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素直じゃないは、正義じゃない
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理科準備室から連れ出された。
直輝と一緒に居た先輩が、僕を連れ出した人の腕を持つ。
「こっちは任せとけ」
「…はい」
「そう、怒るなって。無事だったんだから。そもそも、こいつは乱暴なことなんかしないよ」
「それは…」
「そりゃ、納得いかないだろうけど、俺に免じて許してやれよ。大体、お前も悪いんだぞ?直輝」
「まあ、はい。…そうですね」
二人は渡り廊下を通り、生徒で溢れる明るい校舎へと歩いて行った。
第三校舎の二階のトイレの個室に押し込められた。
「もう、無理」
「な、何が?」
「睦己…」
ここ数日の名字呼びではなく名前を呼ばれ、抱きしめられた。
「何で?」
「睦己、好きだよ。睦己、睦己…キスして良い?こんな俺はもう嫌い?」
直輝の服の裾を掴み、返事に困る。何を言われているか直ぐには理解できない。それでも、嫌いではないと伝えたくて、腕を背中に回し抱きしめ返した。
「睦己…好きだよ」
両手で肩を持たれ、二人の間に少しの隙間ができた。顔を上げて直輝の顔を見る。顎を持たれ、唇が下りてくる。
「…んっ」
涙が頬を伝う。
好きって、どう言うこと?
混乱する僕を翻弄し、キスは深くなる。口内に入った舌が、宥めるように優しく絡む。揺れ動く心のように弱々しい僕の舌を、容赦なく誘い出し甘噛みする。
「あっ…馬渕、やっ」
直輝の手が、スカートに隠れた兆し始めた僕のを撫でる。力の入らない腕で直輝の胸を押すけれど、撫でるようにしか抵抗できない。
「睦己、直輝…、直輝だよ。名前で呼んで」
「あっ、んっ、な、直輝。好き、好き」
「ホント?まだ、俺の事好き?」
「うん。好き…」
真剣な顔で僕の顔を覗き込む。
けれど……
「…プッ…」
「?…プッ?」
「だって、僕のグロスが付いて、直輝の顔…」
慌てて手の甲で口を拭い、その甲を見る。
「あっ、ホントだ」
「直輝…どうして?」
「あの時は、ごめん」
「あの時って、僕が振られた時?」
「うん。でも、睦己もどうしてって、嫌だって言ってくれなかった」
「それは……」
振られた僕が怒られるのは納得いかないけど、何も言わずに直輝の言葉に従ったのは事実だった。
その時、ガヤガヤと数人がトイレに入ってきた。
直輝が僕の口に人差し指を当てる。頷いて返事した僕を、優しく抱きしめてくれた。
「…それって、あれだろ?一年二組の猫カフェの女子」
「でも、女子じゃないんだな」
「あれ、女装してる一年らしいぞ」
「嘘!めちゃ、可愛かったぞ?」
「でも、サッカー部の馬渕がずっと張り付いて、個人的に話しかけられないってみんな言ってた」
「これが終わったら、俺、告ろうかな」
「えっ?男だぞ」
「良いじゃん、別に。一目惚れしたんだ」
「まあ、可愛かったよな」
「確かに」
何か、聞いてはいけない会話を聞いてしまったような気がする。声の主たちはその女装男子の話をしながら出て行った。
「あれって、僕の事?」
「そうだよ。でも、睦己は俺のだよね?」
心配そうな顔で、僕の顔を覗き込む。
「僕の方こそ…。僕は、直輝の側にいて良いの?」
「勿論だよ。睦己、好きだよ。ごめんね」
「うん…うん」
再び、キスの雨。僕の目からも涙の雨が降る。啄ばむようなキスが優しくて、涙が止まらない。
「睦己、触って良い?」
「えっ?う、うん」
どこに?と一瞬考えだけれど、どこだって良い。直輝に触れて欲しい。触りたいと思ってくれることが嬉しい。
いつ、誰が入ってくるかわからないこんな場所で、普段の僕なら絶対に肯定の返事なんかしないだろうけれど、今はそんなことはどうでも良かった。
