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第18話 変化
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「今日は本当にお世話になりました。とても意義のある話が出来たと思います。それに、僕を信頼して下さって、本当にありがとうございました。」と先輩は僕の両親に一礼した。
「本当に夕飯まで居なくて大丈夫? 家は全然構わないんだよ。要も矢野君が尋ねて来て嬉しいと思うし。」とお母さんが言うと、
「いえ、もう色んな情報でお腹いっぱいで…でも、本当にありがとうございます。」と先輩が丁寧に夕食の招待を断った。
「もう矢野君にはバレちゃったから、何時でも遊びに来て良いんだからね。」とお父さんがいうと、お母さんも、
「そうだよ、遠慮しないで、何時でも遊びに来て。」と言ってくれた。
「はい、ありがとうございます。遠慮せずにまた寄らせてもらいます。」と先輩は両親に微笑んだ。
「じゃ、僕は先輩を公園辺りまで送ってくるよ」そう言って、僕は先輩と家を出た。
エレベーターを待っている間先輩は、少し沈んでいるように見えた。
「先輩、大丈夫ですか?何だか疲れてそうだけど、僕の秘密が大きすぎましたか?」と言って心配すると、
「あ、いや、大丈夫だよ」とにっこり笑って、「さ、エレベーターが来たから乗り込もう」と言って、僕達はエレベーターに乗り込んだ。
そして1階まではあっという間についてしまった。
その間中、先輩は下をうつ向いて、なんだか悲しそうな顔をしていた。
僕達は公園の方向へ向かって歩きながら、「先輩、もう一度確認しますが、僕が美術部に入っても、本当に迷惑じゃないですか?」と再度確認した。
「何を言ってるんだ、当たり前に決まってるだろ。僕は全力で要君の事守るから、心配しないで入部しておいで。」
先輩の僕を助けるという意思は固かった。
それで僕も決意を固めた。
「じゃ、明日早速入部届を持ってきますので宜しくお願いします。」と僕は伝えた。
「でも、要君の両親は君が言った通りの方達だったね、凄く愛し合って…愛があって、優しくて、君を全身で守って…。君が暖かい家族に憧れる気持ちが凄く良く分かったよ。」
「ありがとうございます。小さい時からずっと両親のお互いを思いやる行為を見てきたので、僕もいつか絶対と思っているんです。」
「分かるよ、君の気持。」
「悲観している訳では無いんですけど、僕、正直言ってΩだし、恐らく、将来は子供を産む側になると思うんです。男性にかかわらず女性もですが、Ωの行く末を色々と聞いて、だから余計、お母さんがお父さんを見つけたように、僕を理解して、愛してくれる人に巡り合いたい気持ちが強くて…」そう伝えると、
「僕も君の両親には凄く憧れるよ。君もご両親の様に、君だけの人に巡り合えたら良いね。」と先輩は言ってくれた。
そのセリフが僕には少し悲しかった。
それから先輩は嬉しそうに、「これから楽しみだね~。」と不意に言った。
「何がですか?」と尋ねると、
「住んでるところは近いし、美術部にも入ってくれるんだったら、これからは登下校も一緒にできるかもだね~。」と先輩は言った。
僕はちょっとドキドキしながら、「先パーイ、四六時中一緒に居たら、僕、恋人出来ないかも。」と言ってからかってみた。
先輩の反応を少し見て見たかった。
でも、先輩の僕に対する反応は、僕の思いをはるかに超えてしまった。
「可愛くない後輩にはこうだ!」と言って、ハーッとげんこつで頭をグリグリとされた。
先輩ちょっと元気がもどったかな?と思った瞬間、先輩がちょっと立ち止まって、彼の手が僕の髪に絡んできた。
その瞬間僕の心臓が跳ねた。
今まで感じた事が無いくらい、凄くドキドキしている。
「要君、君の髪の毛、凄く柔らかいんだね、細くて奇麗な色をしてるし、それに色白でちょっと日本人離れした顔してるし…肌もきめ細かで…」
そう言って、僕を見つめながらそっと髪をなででくれた。
僕は一層ドキドキしている。
何だか髪の毛からさえも僕の鼓動が分かるかと思うくらいドキドキとしている。
先輩にばれないように、ギュッと息を殺して、心拍数が跳ね上がるのをじっと抑えた。
「要君って外国の血入ってる?」そう聞いて来る先輩に、
「えっ?いえ、僕の両親はれっきとした100%日本人です。祖父母も同じです。ただ、少し遡った所
に多分外国の人が居たんじゃないかっていう話は少し聞いてます」と答えると、
「そうだろうな。瞳の色も、髪の色も、凄く要君に似合って綺麗だよ」そう言って僕の頬に触れてきた。
「そんな事言うの先輩だけですよ!」そう言いながら心臓は破裂しそうな程バクバク言っている。
もうこれ以上先輩と居る事はいたたまれなった。
少し先輩から離れて、「じゃ、僕は両親が待っていると思いますので、ここで帰ります。」と言った瞬間、何かがドクンと音をたてて体の芯を変えていくのが分かった。
「ヤバイ!」そう思った僕は一礼し、後ろも振り返らず、一目散にマンション目掛けて走り出した。
「どうか、誰にも会いませんように、どうか、誰にも会いませんように。」そう思いながら家までの道のりを駆け抜けていった。
そして屋上階までのエレベーターに飛び乗って、家に駆け込んだ。
幸いなことに、エレベーターには誰も居なかった。
僕は、家に着いたのと同時に息苦しくなって玄関に倒れ込んだ。
