1 / 1
上手くいかない私の話
しおりを挟む私はあの人のことが好きだ。
いつまでも、多分好きだ。胃の上の方がぐわんぐわんしている。さっき食べた、オクラとミョウガと、ラーメンがぐわんぐわんしている。
私はいつも人に変だと言われる。何故かわからないが変だと言われる。どうしても普通になれないと思う。
特に恋愛においては、いつも何故か失敗してしまう。上手くいく人の意味がわからない。何故、生理前に不安定にならないのか?何故、言葉が変になってしまって相手の男を不審がらせないのか?
何故?何で私だけ上手くできないんだろう。
ひと月のうち、私は大体変なことを考えている。それは、エッチなことだったり、男の人のことだったり、友達への妬みだったりする。
友達が彼氏と喧嘩してると聞くと楽しくなったり、不気味な絵を描いて1人でニヤついたり、夜道歌を歌いながら外を歩いたり。どうにかして誰かに見てほしいという気持ちと、あーー!!!っと大声で叫びたくなる気持ちが入り混じって、どんどん不思議な女になっていく。
誰も、分かってくれないと思う。私は、私のこのおかしさには、誰も共感してくれないと思う。でも、あの人だけは分かってくれそうな気がしたから、1200文字に及ぶラブレターをこの前渡した。そうしたら、彼は、「変な子だな。謎。」と言い残して、静かに消えていった。消えないで、逃げないで、と思うたびに、私はまたどんどん変になってゆき、次第には夜中泣きながら日記をつける。暴飲暴食をして、胃が気持ち悪くなってまた泣きそうになる。
そんなことをしていたら、夜眠れなくなって、薬をもらうようになった。私が私を抑えられないのなら、誰も分かってくれないのなら、薬で感情を殺してしまえばいいんだ。と、やっと分かった。
そうしたら、だいぶ奇行が減った。ただ、薬が切れてハイテンションになると、また奇行を繰り返して男を引かせてしまう。
何故、女友達の前だと普通になれるのか?それは私のプライドが関係していて、軽くいじられたりするぐらいなら許すけれど、馬鹿にされていると思ったら、真顔になり、早口で相手を詰め続けて、私はこれぐらいできるから黙っておけ、とマウントをしっかり取る。
男に対しても、これくらい強気で行きたいのに、それが難しい。なんとかして歩み寄って、隠して、でも、隠せなくて、結局私には22年間彼氏が居ない。友達には彼氏が居て、結婚している子も居て、出会いがある子も居て、なんでだろう。何で私だけ下手くそなんだろう。なんでだろう。
私頑張ってるのに、なんでだろう。私こそが誰かに大事にされるべきなのに。しっかり、自立した女は男なんていらないのに。何でだろう。私は、男の人にすごくすごく愛されたいのに。
誰でも良いのに。笑顔が可愛かったり、背が高かったり、話し声が優しかったり、それだけで良いのに。なんで。
この前は、女友達から、「もっといい人がいると思うよ~?」「ここをこうするからいけないんだよ~。」「~~してみれば良いんじゃない?」「頑張って!またなんか悩みあったら連絡して!」と言われた。あんたらに言われたくない。あんた①あんた②は、何も知らない。あんた達が、「この前彼氏と熱海に行って~!」「この前知り合った男と仲良くなっちゃって~!」などと話す時、私がどれほど傷ついているか、あんた達は知らない。いっぱい色んな男に連絡をとって、この人だ!と思う人に出会うたび、向こうは私のことを好きにならなかった。
女としてのプライドなど、20代にしてボロボロになってしまった。
その代わり、私のことを好きになる男は、大体乱暴で、無駄に頭は良く、論破癖があるような小うるさい男ばかりだった。
「女は劣っている」と語り出した男もいた。社会的に不利だから、俺は絶対に女にならないと言った。
私はその時その男を殺そうと思った。ナイフを握って後ろから奴の背中を見たのだけれど、その瞬間、「誰にも愛されていない」という文字が見えた。よく見たら、白いワイシャツから血が滲み出てきて、俺は誰にも愛されてこなかったという文字も滲んできて、私はその背中が相当に気持ち悪くなり、ナイフを床に落とした。
男は、私が床に落ちたナイフで親指を切って血が出ているのに気がつき、「大丈夫?」と心配してくれた。その男の上半身は、私が刺さなくても、もう真っ赤だった。
そんな経験もあって、私は未だに彼氏が居ない。好きな人ができては振られ、振られ、振られ!振られている。何がいけないのか、分からない。と言いたいのに、顔がブスなこと、性格が捻くれていること、急に突飛なことをしたくなり、周りの人を驚かせてしまうこと、から、私がモテないという理由は証明されている。
