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第2章 「剣と魔法の世界」に中世の軍隊編成はそぐわない
2-9 フィクションでは、報復感情の充足は法律より大事にされるけど
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「あれ、彼らは……?」
エイドが廊下を歩いていると、そこには数人の兵士が会話をしていた。
どうやら自身のことを話していると感じ、廊下の陰でその話を聞くことにした。
「なあ、聴いたか? フォルザ将軍のこと?」
「ああ……なんでも雑兵5人に負けたんだってな」
「しかも『ラウルドレンジャー』なんてふざけた格好した連中に、股間にナイフ突きつけられたんだってな……」
その話を聴いて、未夏の作戦が上手くいったことに安堵した。
「ま、俺は戦争なんてしたくなかったから良かったけどな」
「だよな! 次戦ったら死ぬぜ、あの狂人たちやばいしな……」
(狂人とは俺たち聖ジャルダン国のこと、か……。まったくその通りだな……)
転生者である聖ジャルダン国の面々が『やばい奴』というのは当然自覚している。
そのため、エイドは甘んじてその発言を受け入れた。
「けどよ、ラジーナの旦那はいなかったみてーだな」
「ああ。何でも訓練中に体調を崩して自室で休んでるんだってさ」
「まじかよ? そんな貧弱な旦那で大丈夫なのかね、うちは……」
『新薬の実験体になっていた』なんてことがバレたら間違いなく国際問題になるから、エイドが倒れた理由はあえて体調不良ということで伝えている。
だが、エイドのことをあまり気に入らないのだろう。彼らはエイドの悪口に終始していた。
「それにさ、エイドのやつって浮気してるって噂なんだよな」
「ああ、それ聞いたことある! なんでもいやがる薬屋の娘を無理やり自分に付き合わせてるって話だよな?」
薬屋の娘、というのは未夏のことだろう。
勿論エイドにとっては誹謗中傷でしかない。そもそもエイドが外出するときには『護衛』という立場の監視役がついているので、浮気など物理的には不可能なのだが。
「剣の腕もなきゃ、身体も弱い。そのくせ女癖も悪いとか最悪だよな?」
「本当だよな。まあラジーナ嬢ちゃんにはふさわしい相手だとは思うけどな?」
「言えてるよな、あの『冷血の淑女』のことだから、あいつのこと召使みたいに扱ってるんだぜ」
「だよな! ま、仮面夫婦らしいとは思うけどな」
その発言はダメだ。
自分のことをどういわれても仕方ないが、ラジーナにまで悪口を波及させることは許されない。
一言注意しようとエイドは向かおうとしたが、
「あら、楽しい話をしていますわね?」
反対側の廊下から、そう言いながら歩いてくる影があった。
……ラジーナだ。
「ら、ラジーナ様!?」
「私の愛する夫、エイドに対してなかなか面白い誹謗中傷をしているじゃない?」
顔は笑っているが、猛烈に腹を立てているのは誰が見ても明らかだ。
それを見た兵士は、大慌てで土下座する。
「しかもあなたたちが、前から我が夫エイドの悪口を流布して、周りを焚きつけていたこと……気づいていないと思っていましたか?」
「ど、どうかお許しを!」
「決して悪気があったわけじゃなかったんです! 死刑にはしないでください!」
「そうです! もうこんなこと言いませんから?」
「それだけじゃないですよね? ……エイドの陰口をいさめたものを仲間ハズレにして退職させたという話も私の耳に入っておりますわ?」
それはまずい……というより、処刑されても仕方ないレベルだとエイドは聞いていて思った。
そしてラジーナは、にっこりと笑って3人の肩に手を置く。
「安心なさい。私は『冷血の淑女』……自分の感情で人を裁くようなことはしませんわ」
「ら、ラジーナ様……!」
「あ、ありがとうございます!」
だが、そう感謝する3人に対して、笑顔を崩さずに続ける。
「我が国の法律では、あなたが行ったような誹謗中傷、並びに『いじめ』には、合わせて強制労働5年の刑罰が課されるのは、ご存じ?」
「え……?」
「ちょうど今、人手が足りない開拓地がありましてね。あなたたちは寒さに強そうですし、ちょうどいいですわね」
人手が足りない、というのは人員が足りないのではなく『足りなくなる』という意味だろう。その環境の過酷さがすぐに分かり、兵士たちは固まった。
「ゆ、許しては……くれないのですか?」
「なにをいうの? 『私は』許していますわ。だからこそ『私』じゃなくて『法律』があなたを裁くのですから……。兵!」
そうラジーナがパンと手を叩くと、隣の部屋から近衛兵達が現れ兵を捕縛する。
そして冷たく言い捨てる。
「死刑や終身刑にならないだけ、ありがたいと思いなさい。……エイドを傷つけたあなたを私は殺したくてたまらないのですから……」
「そんな……『人の悪口を言ったくらい』で……」
「やっぱあんたは……冷血の淑女だな……」
兵士たちは自分のやったことを深く受け止めていないのだろう。
