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第一章 一節。
第4話 白姫、王子に困惑。
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◇◇◇
リコリーは今、学園長室のソファに座っている。
正面に第一王子であらせられるルーセル殿下。そのソファの後ろ、壁際に殿下の衛士であろう方々三名が立っている。
只立っているのではない。とてもとても優しさとは真逆の顔付きでリコリーを見ていらっしゃる。
殿下のお座りあそばしていらっしゃるソファに側近であろうか?そんな雰囲気の生徒…、殿下と同じ制服をご着用なので、リコリーは側近候補の学友様だと思った。
「僕は、ブレ公爵家嫡男、ベルナールと言う者だ。リコリー嬢と同じ一年のA 組。当然殿下とも同じクラスで君とも学友、となる訳だが、何故にルーセル殿下を殴った?」
断罪が始まった。学園長は何故かニコニコ笑顔だ。
どんな苦しい時でも辛く悲しい時でも笑顔を絶やさない。とても素敵な矜持をお持ちなのだろう学園長先生は……。
「手、手袋を殿下がお脱がしあそばしましたので、、、ワタクシ、羞恥に耐えられなく、思わず手……防衛行動へと移行しましゅた。」
(((あ、噛んだ。)))
「は?何を仰ってます?手袋を外されて殴った。それが事実ですよね?」
「え、えーと、ベルナール様、少し違います。
そ、そのじょ、女性の、、着衣をわたしの断りも無く脱がされ、恥ずかしさから自分自身を守る為、防御行動を行った。と言う状況、、、そう状況です。状況に対処した。と言うことなのです。
外されて殴った。と言うのとは根本的に違います。
例えば、例えばベルナール様は、女性のお召し物を無理矢理お脱がしになっても抵抗されないとでも?そ、それとも家格が上の者は位が下である女性を好きにいたぶったり、弄んだりなさることがゆ、許されるのですか?そうですか。そうなのですね?
では、どうぞこのリコリーをいたぶって弄んで『へへへ、この生娘めが、この俺に辱しめられ、汚れてしまえ!』とか言いながら犯して下さいませっ!きっとベルナール様はお悦びになられるでしょう。ワタクシ、き、生娘ですから。さあどーぞっ!!」
リコリーはソファから降り、学園長室の床に仰向けになった。そして、「さあどーぞ!」と連呼し始めた。
「無礼なっ」
と、一人の衛士が声を上げたが、他の衛士は、「いや、無礼って言うより『はしたない』、ではないか?」とか言っている。
ベルナールは、「あ、え?な、な」と言葉にならない声を発し、リコリーのなんとも卑怯な言動に対処出来なくあぐねいている。
王子の側近候補であろうが、所詮13歳の餓鬼なのだ。百戦錬磨のリコリーの敵ではない。――――と言うか、何故にリコリーが百年戦争なのだ?同じ13歳の少女ではないか……。
ところで、第一王子であらせられるルーセル王子は終始リコリーの義手を眺め、「カッケー、カッケー!」と連呼していた。
「スッゲーな、鋼の、、、真っ黒な鈍い光沢…何、この質感!ああー欲しい。欲しいなああああーー!カッコイイよおリコリーィィィィィっ!!!
そうだっ、婚約しよう!」
なに古都に行きたい的なこと言っているのでしょう。
(京都は好きですが、昨今は外国の方が多くて楽しめませんよ?わたしは、良く一人旅で京都へ旅行を………、って、あれ?なんでしょう。てか、王子です。王子ってばわたしの義手に頬擦りする程『厨二病』を発症しております。
ん?厨二…京都?なんでしょう?わたしの知識でしょうか?記憶?まあ、なんだ、アレです。
殿下の嗜好が、なぁーんとなく解りましたので、お見せ致しましょう!)