誰か、私の話をゆっくり聞いてほしい。私は、今、すごく悲しいのだと。精神安定剤を飲んでいることを母に言ったら、「育て方間違えちゃったかな、ごめんね。」と言われた。お母さん、心配しなくていいよ。私はもう孤独に生きていくから何も心配いらないよ。
悲しくて悲しくて、こんな私の不安を抱き締めてくれるのは、多分、40歳既婚のサラリーマンなのだ。やっと余裕が出てきて、妻も子どもも居て、でも少し魔がさして、若い女に近寄ってきてこう言う。「君の苦しみがよく分かる。君は他の女の子とは違って、きっと頭が良すぎるんだ。大丈夫だよ。どんなことが不安か、ひとつずつ、言ってごらん?」
もう私の未来は暗い。これだけ思春期に捻くれてしまうと、30歳まで捻くれる予感がする。ここで思いっきり吐き出しておけば、もしかしたら、幸せになれるかもしれないけれど。
夜中に優しい人がそばに居てくれたらいいなぁ。然るべき時に然るべき人に出会って、私の変なところも、少しずつ知ってもらうのだ。
食べ物は、左側からしか食べられない。隣の家から壁ドンされている気がして気が狂いそうになって夜中急に外に飛び出し出して走り回ったりする、臭い匂いが好きでどんなものでも嗅ぎたくなってしまう。
「そうか、そうなんだ。君って本当に面白いね。」
この場合男は逃げていく可能性が高い。
「そうか、そうなんだ。僕はそんな君が素直で可愛いと思う。もっと色々聞かせてくれないか。」この場合男は死ぬまで私のそばに居てくれるはずだ。
もう今の生活が嫌で嫌で仕方がない。女同士が1番マウントを取り合うこの時期に、私はずっと傷ついてばかりだ。みんなに、なぜかアドバイスされて、私は、アドバイスできる側の人間にはなれない。悔しくて、悔しくて、たまらない。
私に何も見せびらかさないで欲しい。お願い。女友達も、男友達だって、お前にはどうせ彼氏いないだろって、辞めて欲しい。「やっぱ今日行けない、ごめん。」そんな言葉、うるさい。うるさい。うるさい。
もう、みんな消えろ、消えろ、消えてしまえ!!!
誰が私の苦しみを分かるんだ。誰が私のことを下にみていいんだ!!
彼氏が居ないと、何も始まらないんだ。私の幸せは始まらないんだ。嫌だ、でも、私は、1人も好きだ。
どうせみんな上手くいかなくなる。私は1人で暇潰しができる。これでいい、これで良いんだ。
ただ、もし違う世界線に生きていたら、彼氏が居て仕事も楽しんで、そんな生活を送りたかったな。1分1秒でも早く。父親にも愛されて来なかったから、私の中の愛は、枯渇している。
私の心こそ、今、血だらけなのかもしれない。
彼氏を作って、どうしてもやってみたいことがある。今まで私に散々マウントを取ってた女と、こいつならドタキャンしても良いだろうと私を軽く見た男に対して、思いっきり幸せなところを見せつけてやることだ。
あ、こいつ、ついに彼氏できたのか。え、あの子彼氏できたんだ。へぇ~。(く、悔しい)という思いにさせてやるんだ。させてやるんだ。
私はそれほど性格が悪いんだ。みんなと同じ考えになれないんだ。良いねと良くないねボタンがあるとしたら、9割の人が良くないねボタンを押すタイプの考え方かもしれない。
でも、私の心こそが1番貧しいことはもう自分が一番分かっているから、でもこうやって吐き出さないと、もう誰にも強く言えないから、こうしたんだ。
私は、これで、良いんだ。
私の青春は、これで良いんだ。
私は、小学生の頃初めて虐められた。その時から、今までの人生で、なんとなく、「あぁ、自分は虐げられる側の人間かもしれない。」と言うことが分かってきた。
みんな、普通が良くて、みんな変は嫌いなんだ。
私のことは、みんな嫌いなんだ。
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話

モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。

うるさい!お前は俺の言う事を聞いてればいいんだよ!と言われましたが
仏白目
恋愛
私達、幼馴染ってだけの関係よね?
私アマーリア.シンクレアには、ケント.モダール伯爵令息という幼馴染がいる
小さな頃から一緒に遊んだり 一緒にいた時間は長いけど あなたにそんな態度を取られるのは変だと思うの・・・
*作者ご都合主義の世界観でのフィクションです

妻を蔑ろにしていた結果。
下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。
主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。
小説家になろう様でも投稿しています。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる