止まることは許されない

トバリ

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10話

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 目覚めた場所は意識を失う前同じ場所だった。改めて見るととても白い。
 今度は誰かが入ってくる事もなさそうだった。ドアがあったらへんのところに行ってトントンと叩いてみる。というのも、一面真っ白でどこがドアでどこが壁だか全くわからないのだ。まるで隠し扉を探してる気分だ。
 -しばらく根気強く壁を叩いて探してると、少し音が違う場所があった。
やっと外に出られると心の中で喜ぶと、音が違う場所を両手で押してみる。だが、なかなか開かない。仕方ないので今度は体当たりをしてみるとドンッと音を立てて扉が開く。思いっきり体当たりをしたので倒れてしまう。
 立ち上がり、ズキズキと痛む腕を押さえながら左右を見る。因みに正面は壁で行き止まりだ。どうやら廊下のようだったが、そこらの家の廊下や学校の廊下とは違いカーブしている。まるで大きな円を描くように。ここの壁や床も白く、今俺がどこにいるのかわからなくなりそうだった。しかし、ここでじっとしていても誰かに見つかって俺の後ろにある部屋に連れ戻されてしまうかもしれない。
 とりあえず、右の方を向き歩きだす。
逃げる場所も隠れる場所もない。誰かに鉢合わせたら大変なことになる。だから誰にも会わないことを祈ってただひたすら歩く。
 歩いていて気づいたことだが、どうやら廊下側からは扉がどこにあるのかわかるようになっていた。そこから推測したのだがここは実験場かなんかではないかと思う。部屋の中から扉がどこにあるのか一部の人にしかわからなくなっているのは実験動物(…つまり俺のような人だ)が逃げ出せないようにしているのだろう。
 どうやら俺は相当ヤバイところに気を失っている間に連れてこられたようだ。これは説明してくれた人が言ってたことも信じられなくなってくる。優理さんが無事かも怪しくなった。ここから出れたら優理さんを探そう。たぶんここにはいないだろう。いや、いないことを祈ろう。
 そんな風に考えながら歩いてたのが悪いのかすっかり迷子状態だ。元いた場所…部屋にも戻れない。これはヘンゼルとグレーテルのようにパンくずか何か目印になるものを落としながら歩かなければならなかったのだろうか?…いや、言っていても何も変わらないし、何か落としながらと言っても何も持っていない俺にはどうすることもできなかった。仕方なかったんだ。
 そうやって自己完結してから再び歩きだす。
どこにあるかわからない出口を探して-
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