42 / 45
第6章
夜を徹しての行軍で、妹がぶつくさ文句言うの、良いよね
しおりを挟む
「ああ、ツマリさん、アダンさん! よかった、戻ってきてくれて!」
城に戻ると、セドナが大慌てで軍の編成を行っていた。
「すみません、『最下流の砦』からなにか煙が上がっていたのですが……!」
「ええ、どうやらディアンの町が攻め込んできたようなんす。……兵力は、こちらの5倍……全兵力で攻め込んできていやす」
「嘘でしょ? だって、北方の領地の人とは同盟したんじゃ……」
信じられないという様子で驚くツマリに、セドナは先日サインを受け取った書状を取り出す。
「そのことなんすけどね……。この書状にあるサイン……偽物なんすよ」
そう、つぶやいた。
「そんな、だってあの時……まさか!」
「ええ。あの門番自体が偽物にすり替わっていたってことでしょう……」
そして兵士たちに通達を終えたのであろう、クレイズも戻ってくるなり、話をつづけた。
「今となっては結果論だが……。やはり、直接領主と会って話をするべきだったな。これで地主殿との契約は無効ということだ」
それを聞き、ツマリは先日の門番とのやり取りを思い出していた。
「そういえばあそこの門番、なんかすごい態度が悪かったわよね? 噂と違うな、とは思ったけど……」
「ええ。何より、ずっと船便が取れなかったのに、突然不自然に空きが出たことを疑うべきでした。……大方、ダリアークの姐御あたりがあっしらをその日に呼び込めるように手配していたのでしょう」
セドナは歯噛みするようにつぶやく。
「く……。いずれにせよ、まずは砦に軍を差し向けやしょう! それから、ギラル卿に援助を頼むことにしやす!」
「……不幸中の幸いだな、あの男は今近くの歓楽街で遊び惚けていると噂を聴いている。私はすぐに会いに行ってみる」
ギラル卿は暇があるときに、ニクスの町にある歓楽街に顔を出していることを噂で耳にしていた。
相変わらず好色な領主であることにクレイズは呆れたが、今回ばかりはそれが幸いした。
アダンもセドナに尋ねる。
「僕らはどうすればいいですか?」
「あっしらは別行動をとりやす。ただ、軍の編成が終わっていやせんので、今のうちにお二人は一眠りしていてつかあさい!」
「ってことは……」
「ええ。夜を徹しての強行軍になりやす」
「うえ、やっぱり……。けど、しょうがないわね」
ツマリは一瞬嫌そうな顔をしたが、仕方なさそうに頷いた。
それから半日ほど経過し。
「ふう……。これで人数は全部っすね」
セドナはそう言いながら、別動隊の編成を終わらせた。
軍隊の中核になるのはいつもの通り、クレイズを隊長として、セドナが副長、両翼として勇者兄妹、そして元帝国兵の面々。これに加えて降伏してきたニクスの町の兵士やホース・オブ・ムーンの中の精兵で、合計の人数は100名程度。兵力としては3000程度である。
「ギラル卿。ご協力、感謝いたします」
そう言うと、クレイズはギラル卿に頭を下げた。
ギラル卿の服は袖が伸びている。恐らくクレイズが無理やり引っ張ってきたのだろう。本来領主に対する行動とは思えないが、ここ最近の騒動で二人はすでに悪友のような間柄となっている。
「まあ、仕方なかろう。だが、これで以前の密偵の件は……」
「ええ、貸し借りなしです」
ギラル卿からは『最下流の砦』を守るための兵力と糧秣、そして武器の供与を取り付けていた。これは以前密偵を自国に放ったことに対する補償でもある。
ギラル卿は別動隊を見て、少し首をかしげる。
「それにしても、そなた達はこんな少人数で何をするのだ?」
「それは……言えません。ただ、セドナの作戦に必要だと言われたから、用意しただけです」
「フフ、またセドナか。……全くあの男は何を考えているのだろうな」
因みに、セドナが『転移物』のロボットであることを知るのは、勇者兄妹の他はクレイズ、後は彼の率いる元帝国兵たちだけである。
「さあ、どうなのでしょうね。……ところでギラル卿? つかぬことをお聞きしますが……」
「なんだ?」
「アダンとツマリが居た村は……。ひょっとすると養子を育てる文化が盛んだったりしませんか?」
その疑問に対して、ギラル卿は面白そうに笑みを浮かべた。
「なぜ、そう思うのだ?」
「あの二人の育て方が不自然だからです」
「ほう。どのような点だ?」
