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磁器人形
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そこには一定の緯度、経度ごとに細い線で描かれた球が表示されており、その立体図の中に小さい点が表示されていた。
点は広がったり、中心部に集まったりしている。
「我々にはこう見えているのですが……」
さっきの霊の動きと一致している。分散して、どこにも行けないまままた中心付近に戻ってくる。
晶紀は窓から球体の中心を眺めた。
そしてもう一度その表示と見比べる。
「すこし時間の差がありますけど、同じ動きをしていますよ」
「そうですか。非常にうれしいです」
黒いスーツの『家の者』はサングラスを外して、もう一つのディスプレイを指差した。
その画面の方が、時間差が少なく、リアルタイムに表現されているように思えた。晶紀は言った。
「これは?」
「これは、別の測定方法を試しているところなんです」
「こっちの方がリアルタイムに表示されているようです」
黒いスーツの男が、人差し指をピンと立てて笑顔になった。
「そうでしょう? そうなんです」
男は喜んで話し始めたが、晶紀には何を言っているのか理解出来なかった。
結局はこの大きな球体で測定している内容を、大雑把な把握の方法で、置き換えることが出来て大雑把な把握方法の方であれば、処理スピードが速くなるということらしい。
「これは今回のような強い霊の場合しか使えないのですが、リアルタイムに知りたい場合や、パソコンの能力が低い場合なんかでも表示が可能です」
「じゃ、こんなのでも?」
そう言って晶紀はスマフォを取り出した。
「えっ?」
「例えば、アンテナみたいなのをここにつけて」
「あ、えっと…… 実はスマフォって特定の計算は非常に優れていて…… そうですね…… 正確な値が知りたいわけではないのですから……」
黒いスーツの男はテーブルに合った紙を裏返して、簡単な図を描いて計算している。
「そうですね、もしかしたら」
白衣を着た方の研究員とボソボソと話し合っている。
「そうだな。そのアイデアで作ってみようよ」
「じゃあ、さっそく試作に取りかかります」
晶紀があっけに取られていると、黒いスーツの男は部屋を出て行った。
もしかして、もう私は用済みでは…… などと考えながら、黒いスーツの男が出て行った方を見つめていると、替わりに、白衣を着た男が晶紀の前に来た。
「天摩様。今日は、天摩様の測定をさせてもらってもよろしいでしょうか」
「測定?」
「この球体の中に降りていただいて、霊力を強く出したり弱く出したりして欲しいんです」
「……」
強くしたり、弱くしたり…… 晶紀にはそういう感覚がなかった。必要な力が強いのか、弱いのかが分からないのだ。確かに、体を持ち上げようと言う時は疲れるから強いのだろう、ということは分かる。
「わかりました。いいですよ。何か軽いものと、重いものを貸してください。それを持ち上げたりする時、霊力でアシストすれば霊力が出ると思いますので」
白衣を着た男は、部屋の中をきょろきょろと見回した。
そして机の下からおもむろにオフホワイトの機械を持ってきた。
「重い方はこれで、軽いのは例えばこの紙を丸めたものにしましょうか」
白衣を来た男は、はかりの上に機械を乗せてスマフォに記録した。次に紙を丸めて乗せ、同じように記録した。
「じゃあ、ちょっと下まで行きましょうか」
機械を両手で持ち上げ、その上に紙を丸めたものを置いて、白衣の男が歩きだした。晶紀はその後をついていく。
球状の空間は何か所かに階段が作って合って、下に降りれるようになっていた。
白衣の男について、その階段を使って下に降りていく。
晶紀は歩きながら、この空間の中心にいる霊をみていた。拡散して、再び中央に集まってくる。霊は同じことをずっと続けているようだった。
「この霊はいつからこの状態なんですか?」
晶紀は少し見上げるようにしていたが、白衣の男は足元を見ながら一歩一歩、ゆっくり歩いていた。
「三日前からこの運動を繰り返してますね。どうかしましたか?」
ようやく球形をした空間の底にあたる部分に降りてきた。
男は機械と紙を下におろして、スマフォでなにか確認していた。
晶紀は男にたずねた。
「この実験室は霊が暴走した時はどうするのでしょうか?」
「霊が暴走? どういう状態のことを『暴走』と呼ぶのかが分かりませんが、想定外の自体が発生した場合はこの地下全体を破棄することになると思います」
晶紀は頭上の空間で外に出ようとバラバラになる霊力とどこにも行けずに再び集まってくる霊の、繰り返す動きを見上げている。
「例えばここにいる霊ですが」
晶紀は指で上をさすが、男はその方向を向かない。見えないことはわかりきっているからだろう。
「はい」
「今はまだ、集まったり散らばったりを繰り返しているだけですが、外から強い霊力を引き寄せるようになったら」
「さっき、ここは霊を閉じ込めているって。つまり外からも入れないっていうことでしょう?」
「……」
いや、白衣の男の人が言う通りだ。しかし、本当はどうなんだろう。ここで何度もこの収縮をしていると、そのうちに強い霊を引き込んでしまったり、この中で力を蓄えたりしないとは限らないのだが。晶紀は頭上で繰り返している霊から感じる『嫌な予感』を説明できなかった。
