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第6章
夜を徹しての行軍で、妹がぶつくさ文句言うの、良いよね
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「ああ、ツマリさん、アダンさん! よかった、戻ってきてくれて!」
城に戻ると、セドナが大慌てで軍の編成を行っていた。
「すみません、『最下流の砦』からなにか煙が上がっていたのですが……!」
「ええ、どうやらディアンの町が攻め込んできたようなんす。……兵力は、こちらの5倍……全兵力で攻め込んできていやす」
「嘘でしょ? だって、北方の領地の人とは同盟したんじゃ……」
信じられないという様子で驚くツマリに、セドナは先日サインを受け取った書状を取り出す。
「そのことなんすけどね……。この書状にあるサイン……偽物なんすよ」
そう、つぶやいた。
「そんな、だってあの時……まさか!」
「ええ。あの門番自体が偽物にすり替わっていたってことでしょう……」
そして兵士たちに通達を終えたのであろう、クレイズも戻ってくるなり、話をつづけた。
「今となっては結果論だが……。やはり、直接領主と会って話をするべきだったな。これで地主殿との契約は無効ということだ」
それを聞き、ツマリは先日の門番とのやり取りを思い出していた。
「そういえばあそこの門番、なんかすごい態度が悪かったわよね? 噂と違うな、とは思ったけど……」
「ええ。何より、ずっと船便が取れなかったのに、突然不自然に空きが出たことを疑うべきでした。……大方、ダリアークの姐御あたりがあっしらをその日に呼び込めるように手配していたのでしょう」
セドナは歯噛みするようにつぶやく。
「く……。いずれにせよ、まずは砦に軍を差し向けやしょう! それから、ギラル卿に援助を頼むことにしやす!」
「……不幸中の幸いだな、あの男は今近くの歓楽街で遊び惚けていると噂を聴いている。私はすぐに会いに行ってみる」
ギラル卿は暇があるときに、ニクスの町にある歓楽街に顔を出していることを噂で耳にしていた。
相変わらず好色な領主であることにクレイズは呆れたが、今回ばかりはそれが幸いした。
アダンもセドナに尋ねる。
「僕らはどうすればいいですか?」
「あっしらは別行動をとりやす。ただ、軍の編成が終わっていやせんので、今のうちにお二人は一眠りしていてつかあさい!」
「ってことは……」
「ええ。夜を徹しての強行軍になりやす」
「うえ、やっぱり……。けど、しょうがないわね」
ツマリは一瞬嫌そうな顔をしたが、仕方なさそうに頷いた。
それから半日ほど経過し。
「ふう……。これで人数は全部っすね」
セドナはそう言いながら、別動隊の編成を終わらせた。
軍隊の中核になるのはいつもの通り、クレイズを隊長として、セドナが副長、両翼として勇者兄妹、そして元帝国兵の面々。これに加えて降伏してきたニクスの町の兵士やホース・オブ・ムーンの中の精兵で、合計の人数は100名程度。兵力としては3000程度である。
「ギラル卿。ご協力、感謝いたします」
そう言うと、クレイズはギラル卿に頭を下げた。
ギラル卿の服は袖が伸びている。恐らくクレイズが無理やり引っ張ってきたのだろう。本来領主に対する行動とは思えないが、ここ最近の騒動で二人はすでに悪友のような間柄となっている。
「まあ、仕方なかろう。だが、これで以前の密偵の件は……」
「ええ、貸し借りなしです」
ギラル卿からは『最下流の砦』を守るための兵力と糧秣、そして武器の供与を取り付けていた。これは以前密偵を自国に放ったことに対する補償でもある。
ギラル卿は別動隊を見て、少し首をかしげる。
「それにしても、そなた達はこんな少人数で何をするのだ?」
「それは……言えません。ただ、セドナの作戦に必要だと言われたから、用意しただけです」
「フフ、またセドナか。……全くあの男は何を考えているのだろうな」
因みに、セドナが『転移物』のロボットであることを知るのは、勇者兄妹の他はクレイズ、後は彼の率いる元帝国兵たちだけである。
「さあ、どうなのでしょうね。……ところでギラル卿? つかぬことをお聞きしますが……」
「なんだ?」
「アダンとツマリが居た村は……。ひょっとすると養子を育てる文化が盛んだったりしませんか?」
その疑問に対して、ギラル卿は面白そうに笑みを浮かべた。