クレイズは、セドナから聞いた話とも併せて自身の仮説を述べる。
「まず、幼少期。アダンはツマリを守って大けがしたことがあります。……普通、そう言うときには妹を咎めるはずです。しかし実際にはアダンを褒めたたえた。これが最初に違和感を持った理由です」
「ほう。……他には?」
「後は習い事です。話を聴いてみると、アダンは剣術や魔道の教室に『親の意思で』通っています。一方でツマリは合唱や刺繍など、趣味性の高い教室に『自分の意思で』通っています。まるで二人の両親は、アダンはツマリを守る道具として育て、ツマリは自由意志で育てているように感じました」
そこまで聴いて、ギラル卿はふ……と笑みを浮かべた。
「見事だ。そなたの予想は正しい。我々夢魔は精気を受け取れる相手がいないと生きていけない種族だからな。……だから、あの二人の出身となる村のような豊かでない地方の場合、よそから養子を貰い、守り手として育てる文化がある」
「……やはり……。では、アダンとツマリもそうなのでは?」
「かもしれん。だが実際には、兄妹で精気をやり取りすることはそこまで珍しい話でもない。……正直、確証は持てぬな」
「そうですか……」
そこまで聴き、結局両者の本当の血縁関係を知る方法は現時点ではないとわかり、少しクレイズは残念そうな顔をした。
「であれば、いずれゆっくりと調査するとして……今はこの戦いに集中しましょう」
「そうだな。私としても、ツマリを君に守ってもらわねば困る」
その発言に、クレイズは呆れたような表情を見せる。だが言い返すようなことをせず、
「それじゃあ、ギラル卿。またいずれ」
そう言うとクレイズは別動隊の先頭に立ち、号令をかけた。
そして一行は行軍を開始した。
「ああ寒い寒い! なんでこんな夜中に行かないといけないのよ?」
寒さに体を震わせながらツマリが文句を言うが、セドナは涼しい顔で答える。
「しょうがありやせんよ。『最下流の砦』は持ってあと3日ほどです。もしここで負けたら、ニクスの町は勿論、あっしらの城まで落とされちまいます」
ギラル卿との同盟関係もあり、兵力の殆どは『最下流の砦』に集中させることが出来ていた。しかしそれでも、彼我の戦力差は絶望的なまでに大きい。
だからこそ北方の領主との同盟を結ぼうとしたのだが、それが無効である以上、正攻法で戦争に勝利するすべはない。
「じゃあ、どうするのよ?」
「ええ。……実はディアンの町はニクスの町付近から抜けられる裏道があるんす。あっしらはそこに向かっていやす」
「そうなの?」
今までそのような話は聞いたことが無かったのだろう、ニクスの町の出身である一人の精兵は、そう驚きの声を上げた。
「ええ。先日ディアンの町にいた同型……いえ、住民に話を聴かせていただいたんす」
「そんな、一回聞いただけなのに場所まで分かるの?」
「ええ、問題ありやせん。もう完璧に覚えていやす」
勿論この「住民」とはディアンの町に居た『セドナ』のことだ。
『セドナ』達は互いの記憶を同期する機能が付いている。その為、向こうのセドナが逗留していたことによって手に入れた情報は、こちらのセドナも受け取っている。
無論、向こうのセドナがディアンの町の住民であったなら、同期を了承することはなかったであろう。
「ほら、ここから行けるんすよ」
そう言うと、セドナは『中流の砦』の北西にあった小さなけもの道を指さした。
「え、ここから?」
「そうなんす。100名程度なら余裕で行き来できやすよ?」
「まさか、こんなところに抜け道があったとはな……。で、ここを抜けたらどうするんだ?」
「そのまま、ディアンの町の中枢部を急襲しやす。恐らく、敵さんもここを通ることは想定していないでしょう。それに、これだけの兵力を城攻めに向けているということは、逆に町の守りは手薄なはずっす」
それを聞いて、クレイズもふむ、と同意した。
「確かにそうだな。……そして中枢を落としたうえで撤兵させ、その後こちらに有利な条件で同盟を締結する、と言ったところになりそうだな」
「へい。ディアンの国を接収することは出来やせんが、そのあたりが落としどころになりやすね」
そうセドナは答えた。
「……因みにここから何日くらいかかるの?」
「このまま明け方まで行軍して、翌日は一日歩いて……。恐らく中枢部への襲撃は明後日になるでしょう」
