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第163話 順調な同居生活
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僕の1年目の大学での授業内容は、
取り敢えずは一般教養や版画、美術史などの
基本的な授業となっていたけど、
なんと言っても最初の年はデッサン漬けだった。
美術史は興味深く、僕は大好きだったけど、
やっぱり1年目は寝ても覚めてもデッサンだった。
デッサンは中学生の頃からかなりの数をこなしていた。
でも、フランスでのデッサンの授業は違った。
何度も教授にスケッチブックを閉じられ、
溜息を吐かれ、その度に心が折れた。
でもそれは僕だけではなく、
ほとんどのクラスメイトがそんな感じだった。
それだけが心の支えだった。
そう言うふうに僕の大学生活の一年目は始まった。
「ただいま~
陽ちゃん、お利口にしてた?」
そう言って、開口一番に目に入ったのが、
玄関に山積みにされたお土産の山だった。
「あれ? ポールもう帰ってるの?」
リビングの方から、
陽一のキャッキャという声が聞こえて来た。
「要君おかえり~
マリーは僕が帰って来たから帰したよ」
「ポール、もう帰って来たの?
早かったね。
帰ってくるのは今週末だとばかり思っていたけど……」
ポールは床に寝転び、
陽一を足で持ち上げ、
飛行機のような格好で遊んでいた。
「ミーティングは取り敢えず終わったからね。
この後は居ても居なくてもいいような事ばかりだから
帰ってきたよ。
要君を長い間1人にしときたくなかったし、
今日はモデル仲間と顔合わせしたんだろ?」
「そうなんだよ。
皆気さくで良い人ばかりだね。
それにルネカッコいいね~
元モデルなんだってね?
辞めたなんてもったいない~
もう差し出す手までカッコよくて
ドキドキしちゃったよ」
僕がそう言うとポールはプーッと膨れて、
ちょっとヤキモチを焼いたようにしていた。
「あ、それより、あの玄関に積まれた物何?
足の踏み場もないんだけど?」
「そう、そう、
いっぱい珍しいおもちゃ見つけたんだ!
是非陽ちゃんにって思って!」
「ポール、無駄使いしないでって
もうずっとお願いしてるでしょ?」
「良いじゃない、こうでもしないと
お金の使い道なんて無いし、
僕としては楽しんでるんだよ?」
「そうは言っても結局は
殆どのおもちゃは寄付してる状態だし……
買ってくれるポールにも悪くって……」
「大丈夫だって、それも見越して買って来てるんだから、
要君は心配しなくても大丈夫!」
ポールはとことん僕たちを甘やかしている。
どこかに出張に行く度に山のようなお土産を買って来てくれる。
「もう~
それを言われると、僕何も言えなくなっちゃうよ」
「要君はそれで良いんだよ。
僕が好きでやってるんだから、
黙って行為は受けなさい!」
「ありがようございます」
そう言って僕はポールに頭を下げた。
「お礼はキス一つでどう?」
そうからかって来くるポールに
陽一のおむつを投げながら、
「もう、何言ってんの! ポールは陽ちゃんのおむつ変えて下さ~い!
それよりもお腹すいだでしょう?
ご飯急いで作るね」
そう言ってキッチンに急いだ。
僕は料理はからっきしだったけど、
お母さんが滞在してくれている間、
色んな料理をたくさん学んだ。
陽一に滅多なものは食べさせられない。
そう思うと、無理にでも料理を習得する必要があった。
幸いお母さんは家庭的で、料理や掃除、洗濯など、
家庭的な事は得意だった。
僕はお掃除は未だに好きではないけど、
料理の腕はぐんと伸びていた。
それに、ポールのお母さんにも、
色んなフランスの家庭料理を学んだので、
ポールの好物などお手の物だった。
今日はポールが帰ってくるなんて考えてなかったので、
夜は簡単に大好きなパスタにしようと持っていた。
陽一も、それは、それは顔中をソースで
くちゃくちゃにするほどパスタが大好きで、
終いにはソースを握りしめて自分の頭に乗せる程だった。
「ごめんね、イタリアから帰ったばかりでパスタなんて、
あっちでは嫌って言うほど食べたんでしょう?」
「何言ってるの~
要君の作る料理は最高だよ。
百年間同じもの食べても絶対飽きない自信あるから!」
「あ、ごめん、それ僕がダメだ。
パスタは大好きだけど、
いくら大好きって言っても、
1週間は続けて食べれないや」
「いや、それモノの例えだから。
それくらい要君の料理は大好きってことで!」
「ハハハ、有難う。
でも、パスタなんて麺ゆでて缶のソースを温めるだけだよ?」
「それでもいいの!
