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第1章【閻魔の息子・輪廻】
【閻魔の息子】12
しおりを挟む第1話【閻魔の息子】1-12
社内では閻魔が沙羅に連絡をとっていた。
「沙羅よ、聞こえるか。もうじき北の空に輪廻が見えてくるはずだ、確認出来次第連絡を」
「”はい、はーい。えーとまだ…こちらの方では…。!?えーと…、あれ?かな?”」
雲の隙間から少しずつ光が射し込んで来たと思った、その時。
“ピシャッ!ズバーン!!!”
稲光と共にに轟く雷鳴。
「キャッ!耳が痛~い。」
突然の轟音に驚いたのは沙羅はもちろん、閻魔もその一人だった。
「どうした沙羅!何かあったのか?」
「“は…はい。丁度今空が光ったと思ったらいきなり稲妻が落ちてきて、あービックリした“」
一抹の不安が閻魔に過る。
「輪廻は…大丈夫か?」
「”裏山に落ちた見たいですね。ここからじゃ…わかりません。只今確認に行きます”」
「なんとしたことか…輪廻」
人間界―
死神と共に裏山へ走る沙羅。
「えっほ、えっほ、どぉーだぁ?死神どもー!」
「ウヒー!ウヒ、沙羅さーま、あそこ、あそこ」
「どれ、どれ?」
「あそこ、光、ある。」
「うん、そうね間違いない!」
生い茂った藪をかき分け、光が洩れるところに首を突っ込むと。
“シュッ!ドン!”
虹色の光に包まれた人影が藪から跳びび出してきた。
「ウヒャー!」
「くっ…痛ぅ…なんだ?犬か…」
そう言って、ふらつく様な足取りで暗闇の中へ紛れこむかの様に光が小さくなり消えて行った。
「痛たた…な、何?今の?輪廻様?でも今の実体よね???」
「ウヒ、そう、みたい。でも、これ、見て」
そこにはおびただしい血痕が。
「血よ!血ー!!!輪廻様~!」
「う、うーん…」
「へ?」
声がする方向を見るともうひとつの虹色の光が、それは間違いく輪廻の魂だった。
「痛ってぇ…魂でも痛みあるんだな~…なんなんだよ一体」
「輪廻様?もしかして?輪廻様ですよね。よかったー」
そんな喜ぶ沙羅の姿に輪廻も驚く。
「へ?い、犬が口利いてる~ひぃぃ~」
「輪廻様、輪廻様、待ってください、私ですよ、沙羅にございま~す」
「さ、沙羅さん?って、なんで犬なんすか?」
耳が垂れ、目のまあるい、どこにでもいそうでいないそんな白い犬。
「うーんと、これには色々ふかーい訳が。ま、固いことは抜きね」
「はぁ…別に固くはない…と思うんだけど?」
ともあれ無事に人間界へとたどり着いた輪廻でした。
続く
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