「はあ、それまで歩きどおしかあ……」
ツマリは不快そうに、そう答えた。
城に戻ると、セドナが大慌てで軍の編成を行っていた。
「すみません、『最下流の砦』からなにか煙が上がっていたのですが……!」
「ええ、どうやらディアンの町が攻め込んできたようなんす。……兵力は、こちらの5倍……全兵力で攻め込んできていやす」
「嘘でしょ? だって、北方の領地の人とは同盟したんじゃ……」
信じられないという様子で驚くツマリに、セドナは先日サインを受け取った書状を取り出す。
「そのことなんすけどね……。この書状にあるサイン……偽物なんすよ」
そう、つぶやいた。
「そんな、だってあの時……まさか!」
「ええ。あの門番自体が偽物にすり替わっていたってことでしょう……」
そして兵士たちに通達を終えたのであろう、クレイズも戻ってくるなり、話をつづけた。
「今となっては結果論だが……。やはり、直接領主と会って話をするべきだったな。これで地主殿との契約は無効ということだ」
それを聞き、ツマリは先日の門番とのやり取りを思い出していた。
「そういえばあそこの門番、なんかすごい態度が悪かったわよね? 噂と違うな、とは思ったけど……」
「ええ。何より、ずっと船便が取れなかったのに、突然不自然に空きが出たことを疑うべきでした。……大方、ダリアークの姐御あたりがあっしらをその日に呼び込めるように手配していたのでしょう」
セドナは歯噛みするようにつぶやく。
「く……。いずれにせよ、まずは砦に軍を差し向けやしょう! それから、ギラル卿に援助を頼むことにしやす!」
「……不幸中の幸いだな、あの男は今近くの歓楽街で遊び惚けていると噂を聴いている。私はすぐに会いに行ってみる」
ギラル卿は暇があるときに、ニクスの町にある歓楽街に顔を出していることを噂で耳にしていた。
相変わらず好色な領主であることにクレイズは呆れたが、今回ばかりはそれが幸いした。
アダンもセドナに尋ねる。
「僕らはどうすればいいですか?」
「あっしらは別行動をとりやす。ただ、軍の編成が終わっていやせんので、今のうちにお二人は一眠りしていてつかあさい!」
「ってことは……」
「ええ。夜を徹しての強行軍になりやす」
「うえ、やっぱり……。けど、しょうがないわね」
ツマリは一瞬嫌そうな顔をしたが、仕方なさそうに頷いた。
それから半日ほど経過し。
「ふう……。これで人数は全部っすね」
セドナはそう言いながら、別動隊の編成を終わらせた。
軍隊の中核になるのはいつもの通り、クレイズを隊長として、セドナが副長、両翼として勇者兄妹、そして元帝国兵の面々。これに加えて降伏してきたニクスの町の兵士やホース・オブ・ムーンの中の精兵で、合計の人数は100名程度。兵力としては3000程度である。
「ギラル卿。ご協力、感謝いたします」
そう言うと、クレイズはギラル卿に頭を下げた。
ギラル卿の服は袖が伸びている。恐らくクレイズが無理やり引っ張ってきたのだろう。本来領主に対する行動とは思えないが、ここ最近の騒動で二人はすでに悪友のような間柄となっている。
「まあ、仕方なかろう。だが、これで以前の密偵の件は……」
「ええ、貸し借りなしです」
ギラル卿からは『最下流の砦』を守るための兵力と糧秣、そして武器の供与を取り付けていた。これは以前密偵を自国に放ったことに対する補償でもある。
ギラル卿は別動隊を見て、少し首をかしげる。
「それにしても、そなた達はこんな少人数で何をするのだ?」
「それは……言えません。ただ、セドナの作戦に必要だと言われたから、用意しただけです」
「フフ、またセドナか。……全くあの男は何を考えているのだろうな」
因みに、セドナが『転移物』のロボットであることを知るのは、勇者兄妹の他はクレイズ、後は彼の率いる元帝国兵たちだけである。
「さあ、どうなのでしょうね。……ところでギラル卿? つかぬことをお聞きしますが……」
「なんだ?」
「アダンとツマリが居た村は……。ひょっとすると養子を育てる文化が盛んだったりしませんか?」
その疑問に対して、ギラル卿は面白そうに笑みを浮かべた。
「なぜ、そう思うのだ?」
「あの二人の育て方が不自然だからです」
「ほう。どのような点だ?」
クレイズは、セドナから聞いた話とも併せて自身の仮説を述べる。
