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第27話 ゴールデンウィーク3
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僕達は芝生の上に寝転がって満天の星を見ていた。
そしてもちろん横には、僕と一緒に先輩も寝転んでいる。
今は二日目の夜。
二日目は、最初の計画通り、僕達はまったり、ゆったりと一日を過ごした。
朝は日が出る前から起き、デッキに出て、ソファーに腰かけた。
朝の空気が冷たくて、火照った頬を覚ましてくれる。
ブルっと身震いをして、ソファーに掛けてあったブランケットを肩に掛けた。
昨夜は、先輩が隣で寝ていると思うと、緊張して一睡もできなかった。
そしてずっと考えていた…先輩の涙の訳を…
恐らく僕は、先輩の涙の意味を知っている。
カチッとドアの開く音がして、「あ、要君、ここに居たんだ…」そう言いながら、
重そうな瞼を開けたり閉じたりしがら先輩が僕の所にやって来た。
寝ぼけ声で「ちょっと詰めて…」と言って端っこに追いやった僕の隣に先輩が座り、僕のブランケットの中に割り込んでくる。
「寒いね~」と言いながら、先輩は僕の膝に頬を落としてまた瞼を閉じた。
「先輩?」僕が呼び掛けると、
「ん~?」と眠たそうな返事が返ってくる。
「眠るんだったらベッドの上が良いですよ?」僕がそう問いかけると、
「だって、要君居ないんだもん。部屋の空気が寒い…」先輩はそう言って僕の手を取って、自分の頬にあてがった。
「は~すごく暖かい…」
僕はそっと先輩の手に僕の手を添えて、
「先輩って結構甘えん坊なんですね。」と言うと、
「人肌って気持ちいいね。」と先輩が答えた。
「ねえ要君知ってた?肌と肌の触れ合いってね、メンタルにも良いんだってよ。愛する人と肌と肌で触れ合えたら、それってどんな感じなんだろうね…」
そう言って先輩は静かになった。
「先輩?」
「………」
「先輩?寝ちゃったの?」
「………」
返事が無い。どうやら又眠りに落ちたようだ。
僕は薄暗くなった東の空を見上げた。
薄っすらと地平線がオレンジの線を描く。
もう直ぐ夜が明ける…僕はそう思いながら、朝の冷たい空気を胸いっぱいに吸った。
下を見ると、先輩が気持ち良さそうにス~ス~と眠っている。
僕は片方の手で先輩の頬に触れたまま、先輩が眠っているのを良い事に、もう一方で先輩の髪を掻き撫でていた。
先輩がとても愛おしかった。
涙が出そうな程に先輩が愛おしかった。
地平線に目を戻すと、弧を描いた地平線からは、ゆっくりと太陽が昇って来ていた。
僕は何も考える事が出来ずに、その光景を見ていた。
太陽が上がるに従って、太陽の光が段々と先輩の顔を照らして行く。
その眩しさに顔を歪めて先輩が目を覚ました。
そして僕は慌てて先輩の髪を掻き撫でていた手を引っ込めた。
まだ目を開けたり、閉じたりして目を覚そうとしている先輩に、「先輩、朝ですよ。」と言って話しかけた。
目をショボショボと瞬きした後、先輩はファ~と欠伸をしてその場に立って伸びをした。
先輩は辺りをキョロキョロろ見回して、
「あれ?僕、何時の間にここに来たの?」ととぼけている。
どうやら先輩は寝ぼけてここまで来たようだ。
「先パ~イ、寝ボケてたんですか?もう僕のブランケットをグイグイと引っ張って大変だったんですよ~膝には寝転がってくるし、押しても、押しても戻ってくるし、僕、足が痺れて、痺れて!」と膝をさすりながら、口をとがらしておとぼけてみた。
「ごめん、ごめ~ん!何だか、気持ちいいな~とは思ってたんだよ。とても良い夢見心地でね~」と先輩は言って笑っていた。
僕はからかって、「先輩、お母さ~んって寝言、言ってましたよ。」と言ってプッと笑った。
先輩は苦笑いしながらデッキフェンスまで歩いて行くと、フェンスを掴んで遠くを見た後、僕の方を振り向きにっこりと笑って、
「要君、この景色見てよ!凄いと思わない?」と、そう言った。
僕には、朝日を浴びて少しキラキラとした先輩の顔の方が凄く眩しかった。
僕がまだボーっとソファーに座っている間に、先輩が熱いコーヒーを入れて持ってきてくれた。
「山根さんが丁度来たところだから、直ぐに朝食にありつけるよ。」そう言いながら僕にカップを渡して、先輩はコーヒーを一口飲んだ。
デッキのフェンスにもたれてコーヒーを飲む先輩の姿はとても奇麗だった。
「先輩、そうしていると、凄く奇麗です…」
僕は思っている事が不意に口から出てハッとした。
先輩は目を見開いて、「ハハハありがとう。僕はどっちかって言うと、カッコイイの方が良いかも?」と言って笑っていた。
僕は苦笑いしながら、「そうですね、先輩、凄くカッコイイです!」と付け加えた。
先輩は、「ハハ、とりあえずは言っておこうかなって感じ?」と笑いながら、
「要君、こっちに来てごらんよ。景色が凄くきれいだよ。僕はこの景色を君に見せたかったんだ。」そう言って先輩が僕の手を引いた。
デッキから目の前に広がる景色は遠くまで続く渓谷で、雨に濡れたような緑色は、濃い部分と薄い部分をあちらこちらに散りばめて、これでもかというくらい何処までも、何処までも続いていた。
そして地平線をくっきりっと映し出した、青い空と白い雲のコントラストはその美しさを一層引き立てていた。
その光景を見て僕が「ずっとこうして居たいな…」と呟くと、
「そうだね、このまま時が止まってくれたら良いね。」と先輩が答えた。
そして阿蘇の壮大な景色を目の前に、僕は静かに目を閉じた。
そしてもちろん横には、僕と一緒に先輩も寝転んでいる。
今は二日目の夜。
二日目は、最初の計画通り、僕達はまったり、ゆったりと一日を過ごした。
朝は日が出る前から起き、デッキに出て、ソファーに腰かけた。
朝の空気が冷たくて、火照った頬を覚ましてくれる。
ブルっと身震いをして、ソファーに掛けてあったブランケットを肩に掛けた。
昨夜は、先輩が隣で寝ていると思うと、緊張して一睡もできなかった。
そしてずっと考えていた…先輩の涙の訳を…
恐らく僕は、先輩の涙の意味を知っている。
カチッとドアの開く音がして、「あ、要君、ここに居たんだ…」そう言いながら、
重そうな瞼を開けたり閉じたりしがら先輩が僕の所にやって来た。
寝ぼけ声で「ちょっと詰めて…」と言って端っこに追いやった僕の隣に先輩が座り、僕のブランケットの中に割り込んでくる。
「寒いね~」と言いながら、先輩は僕の膝に頬を落としてまた瞼を閉じた。
「先輩?」僕が呼び掛けると、
「ん~?」と眠たそうな返事が返ってくる。
「眠るんだったらベッドの上が良いですよ?」僕がそう問いかけると、
「だって、要君居ないんだもん。部屋の空気が寒い…」先輩はそう言って僕の手を取って、自分の頬にあてがった。
「は~すごく暖かい…」
僕はそっと先輩の手に僕の手を添えて、
「先輩って結構甘えん坊なんですね。」と言うと、
「人肌って気持ちいいね。」と先輩が答えた。
「ねえ要君知ってた?肌と肌の触れ合いってね、メンタルにも良いんだってよ。愛する人と肌と肌で触れ合えたら、それってどんな感じなんだろうね…」
そう言って先輩は静かになった。
「先輩?」
「………」
「先輩?寝ちゃったの?」
「………」
返事が無い。どうやら又眠りに落ちたようだ。
僕は薄暗くなった東の空を見上げた。
薄っすらと地平線がオレンジの線を描く。
もう直ぐ夜が明ける…僕はそう思いながら、朝の冷たい空気を胸いっぱいに吸った。
下を見ると、先輩が気持ち良さそうにス~ス~と眠っている。
僕は片方の手で先輩の頬に触れたまま、先輩が眠っているのを良い事に、もう一方で先輩の髪を掻き撫でていた。
先輩がとても愛おしかった。
涙が出そうな程に先輩が愛おしかった。
地平線に目を戻すと、弧を描いた地平線からは、ゆっくりと太陽が昇って来ていた。
僕は何も考える事が出来ずに、その光景を見ていた。
太陽が上がるに従って、太陽の光が段々と先輩の顔を照らして行く。
その眩しさに顔を歪めて先輩が目を覚ました。
そして僕は慌てて先輩の髪を掻き撫でていた手を引っ込めた。
まだ目を開けたり、閉じたりして目を覚そうとしている先輩に、「先輩、朝ですよ。」と言って話しかけた。
目をショボショボと瞬きした後、先輩はファ~と欠伸をしてその場に立って伸びをした。
先輩は辺りをキョロキョロろ見回して、
「あれ?僕、何時の間にここに来たの?」ととぼけている。
どうやら先輩は寝ぼけてここまで来たようだ。
「先パ~イ、寝ボケてたんですか?もう僕のブランケットをグイグイと引っ張って大変だったんですよ~膝には寝転がってくるし、押しても、押しても戻ってくるし、僕、足が痺れて、痺れて!」と膝をさすりながら、口をとがらしておとぼけてみた。
「ごめん、ごめ~ん!何だか、気持ちいいな~とは思ってたんだよ。とても良い夢見心地でね~」と先輩は言って笑っていた。
僕はからかって、「先輩、お母さ~んって寝言、言ってましたよ。」と言ってプッと笑った。
先輩は苦笑いしながらデッキフェンスまで歩いて行くと、フェンスを掴んで遠くを見た後、僕の方を振り向きにっこりと笑って、
「要君、この景色見てよ!凄いと思わない?」と、そう言った。
僕には、朝日を浴びて少しキラキラとした先輩の顔の方が凄く眩しかった。
僕がまだボーっとソファーに座っている間に、先輩が熱いコーヒーを入れて持ってきてくれた。
「山根さんが丁度来たところだから、直ぐに朝食にありつけるよ。」そう言いながら僕にカップを渡して、先輩はコーヒーを一口飲んだ。
デッキのフェンスにもたれてコーヒーを飲む先輩の姿はとても奇麗だった。
「先輩、そうしていると、凄く奇麗です…」
僕は思っている事が不意に口から出てハッとした。
先輩は目を見開いて、「ハハハありがとう。僕はどっちかって言うと、カッコイイの方が良いかも?」と言って笑っていた。
僕は苦笑いしながら、「そうですね、先輩、凄くカッコイイです!」と付け加えた。
先輩は、「ハハ、とりあえずは言っておこうかなって感じ?」と笑いながら、
「要君、こっちに来てごらんよ。景色が凄くきれいだよ。僕はこの景色を君に見せたかったんだ。」そう言って先輩が僕の手を引いた。
デッキから目の前に広がる景色は遠くまで続く渓谷で、雨に濡れたような緑色は、濃い部分と薄い部分をあちらこちらに散りばめて、これでもかというくらい何処までも、何処までも続いていた。
そして地平線をくっきりっと映し出した、青い空と白い雲のコントラストはその美しさを一層引き立てていた。
その光景を見て僕が「ずっとこうして居たいな…」と呟くと、
「そうだね、このまま時が止まってくれたら良いね。」と先輩が答えた。
そして阿蘇の壮大な景色を目の前に、僕は静かに目を閉じた。
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