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第48話 返事
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「おはよう赤城君!あの後先輩とのデートはどうだったの?」
奥野さんが目をキラキラとさせて教室に入って来た。
「デートじゃ無いって言ったじゃないですか! あれは先輩の誕生日を祝うために出かけたんです!」
「でも、赤城君って矢野先輩と凄く仲いいんだよね~」
「まあ、クラブの先輩でもあるし…」
「え~クラブの先輩って言っても、普通、週末に二人で出掛けたり、誕生日を二人だけで祝ったりしないでしょう?
まあ、プレゼントの交換なんかはやるかもしれないけど…」
え?
そう言うものなの?
先輩とは普通、親密な友達にならない?
週末に出かけたりしない?
誕生日に二人だけでお祝いしたりしない?
本当に?
みんなそうなの?
「でも、仲の良い友達とだったら週末出かけたり、誕生日お祝いしたりしませんか?」
「う~ん、まあ週末にお買い物に行ったりはするかもしれないけど、〝先輩″と言う存在とそこまで仲良くなるかな~?それに二人きりで誕生日のお祝いするかな? 女子だったら考えられるかもだけど、でも、私だったらクラブの先輩と週末に二人だけで出かけようとは思わないし、誕生日って友達グループで祝うか、二人きりだと恋人同士ってイメージ?…まあ、私にも男同士って良くは分からないんだけど、イメージね、あくまでも、イメージ。」
「そう言うものなんですね~。でも、僕と先輩は本当に仲のいい友達ですよ。どちらかというと、兄と弟みたいな…」
「う~ん、まあそういう関係も無きしにも在らずよね~。でも赤城君と先輩ってなんか距離が近いのよね~」
そう言うやり取をしていると、青木君が教室にやって来た。
「腹減った、腹減った~!よう、おはようさん。」
朝一番から彼が言う事は決まっていた。
「おはようございます青木君、相変わらず朝練ですか?」
そこで僕は目を疑う様なことがあった。
奥野さんが、ササっと自分のバッグから何か取り出して、青木君に渡した。
「もう腹の虫が収まらんわ。これ、サンキュー!」
青木君は奥野さんにそう言って 自分の席に着いた。
青木君が奥野さんにもらったものは何と、お弁当だった。
「いっただっきま~す。」
そういって青木君は両手を合わせて、奥野さんに渡されたお弁当を早速食べ始めた。
僕はそれを見て、あれ?あれ?と言う様な顔ををしたら、奥野さんが「ブーっ」と笑って、
「実はね、先週から付き合ってるの。」
という言葉に僕はもっと驚いた。
「え~っ、なぜもっと早く教えてくれなかったのですか?僕、全然気付きませんでした~。」
「ちょっと恥ずかしいじゃない?最初はコイツの事、サル呼ばわりしてたし…」
「え~どこをどうやったらそう言う風に…一体どっちから?」
そう尋ねると、奥野さんは恥ずかしそうに、
「何だか何時もお腹すかせてる姿にキュンときちゃって~。
パンだと栄養偏っちゃうじゃない?