「先程、わたしに対し『無礼な』と仰った変態…兵隊様はどなたですか?わたくしはリコリーと申します。貴方は?」
「ジャン=リュックだ。」
「ピカード様、このわたくしにその剣で斬りかかって下さい。」
「俺の名はピカードではない。ジャンだ!」
衛士のジャンは上段から剣をリコリーに振り下ろした。
だが、振り下ろしたはずの剣は、持ち主の手を離れ、反対側の壁に深々と突き刺さっていた。床にひざまづいた姿勢のリコリーではあったが、右腕は斜め上方を向いている。
腕から、黒色の剣が彼の衛士のかつてあった剣の根元に付いていた。衛士ジャンの右手には嘗ての剣であった柄のみ握られているのであった。
「ま、参ったっ」
リコリーの義手から伸びる『剣』が、ジャン=リュック衛士の剣を切ったのだ。
つまり、リコリーは衛士相手に剣技において勝利したのだと言う訳では無く、義手のギミックを厨二病発症厨の殿下に披露したかったのだ。そして、ドヤ顔で言い放つ。
「どうですか殿下?なかなかカッコイイでしょう?」
立ち上がってリコリーはルーセル王子に言ったのだ。ドヤー!
「ふおおおおおぉぉぉーーー!!
なんだぁそれぇぇぇ!?カッケー!っつか、欲しいぃぃぃ!!!リコリー嬢ぉぉぉリコリー嬢、それ、それをボクにもおくれぇぇぇ!ああああぁーそうか!そうだな!義手だっ!義手を着ける状態になれば良いのだっ!!!」
と言うが早く、ルーセルは衛士が帯同する剣を奪うと、「スパッ」っと自身の腕を切るのであった。
当然、鮮血が迸る。
―――――ちょーーーっ何やってんですかぁぁぁーーー!!!
「アンタ、バカかぁぁぁーーー!腕切ってどうするって言うのですかぁぁぁーーー」
血が「ピュー」と飛んでいる。「ダラダラ」流れているのでは無いのだ。「ピュー」っだ。
焦るリコリーはルーセルに飛び付き、左手を彼の切った腕に翳す。
そして、やらかした。文字通り、『やらかした』のだ。
今の今迄ベルジュ辺境伯、お義父様にも、可愛がっている義妹にも、親しくしている辺境伯領の兵士や領民にも隠し通した力を使ってしまったのだ。
リコリーは今、学園長室のソファに座っている。
正面に第一王子であらせられるルーセル殿下。そのソファの後ろ、壁際に殿下の衛士であろう方々三名が立っている。
只立っているのではない。とてもとても優しさとは真逆の顔付きでリコリーを見ていらっしゃる。
殿下のお座りあそばしていらっしゃるソファに側近であろうか?そんな雰囲気の生徒…、殿下と同じ制服をご着用なので、リコリーは側近候補の学友様だと思った。
「僕は、ブレ公爵家嫡男、ベルナールと言う者だ。リコリー嬢と同じ一年のA 組。当然殿下とも同じクラスで君とも学友、となる訳だが、何故にルーセル殿下を殴った?」
断罪が始まった。学園長は何故かニコニコ笑顔だ。
どんな苦しい時でも辛く悲しい時でも笑顔を絶やさない。とても素敵な矜持をお持ちなのだろう学園長先生は……。
「手、手袋を殿下がお脱がしあそばしましたので、、、ワタクシ、羞恥に耐えられなく、思わず手……防衛行動へと移行しましゅた。」
(((あ、噛んだ。)))
「は?何を仰ってます?手袋を外されて殴った。それが事実ですよね?」
「え、えーと、ベルナール様、少し違います。
そ、そのじょ、女性の、、着衣をわたしの断りも無く脱がされ、恥ずかしさから自分自身を守る為、防御行動を行った。と言う状況、、、そう状況です。状況に対処した。と言うことなのです。
外されて殴った。と言うのとは根本的に違います。
例えば、例えばベルナール様は、女性のお召し物を無理矢理お脱がしになっても抵抗されないとでも?そ、それとも家格が上の者は位が下である女性を好きにいたぶったり、弄んだりなさることがゆ、許されるのですか?そうですか。そうなのですね?
