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第一章 一節。
第15話 王家と辺境伯家。
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◇◇◇
「国王ノルベール三世、御出座ぁぁぁ!!!」
両陛下と二人の王女、それと王子も玉座の横に座った。
第二王女エステルが、リコリーに向け小さく手を振っていたりする。
(ダメですわよ!エステル!)
と、口パクで、リコリーが注意すると、舌を「ベェ」と出すものだから、無視することにしたリコリーであった。
(本当に親しくしているのだな。)
と、辺境伯…リコリーの養父は思うのだった。
「かたっ苦しいのは、抜きで、リコリー、久しいな?何日ぶりか?」
「三日ぶりでございます。陛下。」
「…そう、であったか?で、明日は来られるか?」
「学園がございますので、夕方であれば。」
「ふむ、ではその時にもう一度、説明を頼む。関係する者も集めるのでな。
――――さて、ベルジュ辺境伯、多分訊いておると言う前提で話しをさせて貰う。リコリーよ伝えておるであろうな?」
「どのお話しでございましょう?」
「婚約その他、だ!」
「…不本意ながら、伝えております。」
「なんだそれはっ!ルーセルが泣きそうではないかっ!……まあ良い、と言う訳だ辺境伯。何とかしてはくれぬか?もうこんな調子なのだ。養父であろうどうにかいたせっ!」
「…どうにか、って………。リコリー、何故そんなに嫌なのだ?」
「……だって、弱っちいんですもの!」
「だっ…もう、リコリーより強いヤツなどいないであろうがあ!こうなのですよ辺境伯ぅ。いたら連れて来て下さいよぉ!!!」
「魔法無しなら、隊長に負けたなぁ。」
「いいえお義父様、剣だけでも、槍でも隊長様には勝っております。」
「あーーー。殿下、勝てる男がいなくなって仕舞いました。申し訳ございません。」
「ね、父上。やはりいないのです。ジャンを瞬殺した時から、そうじゃないかなぁって思ってましたとも。」
第一王子ルーセルは、そう言うと項垂れた。
「まあ、この件は保留で、って何時も保留ではないか?リコリー。
それとは、別件であるのだが、実は二ヶ月程前になるのだが、第二王女エステルが、拐かされたのだ。犯人であったコルベル伯爵は、既に処分した。おそらく辺境伯の耳にも入っておるであろう?『天使の卵』が使われたのだ。」
「そのことは訊き及んでおります。」
「そのな、エステルがその麻薬を射てれて、聖女たるリコリー嬢に助けて貰ったのだ。感謝しても、しきれぬ。それで、『月光章』を賜せた。」
「げ、月光章ぉぉぉ!?」
「お父様、何ですの?その月光章ぉって?」
「き、騎士の証だ。つまり、お前のお義姉様は、騎士の称号を賜ったのだっ!そうすると『リコリー・ブランシュ・シュヴァリエ・ド・ベルジュ』。そう言う名乗りになったのだ!!」
「まあそう言うことだ。まだ、大々的に御披露目はしてはおらぬが、来月の夜会。デビュタントに出るであろう?その時にな。
――――と、もう一点。」
「ま、まだあるのですか?なんかもう、付いて行けない。。。」
「旦那様、頑張って!わたくしは、もう……」
「お、お母様っ!」
「誰か、椅子を持て。私の配慮が足りぬようであったな。」
「めめめ、滅相もございません。」
「良い良い、この場で口喧嘩をおっ始めた強者もおったしな。あの時は、私も怒鳴られたなぁ。」
「お、お戯れを、、、、」
「お義姉様、でしたの?」
リコリーは、滝のように冷や汗を流していた。ドレスの肩甲骨の部分まで、汗で色が変わっているのが、如実に物語っているのであった。
そして、国王陛下は、蒸気船の件を話し、謁見は、無事……かは分からないが、終わった。
久し振りの家族の再会と言うこともあり、家族で寛ぐよう、陛下の配慮で現在、王宮の客間で過ごす辺境伯家であった。
◇◇◇
「それで、リコリー…。ミセリコルディアか。」
「いいえ、お義父様今まで通り『リコリー』でよろしいのですわ。」
「リコリー、お前は今後、どうしたい。お前の好きにして良いのだ。」
「わたしは、今のまま成人の16まで、つまり学園を卒業するまで、辺境伯家の娘でいたいのです。本音を言いますと、わたしのような傷物、何処の殿方も欲しては下さらない。と思っておりますので、出来ればずうっと辺境伯領に居たいのです。
ですが、『聖女』であることが明るみになって仕舞い、このまま帝国が放っておいて下さる、とは思えません。流されるのは癪に触るのですが、彼の国の出方次第。と考えております。」
「そうか。それまでは、娘であるのだな。」
「はい。」
と、リコリーが言ったところで、「トントントン」とドアがノックされた。
「はあぁーーい。」
元気な義妹エリィがドアを開ける。
「お義姉様お義姉様あー!王子様と王女様がいらっしゃった!!!本物ぉぉぉっ!」
「家族の団らんのところ、失礼する。第一王子のルーセルだ。」
「第二王女のエステルですわ。以後お見知りおきをー!」
「何で、あんたまで来るのよう!」
「う、煩い!このお漏らし令嬢ぉ!」
「なな、なんだとう!!!」
――――ポカッ!