だから私が作ってあげたいっていうか、私の作ったものを食べてるとこが見たいと言うか…」
「と言う事は奥野さんから~?」
「へへ、ちょっと母性本能が芽生えちゃって、餌付けしちゃった!」
そう言う彼女がとてもお茶目でとでも可愛かった。
恋する女の子ってこんなにキュートなんだなと思った。
そして青木君は、奥野さんのおいしそうなお弁当を食べながらピースサインをしていた。
「あ、そうだ、僕、佐々木先輩の体操服返しに行かなくちゃ。」
「そうだね、早くした方が良いよ。今は私達がここに居るからいいけど、見て、皆さっきから赤城君の事チラチラと…」
僕が教室を見回すと、教室の隅では、女子のリーダー的なグルーブが、僕を見ながらヒソヒソと話をしていた。
僕は先輩にHR前に階段下で会えるかメッセージを送った。
そうしたら、昼休みに生徒会室で会えるかとメッセージが返って来た。
生徒会室は本校舎一階、教室をこちら側に、階段を挟んだ向こう側の職員室の隣にある。
僕は「了解」と返事をして、HRの席に着いた。
今日は殆ど一日体育祭の練習。
今日は自分の体操服を着ていたせいか、僕に対する女子の目は少なくとも、前よりは柔らかくなっていた。
午前の練習が引けて先輩の体操服が入った袋を抱え、生徒会室へと急いだ。
ドアにある小さな窓から中を覗いてみた。
佐々木先輩が正面にあるデスクに座り、何か業務をこなしていた。
その姿が何故かとてもカッコ良く見えた。
ほ~あれが働く男性か?と思いながら眺めていると、先輩が僕に気付いて、入るように施したので、僕はガラガラと戸を開けた。
そこには先輩以外の生徒会の先輩達もいて、何やら体育祭のプログラムに関する調整を行っていた。
「こんにちわ~」
僕がそう言うと先輩が、
「もうすぐ終わるからこっち来て隣に座って。」と言うので、
「あ、僕、ただ体操服を帰しに来ただけなので。」と直ぐに帰ろうとすると、
先輩は僕の腕を掴んで、無理やり自分の隣に座らせた。
僕は仕方なく、先輩の隣に腰を下ろし、先輩の働く姿を見ていた。
先輩は的確に指示を下し、生徒会の人たちは正確にその指示に従っていた。
高校生なのに、やっぱり生徒会役員にもなる人って違うんだなと、感心していた。
こういう人達が後のリーダーになって行くんだろうなと思っていると、
「終わったぞ。」と先輩が作業を終えて、両手を頭の後ろで組んで、ノビをしていた。
「あの…僕お弁当が…」と言いかけると、先輩は僕たち以外の生徒会役員の人たちを追い払い、二人だけの状況を作った。
そして一つ深呼吸して、
「急かして悪いが、先週の答え、今聞かせてもらえるか?」と切り出した。
「え?今ですか?でもお弁当…」
僕は朝の奥野さんのお弁当を青木君が食べるところを見て以来、お腹がグーグーなっていた。
「お前、食い意地が張ってるな。弁当食べる時間なんて5分あれば十分だろ。」
「先輩、5分なんてお弁当開けてお箸持つだけで終わりますよ。」
僕がそう言うと、先輩は僕をじっと見て、
「ハハハ、それは物の例えだろ。」と笑って見せた。
「いや、この俺がだぞ、この週末落ち着け無かったんだぞ。
どんだけ週末にお前の家に突撃しようと思ったか…
ま、お前の家もどこに有るか知らないんだがな。
それにこんなに月曜日を待ったのは生まれて初めてだよ。」
と、ちょっと恥ずかしそうに言ったので、それがとても印象的だった。
僕は少しクスクスと笑って、
「先輩のそう言うところって親しみが持てますよね。」
と言うと、「俺は意外と小心者なんだよ! ま、恋愛に関してはなんだけどな。」
「先輩って本当に恋愛に対して免疫無いんですね。
僕、本当に先輩は経験豊富だとばかり思っていました。」
「そこはさ、一途だと言ってくれないか?
でも、ずっと探してたんだよ。
見つかるかも分からなかったお前をな。
やっぱり運命の番って引き合うのかな?」
「先輩ってキザですね。自分で言って恥ずかしくないですか?
僕、先輩のセリフ聞いてて、少し恥ずかしくなりました~。
でも、嬉しいです。
思ってもらえるってこんなに嬉しい事なんですね。」
「まあ、俺は何時もストレートに物を言いすぎるって言われるからな。
時々言いすぎて失敗することもあるんだけどな。」
「そうですよね、ちょっと強引だし!」
そこで先輩は僕の鼻をちょっと摘んで、
「で、どうなんだよ? 早く教えてくれ。さっきから心臓がおかしくなりそうだ。」
と再度尋ねた。
僕は先輩の瞳を覗き込んで、一呼吸おいて、
「これからよろしくお願いします。」と答えた。
先輩は目を見開いて、
「それってOKってことか?」と聞き返した。
僕は、「はい。前向きに考えようと思います。
宜しくお願いします。」とお辞儀して言った。
奥野さんが目をキラキラとさせて教室に入って来た。
「デートじゃ無いって言ったじゃないですか! あれは先輩の誕生日を祝うために出かけたんです!」
「でも、赤城君って矢野先輩と凄く仲いいんだよね~」
「まあ、クラブの先輩でもあるし…」
「え~クラブの先輩って言っても、普通、週末に二人で出掛けたり、誕生日を二人だけで祝ったりしないでしょう?
