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第二章 三節。
第78話 女神竜帝聖女白姫の新たな企み。
しおりを挟む◇◇◇
「おはよう。マリーおば様。」
「おはよー、女神ちゃん。それと、一日遅れだけど、お誕生日おめでとうございます。陛下。」
跪き臣下の礼を取る女将マリー。
「ちょっと、おば様お止め下さい。地面冷たいですわ!」
あわてて、マリーに近寄るミセリコルディア。
徐に手を差し出し、献上の品物を手渡し、「お食べ。肉まん。」と言う。
あっつあつの肉まんを「ハフハフ」しながら咀嚼する様を見ていると、(聖女様だ、皇帝様だ、挙げ句にゃ『女神様』だよ。この女の子、………ってもう18かい?肉まん食ってる姿は、どっかの小動物だよぉ。こんなエラーい人前にして思っちゃならないんだろうけどさぁ。かわいいなぁぁっぁーもおっ!)
「ありがとうマリーおば様。美味しかったですわ。それでは。」
「じゃ。頑張ってー!」
ありがとうおば様ー、と灰色剣を「ガチャガチャ」させながら、神殿へと走って行くミセリコルディアであった。
「はい、お誕生日のプレゼント。」
「私、に、……………めが、聖女様が?ですか。」
礼拝が終わった少し時間、雑談を交わすミセリとエステル。何時もの数口会話して、各々に別れている。精々一分程度の会話。
エステル王女の誕生日は、ミセリコルディアの翌日、神月の21日であった。
何時ものように、やっぱり涙の跡のあるエステル。そのエステルが瞠目し、
「こ、困ります聖女様。毎年毎年。私、私、は、貰ってばかり、で、何時、も、………聖女さ……」
もう涙腺崩壊。クロエが、新しいハンカチを渡す。屈んで泣く彼女を優しく撫でるヴィクトリア。
「毎年おんなじことしてる。エステル。」
嗚咽の終息が近づいた頃、木箱を手渡したミセリコルディア。木箱の蓋にバラの蕾を意匠した彫り物があった。
エステルのお印、『バラの蕾』である。
「ぅ…ぐすっ、……これ、アデルハイト様、では?」
「そう、こう言う細かいのって上手いわよね。アーデって。普段大雑把なのに、……で、今年は、開けて!」
綺麗にカットされた。ほぼ球状の紫水晶。では、無さそう。「これは?」と顔を上げたエステルは言いたそう。
「ペーターが、海で漁った、魔物お魚の魔石。何かアーデが少し魔力を込めたら、光るって。実はわたしそうなったところ見れないの。良かったら、やって見せて!」
どうも、ここ最近、ミセリは魔力制御が上手く出来なくなっている。
「はい。」
石の色がピンクへと変わり白く輝いた。暫く光ってるようよ。とミセリは言っていた。
(また宝物、増えた。幾つ目?………七つ目。)
神殿から階段城に戻って行く女神様を送りながら思うエステルであった。
◇◇◇
ベルジュ侯爵王都本宅で、会談する四人。
本日も昼から雪がチラついている。暖炉は暖かな火が揺らめく。邸宅は、帝都の西地区の北、殆ど城郭の下。つまり貴族街の端っこで、北西地区に程近い場所である。
折角の路面汽車の駅の何処からも均等に遠いのだ。敢えて言うならば、南北線の最北端『竜の営巣地』が、近い。
まあ、エレオノールが自宅通学だったとして、馬車の方が、………とも思うが、開通前と比べ朝の混雑は緩和されてはいるが、一時間半は、少々厳しい。
閑話休題。
兎に角、婚約である。
先ず本人の意志。
「………いい。………と思っ……」プルプルプル。。。
「エレオノール、父様は反対だ。」
「何故、ですの。旦那様。」
「それは、………言葉が違…「問題無いわ」……その、国の遠……「第二でクリア!」…後は、………胸…「実子ですエリィはっ」……い、嫌だぁん!おっぱ……がはっ!」
「ウチの旦那様は変態ですので、………ホント、エリィちゃん寮に入っていて良かった。エリィちゃんのお部屋に届く用の梯子用意していたのです。この糞下衆。。。今暖炉で燃えていますのよ?糞下衆の企み。」
冬期休暇にウチに帰って来ていたら、エリィちゃん、覗きの危機でしたの「ぷんぷんっ」と言うお義母様だった。
お義父様は、ソファーの横で流血しまままお休みです。装飾品のバールのようなものが、床に落ちていた。
「殿下、本当に良いですか?」
「も、問題ありません。私はもう、この、帝国で生きて行こうと考えておったところでしたし、喩えそれを王である乳、…コホンッ失礼、喉が、……乳上が反対したとしても、、、戦になり故国が喩え敵となったとしても、それと戦わざる状況になったとしても私は、私の信念と矜持に掛けて、ここベルジュ家と、あなた方の大切にお育ちになった乳を守り通します。この命を摂して!」
「ダメじゃん。」
◇◇◇
「あら、お帰りなさい。」
「ただいま。お義母さ………。ああ、お義母様に迎えて頂くと思わず、………王都の本宅じゃ無いのに………。ッつか、お話しは、お仕舞いですの?」
「ええ、中休みですわ。」
お義母様とエリィはサロンでお茶をしている。
訊くと、男共はと、仕様の無い生き物だと言う。「プンプン」だ。
只、エリィは言うのだ。
「でも、エリィは少しでもお義姉様のお役に勃てるのなら…………。」
と言う。。。ん?なんだ?
「まぁ、そんなお顔をしなくても、なるべくしてなるものよ?リコ………陛下、ご無礼を………」
「お義母様、今のわたしは、そう、半分リコリーよ。このお家に籍は無いけれど、それでもわたしはエリィのお義姉様でお義母様の義娘なのだわ。」
少し冷め掛けたお茶に口をつけた。さっき入れた蜂蜜が少し甘過ぎた。入れ過ぎ…………。
「お義母様、書類は目をお通し下さいました?それと、エリィ。口頭で言ったけど、もう一度一度読んで於て。」
そして、居間の扉をノックし、中に入って行った。
一時間以上時間が立ったであろうか?ミセリコルディアは、ゴーティエを伴いサロンへと戻って来た。
書類のサインを確認し、再度読み合わせ、片方の種類はゴーティエの父親である国王の送る。と言い 、城へ戻って行った。
「ふふふ。上手くことが転がりそう。。。」
楽しそうに馬車に乗るミセリコルディアであった。
◇◇◇
「戻って来た?だと!」
シルヴァニア王国国王バスチアンの執務室。その扉の向こうで秘書官が、大声を上げた。
部屋に戻った秘書官は、青い顔で言った、「戻って来た。」と、王の問いに彼は答えた。
「それが、…………先日言った物が密偵の手に渡らず。戻って参りました。その、宛先不明で………。」
「………なんと!………と、言うか何を送ったのだ?」
「隠し玉。」
「あー、あの皇帝をなんとか出来るって言う?」
首肯した彼が言うには、二ヶ月以上前に帝国に潜入中の隠密の一人に送ったのだと言う。拠点は数ヶ所あり、その一つに送れば、確実であった。と言う。だが宛先不明。とは?建物さえあれば、住所など…………。受け取る人間が以内場合。いや、あり得無い。業者の怠慢は、……………あり得、るか?いや、無い。そんな業者なら、態々「宛先不明でした」なんて、戻してくれさえしない筈。。。
「直接運ばせりゃいいじゃん。今から行かせろ。直ぐだぁー!」
こうして、彼は出立した。
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