「ああー!お義姉様が王子様殴ったあああ!」
「ベルジュ辺境伯様、お気になさらず。兄とリコリーちゃんはいっつもああなのですの。辺境伯様の御家族には、お礼と謝罪をいしたく、無理に会いに来ましたの。
リコリーちゃんや陛下、父にもう既にお訊きでありましょうが、私の不注意で、拐かされました。経緯は割愛……と言いますか、直ぐ薬を射たれて、記憶にございませんが、ご自分もわざと薬を射たれ、それでも私を助けて下さったのです。ですが………」
と続けたエステルであった。自分の侍女を助ける為『聖女』の力を衆人環視の中で行使し、おそらく帝国に目を付けられたであろうことなど。
エステルは、辺境伯家の三人にお礼と共に謝罪の言葉を言うのであった。
で、王子である。
ルーセル王子は開口一番、『お漏らし』の話しをしたものだから、リコリーの右手の餌食となった。
「ホント、こいつ何しに来たの?」
「多分、兄上は辺境伯様に婚約の許しを乞いに来たのだと思うのだけれど……。でも、そうしたら私とリコリーちゃん姉妹関係になれるのだわ!素敵じゃない?」
「エステルとそうなれたら嬉しいのだけれど……結婚とか、どうかしら?」
「リコリーちゃん、貴女何時も言うじゃない。『わたしみたいな傷物なんて』って。ちゃーんと王子様が貴女を貰いたいって言っているのよ?」
「…でも、お義母様。そう、なのかしら?」
「お義姉様って、どうして自己評価低いのかしら?王女様ぁ、義姉は、昔っから、『白髪で、傷物で』って言うの。こんなに綺麗でこんなに美しい義姉なのに!頭だっていいし、魔法だって剣だって一番強いのっ!私、悔しい。こんなに素敵なのに。それに『聖女様』だなんて!何処の完璧超人だって言うのかしら!?
あ、ごめんなさい。私、義妹のエレオノールと言います。義姉が何時もお世話になっております。お初にお目文字致しまして恐悦至極に存じます。」
「エリィちゃん、今更ですわよ?」
「国王ノルベール三世、御出座ぁぁぁ!!!」
両陛下と二人の王女、それと王子も玉座の横に座った。
第二王女エステルが、リコリーに向け小さく手を振っていたりする。
(ダメですわよ!エステル!)
と、口パクで、リコリーが注意すると、舌を「ベェ」と出すものだから、無視することにしたリコリーであった。
(本当に親しくしているのだな。)
と、辺境伯…リコリーの養父は思うのだった。
「かたっ苦しいのは、抜きで、リコリー、久しいな?何日ぶりか?」
「三日ぶりでございます。陛下。」
「…そう、であったか?で、明日は来られるか?」
「学園がございますので、夕方であれば。」
「ふむ、ではその時にもう一度、説明を頼む。関係する者も集めるのでな。
――――さて、ベルジュ辺境伯、多分訊いておると言う前提で話しをさせて貰う。リコリーよ伝えておるであろうな?」
「どのお話しでございましょう?」
「婚約その他、だ!」
「…不本意ながら、伝えております。」
「なんだそれはっ!ルーセルが泣きそうではないかっ!……まあ良い、と言う訳だ辺境伯。何とかしてはくれぬか?もうこんな調子なのだ。養父であろうどうにかいたせっ!」
「…どうにか、って………。リコリー、何故そんなに嫌なのだ?」
「……だって、弱っちいんですもの!」
「だっ…もう、リコリーより強いヤツなどいないであろうがあ!こうなのですよ辺境伯ぅ。いたら連れて来て下さいよぉ!!!」
「魔法無しなら、隊長に負けたなぁ。」
「いいえお義父様、剣だけでも、槍でも隊長様には勝っております。」
「あーーー。殿下、勝てる男がいなくなって仕舞いました。申し訳ございません。」
「ね、父上。やはりいないのです。ジャンを瞬殺した時から、そうじゃないかなぁって思ってましたとも。」
第一王子ルーセルは、そう言うと項垂れた。
「まあ、この件は保留で、って何時も保留ではないか?リコリー。
それとは、別件であるのだが、実は二ヶ月程前になるのだが、第二王女エステルが、拐かされたのだ。犯人であったコルベル伯爵は、既に処分した。おそらく辺境伯の耳にも入っておるであろう?『天使の卵』が使われたのだ。」
「そのことは訊き及んでおります。」
「そのな、エステルがその麻薬を射てれて、聖女たるリコリー嬢に助けて貰ったのだ。感謝しても、しきれぬ。それで、『月光章』を賜せた。」
「げ、月光章ぉぉぉ!?」
「お父様、何ですの?その月光章ぉって?」
