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* 死神生活三年目&more *
第287話 死神ちゃんと追加戦士②
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死神ちゃんはダンジョンに降り立つと、三階の人気修行スポットへと急行した。広間に入ってみると、ちょうど黒ジャージの小人族が走り出したところだった。彼は大きく円を描くようにぐるりと一周走り終えると、肩を荒く上下させながら膝から崩れ落ちた。思わず、死神ちゃんは素っ頓狂な声を上げた。
「ええええええ、お前、たったそれだけで息切れするのかよ! そんなんでよく桃子ちゃんを陰ながら守れたよな!」
「あ、君は、いつぞやの……」
ゼエゼエと苦しそうに呼吸しながら、黒ジャージの彼はゆっくりと立ち上がろうとした。しかし彼はそのままべしゃりと地面に倒れ込んだ。死神ちゃんは慌てて駆け寄ると、肩を貸してやり、壁際まで連れて行ってやった。
彼は五色のジャージを着てヒーロー集団を気取る小人族〈ジャージメンファイブ〉のピンク・桃子ちゃんの幼馴染・黒澤君である。桃子ちゃんよりも年下の彼は、彼女より少し遅れて冒険者となったのだが、〈桃子ちゃんを追いかけて自分も冒険者になった〉とは言い出せず、彼女のことを陰ながら守っていた。前回遭遇時に、彼は追加戦士・ジャージメンブラックとして名乗りを上げ、ジャージメンたちの前に姿を現したはずだったのだが――。
「なのにどうして、一人で修行なんかしているんだよ?」
死神ちゃんが不思議そうに首を傾げると、黒澤君は水筒の中の水をごくごくと飲み干した。フウとひと息つくと、彼はにっこりと爽やかに笑って死神ちゃんの質問に答えた。
「だって、追加戦士っていうのは、いつも一緒に行動するものではないんでしょう? みんなの前に姿を現した後でも陰に忍んで、こそこそと助け舟を出して、ホントにホントのピンチのときにだけ颯爽と姿を現すんでしょう? だから僕、もっとしっかり忍べるように、頑張って忍者に転職したんだよ。本当は隠密になりたかったんだけど、今の僕にはなれそうもなかったから」
「で、どうして走り込みなんかしていたんだよ。ていうか、走り込みくらい、ダンジョン外でやれよ」
「だって、修行の成果をすぐさま試したいだろう? それに、僕の〈必殺の、陰ながら助け舟を出すための武器〉には、どうしても肺活量が必要だから」
「はい……?」
死神ちゃんが怪訝そうに眉根を寄せると、彼は満面の笑みで懐から細っちい棒を取り出した。死神ちゃんがなおもしかめっ面でいると、彼はきょとんとした顔で不思議そうに首をひねった。
「えっ、これが何だか分からないの? 忍者の嗜み、吹き矢だよ!」
「ああ、それで肺活量が必要なのか。でも、吹き矢ごときが必殺の武器になんかなり得ないだろ」
「いやいや、これが凄いらしいんだよ。手裏剣投げるよりも確殺らしいんだよ! 中でも、吹き矢を乱れ打ちするのが本当に強いらしくて!」
死神ちゃんは小馬鹿にするようにニヤニヤと笑うと、鼻息混じりに「いやまさか」と言った。黒澤君は不服そうに口を尖らせると、吹き矢を死神ちゃんに押し付けてきた。
「疑うなら、試してみるといいよ! ほら、あそこにちょうどモンスターが沸いただろう? アレを狙って、さあほら!」
死神ちゃんは渋々吹き矢を受け取ると、狙いを定めて棒に勢い良く空気を送り込んだ。すると、ドグシュッというえげつない音を立ててモンスターに矢が刺さり、モンスターはそのたった一撃で呆気なく倒れ伏した。死神ちゃんが愕然と目を見開き口をあんぐりとさせていると、黒澤君が死神ちゃんの手から吹き矢をもぎ取りながら「ね? 凄いでしょ?」と得意気に言った。
「いやいやいや、凄いってもんじゃあないだろアレは! 何なんだよ、威力おかしいだろう!」
「凄いね! 君、さすがは死神とあだ名されるだけあるね! 可愛い顔して確殺キメるだなんて、本当に凄いや!」
彼は羨望の眼差して死神ちゃんを見つめると、すごいすごいと繰り返した。一転して決まりが悪そうに笑うと、彼は吹き矢に口を添えて一生懸命に息を吹いた。しかし、矢は筒から飛び出してすぐに落下しただけだった。黒澤君は大きな瞳をうるうると滲ませると、ため息混じりにぼやいた。
「はあ、つらい……」
