343 / 362
* 死神生活三年目&more *
第343話 死神ちゃんとクレーマー⑥
しおりを挟む
「残念って言うなよちくしょおおおおおおおッ!」
死神ちゃんがダンジョンに降り立つのと同時に、見知ったエルフが泣きながら足早にその場から立ち去った。何事かと顔をしかめると、死神ちゃんは頭をむんずと掴まれた。
「なんだ。今度はお前か。――チェンジを要求するぞ!」
「俺だってチェンジできるならしたいわ! でも、今、お前が掴んできたことで〈とり憑き〉完了しちまってるんだよ!」
死神ちゃんは、不服そうに目くじらを立てる侍の手を思いきり払い除けた。すると侍は一転して〈閃いた〉と言わんばかりの、真に迫った表情を浮かべて拳を握った。
「いや待てよ。この幼女のコミュニケーション能力と可愛らしさを巧みに利用すれば、いつもはつれない尖り耳も俺になびくかもしれん。……これはイケる! イケるぞおおおおおッ!」
「はあ……?」
死神ちゃんが不機嫌に顔を歪めると、侍は「よろしくな、相棒」と言いながら握手を求めてきた。もちろん、死神ちゃんはその手を思いきり叩き飛ばした。
彼は〈尖り耳狂〉と呼ばれ、エルフの女性たちから忌み嫌われている。彼はエルフ女性の〈先がほんのりと朱に染まった、愛らしい尖った耳〉を愛しているのだが、その愛しかたというのが実に偏執的なのだ。彼によって心にトラウマを植え付けられたものは数知れず、修復課のサーシャもそのうちの一人だった。
彼は今回、駅弁売りが首に引っ提げるような箱を準備していた。そこには〈尖り耳からの愛よ、来たれ〉と書かれていた。しかし、中は残念ながら空っぽだった。尖り耳狂は悔しそうに歯ぎしりすると、空っぽの箱にじっとりと視線を落としながら言った。
「先ほど、尖り耳を装った男がチョコレートボックスをくれようとしたんだ。必要アイテムが中々ドロップしなくて、ようやくできた一箱だったらしい」
「あいつ、意外と優しくて親切なんだよなあ……。せっかくだからもらっておけばよかったのに」
「何故だ? 尖り耳を装った男からお情けでいただくなど、残念にもほどがあるだろう!」
「男だって立派な〈尖り耳〉だから! お前のその救いようのない趣味嗜好は致し方ないにしても、そういう差別的な発言はやめろよな!」
「差別ではない! 区別だ!」
死神ちゃんが呆れ果てて閉口すると、尖り耳狂はフンと鼻を鳴らした。
「とにかく! 俺は尖り耳と愛を交換し合うために、たくさんのチョコレートボックスを作り上げた。見てくれ」
「お前、気持ち悪いよ! このイベント、まだ始まって間もないだろう!? 何ですでに、こんなに大量のチョコレートボックスを手に入れているんだよ!」
彼は、駅弁売りのような箱の他にももうひとつ、釣り人がクーラーボックスを肩がけにする体で箱を抱え持っていた。そこには、あり得ないほどの量のピンクの小箱がぎっしりと敷き詰められていた。
思わずドン引きした死神ちゃんに、尖り耳狂は得意気に胸を張った。
「尖り耳への愛があれば、こんなの、造作も無いことよ。寸暇を惜しまず、それこそ寝食ですらあと回しにして、独りでひたすら狩りを続けていたのだッ!」
「はあ、そう……。でも、そんだけ準備しても、交換してくれるヤツがいないんじゃあ虚しいだけだよな」
「そうだ! だから、今から、お前を囮にして尖り耳から愛をいただくことにするッ!」
他人にプレゼントすると〈ラブリング〉が出てくるとはいえ、何もこのラブは恋人同士のそれだけを指すわけではない。そのため、冒険者たちは日ごろの感謝を込めて互いにチョコ箱の交換を行っている。尖り耳狂はその〈チョコ箱交換会〉に死神ちゃんを伴って潜入し、死神ちゃんがチョコをもらいそうになったら、ちゃっかり自分がチョコをもらい受けようと画策しているようだ。
