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ハルの次は夏、夏の次はカズ?
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「なっちゃんが…お姉ちゃんだけど、かずくんを連れてこいって」
「えっ?俺?」
「うん」
確かに『相沢くん』って名前は出てたけど…。誰に借りたの、で相沢くんだろ?それだけの会話で何故会いに行くことになる?
「お姉ちゃんもかずくんの事『あいざわ かずと』だって知ってるんだ。同じクラスだって教えたし……。ほら、服をもらったでしょ?その服に名前が書いてあって。僕、大きくなっても捨てられなくて…。今も一着だけ持ってるんだけど……あっ、ごめん」
何それ?感激!
俺がブルブル震えて嬉しさに耐えていると、はるちゃんが謝った。
「気持ち悪いよね…」
「ち、違う!嬉しいから!」
「ホント?」
ウンウンと何度も首を縦に振る。大きな声は出せない。
「だから、かずくんに会いたいって」
「わかった。明日、送って行くよ。その時に」
「ありがと」
一度抱きついて、胸にスリスリと額を擦り付けた。スマホのところまで戻り電話を再開する。
「あっ、なっちゃん、ごめん。……うん…明日、帰る時。…うん、…うん。じゃあ、バイバイ」
ありがととスマホを渡しながらごめんねと謝った。
「どうして謝るの?」
「だって、会うの嫌でしょ?」
「まあ、緊張するかもな。お母さんは?」
「お母さんは料理屋さんに勤めてて、夜は遅いんだ。だから家のことはだいたいお姉ちゃんがしてくれてて。携帯も持っていけって煩かったけど、何回も掛かってきたら困るから」
怖いんだよね…あははっと笑う。なんだ、掛かってくるのが嫌なだけで携帯電話は持ってるんだ。
「番号交換してくれる?」
今までも何度か連絡先を知りたいと思ったけど、教室で一度も出してるのを見たことがなかった。だから、もし持ってなかったらと思うと聞けなかった。
「良いよ。あっ、お姉ちゃんからかずくんに電話が入るかも…」
「何で?…あっ!今の、俺のって……はぁ…残ってるよな」
「ごめんね」
まさか本当に掛かってくることはないだろ。
無い、無い。
……多分。
消灯時間がきて、先生が一部屋ずつ確認のためにドアを叩く。
「藍川、大丈夫か?」
俺はまたしても1メートルほど布団を離すという作業をしてからドアを開けた。
「はい、大丈夫です。心配をおかけして申し訳ありません」
「いや、明日も無理せずにな。相沢、さっきは悪かったな」
「あっ、いえ。何もしてないってわかってもらえれば、それで」
最後に消灯時間だと告げて先生は出ていった。先生、疲れてたな。先生方には睡眠時間はないのだろうか?一晩中見張ってるのかな?部屋を抜け出したりする奴がいるのかもしれない。俺はこの部屋から出たくないけどね。もう一度布団をくっ付ける。
「はるちゃん、寝ようか?」
トイレを済ませ電気を消した。
「かずくん…」
「ん?」
「あの…」
布団の中から包帯に包まれた手が俺の腕に触れる。
「一緒に寝る?」
何て卑猥な言葉だろう。自分が発した言葉に煽られて下半身がズクっと熱を持つ。
「うん」
素直なはるちゃんに思わず説教したくなる。
コラコラ!危機感が足りないぞ?
口には出さないけど…。
俺は信用されてるんだ!
ここではダメだ!
場所もそうだし、何より付き合い出して直ぐに手を出したらダメだろ。
「こっち来る?」
「うん」
モゾモゾと動き枕を俺の枕の横に置く。大胆だ。俺だって布団をくっつけてたし、離れたくないとは思ってた。でも、ここまでするつもりはなかった。小さな布団では二人一緒には入れない。隙間がないように中央を重ね、はるちゃんが風邪をひかないように腕の中に閉じ込める。
「手、痛くない?苦しくない?」
「うん。平気」
「寒くない?」
「かずくんはなっちゃん以上の過保護だね」
「そうか?でも、今日調子悪かっただろ?また熱出たら困るから」
「ありがと。かずくん…好き」
「俺も…好きだよ」
暗闇で抱きしめる。
「はるちゃん、順番が違うけど……俺と付き合ってくれる?」
「僕で良いの?」
「はるちゃんが良い」
幼い日にした告白を再び口にする。
「嬉しい。ありがとう」
「えっ?俺?」
「うん」
確かに『相沢くん』って名前は出てたけど…。誰に借りたの、で相沢くんだろ?それだけの会話で何故会いに行くことになる?