「いやお前、それ、逆にすごいな! そんな肺活量で、よく冒険者やれるよ!」
「肺活量と冒険者って、関係あるの? あるとしても吟遊詩人とか吹き矢使う職業くらいじゃあないの?」
「何言ってるんだよ。筋肉を無駄なく上手に使うにはな、きちんと呼吸できているか否か、酸素が体中にきちんと行き届いているか否かはとても重要なんだ。だから、肺活量は多いに越したことはないんだよ」
「へえ、そうなんだ。僕、お祭りの吹き矢屋台ですら攻略できなくて、地元のチビたちによくからかわれるんだよ。もうじき地元の夏祭りも近いことだし、桃子ちゃんを誘ってるし、ちょっとそういう意味でも気合い入れて吹き矢をマスターしたいよ」
死神ちゃんは大きくうなずくと、黒澤君に〈おうちでもできる肺活量トレーニング〉を教えてあげた。トレーニングといっても、正直、ただの腹式呼吸である。しかし黒澤君にとっては目からウロコだったようで、死神ちゃんと並んで立ち一生懸命にお腹を膨らませて呼吸をしていた。そして通りがかりの冒険者が、お子様二人がキリッとした表情で呼吸しながら「なんか、体の中を不思議な力が駆け巡りそう!」と声を上げるさまを、広間を覗いて目撃しては胸をキュンとさせて通り過ぎていった。
黒澤君は先ほどよりも何となく強くなった気分になると、ちょうどタイミングよく桃子ちゃんの悲鳴が聞こえてきた。彼は颯爽と現場に駆けつけると、こそこそと吹き矢を準備して巨大なモンスターめがけて吹いた。しかし、あたり前のことながら、矢が風を切ることはなかった。黒澤君が慌てふためいていると、どこからともなく女の子の「おほほ」という高笑いが聞こえてきた。ジャージメンたちが口々に「誰だ」と騒ぎ立てると、彼らとモンスターの間に白ジャージの小人族が姿を現した。
「桃子様は! この私が守るのですわ!」
黒沢君と死神ちゃんを含め、その場にいた全員が縦ロールヘアーの白ジャージ女子を凝視して「誰!?」と叫んだ。死神ちゃんは黒澤君のほうを向くと、苦い顔で捲し立てた。
「おい、何かよく分からないが、お前のお株、とられてるんじゃあないのか?」
「あっ、そうだね、そうだよね! 僕、こそこそしてないで、ちょっと行ってくるよ!」
黒澤君は吹き矢を懐にしまい込むと、代わりに短刀を手にしてジャージメンたちの前に躍り出た。姿を現した彼に桃子ちゃんが走り寄ると、白ジャージが悔しそうに顔を歪めてキーキーと文句を言い始めた。
「ちょっと、そこの黒いの! 後からやって来て何しれっと桃子様と仲良ししていらっしゃるのですの! 幼馴染か何か知りませんけれど、あなたに桃子様は任せられませんのよ!」
「ちょっと待って! 君、僕のことまで知ってるっていうの!? 一体誰なのさ!」
白と黒は敵前ということも忘れて言い争いをし始めた。ピンクはとりあえずのお決まりの台詞として「私のせいで争うのはやめて」をとりあえず言った。その台詞をきっかけに、他のジャージメンたちも何やら寸劇をし始めた。業を煮やしたモンスターは拳を一振りし、辺りにはメメントだかメメタだかという惨劇の音が響いた。一帯が静かになったことを確認すると、死神ちゃんは不思議そうに首を傾げて頭をボリボリと掻きながら壁の中へと姿を消した。
**********
死神ちゃんが待機室に戻ってくると、鉄砲玉がコオオと音を立てながら深呼吸をしていた。死神ちゃんが怪訝な表情を浮かべると、鉄砲玉はニヤリと笑って胸を張った。
「いやあ、お前が肺活量云々言ったときによ、俺様もちょいと気になって鍛えかたを調べたわけよ。そしたら、トレーニング用の器具があるんだって? その器具がよお、昔見た漫画に出てきた呼吸矯正マスクに似てるなあと思ってよ」
「あー、あれな。うん、たしかに似てるかもしれないな」
「お、ようやく俺様とお前とで会話の通じるものがあったか! 良かったよ、また前みたいに〈何言ってやがんだ、コイツ〉っていう目で見られなくてよ!」
鉄砲玉は嬉しそうに笑いながら再びコオオと深呼吸をし始めた。するとそこに、アリサがやって来た。彼女は何やら用事があって来たようなのだが、待機室に顔を出すなり顔をしかめて「やっぱり、後にするわ」と言って出ていった。何でも、鉄砲玉がコオオと深呼吸しているのを見て、何故だかは分からないが何となく嫌な気分になったらしい。鉄砲玉は憧れのアリサ様が踵を返して去っていったことに愕然としたが、死神ちゃんはただただ苦笑いを浮かべたのだった。
