた。とても美味しくて、普段ではあり得ないくらいの量を食べてしまった。シャワーを浴びた直輝にフライパンで炒め物は悪いと思ったけど、そんなのは気にしなくて良いといつも言ってくれる。僕がするより手際が良いのだ。おとなしくここで待つだけだった時にはなかったこと。
その間に僕にもシャワーを勧めるとか……。これからのことを意識して、ちょっと緊張していたけれど、真っ赤な顔の僕の背中を押して浴室に押し込めた。これは料理の腕を上げて、僕に任せてもらえるようにならなくては!何もかも直輝に頼りきりじゃダメだよね。
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