まあ、プレゼントの交換なんかはやるかもしれないけど…」
え?
そう言うものなの?
先輩とは普通、親密な友達にならない?
週末に出かけたりしない?
誕生日に二人だけでお祝いしたりしない?
本当に?
みんなそうなの?
「でも、仲の良い友達とだったら週末出かけたり、誕生日お祝いしたりしませんか?」
「う~ん、まあ週末にお買い物に行ったりはするかもしれないけど、〝先輩″と言う存在とそこまで仲良くなるかな~?それに二人きりで誕生日のお祝いするかな? 女子だったら考えられるかもだけど、でも、私だったらクラブの先輩と週末に二人だけで出かけようとは思わないし、誕生日って友達グループで祝うか、二人きりだと恋人同士ってイメージ?…まあ、私にも男同士って良くは分からないんだけど、イメージね、あくまでも、イメージ。」
「そう言うものなんですね~。でも、僕と先輩は本当に仲のいい友達ですよ。どちらかというと、兄と弟みたいな…」
「う~ん、まあそういう関係も無きしにも在らずよね~。でも赤城君と先輩ってなんか距離が近いのよね~」
そう言うやり取をしていると、青木君が教室にやって来た。
「腹減った、腹減った~!よう、おはようさん。」
朝一番から彼が言う事は決まっていた。
「おはようございます青木君、相変わらず朝練ですか?」
そこで僕は目を疑う様なことがあった。
奥野さんが、ササっと自分のバッグから何か取り出して、青木君に渡した。
「もう腹の虫が収まらんわ。これ、サンキュー!」
青木君は奥野さんにそう言って 自分の席に着いた。
青木君が奥野さんにもらったものは何と、お弁当だった。
「いっただっきま~す。」
そういって青木君は両手を合わせて、奥野さんに渡されたお弁当を早速食べ始めた。
僕はそれを見て、あれ?あれ?と言う様な顔ををしたら、奥野さんが「ブーっ」と笑って、
「実はね、先週から付き合ってるの。」
という言葉に僕はもっと驚いた。
「え~っ、なぜもっと早く教えてくれなかったのですか?僕、全然気付きませんでした~。」
「ちょっと恥ずかしいじゃない?最初はコイツの事、サル呼ばわりしてたし…」
「え~どこをどうやったらそう言う風に…一体どっちから?」
そう尋ねると、奥野さんは恥ずかしそうに、
「何だか何時もお腹すかせてる姿にキュンときちゃって~。
パンだと栄養偏っちゃうじゃない?
だから私が作ってあげたいっていうか、私の作ったものを食べてるとこが見たいと言うか…」
「と言う事は奥野さんから~?」
「へへ、ちょっと母性本能が芽生えちゃって、餌付けしちゃった!」
そう言う彼女がとてもお茶目でとでも可愛かった。
恋する女の子ってこんなにキュートなんだなと思った。
そして青木君は、奥野さんのおいしそうなお弁当を食べながらピースサインをしていた。
「あ、そうだ、僕、佐々木先輩の体操服返しに行かなくちゃ。」
「そうだね、早くした方が良いよ。今は私達がここに居るからいいけど、見て、皆さっきから赤城君の事チラチラと…」
僕が教室を見回すと、教室の隅では、女子のリーダー的なグルーブが、僕を見ながらヒソヒソと話をしていた。
僕は先輩にHR前に階段下で会えるかメッセージを送った。
そうしたら、昼休みに生徒会室で会えるかとメッセージが返って来た。
生徒会室は本校舎一階、教室をこちら側に、階段を挟んだ向こう側の職員室の隣にある。
僕は「了解」と返事をして、HRの席に着いた。
今日は殆ど一日体育祭の練習。
今日は自分の体操服を着ていたせいか、僕に対する女子の目は少なくとも、前よりは柔らかくなっていた。
午前の練習が引けて先輩の体操服が入った袋を抱え、生徒会室へと急いだ。
ドアにある小さな窓から中を覗いてみた。
佐々木先輩が正面にあるデスクに座り、何か業務をこなしていた。
その姿が何故かとてもカッコ良く見えた。
ほ~あれが働く男性か?と思いながら眺めていると、先輩が僕に気付いて、入るように施したので、僕はガラガラと戸を開けた。
そこには先輩以外の生徒会の先輩達もいて、何やら体育祭のプログラムに関する調整を行っていた。
「こんにちわ~」
僕がそう言うと先輩が、
「もうすぐ終わるからこっち来て隣に座って。」と言うので、
「あ、僕、ただ体操服を帰しに来ただけなので。」と直ぐに帰ろうとすると、
先輩は僕の腕を掴んで、無理やり自分の隣に座らせた。
僕は仕方なく、先輩の隣に腰を下ろし、先輩の働く姿を見ていた。
先輩は的確に指示を下し、生徒会の人たちは正確にその指示に従っていた。
高校生なのに、やっぱり生徒会役員にもなる人って違うんだなと、感心していた。
こういう人達が後のリーダーになって行くんだろうなと思っていると、
「終わったぞ。」と先輩が作業を終えて、両手を頭の後ろで組んで、ノビをしていた。
「あの…僕お弁当が…」と言いかけると、先輩は僕たち以外の生徒会役員の人たちを追い払い、二人だけの状況を作った。
そして一つ深呼吸して、
「急かして悪いが、先週の答え、今聞かせてもらえるか?」と切り出した。
「え?今ですか?でもお弁当…」
僕は朝の奥野さんのお弁当を青木君が食べるところを見て以来、お腹がグーグーなっていた。
「お前、食い意地が張ってるな。弁当食べる時間なんて5分あれば十分だろ。」
「先輩、5分なんてお弁当開けてお箸持つだけで終わりますよ。」
僕がそう言うと、先輩は僕をじっと見て、
「ハハハ、それは物の例えだろ。」と笑って見せた。
「いや、この俺がだぞ、この週末落ち着け無かったんだぞ。
どんだけ週末にお前の家に突撃しようと思ったか…
ま、お前の家もどこに有るか知らないんだがな。
それにこんなに月曜日を待ったのは生まれて初めてだよ。」
と、ちょっと恥ずかしそうに言ったので、それがとても印象的だった。
僕は少しクスクスと笑って、
「先輩のそう言うところって親しみが持てますよね。」
と言うと、「俺は意外と小心者なんだよ! ま、恋愛に関してはなんだけどな。」
「先輩って本当に恋愛に対して免疫無いんですね。
僕、本当に先輩は経験豊富だとばかり思っていました。」
「そこはさ、一途だと言ってくれないか?
でも、ずっと探してたんだよ。
見つかるかも分からなかったお前をな。
やっぱり運命の番って引き合うのかな?」
「先輩ってキザですね。自分で言って恥ずかしくないですか?
僕、先輩のセリフ聞いてて、少し恥ずかしくなりました~。
でも、嬉しいです。
思ってもらえるってこんなに嬉しい事なんですね。」
「まあ、俺は何時もストレートに物を言いすぎるって言われるからな。
時々言いすぎて失敗することもあるんだけどな。」
「そうですよね、ちょっと強引だし!」
そこで先輩は僕の鼻をちょっと摘んで、
「で、どうなんだよ? 早く教えてくれ。さっきから心臓がおかしくなりそうだ。」
と再度尋ねた。
僕は先輩の瞳を覗き込んで、一呼吸おいて、
「これからよろしくお願いします。」と答えた。
先輩は目を見開いて、
「それってOKってことか?」と聞き返した。
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