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記憶
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私を呼び起こすのは誰?
彼方から声が聞こえる。
あの日から一体、幾度の星を巡ったのだろう?
あの日の思い出はあまりにも辛過ぎて、
忘れていたいのに、忘れたくない。
でも私にはあの日の約束が……
お願い、もう少し眠っていたい。
あの時の事は思い出したくないの。
あれは辛すぎて、辛すぎて……
でも誰かが私を呼んでいる。
私を呼び覚ますのは誰?
もう私を呼び起こさないで。
ずっと、ずっと記憶をたどって探しているのに、あなたは見つからない……
「また会えなかった……
あなたはどこにいるの?
私達は違う時系を旅しているの?
あんなに約束したのに……
貴方に会いたい……
でも今度こそは……」
気がつくと、そこには無の世界が広がっていた。
顔を上げると、周りには誰もいなかった。
ただ霧が一面に立ち込めて、
懐かしい香りがした。
どうやってここへ来たのか覚えていない。
少し前まで何か思っていたような気はする……
誰かを探していたような気がする。
「……君……さ……僕……絶対……」
わずかに頭の中に響いたセリフ。
何? もう一度言って……
私は立ち込める霧の中、
最初の一歩を踏み出した。
地面があるのかわからないフワフワとした不思議な感覚だった。
もしかしたら、これが死なのだろうか?
私はあの人に会えずに、また死んだのだろうか?
「また?
私、またって言った?」
また死んでしまった……
どういう意味なんだろう?
「あれ? 私…… 今、何を考えてたんだっけ?
ちょっと待って…… もう忘れてしまったの?
今まで大切なことを考えていたような気がするのに……
頭の中にモヤが掛かる……」
何処? 今頭の中に過った場所は何処?
あの日私はあの場所に立って確かに誰かと抱き合っていた…
でもあの日のことは忘却の幕に隔たれて、何も思い出す事が出来ない…
ねえ、あの日そこに居たのは誰?
そうよ、私、あの日、あの場所で一緒にいた人を探してる……
あれからずっと探してるの。
幾度となく巡り巡って、
後、幾度巡ればそこへ行けるのだろう?
あの日した約束は何?
私はあなたに何を言ったの?
そしてあなたは私に何を言ったの?
思い出せない。
ダメ、全てが消えていく……
もう今考えていたことさえも思い出せない!
私は周りを見渡して涙を流した。
そこはどこまでも続く無だった。
何もない。
誰もいない。
なんの声もしない。
なんの音もしない。
これから私はどうなっていくのだろう……
ああ、気が遠くなる……
長い間暗闇の中を彷徨ったような気がする。
あれからまた幾度となく時が過ぎた。
「あ~ 今度こそは!」
私はそう思うと、
カッと目を見開いて、そしてまた何度目かの産声を上げた。
彼方から声が聞こえる。
あの日から一体、幾度の星を巡ったのだろう?
あの日の思い出はあまりにも辛過ぎて、
忘れていたいのに、忘れたくない。
でも私にはあの日の約束が……
お願い、もう少し眠っていたい。
あの時の事は思い出したくないの。
あれは辛すぎて、辛すぎて……
でも誰かが私を呼んでいる。
私を呼び覚ますのは誰?
もう私を呼び起こさないで。
ずっと、ずっと記憶をたどって探しているのに、あなたは見つからない……
「また会えなかった……
あなたはどこにいるの?
私達は違う時系を旅しているの?
あんなに約束したのに……
貴方に会いたい……
でも今度こそは……」
気がつくと、そこには無の世界が広がっていた。
顔を上げると、周りには誰もいなかった。
ただ霧が一面に立ち込めて、
懐かしい香りがした。
どうやってここへ来たのか覚えていない。
少し前まで何か思っていたような気はする……
誰かを探していたような気がする。
「……君……さ……僕……絶対……」
わずかに頭の中に響いたセリフ。
何? もう一度言って……
私は立ち込める霧の中、
最初の一歩を踏み出した。
地面があるのかわからないフワフワとした不思議な感覚だった。
もしかしたら、これが死なのだろうか?
私はあの人に会えずに、また死んだのだろうか?
「また?
私、またって言った?」
また死んでしまった……
どういう意味なんだろう?
「あれ? 私…… 今、何を考えてたんだっけ?
ちょっと待って…… もう忘れてしまったの?
今まで大切なことを考えていたような気がするのに……
頭の中にモヤが掛かる……」
何処? 今頭の中に過った場所は何処?
あの日私はあの場所に立って確かに誰かと抱き合っていた…
でもあの日のことは忘却の幕に隔たれて、何も思い出す事が出来ない…
ねえ、あの日そこに居たのは誰?
そうよ、私、あの日、あの場所で一緒にいた人を探してる……
あれからずっと探してるの。
幾度となく巡り巡って、
後、幾度巡ればそこへ行けるのだろう?
あの日した約束は何?
私はあなたに何を言ったの?
そしてあなたは私に何を言ったの?
思い出せない。
ダメ、全てが消えていく……
もう今考えていたことさえも思い出せない!
私は周りを見渡して涙を流した。
そこはどこまでも続く無だった。
何もない。
誰もいない。
なんの声もしない。
なんの音もしない。
これから私はどうなっていくのだろう……
ああ、気が遠くなる……
長い間暗闇の中を彷徨ったような気がする。
あれからまた幾度となく時が過ぎた。
「あ~ 今度こそは!」
私はそう思うと、
カッと目を見開いて、そしてまた何度目かの産声を上げた。
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