「まず、幼少期。アダンはツマリを守って大けがしたことがあります。……普通、そう言うときには妹を咎めるはずです。しかし実際にはアダンを褒めたたえた。これが最初に違和感を持った理由です」
「ほう。……他には?」
「後は習い事です。話を聴いてみると、アダンは剣術や魔道の教室に『親の意思で』通っています。一方でツマリは合唱や刺繍など、趣味性の高い教室に『自分の意思で』通っています。まるで二人の両親は、アダンはツマリを守る道具として育て、ツマリは自由意志で育てているように感じました」
そこまで聴いて、ギラル卿はふ……と笑みを浮かべた。
「見事だ。そなたの予想は正しい。我々夢魔は精気を受け取れる相手がいないと生きていけない種族だからな。……だから、あの二人の出身となる村のような豊かでない地方の場合、よそから養子を貰い、守り手として育てる文化がある」
「……やはり……。では、アダンとツマリもそうなのでは?」
「かもしれん。だが実際には、兄妹で精気をやり取りすることはそこまで珍しい話でもない。……正直、確証は持てぬな」
「そうですか……」
そこまで聴き、結局両者の本当の血縁関係を知る方法は現時点ではないとわかり、少しクレイズは残念そうな顔をした。
「であれば、いずれゆっくりと調査するとして……今はこの戦いに集中しましょう」
「そうだな。私としても、ツマリを君に守ってもらわねば困る」
その発言に、クレイズは呆れたような表情を見せる。だが言い返すようなことをせず、
「それじゃあ、ギラル卿。またいずれ」
そう言うとクレイズは別動隊の先頭に立ち、号令をかけた。
そして一行は行軍を開始した。
「ああ寒い寒い! なんでこんな夜中に行かないといけないのよ?」
寒さに体を震わせながらツマリが文句を言うが、セドナは涼しい顔で答える。
「しょうがありやせんよ。『最下流の砦』は持ってあと3日ほどです。もしここで負けたら、ニクスの町は勿論、あっしらの城まで落とされちまいます」
ギラル卿との同盟関係もあり、兵力の殆どは『最下流の砦』に集中させることが出来ていた。しかしそれでも、彼我の戦力差は絶望的なまでに大きい。
だからこそ北方の領主との同盟を結ぼうとしたのだが、それが無効である以上、正攻法で戦争に勝利するすべはない。
「じゃあ、どうするのよ?」
「ええ。……実はディアンの町はニクスの町付近から抜けられる裏道があるんす。あっしらはそこに向かっていやす」
「そうなの?」
今までそのような話は聞いたことが無かったのだろう、ニクスの町の出身である一人の精兵は、そう驚きの声を上げた。
「ええ。先日ディアンの町にいた同型……いえ、住民に話を聴かせていただいたんす」
「そんな、一回聞いただけなのに場所まで分かるの?」
「ええ、問題ありやせん。もう完璧に覚えていやす」
勿論この「住民」とはディアンの町に居た『セドナ』のことだ。
『セドナ』達は互いの記憶を同期する機能が付いている。その為、向こうのセドナが逗留していたことによって手に入れた情報は、こちらのセドナも受け取っている。
無論、向こうのセドナがディアンの町の住民であったなら、同期を了承することはなかったであろう。
「ほら、ここから行けるんすよ」
そう言うと、セドナは『中流の砦』の北西にあった小さなけもの道を指さした。
「え、ここから?」
「そうなんす。100名程度なら余裕で行き来できやすよ?」
「まさか、こんなところに抜け道があったとはな……。で、ここを抜けたらどうするんだ?」
「そのまま、ディアンの町の中枢部を急襲しやす。恐らく、敵さんもここを通ることは想定していないでしょう。それに、これだけの兵力を城攻めに向けているということは、逆に町の守りは手薄なはずっす」
それを聞いて、クレイズもふむ、と同意した。
「確かにそうだな。……そして中枢を落としたうえで撤兵させ、その後こちらに有利な条件で同盟を締結する、と言ったところになりそうだな」
「へい。ディアンの国を接収することは出来やせんが、そのあたりが落としどころになりやすね」
そうセドナは答えた。
「……因みにここから何日くらいかかるの?」
「このまま明け方まで行軍して、翌日は一日歩いて……。恐らく中枢部への襲撃は明後日になるでしょう」
「はあ、それまで歩きどおしかあ……」