「お姉ちゃんもかずくんの事『あいざわ かずと』だって知ってるんだ。同じクラスだって教えたし……。ほら、服をもらったでしょ?その服に名前が書いてあって。僕、大きくなっても捨てられなくて…。今も一着だけ持ってるんだけど……あっ、ごめん」
何それ?感激!
俺がブルブル震えて嬉しさに耐えていると、はるちゃんが謝った。
「気持ち悪いよね…」
「ち、違う!嬉しいから!」
「ホント?」
ウンウンと何度も首を縦に振る。大きな声は出せない。
「だから、かずくんに会いたいって」
「わかった。明日、送って行くよ。その時に」
「ありがと」
一度抱きついて、胸にスリスリと額を擦り付けた。スマホのところまで戻り電話を再開する。
「あっ、なっちゃん、ごめん。……うん…明日、帰る時。…うん、…うん。じゃあ、バイバイ」
ありがととスマホを渡しながらごめんねと謝った。
「どうして謝るの?」
「だって、会うの嫌でしょ?」
「まあ、緊張するかもな。お母さんは?」
「お母さんは料理屋さんに勤めてて、夜は遅いんだ。だから家のことはだいたいお姉ちゃんがしてくれてて。携帯も持っていけって煩かったけど、何回も掛かってきたら困るから」
怖いんだよね…あははっと笑う。なんだ、掛かってくるのが嫌なだけで携帯電話は持ってるんだ。
「番号交換してくれる?」
今までも何度か連絡先を知りたいと思ったけど、教室で一度も出してるのを見たことがなかった。だから、もし持ってなかったらと思うと聞けなかった。
「良いよ。あっ、お姉ちゃんからかずくんに電話が入るかも…」
「何で?…あっ!今の、俺のって……はぁ…残ってるよな」
「ごめんね」
まさか本当に掛かってくることはないだろ。
無い、無い。
……多分。
消灯時間がきて、先生が一部屋ずつ確認のためにドアを叩く。
「藍川、大丈夫か?」
俺はまたしても1メートルほど布団を離すという作業をしてからドアを開けた。
「はい、大丈夫です。心配をおかけして申し訳ありません」
「いや、明日も無理せずにな。相沢、さっきは悪かったな」
「あっ、いえ。何もしてないってわかってもらえれば、それで」
最後に消灯時間だと告げて先生は出ていった。先生、疲れてたな。先生方には睡眠時間はないのだろうか?一晩中見張ってるのかな?部屋を抜け出したりする奴がいるのかもしれない。俺はこの部屋から出たくないけどね。もう一度布団をくっ付ける。
「はるちゃん、寝ようか?」
トイレを済ませ電気を消した。
「かずくん…」
「ん?」
「あの…」
布団の中から包帯に包まれた手が俺の腕に触れる。
「一緒に寝る?」
何て卑猥な言葉だろう。自分が発した言葉に煽られて下半身がズクっと熱を持つ。
「うん」
素直なはるちゃんに思わず説教したくなる。
コラコラ!危機感が足りないぞ?
口には出さないけど…。
俺は信用されてるんだ!
ここではダメだ!
場所もそうだし、何より付き合い出して直ぐに手を出したらダメだろ。
「こっち来る?」
「うん」
モゾモゾと動き枕を俺の枕の横に置く。大胆だ。俺だって布団をくっつけてたし、離れたくないとは思ってた。でも、ここまでするつもりはなかった。小さな布団では二人一緒には入れない。隙間がないように中央を重ね、はるちゃんが風邪をひかないように腕の中に閉じ込める。
「手、痛くない?苦しくない?」
「うん。平気」
「寒くない?」
「かずくんはなっちゃん以上の過保護だね」
「そうか?でも、今日調子悪かっただろ?また熱出たら困るから」
「ありがと。かずくん…好き」
「俺も…好きだよ」
暗闇で抱きしめる。
「はるちゃん、順番が違うけど……俺と付き合ってくれる?」
「僕で良いの?」
「はるちゃんが良い」
幼い日にした告白を再び口にする。
「嬉しい。ありがとう」
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【公開日2018年11月2日】
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