「そんな、上手くいきますかね……」
死神ちゃんは呆れ果てて鼻を鳴らすと、彼のあとを追って歩き始めた。
チョコ箱交換会は、二階の〈回復の泉〉で休憩中によく行われているようだった。泉の水を飲みながら体力を回復させたあと、冒険者たちは物理的にも癒やされようと言ってチョコ箱を開け、チョコレートを口に放り投げていた。
死神ちゃんがそこを通りかかると、さっそく「君にも上げるよ」と冒険者に声をかけられた。お返しするものがないと困惑する死神ちゃんに、冒険者はにっこりと笑って「そんなの、気にしないで」と首を振った。側で身を潜めて様子を窺っていた尖り耳狂は、これはイケるぞとばかりに拳を握った。
死神ちゃんが泉の側にちょこんと腰を掛けると、エルフの女性が声をかけてきた。彼女はニコニコと笑いながら、死神ちゃんにチョコ箱をプレゼントしてくれた。尖り耳狂は颯爽と姿を現すと、エルフの手に自身のチョコ箱を握りしめさせた。
「この幼女はお返しする品を持っていないからな! 代わりに俺がお返しをしようではないか! そしてよかったら、俺にもその愛を――」
エルフはキャアと悲鳴を上げると、無理やり渡されたチョコ箱を彼の顔に投げつけて走り去った。
「おかしいな。こんなはずでは」
「グイグイ行き過ぎなんじゃあないのか。そりゃあ驚きもするだろうよ」
「む、そうか! では、俺もお前の隣で待機するとしよう!」
尖り耳狂はにこやかな笑みを浮かべると、死神ちゃんと並んで腰を下ろした。しかし、死神ちゃんの頭巾の中がチョコ箱でいっぱいになっていくのと比例して、彼に増えていったのは顔のあざだった。
「おかしいな。こんなはずでは」
「日ごろの行いが悪いんじゃあないですかね」
「そんなこと、あるはずないだろう! ――おっ! ヘイッ! そこの尖り耳ッ! チョコ箱―― ぐえッ!」
へこたれずにエルフ女性へと声をかけた彼は、またもや顔面に一発いただいた。彼は不思議そうに首をひねると、再び「おかしいな」と呟いた。
そんな可哀想な彼を不憫に思ったのか、小人族が一人やって来て〈チョコくれ箱〉の中にチョコ箱を入れていってくれた。
「おじさん、可哀想だね。これでも食べて、元気になってね」
「いや、ちょっと、待っ――」
「きっと明日はいいことあるよ。頑張ってね、おじさん」
「だから、待っ――」
「大丈夫。世の中、世知辛いことだらけじゃあないよ。負けないでね、おじさん」
コビートは次から次へと現れて、気がつけば尖り耳狂の〈チョコくれ箱〉はコビートからのチョコでいっぱいとなっていた。彼は何とも言えない気まずそうな表情を浮かべると、大量のチョコを見つめてポツリとこぼした。
「小さい人たちに、とてつもなく励まされてしまった……」
「よかったな。一応、愛でいっぱいにはなったぜ」
「いやでも、これは何ていうか、心が痛いというか……」
「チェンジぃ。チェンジぃよぉ。チェンジを要求すぅるわぁ!」
尖り耳狂と死神ちゃんがハッと顔をあげると、そこには目を血走らせた僧侶の女性がメイスを握って立っていた。彼女は尖り耳狂を恨めしげに睨みつけると、地団駄を踏みながら叫んだ。
「可愛い子ちゃんたちの愛ぃは、全部私のものなぁのよ! そのポジぃション、私と代わぁりなさぁいよ!」
「いや、一応もらったものだからな! 渡さんぞ!?」
「男性エルフからはもらうことすら拒否したくせに、コビートからのはもらうのか」
「何でぇよ! あなた、女性エルフかぁらしか、要らなぁいんじゃあなかったぁの!?」