要君が僕のためにしてくれるって所がポイントね」
そんな感じでポールはいつも僕が一緒に住みやすい環境をつくってくれる。
本当に、本当にポールには頭が上がらなかった。
「ねえ、明日のバイトはどうなってるの?」
「う~ん、学校終わったら直で行こうって思ってるんだけど、
ポールのスケジュールは?」
「僕は今週末までイタリアに居るはずだから休みだよ。
僕、学校が終わる頃大学へ迎えに行くよ。
その後一緒に事務所へ行こう!
報告事項とかあるし」
「分かった。
じゃあ、クラスは3時で終わるから、
3時に学校のフロントで」
「後片付けは僕がやっておくよ。
陽ちゃんこれからお風呂でしょ?」
ポールが提案してくれたので、
そこは有り難く申し入れを受けた。
といっても、僕が料理を作り、
ポールが後片付けをするという
ルーティンが既に出来ている。
ポールがお皿を方付けている間に、
僕が陽一をお風呂に入れるといった具合だ。
時々ポールは陽一と一緒に
湯船につかりたがったので、
そう言う時は、僕が後片付けをして、
ポールが一緒にお風呂と言う具合だった。
とりわけ陽一は良い子で、
夜の時間になると、
少しグズルだけで、すんなりとベッドに入ってくれる。
だから僕は、寝る前に少しのフリータイムが持てた。
「要君、コーヒー飲む?」
これが、陽一の寝た後の開口一番である。
「僕眠れなくなるから
ハーブティーの方がいいや」
そう言う具合にポールが食後の飲み物を入れてくれる。
そこから大体2人でまったりとしてベッドに入ることが多い。
そしてポールは最近、
おはようと、お休みのキスを僕にするようになった。
もちろん唇ではなく、ほっぺに。
そしてその後ハグも。
それがないと1日が始まらないし、
1日が終わらないと言っていた。
今日も陽一が寝た後僕達は、
それぞれに雑誌を読んだり、
小説を読んだりとして過ごし、
お休みのキスとハグをした後
それぞれのベッドに入った。
そしてその夜僕は、
大きな岩に踏み潰される夢を見て目を覚ました。
苦しいと思って目を覚すと、
横ではポールが眠っていて、
僕の体にしっかりとしがみついていた。
僕はポールの腕からすり抜けると、
「は~ またか」
といって溜息をついた。
ポールと一緒に住むようになって、
ポールは時々僕のベッドに忍び込んでくる。
ポールの両親と住んでいるときは、
そんな事は一度もなかった。
こっちに引っ越してからそれは始まった。
いつもではないけど、1週間に一度は忍び込んできているかも。
特に出張で家を開けた後とか、
パーティーなどの後で酔い潰れた後とかは必ず僕のベッドにいた。
やっぱりランウェイモデルなんてやってると
忙しすぎて癒しに人肌恋しくなるのかな?
そういえば僕がきて以来、
ポールに浮いた話なんてないな……
プレイボーイって聞いてたのに、
全然そんな影も見えないな?
まあ、僕や陽一が一緒に住んでたら
恋人が居ても呼べないか~
でも恋人がいるんだったら、
直で帰って来るのは何故?
泊まりで出かけるのを見たことも無いし……
やっぱり僕に気を使ってるのかな?
それとも今は僕達の事で一杯過ぎて
恋人作る暇ない?
その所為で人肌恋しくなってるのかな?