「なぜ、そう思うのだ?」
「あの二人の育て方が不自然だからです」
「ほう。どのような点だ?」
クレイズは、セドナから聞いた話とも併せて自身の仮説を述べる。
「まず、幼少期。アダンはツマリを守って大けがしたことがあります。……普通、そう言うときには妹を咎めるはずです。しかし実際にはアダンを褒めたたえた。これが最初に違和感を持った理由です」
「ほう。……他には?」
「後は習い事です。話を聴いてみると、アダンは剣術や魔道の教室に『親の意思で』通っています。一方でツマリは合唱や刺繍など、趣味性の高い教室に『自分の意思で』通っています。まるで二人の両親は、アダンはツマリを守る道具として育て、ツマリは自由意志で育てているように感じました」
そこまで聴いて、ギラル卿はふ……と笑みを浮かべた。
「見事だ。そなたの予想は正しい。我々夢魔は精気を受け取れる相手がいないと生きていけない種族だからな。……だから、あの二人の出身となる村のような豊かでない地方の場合、よそから養子を貰い、守り手として育てる文化がある」
「……やはり……。では、アダンとツマリもそうなのでは?」
「かもしれん。だが実際には、兄妹で精気をやり取りすることはそこまで珍しい話でもない。……正直、確証は持てぬな」
「そうですか……」
そこまで聴き、結局両者の本当の血縁関係を知る方法は現時点ではないとわかり、少しクレイズは残念そうな顔をした。
「であれば、いずれゆっくりと調査するとして……今はこの戦いに集中しましょう」
「そうだな。私としても、ツマリを君に守ってもらわねば困る」
その発言に、クレイズは呆れたような表情を見せる。だが言い返すようなことをせず、
「それじゃあ、ギラル卿。またいずれ」
そう言うとクレイズは別動隊の先頭に立ち、号令をかけた。
そして一行は行軍を開始した。
「ああ寒い寒い! なんでこんな夜中に行かないといけないのよ?」
寒さに体を震わせながらツマリが文句を言うが、セドナは涼しい顔で答える。
「しょうがありやせんよ。『最下流の砦』は持ってあと3日ほどです。もしここで負けたら、ニクスの町は勿論、あっしらの城まで落とされちまいます」
ギラル卿との同盟関係もあり、兵力の殆どは『最下流の砦』に集中させることが出来ていた。しかしそれでも、彼我の戦力差は絶望的なまでに大きい。
だからこそ北方の領主との同盟を結ぼうとしたのだが、それが無効である以上、正攻法で戦争に勝利するすべはない。
「じゃあ、どうするのよ?」
「ええ。……実はディアンの町はニクスの町付近から抜けられる裏道があるんす。あっしらはそこに向かっていやす」
「そうなの?」
今までそのような話は聞いたことが無かったのだろう、ニクスの町の出身である一人の精兵は、そう驚きの声を上げた。
「ええ。先日ディアンの町にいた同型……いえ、住民に話を聴かせていただいたんす」
「そんな、一回聞いただけなのに場所まで分かるの?」
「ええ、問題ありやせん。もう完璧に覚えていやす」
勿論この「住民」とはディアンの町に居た『セドナ』のことだ。
『セドナ』達は互いの記憶を同期する機能が付いている。その為、向こうのセドナが逗留していたことによって手に入れた情報は、こちらのセドナも受け取っている。
無論、向こうのセドナがディアンの町の住民であったなら、同期を了承することはなかったであろう。
「ほら、ここから行けるんすよ」
そう言うと、セドナは『中流の砦』の北西にあった小さなけもの道を指さした。
「え、ここから?」
「そうなんす。100名程度なら余裕で行き来できやすよ?」
「まさか、こんなところに抜け道があったとはな……。で、ここを抜けたらどうするんだ?」
「そのまま、ディアンの町の中枢部を急襲しやす。恐らく、敵さんもここを通ることは想定していないでしょう。それに、これだけの兵力を城攻めに向けているということは、逆に町の守りは手薄なはずっす」
それを聞いて、クレイズもふむ、と同意した。
「確かにそうだな。……そして中枢を落としたうえで撤兵させ、その後こちらに有利な条件で同盟を締結する、と言ったところになりそうだな」
「へい。ディアンの国を接収することは出来やせんが、そのあたりが落としどころになりやすね」
そうセドナは答えた。
「……因みにここから何日くらいかかるの?」
「このまま明け方まで行軍して、翌日は一日歩いて……。恐らく中枢部への襲撃は明後日になるでしょう」