そう自身が被害者であるかのようにつぶやくのに対して、ラジーナはあえて何も言わずに見送った。
「ラジーナ様……」
「あら、エイド? いらしたのですか?」
兵士たちが去って行ったあと、エイドは廊下の影から顔を出した。
「ひょっとして……今の一部始終をご覧になったのですか?」
「ええ……ラジーナ様……素敵な采配でした……」
本作の世界観では、一兵士が特権階級の人たちの誹謗中傷などしたら処刑されることなど珍しくもない。しかも、それに反発するものを辞めさせたのだから猶更だ。
そのため、自身の報復感情の充足のためではなく、法のルールに基づいて兵士を裁いた彼女の行動を『正しい采配』とエイドの目には見えた。
ラジーナの寝室に移動した後、彼女はエイドに頭を下げる。
「私の兵士が申し訳ありません。……酷いことをいうものもいるのですね」
「いえ、それは構わないですが……」
自分が中傷されるのはいつものことだし覚悟の上だ。
そう思ったが、それをいうと責めているように受け取られると感じたため、エイドは口をつぐみ、別のことを尋ねる。
「ラジーナ様は、法律を大切にされているんですね」
「ええ。……正直、私も少し前までは法律なんて気にもしていませんでした。私は、私のやりたいようにやるのがいいとも思っていましたもの……」
「今は違うのですか?」
エイドは、前世のことを思い出しながら尋ねる。
前世でも彼女は合理主義で無駄なことは行わなかった。
だが、へまをした部下に対しては法的な措置を無視し、容赦なく部下を粛清するなど、感情で他者に制裁を加える面は普通に見られていたからだ。
「ええ。……私を変えたきっかけは……あなた方の兵士たちです……」
「我々の?」
「ええ。……ビクトリアの死後、あなたがたは追撃戦をしましたが……あなたたちの国は異常なほど略奪を行わなかったのを覚えております」
彼らが追撃を行う際に、特に女性への凌辱を避けるために自ら去勢したことは聖ジャルダン国内でも有名な話だ。
それを思い、エイドはうなづく。
「どんなに有利な立場であっても、それを濫用しない。そんなあなたたちを見習って、私も規則や規範を大切にすると学んだのです」
「……そう、ですか……」
そういうと、エイドは思わず天上を見上げ、星になった兵士に思いをはせた。
……彼らの覚悟は無駄ではなかったのだ。そう想えると、どこか胸に来るものがあった。
(ラジーナ様は……。もう俺の知っている『冷血の淑女』ではないんだな……」)
そう思いながら彼女の顔を見つめた。
今は惚れ薬を飲んでいないが、それでもエイドは彼女を愛おしく感じるようになってきていた。
「えい!」
「うわ!」
すると彼女は突然笑いかけ、エイドをベッドに押し倒す。
エイドが廊下を歩いていると、そこには数人の兵士が会話をしていた。
どうやら自身のことを話していると感じ、廊下の陰でその話を聞くことにした。
「なあ、聴いたか? フォルザ将軍のこと?」
「ああ……なんでも雑兵5人に負けたんだってな」
「しかも『ラウルドレンジャー』なんてふざけた格好した連中に、股間にナイフ突きつけられたんだってな……」
その話を聴いて、未夏の作戦が上手くいったことに安堵した。
「ま、俺は戦争なんてしたくなかったから良かったけどな」
「だよな! 次戦ったら死ぬぜ、あの狂人たちやばいしな……」
(狂人とは俺たち聖ジャルダン国のこと、か……。まったくその通りだな……)
転生者である聖ジャルダン国の面々が『やばい奴』というのは当然自覚している。
そのため、エイドは甘んじてその発言を受け入れた。
「けどよ、ラジーナの旦那はいなかったみてーだな」
「ああ。何でも訓練中に体調を崩して自室で休んでるんだってさ」
「まじかよ? そんな貧弱な旦那で大丈夫なのかね、うちは……」
『新薬の実験体になっていた』なんてことがバレたら間違いなく国際問題になるから、エイドが倒れた理由はあえて体調不良ということで伝えている。
だが、エイドのことをあまり気に入らないのだろう。彼らはエイドの悪口に終始していた。
「それにさ、エイドのやつって浮気してるって噂なんだよな」
「ああ、それ聞いたことある! なんでもいやがる薬屋の娘を無理やり自分に付き合わせてるって話だよな?」
薬屋の娘、というのは未夏のことだろう。
勿論エイドにとっては誹謗中傷でしかない。そもそもエイドが外出するときには『護衛』という立場の監視役がついているので、浮気など物理的には不可能なのだが。
「剣の腕もなきゃ、身体も弱い。そのくせ女癖も悪いとか最悪だよな?」
「本当だよな。まあラジーナ嬢ちゃんにはふさわしい相手だとは思うけどな?」
「言えてるよな、あの『冷血の淑女』のことだから、あいつのこと召使みたいに扱ってるんだぜ」
「だよな! ま、仮面夫婦らしいとは思うけどな」
その発言はダメだ。
自分のことをどういわれても仕方ないが、ラジーナにまで悪口を波及させることは許されない。
一言注意しようとエイドは向かおうとしたが、
「あら、楽しい話をしていますわね?」
反対側の廊下から、そう言いながら歩いてくる影があった。