直輝の手がスカートの中に入り、僕のを撫でる。
「僕も、触りたい」
直輝と一緒に居た先輩が、僕を連れ出した人の腕を持つ。
「こっちは任せとけ」
「…はい」
「そう、怒るなって。無事だったんだから。そもそも、こいつは乱暴なことなんかしないよ」
「それは…」
「そりゃ、納得いかないだろうけど、俺に免じて許してやれよ。大体、お前も悪いんだぞ?直輝」
「まあ、はい。…そうですね」
二人は渡り廊下を通り、生徒で溢れる明るい校舎へと歩いて行った。
第三校舎の二階のトイレの個室に押し込められた。
「もう、無理」
「な、何が?」
「睦己…」
ここ数日の名字呼びではなく名前を呼ばれ、抱きしめられた。
「何で?」
「睦己、好きだよ。睦己、睦己…キスして良い?こんな俺はもう嫌い?」
直輝の服の裾を掴み、返事に困る。何を言われているか直ぐには理解できない。それでも、嫌いではないと伝えたくて、腕を背中に回し抱きしめ返した。
「睦己…好きだよ」
両手で肩を持たれ、二人の間に少しの隙間ができた。顔を上げて直輝の顔を見る。顎を持たれ、唇が下りてくる。
「…んっ」
涙が頬を伝う。
好きって、どう言うこと?
混乱する僕を翻弄し、キスは深くなる。口内に入った舌が、宥めるように優しく絡む。揺れ動く心のように弱々しい僕の舌を、容赦なく誘い出し甘噛みする。
「あっ…馬渕、やっ」
直輝の手が、スカートに隠れた兆し始めた僕のを撫でる。力の入らない腕で直輝の胸を押すけれど、撫でるようにしか抵抗できない。
「睦己、直輝…、直輝だよ。名前で呼んで」
「あっ、んっ、な、直輝。好き、好き」
「ホント?まだ、俺の事好き?」
「うん。好き…」
真剣な顔で僕の顔を覗き込む。
けれど……
「…プッ…」
「?…プッ?」
「だって、僕のグロスが付いて、直輝の顔…」
慌てて手の甲で口を拭い、その甲を見る。
「あっ、ホントだ」
「直輝…どうして?」
「あの時は、ごめん」
「あの時って、僕が振られた時?」
「うん。でも、睦己もどうしてって、嫌だって言ってくれなかった」
「それは……」
振られた僕が怒られるのは納得いかないけど、何も言わずに直輝の言葉に従ったのは事実だった。
その時、ガヤガヤと数人がトイレに入ってきた。
直輝が僕の口に人差し指を当てる。頷いて返事した僕を、優しく抱きしめてくれた。
「…それって、あれだろ?一年二組の猫カフェの女子」
「でも、女子じゃないんだな」
「あれ、女装してる一年らしいぞ」
「嘘!めちゃ、可愛かったぞ?」
「でも、サッカー部の馬渕がずっと張り付いて、個人的に話しかけられないってみんな言ってた」
「これが終わったら、俺、告ろうかな」
「えっ?男だぞ」
「良いじゃん、別に。一目惚れしたんだ」
「まあ、可愛かったよな」
「確かに」
何か、聞いてはいけない会話を聞いてしまったような気がする。声の主たちはその女装男子の話をしながら出て行った。
「あれって、僕の事?」
「そうだよ。でも、睦己は俺のだよね?」
心配そうな顔で、僕の顔を覗き込む。
「僕の方こそ…。僕は、直輝の側にいて良いの?」
「勿論だよ。睦己、好きだよ。ごめんね」
「うん…うん」
再び、キスの雨。僕の目からも涙の雨が降る。啄ばむようなキスが優しくて、涙が止まらない。
「睦己、触って良い?」
「えっ?う、うん」
どこに?と一瞬考えだけれど、どこだって良い。直輝に触れて欲しい。触りたいと思ってくれることが嬉しい。
いつ、誰が入ってくるかわからないこんな場所で、普段の僕なら絶対に肯定の返事なんかしないだろうけれど、今はそんなことはどうでも良かった。
直輝の手がスカートの中に入り、僕のを撫でる。
「僕も、触りたい」
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