「き、騎士の証だ。つまり、お前のお義姉様は、騎士の称号を賜ったのだっ!そうすると『リコリー・ブランシュ・シュヴァリエ・ド・ベルジュ』。そう言う名乗りになったのだ!!」
「まあそう言うことだ。まだ、大々的に御披露目はしてはおらぬが、来月の夜会。デビュタントに出るであろう?その時にな。
――――と、もう一点。」
「ま、まだあるのですか?なんかもう、付いて行けない。。。」
「旦那様、頑張って!わたくしは、もう……」
「お、お母様っ!」
「誰か、椅子を持て。私の配慮が足りぬようであったな。」
「めめめ、滅相もございません。」
「良い良い、この場で口喧嘩をおっ始めた強者もおったしな。あの時は、私も怒鳴られたなぁ。」
「お、お戯れを、、、、」
「お義姉様、でしたの?」
リコリーは、滝のように冷や汗を流していた。ドレスの肩甲骨の部分まで、汗で色が変わっているのが、如実に物語っているのであった。
そして、国王陛下は、蒸気船の件を話し、謁見は、無事……かは分からないが、終わった。
久し振りの家族の再会と言うこともあり、家族で寛ぐよう、陛下の配慮で現在、王宮の客間で過ごす辺境伯家であった。
◇◇◇
「それで、リコリー…。ミセリコルディアか。」
「いいえ、お義父様今まで通り『リコリー』でよろしいのですわ。」
「リコリー、お前は今後、どうしたい。お前の好きにして良いのだ。」
「わたしは、今のまま成人の16まで、つまり学園を卒業するまで、辺境伯家の娘でいたいのです。本音を言いますと、わたしのような傷物、何処の殿方も欲しては下さらない。と思っておりますので、出来ればずうっと辺境伯領に居たいのです。
ですが、『聖女』であることが明るみになって仕舞い、このまま帝国が放っておいて下さる、とは思えません。流されるのは癪に触るのですが、彼の国の出方次第。と考えております。」
「そうか。それまでは、娘であるのだな。」
「はい。」
と、リコリーが言ったところで、「トントントン」とドアがノックされた。
「はあぁーーい。」
元気な義妹エリィがドアを開ける。
「お義姉様お義姉様あー!王子様と王女様がいらっしゃった!!!本物ぉぉぉっ!」
「家族の団らんのところ、失礼する。第一王子のルーセルだ。」
「第二王女のエステルですわ。以後お見知りおきをー!」
「何で、あんたまで来るのよう!」
「う、煩い!このお漏らし令嬢ぉ!」
「なな、なんだとう!!!」
――――ポカッ!
「ああー!お義姉様が王子様殴ったあああ!」
「ベルジュ辺境伯様、お気になさらず。兄とリコリーちゃんはいっつもああなのですの。辺境伯様の御家族には、お礼と謝罪をいしたく、無理に会いに来ましたの。
リコリーちゃんや陛下、父にもう既にお訊きでありましょうが、私の不注意で、拐かされました。経緯は割愛……と言いますか、直ぐ薬を射たれて、記憶にございませんが、ご自分もわざと薬を射たれ、それでも私を助けて下さったのです。ですが………」
と続けたエステルであった。自分の侍女を助ける為『聖女』の力を衆人環視の中で行使し、おそらく帝国に目を付けられたであろうことなど。
エステルは、辺境伯家の三人にお礼と共に謝罪の言葉を言うのであった。
で、王子である。
ルーセル王子は開口一番、『お漏らし』の話しをしたものだから、リコリーの右手の餌食となった。
「ホント、こいつ何しに来たの?」
「多分、兄上は辺境伯様に婚約の許しを乞いに来たのだと思うのだけれど……。でも、そうしたら私とリコリーちゃん姉妹関係になれるのだわ!素敵じゃない?」
「エステルとそうなれたら嬉しいのだけれど……結婚とか、どうかしら?」
「リコリーちゃん、貴女何時も言うじゃない。『わたしみたいな傷物なんて』って。ちゃーんと王子様が貴女を貰いたいって言っているのよ?」
「…でも、お義母様。そう、なのかしら?」
「お義姉様って、どうして自己評価低いのかしら?王女様ぁ、義姉は、昔っから、『白髪で、傷物で』って言うの。こんなに綺麗でこんなに美しい義姉なのに!頭だっていいし、魔法だって剣だって一番強いのっ!私、悔しい。こんなに素敵なのに。それに『聖女様』だなんて!何処の完璧超人だって言うのかしら!?
あ、ごめんなさい。私、義妹のエレオノールと言います。義姉が何時もお世話になっております。お初にお目文字致しまして恐悦至極に存じます。」
「エリィちゃん、今更ですわよ?」
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