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ちょっとカオスな夜
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セシルと父さんがジェイドの恋を語っている間、
悶々とした気持ちが膨らんで来た。
”頭の中ではすでに分かっているのに、
何故僕は否定しようとするのだろうか?!”
僕がジェイドだという事はもう頭のどこかでは分かっている。
セシルの話と照らし合わせたタイミング、
自分の形や龍である父さんに育てられた事を考えると、
全て辻褄が合う。
もう否定する要素が何処にもない。
でもその事実を受け入れるのが怖い。
”何故だ?!
何故こんなにも怖いと思うのだろうか?!
きっと前世が関係しているはずだ。
父さんやセシルが頑として伝えようとしない出来事……
僕達が命を落とした理由……
それがきっと僕の奥底で燻ってこの恐怖を感じさせているんだ。
今は少しでも早く前世の記憶を取り戻さなければ……”
そう言う思いが頭を駆け巡った。
僕がそうして悶々としている間、
龍輝はずっと僕の背中をさすってくれていた。
僕は龍輝の同じ年とは思えないような
大きな手のぬくもりを感じながら俯いた。
”何故だ?
何故龍輝は小さい頃に
少しだけ会っただけの僕にこんなに良くしてくれるんだ?
僕は龍輝に優しくしてもらう事なんて一つもしてないはずだ”
そっと龍輝の方を向くと、
彼は僕の視線に気付き静かにほほ笑んだ。
龍輝は不思議な人だ……
いや、彼は半分人では無い……
僕はフッと
”もしかしてジェイド達の周りにもエルフが居たのだろうか?
彼はその人の生まれ変わりなのだろうか?
でもセシルの前世の話には
エルフの近しい人なんて一つも出てこない……
でも龍輝からは前世に関して知っているような口ぶりは
今のところない……
やっぱりこれは龍輝の善意なのだろうか?”
そんな事を考えてしまった。
余りにも龍輝の顔をジロジロと見ていたのだろうか、
”あの……私の顔に何かついていますか?”
そっと龍輝にそう尋ねられた。
僕はドキッとしてパット顔をそらすと、
”ち……違うんだ! ごめん!”
ドギマギとしてどもったようにそう言い返すと、
直ぐにセシルの方を見て、
「セシル、君は僕がジェイドだったって断言するけど、
髪や目の色とは別に何か根拠でもあるの?」
と話を逸らす為にわざとそう質問した。
セシルは僕の方をじっと見ると、
僕の頭をワシャワシャと掻いて、
「翠、マグノリアは貴方の母親よ。
翠が生まれた瞬間に
ジェイドの生まれ変わりだって事は直ぐに分かったわ」
そう言って僕の鼻を摘んだ。
僕は直ぐに手でセシルの指を払うと、
「どうして?
それは母親の感っていうもの?」
そう尋ねると、
セシルは首を振って、
「それはね、ジェイドが自分で自分にスペルを掛けたからよ」
そう言って思いをはせるように遠い目をした。
僕は意味が良く分からず、
「自分でスペルを掛けた?!」
そう聞きなおした。
セシルはコクリと頷くと、
「ええ、ジェイドは自分にスペルを掛けたの。
転生と言うスペルをね。
あの時の状況を考えると、
貴方がジェイドの生まれ変わりであることは間違いないわ。
それはアーウィンにも直ぐに分かったわ。
でも、転生のスペルの事は私には聞かないでね。
私は魔法が使えないから分からないわ」
そう言って肩を窄めた。
”転生のスペル?!”
聞いた事も無いようなスペルに、
「転生のスペルなんて聞いた事ないんだけど、
ジェイドはどうやって学んだか知ってる?」
そう尋ねると、セシルは直ぐに、
「大賢者から教えてもらったみたいよ。
その辺は貴方自身が思いださないと,
私は詳しい事は分からないわ。
ただ、ジェイドはそのスペルが使えたって言うのは知ってるわ。
それをアーウィンにも伝授してくれて……
だから私達も転生出来たって訳」
そう言って教えてくれた。
するとローティが、
「そう言えば噂で聞いた事がある。
サンクホルムには昔多くの賢者がいて、
城に沢山の仕掛けを作っていたって……
ただ……大賢者はおろか、
今ではもう賢者達でさえも居なくなってしまったと聞いたんだが……」
そう言った途端父さんが何か思い出したように、
「いや、確かサンクホルムには賢者はまだいたはずだ。
庭師だった……何という名だったか……」
そう言って考え込むとセシルが、
「もしかしてあのバラ園でいつも手入れをしていたおじいさん?」
そう言って父さんに尋ねた。
「そうだ、その庭師だ。
実を言うと奴は賢者だったのを思い出した。
他の賢者たちを探し出して
賢者の塔を探しに行くと言っていたが……どうなったのか……」
父さんがそう言うと、
「あら彼ってそうだったの?