「とにかく、測定できないほど強くなる前に警報がでるようにするとか、なにか対策を」
「室長に掛け合ってみます」
「お願いします」
点は広がったり、中心部に集まったりしている。
「我々にはこう見えているのですが……」
さっきの霊の動きと一致している。分散して、どこにも行けないまままた中心付近に戻ってくる。
晶紀は窓から球体の中心を眺めた。
そしてもう一度その表示と見比べる。
「すこし時間の差がありますけど、同じ動きをしていますよ」
「そうですか。非常にうれしいです」
黒いスーツの『家の者』はサングラスを外して、もう一つのディスプレイを指差した。
その画面の方が、時間差が少なく、リアルタイムに表現されているように思えた。晶紀は言った。
「これは?」
「これは、別の測定方法を試しているところなんです」
「こっちの方がリアルタイムに表示されているようです」
黒いスーツの男が、人差し指をピンと立てて笑顔になった。
「そうでしょう? そうなんです」
男は喜んで話し始めたが、晶紀には何を言っているのか理解出来なかった。
結局はこの大きな球体で測定している内容を、大雑把な把握の方法で、置き換えることが出来て大雑把な把握方法の方であれば、処理スピードが速くなるということらしい。
「これは今回のような強い霊の場合しか使えないのですが、リアルタイムに知りたい場合や、パソコンの能力が低い場合なんかでも表示が可能です」
「じゃ、こんなのでも?」
そう言って晶紀はスマフォを取り出した。
「えっ?」
「例えば、アンテナみたいなのをここにつけて」
「あ、えっと…… 実はスマフォって特定の計算は非常に優れていて…… そうですね…… 正確な値が知りたいわけではないのですから……」
黒いスーツの男はテーブルに合った紙を裏返して、簡単な図を描いて計算している。
「そうですね、もしかしたら」
白衣を着た方の研究員とボソボソと話し合っている。
「そうだな。そのアイデアで作ってみようよ」
「じゃあ、さっそく試作に取りかかります」
晶紀があっけに取られていると、黒いスーツの男は部屋を出て行った。
もしかして、もう私は用済みでは…… などと考えながら、黒いスーツの男が出て行った方を見つめていると、替わりに、白衣を着た男が晶紀の前に来た。
「天摩様。今日は、天摩様の測定をさせてもらってもよろしいでしょうか」
「測定?」
「この球体の中に降りていただいて、霊力を強く出したり弱く出したりして欲しいんです」
「……」
強くしたり、弱くしたり…… 晶紀にはそういう感覚がなかった。必要な力が強いのか、弱いのかが分からないのだ。確かに、体を持ち上げようと言う時は疲れるから強いのだろう、ということは分かる。
「わかりました。いいですよ。何か軽いものと、重いものを貸してください。それを持ち上げたりする時、霊力でアシストすれば霊力が出ると思いますので」
白衣を着た男は、部屋の中をきょろきょろと見回した。
そして机の下からおもむろにオフホワイトの機械を持ってきた。
「重い方はこれで、軽いのは例えばこの紙を丸めたものにしましょうか」
白衣を来た男は、はかりの上に機械を乗せてスマフォに記録した。次に紙を丸めて乗せ、同じように記録した。
「じゃあ、ちょっと下まで行きましょうか」
機械を両手で持ち上げ、その上に紙を丸めたものを置いて、白衣の男が歩きだした。晶紀はその後をついていく。
球状の空間は何か所かに階段が作って合って、下に降りれるようになっていた。
白衣の男について、その階段を使って下に降りていく。
晶紀は歩きながら、この空間の中心にいる霊をみていた。拡散して、再び中央に集まってくる。霊は同じことをずっと続けているようだった。
「この霊はいつからこの状態なんですか?」
晶紀は少し見上げるようにしていたが、白衣の男は足元を見ながら一歩一歩、ゆっくり歩いていた。
「三日前からこの運動を繰り返してますね。どうかしましたか?」
ようやく球形をした空間の底にあたる部分に降りてきた。
男は機械と紙を下におろして、スマフォでなにか確認していた。
晶紀は男にたずねた。
「この実験室は霊が暴走した時はどうするのでしょうか?」
「霊が暴走? どういう状態のことを『暴走』と呼ぶのかが分かりませんが、想定外の自体が発生した場合はこの地下全体を破棄することになると思います」
晶紀は頭上の空間で外に出ようとバラバラになる霊力とどこにも行けずに再び集まってくる霊の、繰り返す動きを見上げている。
「例えばここにいる霊ですが」
晶紀は指で上をさすが、男はその方向を向かない。見えないことはわかりきっているからだろう。
「はい」
「今はまだ、集まったり散らばったりを繰り返しているだけですが、外から強い霊力を引き寄せるようになったら」
「さっき、ここは霊を閉じ込めているって。つまり外からも入れないっていうことでしょう?」
「……」
いや、白衣の男の人が言う通りだ。しかし、本当はどうなんだろう。ここで何度もこの収縮をしていると、そのうちに強い霊を引き込んでしまったり、この中で力を蓄えたりしないとは限らないのだが。晶紀は頭上で繰り返している霊から感じる『嫌な予感』を説明できなかった。
「とにかく、測定できないほど強くなる前に警報がでるようにするとか、なにか対策を」
「室長に掛け合ってみます」
「お願いします」
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