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第79話 矢野先輩の決意
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「ずいぶん長いトイレだね~?」
先輩はからかった様にして僕に言ってきた。
あれ? 気付いて無い?
「あの……
先輩もおトイレ使いますか?」
「いや、僕は大丈夫だよ」
トイレを使わないんだったら、
僕は何故先輩がそこに立っていたのか
訳が分からなかった。
「あの……もうアルバムは見終わったのですか?
随分早かっ……」
と言いかけた時、
「もう話は終わったの?」
と先輩が聞いてきた。
僕はギョッとして、
「えっ?」
と尋ねた。
「要君がトイレに行く前に
誰かからメッセージ来てたよね?
ソワソワしてたから、
メッセージを確認しに行ったのかなって
思ったんだけど……?」
「あの……先輩……」
「大丈夫だよ。
攻めてるんじゃないよ。
相手は裕也?」
僕は誤魔化してはいけないと思い、
「そうです。
実はお母さんに尋ねる前に
お寿司に誘っちゃってて……」
そこはちょっと苦しかったけど、
先輩に嘘をついてしまった。
「で、裕也は何て?」
「忙しいみたいで、
来れないって……」
そう言うと先輩は、
「ねえ、僕、隠し事しないでって
言ったよね?」
と悲願したように僕に言ってきた。
僕は頭の中が真っ白になった。
そして思った。
何故僕は矢野先輩に
佐々木先輩とのことを
隠したいんだろう?
付き合っているとは言ったけど、
何故、堂々と先輩の前で
佐々木先輩とメッセージの
やり取りをしないんだろう?
僕にまだ、矢野先輩に対して
期待の気持ちがある?
それとも、矢野先輩に対して
やましい気持ちがある?
なぜ?
僕は矢野先輩とは
付き合ってる訳では無いのに?
「要君?」
そう先輩に呼ばれ、
ハッとしたように先輩を見上げた。
「僕は、要君の事を責めている訳じゃないんだよ。
君が裕也と付き合うって決めたんだったら、
それで構わないんだよ。
でも、僕に隠れてコソコソとしないで。
前から言うように、
何だか、裕也に要君を取られてしまう様な……
要君が僕から離れてしまう様な……」
僕は、先輩の僕に対する執着は、
只の弟とは違うと確信した。
でも、先輩自身、
気付いて無いのかもしれない……
「あの……
一つ聞いても良いですか?」
「何だい?」
「トイレの前ではちょっと話しにくいので、
僕の部屋へ行きませんか?」
僕がそう言うと、
先輩も気付いたのか、
クスっと笑って、
「そうだね」
と言って僕の部屋へと移動した。
「じゃあ、先輩、この椅子に座って下さい。
僕はベッドの上に座りますので」
そう言って、デスク用の椅子を先輩に勧めた。
「いや、僕もここで良いよ」
そう言って先輩は僕の隣に腰かけた。
「で? 聞きたい事って?」
先輩が話を進めてきたので、
僕は生唾をごくりと飲み込んだ。
そして深呼吸して僕は先輩に尋ね始めた。
「先輩、僕、前に先輩に好きな人はいるか?って聞いた時、
先輩、居るって答えましたよね?」
先輩は暫く沈黙して、
「そうだね」
と答えた。
「それって今でも変わっていませんか?
僕が言っている意味は、
今でも、その人が好きですか?」
僕はすごく興味があった。
先輩がこの問いに何と答えるのか。
先輩は暫く考え込んでいた。
その態度で僕は、
今では違うんだと言う事が分かった。
分かったと言うよりは、
そうなんだろうと予測できた。
そして多分、
僕が思っている通りなんだろうとも思った。
先輩は暫くふさぎ込んで考えた後、
「実はね、この後、
裕也に会うことになってるんだ。
要君の質問は裕也と話をした後でも良い?」
と僕に尋ねてきた。
「僕は構いません。
では僕も一つ、
お寿司が届く前に、
少し出てきても良いですか?
直ぐに帰ってきます」
「どこに行くの?」
先輩のその問いに、
僕は携帯をかざしながら、
「佐々木先輩に会いに」
そう言って僕は矢野先輩の見送る中、
佐々木先輩に会いに公園へ向けて駆け出して行った。
先輩はからかった様にして僕に言ってきた。
あれ? 気付いて無い?
「あの……
先輩もおトイレ使いますか?」
「いや、僕は大丈夫だよ」
トイレを使わないんだったら、
僕は何故先輩がそこに立っていたのか
訳が分からなかった。
「あの……もうアルバムは見終わったのですか?
随分早かっ……」
と言いかけた時、
「もう話は終わったの?」
と先輩が聞いてきた。
僕はギョッとして、
「えっ?」
と尋ねた。
「要君がトイレに行く前に
誰かからメッセージ来てたよね?
ソワソワしてたから、
メッセージを確認しに行ったのかなって
思ったんだけど……?」
「あの……先輩……」
「大丈夫だよ。
攻めてるんじゃないよ。
相手は裕也?」
僕は誤魔化してはいけないと思い、
「そうです。
実はお母さんに尋ねる前に
お寿司に誘っちゃってて……」
そこはちょっと苦しかったけど、
先輩に嘘をついてしまった。
「で、裕也は何て?」
「忙しいみたいで、
来れないって……」
そう言うと先輩は、
「ねえ、僕、隠し事しないでって
言ったよね?」
と悲願したように僕に言ってきた。
僕は頭の中が真っ白になった。
そして思った。
何故僕は矢野先輩に
佐々木先輩とのことを
隠したいんだろう?
付き合っているとは言ったけど、
何故、堂々と先輩の前で
佐々木先輩とメッセージの
やり取りをしないんだろう?
僕にまだ、矢野先輩に対して
期待の気持ちがある?
それとも、矢野先輩に対して
やましい気持ちがある?
なぜ?
僕は矢野先輩とは
付き合ってる訳では無いのに?
「要君?」
そう先輩に呼ばれ、
ハッとしたように先輩を見上げた。
「僕は、要君の事を責めている訳じゃないんだよ。
君が裕也と付き合うって決めたんだったら、
それで構わないんだよ。
でも、僕に隠れてコソコソとしないで。
前から言うように、
何だか、裕也に要君を取られてしまう様な……
要君が僕から離れてしまう様な……」
僕は、先輩の僕に対する執着は、
只の弟とは違うと確信した。
でも、先輩自身、
気付いて無いのかもしれない……
「あの……
一つ聞いても良いですか?」
「何だい?」
「トイレの前ではちょっと話しにくいので、
僕の部屋へ行きませんか?」
僕がそう言うと、
先輩も気付いたのか、
クスっと笑って、
「そうだね」
と言って僕の部屋へと移動した。
「じゃあ、先輩、この椅子に座って下さい。
僕はベッドの上に座りますので」
そう言って、デスク用の椅子を先輩に勧めた。
「いや、僕もここで良いよ」
そう言って先輩は僕の隣に腰かけた。
「で? 聞きたい事って?」
先輩が話を進めてきたので、
僕は生唾をごくりと飲み込んだ。
そして深呼吸して僕は先輩に尋ね始めた。
「先輩、僕、前に先輩に好きな人はいるか?って聞いた時、
先輩、居るって答えましたよね?」
先輩は暫く沈黙して、
「そうだね」
と答えた。
「それって今でも変わっていませんか?
僕が言っている意味は、
今でも、その人が好きですか?」
僕はすごく興味があった。
先輩がこの問いに何と答えるのか。
先輩は暫く考え込んでいた。
その態度で僕は、
今では違うんだと言う事が分かった。
分かったと言うよりは、
そうなんだろうと予測できた。
そして多分、
僕が思っている通りなんだろうとも思った。
先輩は暫くふさぎ込んで考えた後、
「実はね、この後、
裕也に会うことになってるんだ。
要君の質問は裕也と話をした後でも良い?」
と僕に尋ねてきた。
「僕は構いません。
では僕も一つ、
お寿司が届く前に、
少し出てきても良いですか?
直ぐに帰ってきます」
「どこに行くの?」
先輩のその問いに、
僕は携帯をかざしながら、
「佐々木先輩に会いに」
そう言って僕は矢野先輩の見送る中、
佐々木先輩に会いに公園へ向けて駆け出して行った。
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