れもん

hajime_aoki

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さよなら、僕。

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「ねぇ、早くしてよ」
「ちょっと待って。ねぇ、ホルスターこれで合ってる?」
「ええ?仕方ないな、もう……」
 はじめての任務の日。ゴッドファーザーから与えられた仕事がこんな物騒なものとは思わなかった。まぁ、死んだ自分としてはもうなんでも、どうでもいいのだけれど。それにしても、あの同席した彼とバディを組むことになるとは。歳は僕より下らしい。他のことは知らない。やたら身長が高く、はっきりとした顔立ちはまるでホストのようだ。ホルスターを直す姿をじっと見つめていると睨まれてしまった。気が合わなさそうだな。小型なのにずっしりとした重みのある拳銃に見様見真似で弾を込めていく。ゴッドファーザー曰く、「見て覚えろ」。そう言われていたのを彼も聞いていたためか、心做しかゆっくり作業をしてくれているおかげでなんとか準備は整った。そう、僕がスカウトされた仕事は「殺し屋」だ。愛しいあの子と別れた翌日に人を殺める仕事につくことになるとは。まぁいい。僕は死んだんだ。もう、僕はいない。俺は、この道を進んでいく。もし、もしもどこかであの子に会えた時堂々とは出来ないけれど。だなんて考えているうちはまだまだだな、と苦笑をもらした。
「行くよ」
 そう、簡潔にバディの彼は小屋の扉を開けた。
 さようなら、僕。
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