別に僕のベッドに潜るからって
何かやましことを仕掛けるといった風でもない。
時にはポールのそんな行為に助けられている部分もある。
僕だってフッとした時に、
先輩の肌が凄く恋しくなる時がある。
特に出産して半年で戻って来た発情期には。
でもポールがベッドに忍び込むようになって
ハッキリと分かった事は、
ポールは先輩では無いと言う事。
そして僕は先輩でなくては駄目だと言う事。
そんな事を思いながら、
僕のベッドで眠るポールを横目で見ながら、
ベビーベッドですやすやと眠る陽一を見つめた。
取り敢えずは一般教養や版画、美術史などの
基本的な授業となっていたけど、
なんと言っても最初の年はデッサン漬けだった。
美術史は興味深く、僕は大好きだったけど、
やっぱり1年目は寝ても覚めてもデッサンだった。
デッサンは中学生の頃からかなりの数をこなしていた。
でも、フランスでのデッサンの授業は違った。
何度も教授にスケッチブックを閉じられ、
溜息を吐かれ、その度に心が折れた。
でもそれは僕だけではなく、
ほとんどのクラスメイトがそんな感じだった。
それだけが心の支えだった。
そう言うふうに僕の大学生活の一年目は始まった。
「ただいま~
陽ちゃん、お利口にしてた?」
そう言って、開口一番に目に入ったのが、
玄関に山積みにされたお土産の山だった。
「あれ? ポールもう帰ってるの?」
リビングの方から、
陽一のキャッキャという声が聞こえて来た。
「要君おかえり~
マリーは僕が帰って来たから帰したよ」
「ポール、もう帰って来たの?
早かったね。
帰ってくるのは今週末だとばかり思っていたけど……」
ポールは床に寝転び、
陽一を足で持ち上げ、
飛行機のような格好で遊んでいた。
「ミーティングは取り敢えず終わったからね。
この後は居ても居なくてもいいような事ばかりだから
帰ってきたよ。
要君を長い間1人にしときたくなかったし、
今日はモデル仲間と顔合わせしたんだろ?」
「そうなんだよ。
皆気さくで良い人ばかりだね。
それにルネカッコいいね~
元モデルなんだってね?
辞めたなんてもったいない~
もう差し出す手までカッコよくて
ドキドキしちゃったよ」
僕がそう言うとポールはプーッと膨れて、
ちょっとヤキモチを焼いたようにしていた。
「あ、それより、あの玄関に積まれた物何?
足の踏み場もないんだけど?」
「そう、そう、
いっぱい珍しいおもちゃ見つけたんだ!
是非陽ちゃんにって思って!」
「ポール、無駄使いしないでって
もうずっとお願いしてるでしょ?」
「良いじゃない、こうでもしないと
お金の使い道なんて無いし、
僕としては楽しんでるんだよ?」
「そうは言っても結局は
殆どのおもちゃは寄付してる状態だし……
買ってくれるポールにも悪くって……」
「大丈夫だって、それも見越して買って来てるんだから、
要君は心配しなくても大丈夫!」
ポールはとことん僕たちを甘やかしている。
どこかに出張に行く度に山のようなお土産を買って来てくれる。
「もう~
それを言われると、僕何も言えなくなっちゃうよ」
「要君はそれで良いんだよ。
僕が好きでやってるんだから、
黙って行為は受けなさい!」
「ありがようございます」
そう言って僕はポールに頭を下げた。
「お礼はキス一つでどう?」
そうからかって来くるポールに
陽一のおむつを投げながら、
「もう、何言ってんの! ポールは陽ちゃんのおむつ変えて下さ~い!
それよりもお腹すいだでしょう?
ご飯急いで作るね」
そう言ってキッチンに急いだ。
僕は料理はからっきしだったけど、
お母さんが滞在してくれている間、
色んな料理をたくさん学んだ。
陽一に滅多なものは食べさせられない。
そう思うと、無理にでも料理を習得する必要があった。
幸いお母さんは家庭的で、料理や掃除、洗濯など、
家庭的な事は得意だった。
僕はお掃除は未だに好きではないけど、
料理の腕はぐんと伸びていた。
それに、ポールのお母さんにも、
色んなフランスの家庭料理を学んだので、
ポールの好物などお手の物だった。
今日はポールが帰ってくるなんて考えてなかったので、
夜は簡単に大好きなパスタにしようと持っていた。
陽一も、それは、それは顔中をソースで
くちゃくちゃにするほどパスタが大好きで、
終いにはソースを握りしめて自分の頭に乗せる程だった。
「ごめんね、イタリアから帰ったばかりでパスタなんて、
あっちでは嫌って言うほど食べたんでしょう?」
「何言ってるの~
要君の作る料理は最高だよ。
百年間同じもの食べても絶対飽きない自信あるから!」
「あ、ごめん、それ僕がダメだ。
パスタは大好きだけど、
いくら大好きって言っても、
1週間は続けて食べれないや」
「いや、それモノの例えだから。
それくらい要君の料理は大好きってことで!」
「ハハハ、有難う。
でも、パスタなんて麺ゆでて缶のソースを温めるだけだよ?」
「それでもいいの!
