消えない思い

樹木緑

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第5話 帰郷4

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飛行機がゲートから
徐々に離れる光景を眺めていたら、
この7年間の色々な思い出が
怒涛の様にあふれ出てきた。

本当にこの選択は正しかったのだろうか?
もし彼に会ったらどうすれば……
いや、彼に会うことさえあるのだろうか?
まだ一人?
付き合ってる人は居るんだろうか?
いや、それとも結婚してる?
どこに住んでいるのだろう?

ぼーっと考え込んでいたら陽一が、

「かなちゃん、見て見て、
建物や車が凄く小さくなっていく~ 
向こうにはすっごい大きな畑が見えるし、
街もすごく小さくなってくる~」

と目を輝かせている。

そんな陽一を目に要は
にっこりとほほ笑んだ。
そしてはしゃぐ陽一を横に、
これからの日本での生活について
色々と思いを馳せた。

色々と考え込んでいる居るうちに、
いつの間にか飛行機は滑走路を離れ雲の上に出ていた。

「かなちゃん、僕たち雲の上だよ!
すごいね~綿菓子みたい。
食べれるのかな? 窓空かないね?」

そう言いながら、窓を開けようとする陽一にクスっとわらいながら、

「陽ちゃん、飛行機の窓はあかないんだよ、
 それに雲は綿菓子みたいでも、
綿菓子じゃないから食べれないんだよ」

と返した。

「ちぇ~っ、見た感じはすっごい美味しそうなのに~」

と陽一は残念そうである。

そんな会話をしていたら、
飛行機は雲の上を旋回しがら
水平飛行にはいっていった。

陽一の頭越しにぼーっと遠くの
太陽と下に広がる雲を眺めていたら、
フライトアテンダント達が
忙しそうに夕食の準備をしはじめた。

「あ~良い匂いがする!
僕、お腹ペコペコ!」

そう陽一が言った。

夕食の前に飲み物が配られ、
その後、手ぬぐいが配られた。
座席のポケットの中には
飛行中のスケジュールがあり、
食事の際のメニューも書き込まれていた。

陽一の分は事前に
子供用のメニューを頼んであったが、
メニューの中に三食ご飯があった。

「あ、すごく懐かしい。
ねえ、ねえ、陽ちゃん、三食ご飯があるよ。
三食ご飯って知ってる?
多分陽ちゃんは見たことないと思うけど、
お肉と卵とお野菜がご飯の上に乗っていて、
 とーっても美味しいんだよ。
僕、三食ご飯頼むから、陽ちゃんも食べてみる?」

「うーん、僕はカレーがいいや!」

「カレー……
そっか、ま、陽ちゃんの大好物だもんね。
じゃ僕は三食ご飯にするから、
陽ちゃん、味見したかったら言ってね」

そう言って、僕は三食ご飯、
陽一はカレーを食べた。

夕食が引かれたあとは、
また、飲み物のサービスがあった。

僕はコーヒーを頼み、
陽一はリンゴジュースを頼んだ。

「かなちゃん、お腹いっぱいになったね。
僕、何だか眠くなっちゃった」

そう言って陽一は大きな欠伸をした。

「そうだね、パリはもう夜の7時だね。
この毛布を被ってゆっくりして。
僕に寄りかかってもいいよ。
ここに枕と陽ちゃんのテディーもあるからね」

そう言っているうちに陽一は
スースーと眠りに落ちた。

僕はその寝顔を眺めながら
いつの間にか自身も眠りに落ちていた。
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