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第1章【閻魔の息子・輪廻】
【閻魔の息子】19
しおりを挟む「死神どもは?」
「こ、ここにいるんですけど…“沙羅さーま!イターイ!”こんにゃろ!やはり見えません?今のリン様では魔力が著しく低下してますので見えないんです。徐々に戻りますよ、痛い!あんたたち~!“ウヒー!”」
一人で暴れる沙羅を尻目に魔力が本当に戻るのか不安になる。
「まずは身体を元通りにしてからだな、後の事は退院してから考えよう」
「あ゛~い大王にはその様に伝えておぎわ゛ーす。“参った、沙羅さーま。いだい、はなじで”」
「あ、それとあと、ちょっと気になる事が…」
「ん?どうした?」
死神との喧嘩を止め急に真面目な顔つきで沙羅が言うには。
「いえ、リン様がこちらに来た時に、リン様突き落とされたでしょ?あの時裏山でリン様以外の虹色に光る人影を見たんです。それも実体みたいのが」
「なんだって?俺以外の実体?」
「負傷していたみたいで、血の跡がありました」
「うーん…俺も丁度穴から出ると思った時、後ろから押し出された様な感じはしたんだけど。そういうものだと思っていたからあまり気にはしてなかったんだ。それにしても変だな?じゃそれも含めて俺が退院したら調べて見よう」
「はい、じゃあ私は大王様と連絡をとりながら待機してます」
「頼むよ。それにしても犬って不便じゃない?」
「あら、そんなこと無いですよ。食べ物にも不自由しませんし、人間には一番身近な生き物ですし。それじゃあまず」
「わかった。そんじゃあ暫く休ませていただきますか」
輪廻の身体の回復は思ったより早く全快となった。
そして一週間が過ぎた―
病院の玄関先で医者とナースに見送りを受ける輪廻と沙羅。
「退院おめでとう。正直言って驚いているよ、普通なら1ヶ月くらいはかかるはずなのに、たった10日間で治ってしまうなんて。あれだけの怪我を…何度も言うようだか、奇跡だよ、本当に。骨折もすっかり元通りだ…。不思議だが、ま、とにかく何よりだ」
「先生のおかげですよ…アハハ。ありがとうございます、それでは」
「ワンワン!」
「おぅ、さ、サラ!“ここは早いうちにとんずらだな”」
そそくさと挨拶を済ませ、立ち去ろうとする二人?に遠くから。
「お兄ちゃ~ん!」
「ゲッ!?あ、あの声は!」
案の定そこには妹の裕子と、その横には刑事の越知と店長の白井が立っていた。
続く
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