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第42話 嫉妬
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「な、」先輩が切り出した。
「なんですか?」
「お前の家の裏事情、浩二も知ってるのか?」
思いもしなかった質問に、一瞬僕のお弁当を食べる箸が止まった。
「あ…はい。先輩は家に来て両親にも会ったことがありますよ。」
少し躊躇しながらそう答えた。
「家にまで来たことがあるのか?!」
「あ、はい。僕が美術部に入るって決めた時、お父さんとお母さんを説得するために…」
先輩は少し黙り込んで、「両親にも会ってるのか…なんだか妬けるな。」と言った。
「はい?」僕が聞き返すと、
「何だか、浩二が知っていて、俺が知らないって腹が立つな。」
先輩は本気でイラ立っているようだった。
「え~先輩。それ、仕方ありませんよ。その時僕、まだ先輩とは出会って無いんですから。」
「そんな事は分かってるが、それでも腹が立つんだよ。それで浩二とは何時知り合ったんだ?美術部に入る前に知り合ってるよな?」
僕は予想外の先輩の焼きもちにクスっと笑った。
「先輩、見かけによらず独占欲強いですね。嫉妬深いんですか?」
「ああ、俺も自分でびっくりしてるところだ。」
「これまでのガールフレンドとか…どうしていたんですか?」
先輩はその質問の後、じっと僕を見ていた。
僕は地雷を踏んだのかな?
失礼な質問だったかな?
聞いちゃいけなかった?とちょっと心配になった。
「あ~いや、ガールフレンドなんて今までいたこと無かったからな。」
今度はちょっとそっぽを向いて、照れたように言った。
どうやら先輩は俺様なのに、あんなにモテるのに、恋愛に関しては一途で嫉妬深そうだ。
そんな意外な先輩に僕はびっくりして目を見開いて先輩の方を見た。
「何だ?そんなびっくりする事か?」
「びっくりする事?先輩、それ、本気で言ってますか?僕、先輩は凄い…ゴニョゴニョ…なのかと…」
言葉にならない言葉で聞きにくい事を言った。
「ハハハ、皆そう思ってる節はあるよな。だが、キスだってお前が初めてだぞ。」
その言葉に僕は更にびっくりした。
「えー!僕、αなんて、選り取り見取りで、来るもの拒まずで、食い散らかしてるんだとばかり思ってました~」
そう言うと、先輩は僕の頭を拳骨で軽く、コツンと叩いた。
「お前な、俺たちは獣じゃないんだぞ。それに、そう言うお前はどうなんだよ?」
その、先輩の質問に、僕はジト~っと先輩を見て、
「それ、聞くまでもあるんですか?」と答えていた。
先輩の「ま、それもそうだな。」という言葉に、「それ、どういう意味ですか~?」と冗談っぽく言うと、
「お前が自分でいったんだろ~」と僕達は共に笑っていた。
「で、結局浩二とは何時知り合ったんだ?」と先輩が再度聞いてきたので、
「え~そうですね。入学式の時です。」と答えた。
先輩は少し考えたようにして、
「あ~俺が受付を頼んだ時だな。」と言った。
「そう言えば先輩もそう言う事を言ってましたね~」
「クソっ、頼まなけりゃ良かった!」
先輩は本気でそう言っているようだった。
「先輩、言葉わるくなってますよ!でも、矢野先輩、僕の事、公園でよく見かけたって言ってましたから、入学式で会わなくっても、出会うのも時間の問題でしたよ。」
「お前、公園の近くに住んでるのか?」
「あ、はい。矢野先輩も公園の近くだって言ってましたよ。だから良く登下校でも会うんです。」
「そうなんだよな。あいつ高校に入って引っ越したんだよ。」