要君が僕のためにしてくれるって所がポイントね」
そんな感じでポールはいつも僕が一緒に住みやすい環境をつくってくれる。
本当に、本当にポールには頭が上がらなかった。
「ねえ、明日のバイトはどうなってるの?」
「う~ん、学校終わったら直で行こうって思ってるんだけど、
ポールのスケジュールは?」
「僕は今週末までイタリアに居るはずだから休みだよ。
僕、学校が終わる頃大学へ迎えに行くよ。
その後一緒に事務所へ行こう!
報告事項とかあるし」
「分かった。
じゃあ、クラスは3時で終わるから、
3時に学校のフロントで」
「後片付けは僕がやっておくよ。
陽ちゃんこれからお風呂でしょ?」
ポールが提案してくれたので、
そこは有り難く申し入れを受けた。
といっても、僕が料理を作り、
ポールが後片付けをするという
ルーティンが既に出来ている。
ポールがお皿を方付けている間に、
僕が陽一をお風呂に入れるといった具合だ。
時々ポールは陽一と一緒に
湯船につかりたがったので、
そう言う時は、僕が後片付けをして、
ポールが一緒にお風呂と言う具合だった。
とりわけ陽一は良い子で、
夜の時間になると、
少しグズルだけで、すんなりとベッドに入ってくれる。
だから僕は、寝る前に少しのフリータイムが持てた。
「要君、コーヒー飲む?」
これが、陽一の寝た後の開口一番である。
「僕眠れなくなるから
ハーブティーの方がいいや」
そう言う具合にポールが食後の飲み物を入れてくれる。
そこから大体2人でまったりとしてベッドに入ることが多い。
そしてポールは最近、
おはようと、お休みのキスを僕にするようになった。
もちろん唇ではなく、ほっぺに。
そしてその後ハグも。
それがないと1日が始まらないし、
1日が終わらないと言っていた。
今日も陽一が寝た後僕達は、
それぞれに雑誌を読んだり、
小説を読んだりとして過ごし、
お休みのキスとハグをした後
それぞれのベッドに入った。
そしてその夜僕は、
大きな岩に踏み潰される夢を見て目を覚ました。
苦しいと思って目を覚すと、
横ではポールが眠っていて、
僕の体にしっかりとしがみついていた。
僕はポールの腕からすり抜けると、
「は~ またか」
といって溜息をついた。
ポールと一緒に住むようになって、
ポールは時々僕のベッドに忍び込んでくる。
ポールの両親と住んでいるときは、
そんな事は一度もなかった。
こっちに引っ越してからそれは始まった。
いつもではないけど、1週間に一度は忍び込んできているかも。
特に出張で家を開けた後とか、
パーティーなどの後で酔い潰れた後とかは必ず僕のベッドにいた。
やっぱりランウェイモデルなんてやってると
忙しすぎて癒しに人肌恋しくなるのかな?
そういえば僕がきて以来、
ポールに浮いた話なんてないな……
プレイボーイって聞いてたのに、
全然そんな影も見えないな?
まあ、僕や陽一が一緒に住んでたら
恋人が居ても呼べないか~
でも恋人がいるんだったら、
直で帰って来るのは何故?
泊まりで出かけるのを見たことも無いし……
やっぱり僕に気を使ってるのかな?
それとも今は僕達の事で一杯過ぎて
恋人作る暇ない?
その所為で人肌恋しくなってるのかな?
別に僕のベッドに潜るからって
何かやましことを仕掛けるといった風でもない。
時にはポールのそんな行為に助けられている部分もある。
僕だってフッとした時に、
先輩の肌が凄く恋しくなる時がある。
特に出産して半年で戻って来た発情期には。
でもポールがベッドに忍び込むようになって
ハッキリと分かった事は、
ポールは先輩では無いと言う事。
そして僕は先輩でなくては駄目だと言う事。
そんな事を思いながら、
僕のベッドで眠るポールを横目で見ながら、
ベビーベッドですやすやと眠る陽一を見つめた。
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