止まることは許されない

トバリ

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7話

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 ―ズキッ
目覚めたときに感じたのは今まで経験したこともないような痛みだった。
ここはどこだ?俺は誰だ…とはならないが本当にここがどこだかはわからなかった。俺はあの狼みたいな動物に襲われて…それでどうなったんだ?優理さんは無事だろうか?疑問ばかりが浮かぶ。
 とりあえず今がどういう状況なのか把握しようとあまり動かせない体を無理矢理動かしてみる。
狼みたいな動物に教われる前に優理さんが案内してくれた俺の部屋となるはずった部屋ではないことは確かだった。床も、壁も天井も真っ白。どこにいるかわからなくなりそうなほどどこまでも白かった。
小説とか漫画でよくあるように神様でも出てくるんじゃないのかと思ってしまうような場所。しかし、いくらここが小説や漫画の世界のようなファンタジーな世界だとしてもそこまではぶっ飛んでいない。神様なんて出てきやしない。
 ギイッと音を立てて壁だと思っていた所が開く。
どうやらドアだったらしい。全部白かったからわからなかった。それに俺はそこまでは目がよくないから気づかないのも無理はないだろう。
ドアから人が入ってくる…いや、人だと思ったが耳を見るととんがっているので人間ではなさそうだ。
「まだ寝てないと駄目ですよ」
そう言ってこちらに近づいてくる。長い金色の髪をしていたから女かと思ったがそれも怪しくなった。声が女にしては低く、男にしては高かった。声変わりしなかったという可能性もあるのだが。とにかく性別が判断できなかった。
「傷口が開いてしまいますよ」
優しく言ってくるこの人は何か知っているのだろうか?
聞いてみようと口を開こうとしたがそれを遮って、「あなたが安静にしてくれるなら話しますよ」と言ってきた。状況を知りたい俺はそれに従う。気がついたときに寝ていたベットに戻る。
「フフフッ、いい子ですね」
口に手を当てて軽く笑いまるでマリア様のように慈愛に満ちた声で言ってくる。この人が神様かななんて思うほどに人間場馴れしていた。…人間ではないか。そうだな、神々しいとか女神様とかそんな言葉が似合いそうだった。
「それじゃあ、いい子なあなたにご褒美を」
そう言って俺が気を失ってからの事を話始める。この人も優理さんに聞いたところが多々あるらしい。それもそうだろう。この人はあの場所にいなかったのだから。でも、優理さんから聞いたということは少なからず生きてはいるし、喋れる状況なのだろう。そこでホッと肩の力が少し抜けたのだった。
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