「ていうか、お前もどうせなら、人から取り上げるんじゃあなくて、直接コビートからもらえばいいだろうが」
「そうは言ってぇも、許せなぁいのよ!」
そう言って、女性はメイスを握り直すと尖り耳狂に襲いかかった。二人は、互いの〈偏執的な愛〉をかけて死闘を繰り広げた。しかし、結果は相打ちだった。死神ちゃんは〈付き合いきれない〉とばかりにため息をついて肩をすくめると、壁の中へと姿を消したのだった。
**********
死神ちゃんが待機室に戻ってくると、何故かそこにサーシャがいた。彼女は頬をつやつやとさせて、とても上機嫌だった。
「あの変態が面白いことになっているって聞いたから、死神課のモニターを見に来たんだ。あーあ、私もできることなら、一発殴りたかったな」
対して、周りの死神課メンバーはげっそりと頬をこけさせていた。どうやら、サーシャは尖り耳狂が殴られるたびに〈彼女は過去に、彼からこういう仕打ちを受けた〉と実況していたらしい。
「何ていうかもう、その変態性が凄まじくて。これは、もしあいつが天寿を全うしたら、死神課にスカウトされるんじゃあないかっていうレベルだった……」
死神ちゃんがげんなりとする横で、サーシャがにっこりと微笑んだ。
「大丈夫だよ。全尖り耳の安全を守るべく、尖り耳の代表としてこの私がそんなこと許さないから」
そう言って、彼女は鼻歌を歌いながら「アリサちゃんのところに行ってくる」と言い待機室から出ていった。さっそく、尖り耳狂がうっかりここの社員とならぬよう手配を行うつもりらしい。死神ちゃんはサーシャの背中を見送りながら「エルフさんたちは、本当に大変なんだなあ」と心中で同情したのだった。
――――尖り耳狂が裏表両方から追放される日も、そう遠くはないようDEATH……?
死神ちゃんがダンジョンに降り立つのと同時に、見知ったエルフが泣きながら足早にその場から立ち去った。何事かと顔をしかめると、死神ちゃんは頭をむんずと掴まれた。
「なんだ。今度はお前か。――チェンジを要求するぞ!」
「俺だってチェンジできるならしたいわ! でも、今、お前が掴んできたことで〈とり憑き〉完了しちまってるんだよ!」
死神ちゃんは、不服そうに目くじらを立てる侍の手を思いきり払い除けた。すると侍は一転して〈閃いた〉と言わんばかりの、真に迫った表情を浮かべて拳を握った。
「いや待てよ。この幼女のコミュニケーション能力と可愛らしさを巧みに利用すれば、いつもはつれない尖り耳も俺になびくかもしれん。……これはイケる! イケるぞおおおおおッ!」
「はあ……?」
死神ちゃんが不機嫌に顔を歪めると、侍は「よろしくな、相棒」と言いながら握手を求めてきた。もちろん、死神ちゃんはその手を思いきり叩き飛ばした。
彼は〈尖り耳狂〉と呼ばれ、エルフの女性たちから忌み嫌われている。彼はエルフ女性の〈先がほんのりと朱に染まった、愛らしい尖った耳〉を愛しているのだが、その愛しかたというのが実に偏執的なのだ。彼によって心にトラウマを植え付けられたものは数知れず、修復課のサーシャもそのうちの一人だった。
彼は今回、駅弁売りが首に引っ提げるような箱を準備していた。そこには〈尖り耳からの愛よ、来たれ〉と書かれていた。しかし、中は残念ながら空っぽだった。尖り耳狂は悔しそうに歯ぎしりすると、空っぽの箱にじっとりと視線を落としながら言った。
「先ほど、尖り耳を装った男がチョコレートボックスをくれようとしたんだ。必要アイテムが中々ドロップしなくて、ようやくできた一箱だったらしい」
「あいつ、意外と優しくて親切なんだよなあ……。せっかくだからもらっておけばよかったのに」