では、どうぞこのリコリーをいたぶって弄んで『へへへ、この生娘めが、この俺に辱しめられ、汚れてしまえ!』とか言いながら犯して下さいませっ!きっとベルナール様はお悦びになられるでしょう。ワタクシ、き、生娘ですから。さあどーぞっ!!」
リコリーはソファから降り、学園長室の床に仰向けになった。そして、「さあどーぞ!」と連呼し始めた。
「無礼なっ」
と、一人の衛士が声を上げたが、他の衛士は、「いや、無礼って言うより『はしたない』、ではないか?」とか言っている。
ベルナールは、「あ、え?な、な」と言葉にならない声を発し、リコリーのなんとも卑怯な言動に対処出来なくあぐねいている。
王子の側近候補であろうが、所詮13歳の餓鬼なのだ。百戦錬磨のリコリーの敵ではない。――――と言うか、何故にリコリーが百年戦争なのだ?同じ13歳の少女ではないか……。
ところで、第一王子であらせられるルーセル王子は終始リコリーの義手を眺め、「カッケー、カッケー!」と連呼していた。
「スッゲーな、鋼の、、、真っ黒な鈍い光沢…何、この質感!ああー欲しい。欲しいなああああーー!カッコイイよおリコリーィィィィィっ!!!
そうだっ、婚約しよう!」
なに古都に行きたい的なこと言っているのでしょう。
(京都は好きですが、昨今は外国の方が多くて楽しめませんよ?わたしは、良く一人旅で京都へ旅行を………、って、あれ?なんでしょう。てか、王子です。王子ってばわたしの義手に頬擦りする程『厨二病』を発症しております。
ん?厨二…京都?なんでしょう?わたしの知識でしょうか?記憶?まあ、なんだ、アレです。
殿下の嗜好が、なぁーんとなく解りましたので、お見せ致しましょう!)
「先程、わたしに対し『無礼な』と仰った変態…兵隊様はどなたですか?わたくしはリコリーと申します。貴方は?」
「ジャン=リュックだ。」
「ピカード様、このわたくしにその剣で斬りかかって下さい。」
「俺の名はピカードではない。ジャンだ!」
衛士のジャンは上段から剣をリコリーに振り下ろした。
だが、振り下ろしたはずの剣は、持ち主の手を離れ、反対側の壁に深々と突き刺さっていた。床にひざまづいた姿勢のリコリーではあったが、右腕は斜め上方を向いている。
腕から、黒色の剣が彼の衛士のかつてあった剣の根元に付いていた。衛士ジャンの右手には嘗ての剣であった柄のみ握られているのであった。
「ま、参ったっ」
リコリーの義手から伸びる『剣』が、ジャン=リュック衛士の剣を切ったのだ。
つまり、リコリーは衛士相手に剣技において勝利したのだと言う訳では無く、義手のギミックを厨二病発症厨の殿下に披露したかったのだ。そして、ドヤ顔で言い放つ。
「どうですか殿下?なかなかカッコイイでしょう?」
立ち上がってリコリーはルーセル王子に言ったのだ。ドヤー!
「ふおおおおおぉぉぉーーー!!
なんだぁそれぇぇぇ!?カッケー!っつか、欲しいぃぃぃ!!!リコリー嬢ぉぉぉリコリー嬢、それ、それをボクにもおくれぇぇぇ!ああああぁーそうか!そうだな!義手だっ!義手を着ける状態になれば良いのだっ!!!」
と言うが早く、ルーセルは衛士が帯同する剣を奪うと、「スパッ」っと自身の腕を切るのであった。
当然、鮮血が迸る。
―――――ちょーーーっ何やってんですかぁぁぁーーー!!!
「アンタ、バカかぁぁぁーーー!腕切ってどうするって言うのですかぁぁぁーーー」
血が「ピュー」と飛んでいる。「ダラダラ」流れているのでは無いのだ。「ピュー」っだ。
焦るリコリーはルーセルに飛び付き、左手を彼の切った腕に翳す。
そして、やらかした。文字通り、『やらかした』のだ。
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