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第1章【閻魔の息子・輪廻】
【閻魔の息子】10
しおりを挟む「では、頼むぞ沙羅」
「“お任せくださ~い。うふふ”」
「大丈夫。あちらについたらあやつがすべて上手くやってくれる」
「あ、ああ…」
閻魔の沙羅へ命令に輪廻の内心は複雑だった。
“何がうふふだよ!死神だぁ?更に不安を煽りやがって!大丈夫じゃあねぇよ!”
「では、そろそろ…支度に移るぞ。そこに横になるのだ、お前の身体と魂を分離する」
「分離?分離ってどうやって?」
「心配ない。痛みなど無いから一瞬で済む」
「?」
そう言って閻魔が奥から持ってきた物は身の丈ほどある木槌であった。
「よっこらせ。いくぞ~輪廻!」
「!?、ひぃぃ~!」
力いっぱい輪廻の頭めがけ振り落とす。
「☆*#☆△×…」
…“真っ暗だった…。何が起きたのか全然分からなかった。気がついたら親父の顔が目の前にあった。”
「なんだよ!いきなり!殺す気か!って…な、なんで俺がここで寝てんだ?」
横たわる自分自身を見た輪廻本人が驚いた。
「これが俺ってことは…。俺は誰?…って俺身体透けてるぞー!」
「お前が輪廻の魂だ、この木槌でわしが分けた。といっても死んではおらん、いわゆる仮死状態ってやつだから肉体はずっとこのままだ」
「またえらく古典的な…。魂ね…ハハ…いやはやなんとも…」
理解はしていたつもり?でも身体と心が別々になると言うのはあまり気分の良いものではない。
「では、天城門へ向かうぞ。よいか、天城門の奥に帰生穴と言う穴がある、その穴が人間界への入口だ。一度入ったら後戻りは出来ん」
「なんで生身じゃ駄目なんだよ?」
「名の通り、生まれ帰る穴、転生を許されたものだけが入れる。間違って生身のまま落ちると身体から魂が引き出され、魂が時間の歪みに吸い込まて、さまよいたどり着く先は…。消滅かまぁ上手く転生出来たとしても現在なのかどうかも分からん」
「それで魂だけだと肉体が無いから、時間の狭間でさまようこともなく現在の人間界に行けるか、な~るほど」
「では、よいな行くぞ」
外ではカド爺とカシムが別れを惜しむかの様に立っていた。
「お気をつけていってらっしゃいませ、輪廻様」
「ああ、お前達も身体を大事にしろよ。親父のこと、頼む」
「なんと!魂になってもお優しい~、この爺、嬉しゅうて涙が止まりませぬぅ」
優しく笑う閻魔の目にも光るものがあった。
続く
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