意識はもうろうとして、駆け寄ってくる両お母さんと、お父さんに抱きかかえられたところで僕の記憶は途切れた。
そして公園に残された矢野浩二は「要君、君の匂い…」とポツンと言った。
「本当に夕飯まで居なくて大丈夫? 家は全然構わないんだよ。要も矢野君が尋ねて来て嬉しいと思うし。」とお母さんが言うと、
「いえ、もう色んな情報でお腹いっぱいで…でも、本当にありがとうございます。」と先輩が丁寧に夕食の招待を断った。
「もう矢野君にはバレちゃったから、何時でも遊びに来て良いんだからね。」とお父さんがいうと、お母さんも、
「そうだよ、遠慮しないで、何時でも遊びに来て。」と言ってくれた。
「はい、ありがとうございます。遠慮せずにまた寄らせてもらいます。」と先輩は両親に微笑んだ。
「じゃ、僕は先輩を公園辺りまで送ってくるよ」そう言って、僕は先輩と家を出た。
エレベーターを待っている間先輩は、少し沈んでいるように見えた。
「先輩、大丈夫ですか?何だか疲れてそうだけど、僕の秘密が大きすぎましたか?」と言って心配すると、
「あ、いや、大丈夫だよ」とにっこり笑って、「さ、エレベーターが来たから乗り込もう」と言って、僕達はエレベーターに乗り込んだ。
そして1階まではあっという間についてしまった。
その間中、先輩は下をうつ向いて、なんだか悲しそうな顔をしていた。
僕達は公園の方向へ向かって歩きながら、「先輩、もう一度確認しますが、僕が美術部に入っても、本当に迷惑じゃないですか?」と再度確認した。
「何を言ってるんだ、当たり前に決まってるだろ。僕は全力で要君の事守るから、心配しないで入部しておいで。」
先輩の僕を助けるという意思は固かった。
それで僕も決意を固めた。
「じゃ、明日早速入部届を持ってきますので宜しくお願いします。」と僕は伝えた。
「でも、要君の両親は君が言った通りの方達だったね、凄く愛し合って…愛があって、優しくて、君を全身で守って…。君が暖かい家族に憧れる気持ちが凄く良く分かったよ。」
「ありがとうございます。小さい時からずっと両親のお互いを思いやる行為を見てきたので、僕もいつか絶対と思っているんです。」
「分かるよ、君の気持。」
「悲観している訳では無いんですけど、僕、正直言ってΩだし、恐らく、将来は子供を産む側になると思うんです。男性にかかわらず女性もですが、Ωの行く末を色々と聞いて、だから余計、お母さんがお父さんを見つけたように、僕を理解して、愛してくれる人に巡り合いたい気持ちが強くて…」そう伝えると、
「僕も君の両親には凄く憧れるよ。君もご両親の様に、君だけの人に巡り合えたら良いね。」と先輩は言ってくれた。
そのセリフが僕には少し悲しかった。
それから先輩は嬉しそうに、「これから楽しみだね~。」と不意に言った。
「何がですか?」と尋ねると、
「住んでるところは近いし、美術部にも入ってくれるんだったら、これからは登下校も一緒にできるかもだね~。」と先輩は言った。
僕はちょっとドキドキしながら、「先パーイ、四六時中一緒に居たら、僕、恋人出来ないかも。」と言ってからかってみた。
先輩の反応を少し見て見たかった。
でも、先輩の僕に対する反応は、僕の思いをはるかに超えてしまった。
「可愛くない後輩にはこうだ!」と言って、ハーッとげんこつで頭をグリグリとされた。
先輩ちょっと元気がもどったかな?と思った瞬間、先輩がちょっと立ち止まって、彼の手が僕の髪に絡んできた。
その瞬間僕の心臓が跳ねた。
今まで感じた事が無いくらい、凄くドキドキしている。
「要君、君の髪の毛、凄く柔らかいんだね、細くて奇麗な色をしてるし、それに色白でちょっと日本人離れした顔してるし…肌もきめ細かで…」
そう言って、僕を見つめながらそっと髪をなででくれた。
僕は一層ドキドキしている。
何だか髪の毛からさえも僕の鼓動が分かるかと思うくらいドキドキとしている。
先輩にばれないように、ギュッと息を殺して、心拍数が跳ね上がるのをじっと抑えた。
「要君って外国の血入ってる?」そう聞いて来る先輩に、
「えっ?いえ、僕の両親はれっきとした100%日本人です。祖父母も同じです。ただ、少し遡った所
に多分外国の人が居たんじゃないかっていう話は少し聞いてます」と答えると、
「そうだろうな。瞳の色も、髪の色も、凄く要君に似合って綺麗だよ」そう言って僕の頬に触れてきた。
「そんな事言うの先輩だけですよ!」そう言いながら心臓は破裂しそうな程バクバク言っている。
もうこれ以上先輩と居る事はいたたまれなった。
少し先輩から離れて、「じゃ、僕は両親が待っていると思いますので、ここで帰ります。」と言った瞬間、何かがドクンと音をたてて体の芯を変えていくのが分かった。
「ヤバイ!」そう思った僕は一礼し、後ろも振り返らず、一目散にマンション目掛けて走り出した。
「どうか、誰にも会いませんように、どうか、誰にも会いませんように。」そう思いながら家までの道のりを駆け抜けていった。
そして屋上階までのエレベーターに飛び乗って、家に駆け込んだ。
幸いなことに、エレベーターには誰も居なかった。
僕は、家に着いたのと同時に息苦しくなって玄関に倒れ込んだ。
意識はもうろうとして、駆け寄ってくる両お母さんと、お父さんに抱きかかえられたところで僕の記憶は途切れた。
そして公園に残された矢野浩二は「要君、君の匂い…」とポツンと言った。
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