奴隷少女は公爵夫婦に助けられました

ニチカ

文字の大きさ
上 下
8 / 10

8

しおりを挟む
ソフィーはリリスにピアノを教えていた。リリスは元々王宮で弾くほどのピアニストであり、ピアノにはとても長けていた。

「ソフィーちゃんは覚えるのがはやいわね」

ソフィーはまだ慣れていないながらも、リリスの練習にしっかりとついていけていた。

「次はヴァイオリンを弾いてみましょう!」

ソフィーはコクリと頷き、リリスに渡されたヴァイオリンを手に取った。ヴァイオリンをリリスが教えようとしたとき、音楽室のドアがノックされた。

リリスが部屋のドアを開けると慌てた様子のメイド長が立っていた。

「あの、皇太子殿下がいらっしゃいました……」

リリスは「え!?」と声を上げてから、急いでメイド長とリリスは1階に下り、客間へと急いだ。

ソフィーはヴァイオリンを持ちながら、音楽室の扉を見て、ぽかんとしていた。

リリスは客間へ行くと、豪華な服を着た王子がソファに座っていた。

「皇太子殿下」

リリスは皇太子の前で頭を下げた。

「おぉ!リリス、久しいな」

皇太子の名はカルロス・クライバー16歳、傲慢で、捻くれ者で、とにかくプライドが高い。自分の容姿が気に入らず、ノアのようなイケメンなどが大嫌いだ。

「なぜここに」

カルロスはニヤリと嫌な笑顔を浮かべた。

「奴隷を飼っているそうだな」

リリスはその言い方にとても腹が立ちながらも笑顔を保っていた。

「いえ、元は奴隷でしたが、今は私の娘でございます」

「養子にしたのか?」

カルロスはソファに仰け反った。

「はい、夫も賛成してくれましたから」

カルロスはソファから体を起こし立ち上がった。

「風の噂で美しい奴隷を飼ったとな」

「奴隷じゃありません。娘です」とリリスは言いにっこりと笑った。

「どっちでも同じだろ。俺にその娘を見せろ。気に入ったら婚約者にしてやってもいい」

カルロスは偉そうにそう言った。リリスは皇太子相手に下手なことは言えなかった。

「早くそいつの顔を見せろ」

「……分かりました」 




ソフィーは1人でピアノを弾いていた。そして音楽室のドアが開き、カルロスとリリスが入ってくると弾くのをやめた。

「奴隷にしてはまぁまぁだな。もっとふっくらしていればいいんだが」

カルロスはソフィーに近づき、ソフィーの顔をグッと掴んだ。

「見れば見るほど貧相だな。だが顔だけは一級品のようだな」

ソフィーはカルロスの腕を掴んだ。 

「私の娘を物のように扱わないでください」

リリスは嫌な汗をかきながら、カルロスを睨みつけた。

「…やっと子供が出来て母親ヅラか?」

リリスは心を抉られたようだった。そのとき、ソフィーは乱暴に鍵盤を叩いた。

カルロスはそれに驚きソフィーの顔を掴んでいた手を離した。
リリスもカルロスの腕を離した。

「ソフィー…ちゃん」 

「お前、俺が誰か分かっての行為か?奴隷には分かるわけないがな」

「第三子息、カルロス・クライバー皇太子殿下。○○年5月8日生まれ、血液型はB型、星座は…」

「もういい!」

カルロスはソフィーの言っていたことを遮った。ソフィーはピアノの鍵盤を閉じ、リリスに近寄った。

「ソフィーちゃん…」 

ソフィーはリリスに手を貸し、立たせた。

「カルロス皇太子殿下、私は少し具合が悪くなってしまって、またの時に…」

「また来よう」











しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

待って、触れられ、見つめられ

凛子
恋愛
大好きなあの人に会えることを、心待ちにしている乾志保。 会えば触れられ、見つめられる。 ドキドキ胸キュンの短編。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

処理中です...