「はあ、それまで歩きどおしかあ……」
ツマリは不快そうに、そう答えた。
城に戻ると、セドナが大慌てで軍の編成を行っていた。
「すみません、『最下流の砦』からなにか煙が上がっていたのですが……!」
「ええ、どうやらディアンの町が攻め込んできたようなんす。……兵力は、こちらの5倍……全兵力で攻め込んできていやす」
「嘘でしょ? だって、北方の領地の人とは同盟したんじゃ……」
信じられないという様子で驚くツマリに、セドナは先日サインを受け取った書状を取り出す。
「そのことなんすけどね……。この書状にあるサイン……偽物なんすよ」
そう、つぶやいた。
「そんな、だってあの時……まさか!」
「ええ。あの門番自体が偽物にすり替わっていたってことでしょう……」
そして兵士たちに通達を終えたのであろう、クレイズも戻ってくるなり、話をつづけた。
「今となっては結果論だが……。やはり、直接領主と会って話をするべきだったな。これで地主殿との契約は無効ということだ」
それを聞き、ツマリは先日の門番とのやり取りを思い出していた。
「そういえばあそこの門番、なんかすごい態度が悪かったわよね? 噂と違うな、とは思ったけど……」
「ええ。何より、ずっと船便が取れなかったのに、突然不自然に空きが出たことを疑うべきでした。……大方、ダリアークの姐御あたりがあっしらをその日に呼び込めるように手配していたのでしょう」
セドナは歯噛みするようにつぶやく。
「く……。いずれにせよ、まずは砦に軍を差し向けやしょう! それから、ギラル卿に援助を頼むことにしやす!」
「……不幸中の幸いだな、あの男は今近くの歓楽街で遊び惚けていると噂を聴いている。私はすぐに会いに行ってみる」
ギラル卿は暇があるときに、ニクスの町にある歓楽街に顔を出していることを噂で耳にしていた。
相変わらず好色な領主であることにクレイズは呆れたが、今回ばかりはそれが幸いした。
アダンもセドナに尋ねる。
「僕らはどうすればいいですか?」
「あっしらは別行動をとりやす。ただ、軍の編成が終わっていやせんので、今のうちにお二人は一眠りしていてつかあさい!」
「ってことは……」
「ええ。夜を徹しての強行軍になりやす」
「うえ、やっぱり……。けど、しょうがないわね」
ツマリは一瞬嫌そうな顔をしたが、仕方なさそうに頷いた。
それから半日ほど経過し。
「ふう……。これで人数は全部っすね」
セドナはそう言いながら、別動隊の編成を終わらせた。
軍隊の中核になるのはいつもの通り、クレイズを隊長として、セドナが副長、両翼として勇者兄妹、そして元帝国兵の面々。これに加えて降伏してきたニクスの町の兵士やホース・オブ・ムーンの中の精兵で、合計の人数は100名程度。兵力としては3000程度である。
「ギラル卿。ご協力、感謝いたします」
そう言うと、クレイズはギラル卿に頭を下げた。
ギラル卿の服は袖が伸びている。恐らくクレイズが無理やり引っ張ってきたのだろう。本来領主に対する行動とは思えないが、ここ最近の騒動で二人はすでに悪友のような間柄となっている。
「まあ、仕方なかろう。だが、これで以前の密偵の件は……」
「ええ、貸し借りなしです」
ギラル卿からは『最下流の砦』を守るための兵力と糧秣、そして武器の供与を取り付けていた。これは以前密偵を自国に放ったことに対する補償でもある。
ギラル卿は別動隊を見て、少し首をかしげる。
「それにしても、そなた達はこんな少人数で何をするのだ?」
「それは……言えません。ただ、セドナの作戦に必要だと言われたから、用意しただけです」
「フフ、またセドナか。……全くあの男は何を考えているのだろうな」
因みに、セドナが『転移物』のロボットであることを知るのは、勇者兄妹の他はクレイズ、後は彼の率いる元帝国兵たちだけである。
「さあ、どうなのでしょうね。……ところでギラル卿? つかぬことをお聞きしますが……」
「なんだ?」
「アダンとツマリが居た村は……。ひょっとすると養子を育てる文化が盛んだったりしませんか?」
その疑問に対して、ギラル卿は面白そうに笑みを浮かべた。
「なぜ、そう思うのだ?」
「あの二人の育て方が不自然だからです」
「ほう。どのような点だ?」
クレイズは、セドナから聞いた話とも併せて自身の仮説を述べる。
