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魔王の果実Ⅱ朽ちてゆく者【第11話】
しおりを挟むマドリアの禍々しい魔気に反応するベルルとラナリュ。
「おばさん…。この気って?」
「この気、間違いない…マドリアじゃ。悪気がここまで届くとはな」
店の外へ出て気を探る。
「あの裏山の方だね…。針の様にチクチクするよ…」
「裏山?ま、まさかメヒスト!」
「え?相棒さん?…。そりゃまずいや…。あの魔気は、殺意のかたまりみたいなもんだよ。仕方ないなぁ…先に行くよ。“ヒュン”」
「な、ラナリュ!」
今のベルルにはどうしようもなかった。その理由を分かっているがゆえに。
「ふん…。恨むならベルルを恨みな…」
立ち去ろとするマドリアの前にラナリュが現れる。
“ヒュン”
「なに?貴様何処から…」
倒れてるメヒストの元へラナリュが。
「オッサン!オッサンてば!まずいな…。完全にのびてるよ…。この火傷は…。爆裂魔法か?」
そこに躊躇なくマドリアの攻撃が飛ぶ。
「バストラ!」
しかしそれを簡単に手刀で弾き飛ばすラナリュ。
“バキーン!ダーン!!”
「小僧…。何者だ貴様!」
「へぇ…。詠唱なしで中級魔法できるんだね…。でも不意討ちには関心しないな…。あんたマドリアだろ?ミハエルの言ってた通りだね…。小僧だの、坊主だの、だからおばさんは嫌なんだよ…」
「ミハエルだと…貴様ベルルの手先か!?丁度いい…その役立たずよりかはましか…ベルルに伝えとけ…3日後の満月の夜に、海浜港の埠頭にピスコの石を持ってこいと。私の使い魔から奪ったのは分かっている」
「あ、はいはい…。今日は挨拶だけね。このオッサンに死なれたらミハエル様にどやされるんで…。それじゃ“ヒュン”」
メヒストと共にマドリアの前から消えた。
「あの小僧…。導師級の魔術を何処で…まさか?王族?ミハエルが考えそうな事だな。だが私の野望の邪魔はさせんぞ…」
ラナリュが店裏へ戻って来た。
「“ヒュン”。おばさ~ん氷くれないかな。早くしないと、相棒のオッサン死んじゃうよ~」
バタバタと店裏へベルルが。
「ラナリュか!?メ、メヒスト!しっかりするんじゃ!メヒスト!」
「もうおばさん!氷だってば!一応回復魔法“ヒーラ”かけておいたけど、意識戻らないから火傷だけは冷やしておいたほうがいいよ、だから氷!」
「あ、ああ…わかった…」
取り乱してしまった自分に情けなさを感じるベルル。
「すまんなラナリュ…」
「ねぇ…そんなに落ち込まないでくれないかな…。でもさ…おばさんとオッサンの関係って何?まさかと思うけど…これ?」
親指を立てるラナリュ。
「馬鹿が!な、なんで…わしと…メヒストが…仕方ない…メヒストを助けてくれたからおしえるわい…」
暫くの沈黙の後。
「わしとメヒスト…は同一人物じゃ…」
「え?どうゆうこと?」
「魔界から追放を受けた折、自分に戒めの楔を打った…。禁術で自己を…分割したのじゃ…。だから魔力も半端…知力はわしに残したが、体力や年齢はメヒストに…」
「ははん…。だからか…歳のわりに随分老けてるなって違和感があったんだ…」
「…ふぅ」
「じゃ、魔法陣がないと上級魔法詠唱出来ないってこと?メヒストのオッサンいないとダメじゃん」
図星をつかれ更に落ち込むベルル。
「…そうじゃ」
どこから来る自信なのかマドリア討伐への意欲を見せたラナリュ。
「大丈夫さ、俺がいればあのイカれ魔女倒せるから。そうだ、マドリアからおばさんに言付けが…あ、でも無理か…。ピスコの石おばさん持ってるの?俺に貸して」
第12話へ続く
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