閻魔の息子

亜坊 ひろ

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第2章【鳥と話す少年】

【閻魔の息子】22

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 “人間め…思い知らせてやる”

 輪廻の脳裏に魔界でのキマラの言葉が木霊していた。

 「あの野郎、本気なのか…」

 そんな時携帯電話がけたたましく鳴る。

 「もしもし?」

 「“バカヤロー!もしもしじゃねえ!なーにやってんだ!店はもうとっくに開店してんだぞ!早くこーい!“」

 「“ヤバっ”て、店長!ごめんなさーい。」

 「“配達がいなんじゃ商売あがったりだ!客を待たせんじゃねえ!急げー!ブツッ”」

 電話の主は俺が働いている宅配ピザ屋の店長の白井さん。俺達兄妹の身元引き受け人。気は優しいけど怒ると怖い。未だ花の?独身。

 「沙羅乗れ!詳しいことは昼休みと仕事後だ。いつもの公園に送る」

 「私今日、サラミー!ワン!」

 「犬がピザ食うな!」

 “ブゥオオン“

 午前中の仕事を蟻のごとく片付け昼休み―。

 「慎二、昼いいぞ」

 「はい、2時か…。昼いってきまーす」

 町外れの公園―

 「沙羅、お待ちどう」

 「ワンワン!」

輪廻が持って来たピザをヒョイとぶん取り貪り食う。

 「がっつくなよ!俺の分も…あーあ」

 「“モグモグ”おいしーい!あれ?飲み物は?」

 「あのな~」

 自動販売機から二本のオレンジジュース。

 「ほれ、悔しかったら開けてみろ~」

 「意地悪~ぶーぶーワン」

 「小声で話そう。誰かに聞かれたら大変だからな」

 「?」

 食事の手を止めて、見いる沙羅の目の方向には。

 「な、なんだ?あの鳥たちは。子供の周りに集まってくるぞ」

 「あの子、昨日もここにいたんだけど…一人ぼっちだった」

 「すごいな、餌でもやってんのかな?」

 「まさか、あんな野鳥は餌で人になんか寄り付きませんよ。それに餌なんて持ってないし」

 「夏休みの宿題じゃないのか?」

 「宿題そのものをやらん奴がかってなこと言わないで」

 「なろう。“ボカ”」

 「痛ーい」

 気になったので輪廻が話かけようとしたら。

 「よう、少年。すごいな…」

“バサバサバサ”

 鳥たちが一斉に飛ぶ。それに驚く輪廻達。

 「うぁ!」

 飛んで行く鳥たちを見つめる少年の顔が急に悲しげに変わる。

「…」

「ごめんよ、そんなつもりじゃ…」

「…」

 輪廻の顔を泣き顔で見つめた後、足早に去っていく。

 「あ、待って」

 すると後ろから老人の声が。

 「よろしいですかな…」

 「え?は、はぁ」

続く

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