――――なお、アルデンタスさんのサロンに久々に顔を出したところ、肺活量は姿勢の良さも大切なのよと言って容赦のない施術をされ、マサちゃんは悲鳴を轟かせたそうDEATH。
「ええええええ、お前、たったそれだけで息切れするのかよ! そんなんでよく桃子ちゃんを陰ながら守れたよな!」
「あ、君は、いつぞやの……」
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彼は五色のジャージを着てヒーロー集団を気取る小人族〈ジャージメンファイブ〉のピンク・桃子ちゃんの幼馴染・黒澤君である。桃子ちゃんよりも年下の彼は、彼女より少し遅れて冒険者となったのだが、〈桃子ちゃんを追いかけて自分も冒険者になった〉とは言い出せず、彼女のことを陰ながら守っていた。前回遭遇時に、彼は追加戦士・ジャージメンブラックとして名乗りを上げ、ジャージメンたちの前に姿を現したはずだったのだが――。
「なのにどうして、一人で修行なんかしているんだよ?」
死神ちゃんが不思議そうに首を傾げると、黒澤君は水筒の中の水をごくごくと飲み干した。フウとひと息つくと、彼はにっこりと爽やかに笑って死神ちゃんの質問に答えた。
「だって、追加戦士っていうのは、いつも一緒に行動するものではないんでしょう? みんなの前に姿を現した後でも陰に忍んで、こそこそと助け舟を出して、ホントにホントのピンチのときにだけ颯爽と姿を現すんでしょう? だから僕、もっとしっかり忍べるように、頑張って忍者に転職したんだよ。本当は隠密になりたかったんだけど、今の僕にはなれそうもなかったから」
「で、どうして走り込みなんかしていたんだよ。ていうか、走り込みくらい、ダンジョン外でやれよ」
「だって、修行の成果をすぐさま試したいだろう? それに、僕の〈必殺の、陰ながら助け舟を出すための武器〉には、どうしても肺活量が必要だから」
「はい……?」
死神ちゃんが怪訝そうに眉根を寄せると、彼は満面の笑みで懐から細っちい棒を取り出した。死神ちゃんがなおもしかめっ面でいると、彼はきょとんとした顔で不思議そうに首をひねった。
「えっ、これが何だか分からないの? 忍者の嗜み、吹き矢だよ!」
「ああ、それで肺活量が必要なのか。でも、吹き矢ごときが必殺の武器になんかなり得ないだろ」
「いやいや、これが凄いらしいんだよ。手裏剣投げるよりも確殺らしいんだよ! 中でも、吹き矢を乱れ打ちするのが本当に強いらしくて!」
死神ちゃんは小馬鹿にするようにニヤニヤと笑うと、鼻息混じりに「いやまさか」と言った。黒澤君は不服そうに口を尖らせると、吹き矢を死神ちゃんに押し付けてきた。
「疑うなら、試してみるといいよ! ほら、あそこにちょうどモンスターが沸いただろう? アレを狙って、さあほら!」
死神ちゃんは渋々吹き矢を受け取ると、狙いを定めて棒に勢い良く空気を送り込んだ。すると、ドグシュッというえげつない音を立ててモンスターに矢が刺さり、モンスターはそのたった一撃で呆気なく倒れ伏した。死神ちゃんが愕然と目を見開き口をあんぐりとさせていると、黒澤君が死神ちゃんの手から吹き矢をもぎ取りながら「ね? 凄いでしょ?」と得意気に言った。
「いやいやいや、凄いってもんじゃあないだろアレは! 何なんだよ、威力おかしいだろう!」
「凄いね! 君、さすがは死神とあだ名されるだけあるね! 可愛い顔して確殺キメるだなんて、本当に凄いや!」
彼は羨望の眼差して死神ちゃんを見つめると、すごいすごいと繰り返した。一転して決まりが悪そうに笑うと、彼は吹き矢に口を添えて一生懸命に息を吹いた。しかし、矢は筒から飛び出してすぐに落下しただけだった。黒澤君は大きな瞳をうるうると滲ませると、ため息混じりにぼやいた。
「はあ、つらい……」
「いやお前、それ、逆にすごいな! そんな肺活量で、よく冒険者やれるよ!」
「肺活量と冒険者って、関係あるの? あるとしても吟遊詩人とか吹き矢使う職業くらいじゃあないの?」
「何言ってるんだよ。筋肉を無駄なく上手に使うにはな、きちんと呼吸できているか否か、酸素が体中にきちんと行き届いているか否かはとても重要なんだ。だから、肺活量は多いに越したことはないんだよ」