ツマリは不快そうに、そう答えた。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
Cutie Skip ★
月琴そう🌱*
青春
少年期の友情が破綻してしまった小学生も最後の年。瑞月と恵風はそれぞれに原因を察しながら、自分たちの元を離れた結日を呼び戻すことをしなかった。それまでの男、男、女の三人から男女一対一となり、思春期の繊細な障害を乗り越えて、ふたりは腹心の友という間柄になる。それは一方的に離れて行った結日を、再び振り向かせるほどだった。
自分が置き去りにした後悔を掘り起こし、結日は瑞月とよりを戻そうと企むが、想いが強いあまりそれは少し怪しげな方向へ。
高校生になり、瑞月は恵風に友情とは別の想いを打ち明けるが、それに対して慎重な恵風。学校生活での様々な出会いや出来事が、煮え切らない恵風の気付きとなり瑞月の想いが実る。
学校では瑞月と恵風の微笑ましい関係に嫉妬を膨らます、瑞月のクラスメイトの虹生と旺汰。虹生と旺汰は結日の想いを知り、”自分たちのやり方”で協力を図る。
どんな荒波が自分にぶち当たろうとも、瑞月はへこたれやしない。恵風のそばを離れない。離れてはいけないのだ。なぜなら恵風は人間以外をも恋に落とす強力なフェロモンの持ち主であると、自身が身を持って気付いてしまったからである。恵風の幸せ、そして自分のためにもその引力には誰も巻き込んではいけない。
一方、恵風の片割れである結日にも、得体の知れないものが備わっているようだ。瑞月との友情を二度と手放そうとしないその執念は、周りが翻弄するほどだ。一度は手放したがそれは幼い頃から育てもの。自分たちの友情を将来の義兄弟関係と位置付け遠慮を知らない。
こどもの頃の風景を練り込んだ、幼なじみの男女、同性の友情と恋愛の風景。
表紙:むにさん
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました
しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。
そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。
そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。
全身包帯で覆われ、顔も見えない。
所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。
「なぜこのようなことに…」
愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。
同名キャラで複数の話を書いています。
作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。
この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。
皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。
短めの話なのですが、重めな愛です。
お楽しみいただければと思います。
小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜
仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。
森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。
その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。
これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語
今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ!
競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。
まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる