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第89話 アルバイト
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その日の夜は眠れなかった。
少し考えてみたけど、
あの先輩が急に僕の事が
嫌いになったとは到底思えなかった。
また、そのために、僕を無視したり、
避けたりすると言う卑怯な事をする、
という事は、
先輩からは想像もできなかった。
きっと何かあったんだ。
矢野先輩と話した結果、
きっと先輩のヘタレ根性が出てしまったんだ。
何の根拠もなかっけど、
そう言う風に強く感じた。
そして僕は、段々と強気になって来た。
それは凄く不思議だった。
矢野先輩の時は、
あんなに諦めの気持ちが強かったのに、
僕のこの根拠のない強さは
どこから来るのだろう?
これが運命の番というものなのだろうか?
僕には99%の確信があった。
先輩は僕の事が嫌いになったんじゃないと。
きっと、先輩こそが、頭をグルグルとさせて、
今頃悩みに悩んでいるに違いないと。
もうすぐインハイ予選がある。
恐らく今はそっとしといた方が良いだろう。
僕は、インハイ予選が終わるまで、
普段の様に振る舞い、
様子を見て見る事にした。
もし、インハイ予選が終わっても、
先輩の態度が変わらなければ、
問い詰めてみようと思った。
そんな僕を振り返って、
精神的に凄く強くなったことに対して、
凄く自分自身びっくりとした。
時計を見ると、もう朝の5時だった。
奥野さんとの約束は10時。
家から大体1時間ほどかかる。
矢野先輩と9時に公園の池の所で
待ち合わせをしているから、
8時には起きて準備をしなければいけない。
あと3時間程しかなかったけど、
携帯のアラームを8時にかけて、
少し眠ることにした。
「先ぱ~い!
おはようございます!」
僕はハアハアと息を切らして、
待ち合わせである
公園の真ん中にある池の所まで走って来た。
「おはよう、要君。
寝坊?
10分遅れだよ~」
そう先輩に言われ、
「すみません~
昨夜本を読んでいたら
乗ってしまって時間を忘れてしまって……」
僕がそう言うと、
先輩は指で僕の目頭を押さえて、
「少し腫れてるね……
もしかして昨夜泣いた?」
と、先輩も鋭い。
普段鈍感なくせに、
気付いてほしくない部分には敏感だ。
確かに、最初は僕自身、
グルグルとして少し泣いたけど、
それは本当に最初の最初だけだった。
後は不思議と心が落ち着いたので、
自然と涙も引いてしまったのだが、
やっぱり肌の色が白いせいか、
少し泣いたりすると、
目の腫れとか、目立ってしまう。
僕は先輩の手を押さえて、
「大丈夫ですよ。
本を読んで笑い泣きしただけなので、
そんなに泣いても居ないです」
と言うと、先輩も、
「本当に、本当?
僕に何も隠し事していない?」
と聞いてきたので、
「大丈夫ですってば~」
と僕も元気に答えた。
「それじゃ、奥野さんとこに急ごうか?」
先輩の掛け声と共に、僕達は奥さんの居る
カフェ目掛けて歩き出した。
「おはようございま~す」
カフェへ着くと、カフェの中は割と忙しそうに
していた。
月曜日と言う事もあって、
ビジネス関係の人々が割と立ち寄っていた。
「先輩も、赤城君も今日はありがとうございます。
今日に限ってランチタイムのパートさん達が皆来れなくて、
私まで駆り出されちゃった。
学校はバイト禁止なのに、頼る人が無くって、本当にありがとう!」
「いや、僕達は大歓迎だよ。
ね、要君。
で、僕達は何をしたら?」
そう先輩が尋ねると、
奥野さんは僕達をロッカールームまで
連れて行き、
「ね、これ着て!
殆ど私の趣味だけど、
イケメンのバイトが来たら使おうと思ってたの!」
そう言って奥野さんが渡したのは、
ギャルソンのような
白いYシャツと黒の長いエプロンだった。
「すごいね、これ。
僕、一度試してみたかったんだよ!
今日は楽しくなりそうだね」
と先輩は凄くノリノリだ。
僕はちょっと気恥しかった。
こんなかっこいい制服が、
僕に似合うとは到底思えなかったからだ。
先輩は鼻歌を歌いながら、
奥野さんが目の前に居るにもかかわらず、
ちゃっちゃと着替え始めた。
そんな先輩を見て奥野さんは、
「イヤ~ン、先輩!
ここで私に襲えって言ってるんですか~?」
とあまり恥ずかしがってる風でもない。
「奥野さん、男性の半裸見て
恥ずかしくないんですか?」
どっちかと言うと、
僕の方が少し恥ずかしかったけど、
「や~ね~
好きな人以外の裸何て
かぼちゃよ!」
そう言われて、そんなもんかと
チョット納得した。
サッと制服に着かえた先輩は、
奇麗と言うか、カッコイイと言うか、
ギャルソンの姿が板についていた。
そして、手をパチパチと叩く奥野さんに、
紳士な会釈をしている。
僕は恥ずかしがってるのが馬鹿らしくなって、
そんな二人を横に着かえ始めた。
そんな僕を見て奥野さんが、
「うわ!
赤城君ってなんかイヤらしい体してるね!」
と、訳の分からない感想を言い始めたので
先輩もつられて、
「うん、これが発情期の来た
Ωの体なんだね。
艶やかさがあるね。
前に別荘に言った時と体つき違うよ!」
と僕をマジマジと見て真顔で言ったので、
僕は女の子の様にサッとロッカーの戸に隠れた。
そんな僕を見て先輩が、
いけないものを見たような、
少し照れたような顔をしていたので、
僕は急に恥ずかしさがこみあげてきた。
そして奥野さんは、
「え~ 何、何?
二人で先輩の別荘に行ったの~?
ずる~い!
私も行きたい!」
と羨ましがり、奥野さんその問いに先輩は、
「じゃあ、夏休みになったら
皆でまた行こうか?」
と提案していた。
少し考えてみたけど、
あの先輩が急に僕の事が
嫌いになったとは到底思えなかった。
また、そのために、僕を無視したり、
避けたりすると言う卑怯な事をする、
という事は、
先輩からは想像もできなかった。
きっと何かあったんだ。
矢野先輩と話した結果、
きっと先輩のヘタレ根性が出てしまったんだ。
何の根拠もなかっけど、
そう言う風に強く感じた。
そして僕は、段々と強気になって来た。
それは凄く不思議だった。
矢野先輩の時は、
あんなに諦めの気持ちが強かったのに、
僕のこの根拠のない強さは
どこから来るのだろう?
これが運命の番というものなのだろうか?
僕には99%の確信があった。
先輩は僕の事が嫌いになったんじゃないと。
きっと、先輩こそが、頭をグルグルとさせて、
今頃悩みに悩んでいるに違いないと。
もうすぐインハイ予選がある。
恐らく今はそっとしといた方が良いだろう。
僕は、インハイ予選が終わるまで、
普段の様に振る舞い、
様子を見て見る事にした。
もし、インハイ予選が終わっても、
先輩の態度が変わらなければ、
問い詰めてみようと思った。
そんな僕を振り返って、
精神的に凄く強くなったことに対して、
凄く自分自身びっくりとした。
時計を見ると、もう朝の5時だった。
奥野さんとの約束は10時。
家から大体1時間ほどかかる。
矢野先輩と9時に公園の池の所で
待ち合わせをしているから、
8時には起きて準備をしなければいけない。
あと3時間程しかなかったけど、
携帯のアラームを8時にかけて、
少し眠ることにした。
「先ぱ~い!
おはようございます!」
僕はハアハアと息を切らして、
待ち合わせである
公園の真ん中にある池の所まで走って来た。
「おはよう、要君。
寝坊?
10分遅れだよ~」
そう先輩に言われ、
「すみません~
昨夜本を読んでいたら
乗ってしまって時間を忘れてしまって……」
僕がそう言うと、
先輩は指で僕の目頭を押さえて、
「少し腫れてるね……
もしかして昨夜泣いた?」
と、先輩も鋭い。
普段鈍感なくせに、
気付いてほしくない部分には敏感だ。
確かに、最初は僕自身、
グルグルとして少し泣いたけど、
それは本当に最初の最初だけだった。
後は不思議と心が落ち着いたので、
自然と涙も引いてしまったのだが、
やっぱり肌の色が白いせいか、
少し泣いたりすると、
目の腫れとか、目立ってしまう。
僕は先輩の手を押さえて、
「大丈夫ですよ。
本を読んで笑い泣きしただけなので、
そんなに泣いても居ないです」
と言うと、先輩も、
「本当に、本当?
僕に何も隠し事していない?」
と聞いてきたので、
「大丈夫ですってば~」
と僕も元気に答えた。
「それじゃ、奥野さんとこに急ごうか?」
先輩の掛け声と共に、僕達は奥さんの居る
カフェ目掛けて歩き出した。
「おはようございま~す」
カフェへ着くと、カフェの中は割と忙しそうに
していた。
月曜日と言う事もあって、
ビジネス関係の人々が割と立ち寄っていた。
「先輩も、赤城君も今日はありがとうございます。
今日に限ってランチタイムのパートさん達が皆来れなくて、
私まで駆り出されちゃった。
学校はバイト禁止なのに、頼る人が無くって、本当にありがとう!」
「いや、僕達は大歓迎だよ。
ね、要君。
で、僕達は何をしたら?」
そう先輩が尋ねると、
奥野さんは僕達をロッカールームまで
連れて行き、
「ね、これ着て!
殆ど私の趣味だけど、
イケメンのバイトが来たら使おうと思ってたの!」
そう言って奥野さんが渡したのは、
ギャルソンのような
白いYシャツと黒の長いエプロンだった。
「すごいね、これ。
僕、一度試してみたかったんだよ!
今日は楽しくなりそうだね」
と先輩は凄くノリノリだ。
僕はちょっと気恥しかった。
こんなかっこいい制服が、
僕に似合うとは到底思えなかったからだ。
先輩は鼻歌を歌いながら、
奥野さんが目の前に居るにもかかわらず、
ちゃっちゃと着替え始めた。
そんな先輩を見て奥野さんは、
「イヤ~ン、先輩!
ここで私に襲えって言ってるんですか~?」
とあまり恥ずかしがってる風でもない。
「奥野さん、男性の半裸見て
恥ずかしくないんですか?」
どっちかと言うと、
僕の方が少し恥ずかしかったけど、
「や~ね~
好きな人以外の裸何て
かぼちゃよ!」
そう言われて、そんなもんかと
チョット納得した。
サッと制服に着かえた先輩は、
奇麗と言うか、カッコイイと言うか、
ギャルソンの姿が板についていた。
そして、手をパチパチと叩く奥野さんに、
紳士な会釈をしている。
僕は恥ずかしがってるのが馬鹿らしくなって、
そんな二人を横に着かえ始めた。
そんな僕を見て奥野さんが、
「うわ!
赤城君ってなんかイヤらしい体してるね!」
と、訳の分からない感想を言い始めたので
先輩もつられて、
「うん、これが発情期の来た
Ωの体なんだね。
艶やかさがあるね。
前に別荘に言った時と体つき違うよ!」
と僕をマジマジと見て真顔で言ったので、
僕は女の子の様にサッとロッカーの戸に隠れた。
そんな僕を見て先輩が、
いけないものを見たような、
少し照れたような顔をしていたので、
僕は急に恥ずかしさがこみあげてきた。
そして奥野さんは、
「え~ 何、何?
二人で先輩の別荘に行ったの~?
ずる~い!
私も行きたい!」
と羨ましがり、奥野さんその問いに先輩は、
「じゃあ、夏休みになったら
皆でまた行こうか?」
と提案していた。
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