「へえ、そうなんだ。僕、お祭りの吹き矢屋台ですら攻略できなくて、地元のチビたちによくからかわれるんだよ。もうじき地元の夏祭りも近いことだし、桃子ちゃんを誘ってるし、ちょっとそういう意味でも気合い入れて吹き矢をマスターしたいよ」
死神ちゃんは大きくうなずくと、黒澤君に〈おうちでもできる肺活量トレーニング〉を教えてあげた。トレーニングといっても、正直、ただの腹式呼吸である。しかし黒澤君にとっては目からウロコだったようで、死神ちゃんと並んで立ち一生懸命にお腹を膨らませて呼吸をしていた。そして通りがかりの冒険者が、お子様二人がキリッとした表情で呼吸しながら「なんか、体の中を不思議な力が駆け巡りそう!」と声を上げるさまを、広間を覗いて目撃しては胸をキュンとさせて通り過ぎていった。
黒澤君は先ほどよりも何となく強くなった気分になると、ちょうどタイミングよく桃子ちゃんの悲鳴が聞こえてきた。彼は颯爽と現場に駆けつけると、こそこそと吹き矢を準備して巨大なモンスターめがけて吹いた。しかし、あたり前のことながら、矢が風を切ることはなかった。黒澤君が慌てふためいていると、どこからともなく女の子の「おほほ」という高笑いが聞こえてきた。ジャージメンたちが口々に「誰だ」と騒ぎ立てると、彼らとモンスターの間に白ジャージの小人族が姿を現した。
「桃子様は! この私が守るのですわ!」
黒沢君と死神ちゃんを含め、その場にいた全員が縦ロールヘアーの白ジャージ女子を凝視して「誰!?」と叫んだ。死神ちゃんは黒澤君のほうを向くと、苦い顔で捲し立てた。
「おい、何かよく分からないが、お前のお株、とられてるんじゃあないのか?」
「あっ、そうだね、そうだよね! 僕、こそこそしてないで、ちょっと行ってくるよ!」
黒澤君は吹き矢を懐にしまい込むと、代わりに短刀を手にしてジャージメンたちの前に躍り出た。姿を現した彼に桃子ちゃんが走り寄ると、白ジャージが悔しそうに顔を歪めてキーキーと文句を言い始めた。
「ちょっと、そこの黒いの! 後からやって来て何しれっと桃子様と仲良ししていらっしゃるのですの! 幼馴染か何か知りませんけれど、あなたに桃子様は任せられませんのよ!」
「ちょっと待って! 君、僕のことまで知ってるっていうの!? 一体誰なのさ!」
白と黒は敵前ということも忘れて言い争いをし始めた。ピンクはとりあえずのお決まりの台詞として「私のせいで争うのはやめて」をとりあえず言った。その台詞をきっかけに、他のジャージメンたちも何やら寸劇をし始めた。業を煮やしたモンスターは拳を一振りし、辺りにはメメントだかメメタだかという惨劇の音が響いた。一帯が静かになったことを確認すると、死神ちゃんは不思議そうに首を傾げて頭をボリボリと掻きながら壁の中へと姿を消した。
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死神ちゃんが待機室に戻ってくると、鉄砲玉がコオオと音を立てながら深呼吸をしていた。死神ちゃんが怪訝な表情を浮かべると、鉄砲玉はニヤリと笑って胸を張った。
「いやあ、お前が肺活量云々言ったときによ、俺様もちょいと気になって鍛えかたを調べたわけよ。そしたら、トレーニング用の器具があるんだって? その器具がよお、昔見た漫画に出てきた呼吸矯正マスクに似てるなあと思ってよ」
「あー、あれな。うん、たしかに似てるかもしれないな」
「お、ようやく俺様とお前とで会話の通じるものがあったか! 良かったよ、また前みたいに〈何言ってやがんだ、コイツ〉っていう目で見られなくてよ!」
鉄砲玉は嬉しそうに笑いながら再びコオオと深呼吸をし始めた。するとそこに、アリサがやって来た。彼女は何やら用事があって来たようなのだが、待機室に顔を出すなり顔をしかめて「やっぱり、後にするわ」と言って出ていった。何でも、鉄砲玉がコオオと深呼吸しているのを見て、何故だかは分からないが何となく嫌な気分になったらしい。鉄砲玉は憧れのアリサ様が踵を返して去っていったことに愕然としたが、死神ちゃんはただただ苦笑いを浮かべたのだった。
――――なお、アルデンタスさんのサロンに久々に顔を出したところ、肺活量は姿勢の良さも大切なのよと言って容赦のない施術をされ、マサちゃんは悲鳴を轟かせたそうDEATH。
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