……ラジーナだ。
「ら、ラジーナ様!?」
「私の愛する夫、エイドに対してなかなか面白い誹謗中傷をしているじゃない?」
顔は笑っているが、猛烈に腹を立てているのは誰が見ても明らかだ。
それを見た兵士は、大慌てで土下座する。
「しかもあなたたちが、前から我が夫エイドの悪口を流布して、周りを焚きつけていたこと……気づいていないと思っていましたか?」
「ど、どうかお許しを!」
「決して悪気があったわけじゃなかったんです! 死刑にはしないでください!」
「そうです! もうこんなこと言いませんから?」
「それだけじゃないですよね? ……エイドの陰口をいさめたものを仲間ハズレにして退職させたという話も私の耳に入っておりますわ?」
それはまずい……というより、処刑されても仕方ないレベルだとエイドは聞いていて思った。
そしてラジーナは、にっこりと笑って3人の肩に手を置く。
「安心なさい。私は『冷血の淑女』……自分の感情で人を裁くようなことはしませんわ」
「ら、ラジーナ様……!」
「あ、ありがとうございます!」
だが、そう感謝する3人に対して、笑顔を崩さずに続ける。
「我が国の法律では、あなたが行ったような誹謗中傷、並びに『いじめ』には、合わせて強制労働5年の刑罰が課されるのは、ご存じ?」
「え……?」
「ちょうど今、人手が足りない開拓地がありましてね。あなたたちは寒さに強そうですし、ちょうどいいですわね」
人手が足りない、というのは人員が足りないのではなく『足りなくなる』という意味だろう。その環境の過酷さがすぐに分かり、兵士たちは固まった。
「ゆ、許しては……くれないのですか?」
「なにをいうの? 『私は』許していますわ。だからこそ『私』じゃなくて『法律』があなたを裁くのですから……。兵!」
そうラジーナがパンと手を叩くと、隣の部屋から近衛兵達が現れ兵を捕縛する。
そして冷たく言い捨てる。
「死刑や終身刑にならないだけ、ありがたいと思いなさい。……エイドを傷つけたあなたを私は殺したくてたまらないのですから……」
「そんな……『人の悪口を言ったくらい』で……」
「やっぱあんたは……冷血の淑女だな……」
兵士たちは自分のやったことを深く受け止めていないのだろう。
そう自身が被害者であるかのようにつぶやくのに対して、ラジーナはあえて何も言わずに見送った。
「ラジーナ様……」
「あら、エイド? いらしたのですか?」
兵士たちが去って行ったあと、エイドは廊下の影から顔を出した。
「ひょっとして……今の一部始終をご覧になったのですか?」
「ええ……ラジーナ様……素敵な采配でした……」
本作の世界観では、一兵士が特権階級の人たちの誹謗中傷などしたら処刑されることなど珍しくもない。しかも、それに反発するものを辞めさせたのだから猶更だ。
そのため、自身の報復感情の充足のためではなく、法のルールに基づいて兵士を裁いた彼女の行動を『正しい采配』とエイドの目には見えた。
ラジーナの寝室に移動した後、彼女はエイドに頭を下げる。
「私の兵士が申し訳ありません。……酷いことをいうものもいるのですね」
「いえ、それは構わないですが……」
自分が中傷されるのはいつものことだし覚悟の上だ。
そう思ったが、それをいうと責めているように受け取られると感じたため、エイドは口をつぐみ、別のことを尋ねる。
「ラジーナ様は、法律を大切にされているんですね」
「ええ。……正直、私も少し前までは法律なんて気にもしていませんでした。私は、私のやりたいようにやるのがいいとも思っていましたもの……」
「今は違うのですか?」
エイドは、前世のことを思い出しながら尋ねる。
前世でも彼女は合理主義で無駄なことは行わなかった。
だが、へまをした部下に対しては法的な措置を無視し、容赦なく部下を粛清するなど、感情で他者に制裁を加える面は普通に見られていたからだ。
「ええ。……私を変えたきっかけは……あなた方の兵士たちです……」
「我々の?」
「ええ。……ビクトリアの死後、あなたがたは追撃戦をしましたが……あなたたちの国は異常なほど略奪を行わなかったのを覚えております」
彼らが追撃を行う際に、特に女性への凌辱を避けるために自ら去勢したことは聖ジャルダン国内でも有名な話だ。
それを思い、エイドはうなづく。
「どんなに有利な立場であっても、それを濫用しない。そんなあなたたちを見習って、私も規則や規範を大切にすると学んだのです」
「……そう、ですか……」
そういうと、エイドは思わず天上を見上げ、星になった兵士に思いをはせた。
……彼らの覚悟は無駄ではなかったのだ。そう想えると、どこか胸に来るものがあった。
(ラジーナ様は……。もう俺の知っている『冷血の淑女』ではないんだな……」)
そう思いながら彼女の顔を見つめた。
今は惚れ薬を飲んでいないが、それでもエイドは彼女を愛おしく感じるようになってきていた。
「えい!」
「うわ!」
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