「何故だ? 尖り耳を装った男からお情けでいただくなど、残念にもほどがあるだろう!」
「男だって立派な〈尖り耳〉だから! お前のその救いようのない趣味嗜好は致し方ないにしても、そういう差別的な発言はやめろよな!」
「差別ではない! 区別だ!」
死神ちゃんが呆れ果てて閉口すると、尖り耳狂はフンと鼻を鳴らした。
「とにかく! 俺は尖り耳と愛を交換し合うために、たくさんのチョコレートボックスを作り上げた。見てくれ」
「お前、気持ち悪いよ! このイベント、まだ始まって間もないだろう!? 何ですでに、こんなに大量のチョコレートボックスを手に入れているんだよ!」
彼は、駅弁売りのような箱の他にももうひとつ、釣り人がクーラーボックスを肩がけにする体で箱を抱え持っていた。そこには、あり得ないほどの量のピンクの小箱がぎっしりと敷き詰められていた。
思わずドン引きした死神ちゃんに、尖り耳狂は得意気に胸を張った。
「尖り耳への愛があれば、こんなの、造作も無いことよ。寸暇を惜しまず、それこそ寝食ですらあと回しにして、独りでひたすら狩りを続けていたのだッ!」
「はあ、そう……。でも、そんだけ準備しても、交換してくれるヤツがいないんじゃあ虚しいだけだよな」
「そうだ! だから、今から、お前を囮にして尖り耳から愛をいただくことにするッ!」
他人にプレゼントすると〈ラブリング〉が出てくるとはいえ、何もこのラブは恋人同士のそれだけを指すわけではない。そのため、冒険者たちは日ごろの感謝を込めて互いにチョコ箱の交換を行っている。尖り耳狂はその〈チョコ箱交換会〉に死神ちゃんを伴って潜入し、死神ちゃんがチョコをもらいそうになったら、ちゃっかり自分がチョコをもらい受けようと画策しているようだ。
「そんな、上手くいきますかね……」
死神ちゃんは呆れ果てて鼻を鳴らすと、彼のあとを追って歩き始めた。
チョコ箱交換会は、二階の〈回復の泉〉で休憩中によく行われているようだった。泉の水を飲みながら体力を回復させたあと、冒険者たちは物理的にも癒やされようと言ってチョコ箱を開け、チョコレートを口に放り投げていた。
死神ちゃんがそこを通りかかると、さっそく「君にも上げるよ」と冒険者に声をかけられた。お返しするものがないと困惑する死神ちゃんに、冒険者はにっこりと笑って「そんなの、気にしないで」と首を振った。側で身を潜めて様子を窺っていた尖り耳狂は、これはイケるぞとばかりに拳を握った。
死神ちゃんが泉の側にちょこんと腰を掛けると、エルフの女性が声をかけてきた。彼女はニコニコと笑いながら、死神ちゃんにチョコ箱をプレゼントしてくれた。尖り耳狂は颯爽と姿を現すと、エルフの手に自身のチョコ箱を握りしめさせた。
「この幼女はお返しする品を持っていないからな! 代わりに俺がお返しをしようではないか! そしてよかったら、俺にもその愛を――」
エルフはキャアと悲鳴を上げると、無理やり渡されたチョコ箱を彼の顔に投げつけて走り去った。
「おかしいな。こんなはずでは」
「グイグイ行き過ぎなんじゃあないのか。そりゃあ驚きもするだろうよ」
「む、そうか! では、俺もお前の隣で待機するとしよう!」
尖り耳狂はにこやかな笑みを浮かべると、死神ちゃんと並んで腰を下ろした。しかし、死神ちゃんの頭巾の中がチョコ箱でいっぱいになっていくのと比例して、彼に増えていったのは顔のあざだった。
「おかしいな。こんなはずでは」
「日ごろの行いが悪いんじゃあないですかね」
「そんなこと、あるはずないだろう! ――おっ! ヘイッ! そこの尖り耳ッ! チョコ箱―― ぐえッ!」