「そうみたいですね。そんな風に先輩も言ってました。」
そう言うと先輩は顔をしかめた。
「なあ、要、俺たち、マジで付き合おう。
お前が浩二の事好きなままでも良いから、もし、俺たちの未来に可能性があるんだったら、俺たちの運命も手探りで探していきたい。
俺はずっと、俺だけの運命の相手を探していたんだ。そしてお前を見つけた。
もし、これからの人生の中で、お互いが本当に運命を感じたら…」
「感じたら何ですか?」
「その時は俺の番になって欲しい。」
「先輩、それ、プロポーズみたいですよ。」
「まあ、いずれはそうなるだろうな。」と言って先輩は微笑んだ。
その言葉に僕はドキッとした。
本気でドキドキした。
矢野先輩に対しては少し周りが見えなくなっていたところがあったかもしれない。
でも、佐々木先輩とだったら、ゆっくりと落ち着いて自分を見つめることが出来るかもしれない。
「あの…少し考えても良いですか?月曜日までには答えを出します。」
「分かった。」
「あの、この事は誰にも言わないで下さい。矢野先輩にも。」
「分かった。約束する。」
先輩がそう言った時、部室のドアが開いて、矢野先輩が入って来た。
何てタイミング!と思って僕はびっくりした。
でも、そこに居た僕達を見て、矢野先輩は少し怪訝な顔をした。
「君たち、こんな鍵のかかった部屋で二人きりで何をしてたの?」
ちょっと怒ったような声がする。
僕は凄く先輩を心配させて、それを踏みにじったんだろうなと思った。
僕が弁解をしようとしたら佐々木先輩が先に、
「いや、実はな、要がお前に振られた日に、こいつと会ってるんだよ。」と言うと、矢野先輩が
「え?」と驚いていた。
「いや、要を責めるなよ。体育館階段の踊り場でな、泣いてるところを見つけて、無理やり理由を聞き出して相談に乗ってたんだよ。
ま、話が話だから、人気のない処でしか出来ないしな。
だからここを借りたって訳さ。」
「じゃ、ここ一連の怪しい行動も、それが原因だったって事?」
僕が、先輩の話に合わせて、コクコクと頷いた。
矢野先輩はあまり納得をしたような感じでは無かった。
「ま、すまなかったな、怪しい行動をとって。なんとか要にお前を諦めさせようとしてたんだけどな。今の所は無理みたいだな。」
佐々木先輩はジョークにも似たような口調でそう言った。
先輩は僕の方を意味深な感じで見ていたけど、僕は初めてできた先輩への “秘密” に少し心が痛んだ。
「なんですか?」
「お前の家の裏事情、浩二も知ってるのか?」
思いもしなかった質問に、一瞬僕のお弁当を食べる箸が止まった。
「あ…はい。先輩は家に来て両親にも会ったことがありますよ。」
少し躊躇しながらそう答えた。
「家にまで来たことがあるのか?!」
「あ、はい。僕が美術部に入るって決めた時、お父さんとお母さんを説得するために…」
先輩は少し黙り込んで、「両親にも会ってるのか…なんだか妬けるな。」と言った。
「はい?」僕が聞き返すと、
「何だか、浩二が知っていて、俺が知らないって腹が立つな。」
先輩は本気でイラ立っているようだった。
「え~先輩。それ、仕方ありませんよ。その時僕、まだ先輩とは出会って無いんですから。」
「そんな事は分かってるが、それでも腹が立つんだよ。それで浩二とは何時知り合ったんだ?美術部に入る前に知り合ってるよな?」
僕は予想外の先輩の焼きもちにクスっと笑った。
「先輩、見かけによらず独占欲強いですね。嫉妬深いんですか?」
「ああ、俺も自分でびっくりしてるところだ。」
「これまでのガールフレンドとか…どうしていたんですか?」
先輩はその質問の後、じっと僕を見ていた。
僕は地雷を踏んだのかな?
失礼な質問だったかな?
聞いちゃいけなかった?とちょっと心配になった。
「あ~いや、ガールフレンドなんて今までいたこと無かったからな。」
今度はちょっとそっぽを向いて、照れたように言った。
どうやら先輩は俺様なのに、あんなにモテるのに、恋愛に関しては一途で嫉妬深そうだ。
そんな意外な先輩に僕はびっくりして目を見開いて先輩の方を見た。
「何だ?そんなびっくりする事か?」
「びっくりする事?先輩、それ、本気で言ってますか?僕、先輩は凄い…ゴニョゴニョ…なのかと…」
言葉にならない言葉で聞きにくい事を言った。
「ハハハ、皆そう思ってる節はあるよな。だが、キスだってお前が初めてだぞ。」
その言葉に僕は更にびっくりした。
「えー!僕、αなんて、選り取り見取りで、来るもの拒まずで、食い散らかしてるんだとばかり思ってました~」
そう言うと、先輩は僕の頭を拳骨で軽く、コツンと叩いた。
「お前な、俺たちは獣じゃないんだぞ。それに、そう言うお前はどうなんだよ?」
その、先輩の質問に、僕はジト~っと先輩を見て、
「それ、聞くまでもあるんですか?」と答えていた。
先輩の「ま、それもそうだな。」という言葉に、「それ、どういう意味ですか~?」と冗談っぽく言うと、
「お前が自分でいったんだろ~」と僕達は共に笑っていた。
「で、結局浩二とは何時知り合ったんだ?」と先輩が再度聞いてきたので、
「え~そうですね。入学式の時です。」と答えた。
先輩は少し考えたようにして、
「あ~俺が受付を頼んだ時だな。」と言った。
「そう言えば先輩もそう言う事を言ってましたね~」
「クソっ、頼まなけりゃ良かった!」
先輩は本気でそう言っているようだった。
「先輩、言葉わるくなってますよ!でも、矢野先輩、僕の事、公園でよく見かけたって言ってましたから、入学式で会わなくっても、出会うのも時間の問題でしたよ。」
「お前、公園の近くに住んでるのか?」
「あ、はい。矢野先輩も公園の近くだって言ってましたよ。だから良く登下校でも会うんです。」
「そうなんだよな。あいつ高校に入って引っ越したんだよ。」
「そうみたいですね。そんな風に先輩も言ってました。」
そう言うと先輩は顔をしかめた。
「なあ、要、俺たち、マジで付き合おう。
お前が浩二の事好きなままでも良いから、もし、俺たちの未来に可能性があるんだったら、俺たちの運命も手探りで探していきたい。
俺はずっと、俺だけの運命の相手を探していたんだ。そしてお前を見つけた。
もし、これからの人生の中で、お互いが本当に運命を感じたら…」
「感じたら何ですか?」
「その時は俺の番になって欲しい。」
「先輩、それ、プロポーズみたいですよ。」
「まあ、いずれはそうなるだろうな。」と言って先輩は微笑んだ。
その言葉に僕はドキッとした。
本気でドキドキした。
矢野先輩に対しては少し周りが見えなくなっていたところがあったかもしれない。
でも、佐々木先輩とだったら、ゆっくりと落ち着いて自分を見つめることが出来るかもしれない。
「あの…少し考えても良いですか?月曜日までには答えを出します。」
「分かった。」
「あの、この事は誰にも言わないで下さい。矢野先輩にも。」
「分かった。約束する。」
先輩がそう言った時、部室のドアが開いて、矢野先輩が入って来た。
何てタイミング!と思って僕はびっくりした。
でも、そこに居た僕達を見て、矢野先輩は少し怪訝な顔をした。
「君たち、こんな鍵のかかった部屋で二人きりで何をしてたの?」
ちょっと怒ったような声がする。
僕は凄く先輩を心配させて、それを踏みにじったんだろうなと思った。
僕が弁解をしようとしたら佐々木先輩が先に、
「いや、実はな、要がお前に振られた日に、こいつと会ってるんだよ。」と言うと、矢野先輩が
「え?」と驚いていた。
「いや、要を責めるなよ。体育館階段の踊り場でな、泣いてるところを見つけて、無理やり理由を聞き出して相談に乗ってたんだよ。
ま、話が話だから、人気のない処でしか出来ないしな。
だからここを借りたって訳さ。」
「じゃ、ここ一連の怪しい行動も、それが原因だったって事?」
僕が、先輩の話に合わせて、コクコクと頷いた。
矢野先輩はあまり納得をしたような感じでは無かった。
「ま、すまなかったな、怪しい行動をとって。なんとか要にお前を諦めさせようとしてたんだけどな。今の所は無理みたいだな。」
佐々木先輩はジョークにも似たような口調でそう言った。
先輩は僕の方を意味深な感じで見ていたけど、僕は初めてできた先輩への “秘密” に少し心が痛んだ。
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