「まず、幼少期。アダンはツマリを守って大けがしたことがあります。……普通、そう言うときには妹を咎めるはずです。しかし実際にはアダンを褒めたたえた。これが最初に違和感を持った理由です」
「ほう。……他には?」
「後は習い事です。話を聴いてみると、アダンは剣術や魔道の教室に『親の意思で』通っています。一方でツマリは合唱や刺繍など、趣味性の高い教室に『自分の意思で』通っています。まるで二人の両親は、アダンはツマリを守る道具として育て、ツマリは自由意志で育てているように感じました」
そこまで聴いて、ギラル卿はふ……と笑みを浮かべた。
「見事だ。そなたの予想は正しい。我々夢魔は精気を受け取れる相手がいないと生きていけない種族だからな。……だから、あの二人の出身となる村のような豊かでない地方の場合、よそから養子を貰い、守り手として育てる文化がある」
「……やはり……。では、アダンとツマリもそうなのでは?」
「かもしれん。だが実際には、兄妹で精気をやり取りすることはそこまで珍しい話でもない。……正直、確証は持てぬな」
「そうですか……」
そこまで聴き、結局両者の本当の血縁関係を知る方法は現時点ではないとわかり、少しクレイズは残念そうな顔をした。
「であれば、いずれゆっくりと調査するとして……今はこの戦いに集中しましょう」
「そうだな。私としても、ツマリを君に守ってもらわねば困る」
その発言に、クレイズは呆れたような表情を見せる。だが言い返すようなことをせず、
「それじゃあ、ギラル卿。またいずれ」
そう言うとクレイズは別動隊の先頭に立ち、号令をかけた。
そして一行は行軍を開始した。
「ああ寒い寒い! なんでこんな夜中に行かないといけないのよ?」
寒さに体を震わせながらツマリが文句を言うが、セドナは涼しい顔で答える。
「しょうがありやせんよ。『最下流の砦』は持ってあと3日ほどです。もしここで負けたら、ニクスの町は勿論、あっしらの城まで落とされちまいます」
ギラル卿との同盟関係もあり、兵力の殆どは『最下流の砦』に集中させることが出来ていた。しかしそれでも、彼我の戦力差は絶望的なまでに大きい。
だからこそ北方の領主との同盟を結ぼうとしたのだが、それが無効である以上、正攻法で戦争に勝利するすべはない。
「じゃあ、どうするのよ?」
「ええ。……実はディアンの町はニクスの町付近から抜けられる裏道があるんす。あっしらはそこに向かっていやす」
「そうなの?」
今までそのような話は聞いたことが無かったのだろう、ニクスの町の出身である一人の精兵は、そう驚きの声を上げた。
「ええ。先日ディアンの町にいた同型……いえ、住民に話を聴かせていただいたんす」
「そんな、一回聞いただけなのに場所まで分かるの?」
「ええ、問題ありやせん。もう完璧に覚えていやす」
勿論この「住民」とはディアンの町に居た『セドナ』のことだ。
『セドナ』達は互いの記憶を同期する機能が付いている。その為、向こうのセドナが逗留していたことによって手に入れた情報は、こちらのセドナも受け取っている。
無論、向こうのセドナがディアンの町の住民であったなら、同期を了承することはなかったであろう。
「ほら、ここから行けるんすよ」
そう言うと、セドナは『中流の砦』の北西にあった小さなけもの道を指さした。
「え、ここから?」
「そうなんす。100名程度なら余裕で行き来できやすよ?」
「まさか、こんなところに抜け道があったとはな……。で、ここを抜けたらどうするんだ?」
「そのまま、ディアンの町の中枢部を急襲しやす。恐らく、敵さんもここを通ることは想定していないでしょう。それに、これだけの兵力を城攻めに向けているということは、逆に町の守りは手薄なはずっす」
それを聞いて、クレイズもふむ、と同意した。
「確かにそうだな。……そして中枢を落としたうえで撤兵させ、その後こちらに有利な条件で同盟を締結する、と言ったところになりそうだな」
「へい。ディアンの国を接収することは出来やせんが、そのあたりが落としどころになりやすね」
そうセドナは答えた。
「……因みにここから何日くらいかかるの?」
「このまま明け方まで行軍して、翌日は一日歩いて……。恐らく中枢部への襲撃は明後日になるでしょう」
「はあ、それまで歩きどおしかあ……」
ツマリは不快そうに、そう答えた。
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