へこたれずにエルフ女性へと声をかけた彼は、またもや顔面に一発いただいた。彼は不思議そうに首をひねると、再び「おかしいな」と呟いた。
そんな可哀想な彼を不憫に思ったのか、小人族が一人やって来て〈チョコくれ箱〉の中にチョコ箱を入れていってくれた。
「おじさん、可哀想だね。これでも食べて、元気になってね」
「いや、ちょっと、待っ――」
「きっと明日はいいことあるよ。頑張ってね、おじさん」
「だから、待っ――」
「大丈夫。世の中、世知辛いことだらけじゃあないよ。負けないでね、おじさん」
コビートは次から次へと現れて、気がつけば尖り耳狂の〈チョコくれ箱〉はコビートからのチョコでいっぱいとなっていた。彼は何とも言えない気まずそうな表情を浮かべると、大量のチョコを見つめてポツリとこぼした。
「小さい人たちに、とてつもなく励まされてしまった……」
「よかったな。一応、愛でいっぱいにはなったぜ」
「いやでも、これは何ていうか、心が痛いというか……」
「チェンジぃ。チェンジぃよぉ。チェンジを要求すぅるわぁ!」
尖り耳狂と死神ちゃんがハッと顔をあげると、そこには目を血走らせた僧侶の女性がメイスを握って立っていた。彼女は尖り耳狂を恨めしげに睨みつけると、地団駄を踏みながら叫んだ。
「可愛い子ちゃんたちの愛ぃは、全部私のものなぁのよ! そのポジぃション、私と代わぁりなさぁいよ!」
「いや、一応もらったものだからな! 渡さんぞ!?」
「男性エルフからはもらうことすら拒否したくせに、コビートからのはもらうのか」
「何でぇよ! あなた、女性エルフかぁらしか、要らなぁいんじゃあなかったぁの!?」
「ていうか、お前もどうせなら、人から取り上げるんじゃあなくて、直接コビートからもらえばいいだろうが」
「そうは言ってぇも、許せなぁいのよ!」
そう言って、女性はメイスを握り直すと尖り耳狂に襲いかかった。二人は、互いの〈偏執的な愛〉をかけて死闘を繰り広げた。しかし、結果は相打ちだった。死神ちゃんは〈付き合いきれない〉とばかりにため息をついて肩をすくめると、壁の中へと姿を消したのだった。
**********
死神ちゃんが待機室に戻ってくると、何故かそこにサーシャがいた。彼女は頬をつやつやとさせて、とても上機嫌だった。
「あの変態が面白いことになっているって聞いたから、死神課のモニターを見に来たんだ。あーあ、私もできることなら、一発殴りたかったな」
対して、周りの死神課メンバーはげっそりと頬をこけさせていた。どうやら、サーシャは尖り耳狂が殴られるたびに〈彼女は過去に、彼からこういう仕打ちを受けた〉と実況していたらしい。
「何ていうかもう、その変態性が凄まじくて。これは、もしあいつが天寿を全うしたら、死神課にスカウトされるんじゃあないかっていうレベルだった……」
死神ちゃんがげんなりとする横で、サーシャがにっこりと微笑んだ。
「大丈夫だよ。全尖り耳の安全を守るべく、尖り耳の代表としてこの私がそんなこと許さないから」
そう言って、彼女は鼻歌を歌いながら「アリサちゃんのところに行ってくる」と言い待機室から出ていった。さっそく、尖り耳狂がうっかりここの社員とならぬよう手配を行うつもりらしい。死神ちゃんはサーシャの背中を見送りながら「エルフさんたちは、本当に大変なんだなあ」と心中で同情したのだった。
――――尖り耳狂が裏表両方から追放される日も、そう遠くはないようDEATH……?
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説

断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる