閻魔の息子

亜坊 ひろ

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第1章【閻魔の息子・輪廻】

【閻魔の息子】8

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 「ケッ、らしくねぇことをぬかしやがる。チームを作るんじゃなかったのか?え?」

 「そのことは謝る…すまん」

 腑抜けなった輪廻を見て更に吠えるキマラ。

 「くそったれ!好きにすりゃいいさ、どうせお前ら天魔人と魔界人の俺達鬼は違うんだよ」

 「…」

 「すぐに戻っくるんだろ?」

 「わかんねぇ…お前も達者でな」

 キマラの輪廻に対しての思いが怒りと変わり下界の人間へと向けられる。

 「くそっ…。人間め…思い知らせてやる…」

 「何言ってるんだ、戦争しに行くわけじゃないんだぞ、あくまでも親父の仕事のイロハを学ぶためだ」

「ふん…」

 キマラに別れを告げ、朝まで天馬ともに家には帰らなかった。


 次の日―

 「輪廻様、下界行きの用意が整いましたので社の方へと大王様がお呼びでございます」

「ああ、すぐ行く…」

 気のない返事、心持ちか不安にかられる自分にイラついた。

「くそっ…」

部屋を出て社までの間、そう遠くない時間でも長く感じた。

社に着くとカシムが待っていた。

「輪廻様、お気をつけて行ってらしゃいませ」

「ああ…。なぁカシム」

「なんでございましょう?」

 「…。アトラスを貰ってくれないか?俺がいない間寂しい思いさせたくないんだ」

 「な、なんですと!?よろしいのですか?あの名馬を私などに」

 「嫌か?」

 「何ともったいのう、あまりに有難いことなので。わかりました、わたくしが責任を持って頂きます、大事にいたしますです」

 「そうか、良かった」

 「嬉しゅうございます」

 「じゃ行ってくる」

 「はっ、行ってらっしゃいませ」

 背中を向け社へ向かう輪廻に深々と頭を下げるカシムであった。

「ほぉーでは、早速…」

 そう行って隣の馬厩舎へ。

「ヒーンブゥルルル…」

 「ドウドウ…、なんといい毛ヅヤ、ホント素晴らしい。どれどれ、ひとっ走り」

 カシムが鞍に足をかけ乗ろうとした時、遠くから輪廻の声。

 「カシム~!言い忘れてた~!その馬まだ支払い残ってから~!」

「!?」

 そのまま転げ落ちるカシム。

 「ブシシシッ」

 馬にさえ笑われていました。

続く

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