もしかしてお城って……あの時のまま残ってるの?」
セシルが如何にも当たり前のようにその場にいたように話すので、
僕は不思議な感覚がして堪らなかった。
”セシルってやっぱりマグノリアの生まれ変わりなんだ……
そしてジェイド達とその時を共に過ごした経験があるんだ……”
これまでの話から当たり前の事なんだけど、
再度セシルはマグノリアの生まれ変わりという事を実感した。
一方でローティは、
「あの時のままって奇襲があった時の事か?」
そう言ってセシルに尋ねていた。
セシルはローティを指さすと、
「そう、奇襲があった時に城はかなり形を崩したでしょう?
実を言うと、その時にジェイドは命を落としたの……」
そう言ってセシルは俯いた。
ローティは謙虚な顔になると、
「やっぱりそうだったか……
俺はそうじゃないかとは思っていたんだが、
遺体は見つかってないんだよな?
一部ではもしかしたら難を逃れて何処かで生きてるって希望してる人たちもいるんだが、
そうか、やっぱり亡くなってたのか……」
そう言ってセシルに
続いて俯いた。
でもセシルはブルブルと頭を振り払うと、
「でも心配しないで!
こう言っちゃ変だけど、
ジェイドだったらちゃんとここに居るわよ。
まあ、ジェイドの生まれ変わりだけど」
そう言って僕の方を指差した。
皆が一斉に僕の方を向くと、
ローティが
「そう言われてもピンとこないよな」
そう言って僕の顔に自分の顔を近付けて来た。
ビックリした僕が顔を引いたのと同時に
セシルがローティの背を掴んで僕から引きはがすと、
「でもこの事は誰にも言わないでね。
さっきから言ってるけど、私達には目的があるの!」
そう言ってローティの肩に手をポンと置いた。
ローティは手を上げると、
「それは絶対に誓おう」
そう言って、
「その目的っていうのは助けが必要か?」
と尋ねた。
セシルは力強く、
「ええ、一人でも多くの人たちが私たちの味方になってくれたら……」
そう言って頷いた。
ローティは真剣な面差しをすると、
「聞いて良いか分からないが、
マグノリア達はどうやって亡くなったんだ?」
そう言ってセシルの瞳を見つめた。
セシルは膝の上で拳を握り絞めると、
「私とアーウィンが命を落としたのは城の奇襲よりもずっと後なんだけど,
やっぱり城の奇襲に関係してるわ。
城が襲われている時、
ジェイドがデューデューを使って私とアーウィンを逃がしてくれたの。
ずっとあの転生の術は時戻しの術と思っていたから、
もし何かあったら時戻しの術を発動させようってみんなで話し合っていたの……
だから私もアーウィンも油断してたの……」
そう言って自分の日さをドンと拳で叩いた。
ローティはセシルのそのセリフに、
「時戻しの術?」
とすぐさま質問した。
「ええ、ジェイドがね、禁断の書って言うずっと王家に伝わる分厚い本を持ってたの。
賢者達によって書かれたものらしいけど、
その中に時戻しの術って言うのがあって……
でもその術も不完全で、ページが破られてたの。
その後で大賢者に教えもらったみたいよ。
でも大賢者はそれが転生の術って言わなかったから、
私達はずっと時戻しの術って思ってたの。
それでもし時が戻った場合、
私達の記憶がもどれるかな?って合言葉まで作ったりなんかして……」
そう言ってセシルは僕の方を見た。
「じゃあ、セシルはその合言葉を思い出したのか?」
ローティのその問いに、
「ええ、その時にデューデューの事を思い出したの」
そうセシルは答えると、
直ぐに僕の方を見て、
「翠は未だ合言葉も思い出して無いんでしょ?」
そう尋ねた。
「その合言葉ってデューデュー様世界一強いとか何とか言ってた奴だよね?
それだったら未だ……」
そう言って僕は俯いた。
セシルは僕の肩をポンと叩くと、
「大丈夫よ! 直ぐにあなたも思い出せるわ!」
そう言って僕の顔を覗き込んだ。
ローティは何やら色々と考えているようで、
「あのさ、さっき大賢者って出たけどさ、
その……大賢者って今はそこに居るのか覚えているか?
俺の記憶によると、サンクホルムでは未だ大賢者はおろか、
賢者達も絶滅しったって聞いてたんだが……」
とセシルに尋ねると、
セシルはう~んと唸ったようにして一息置くと、
「実はね、詳しくは話せないけど、
大賢者は敵の手の内にあるわ」
そう言って悔しそうな顔をした。
ローティは驚いたような顔をすると、
「ちょ、ちょ、ちょっと待てよ。
敵の手の内って、もしかして大賢者って悪に染まったのか?!」
と身を乗り出して尋ねた。
セシルは少し驚いた様に後ずさりすると、
「違うわ、そうじゃないの。
彼は捕らえれて監禁状態なの」
そう言って両手で頭を抱えた。
ローティはその情報を聞くと、
また一人で考え込んで何やらブツブツと言っていた。
セシルは気を取り直すと、
「まあ、それで話の続きなんだけど、
私達、デューデューの寝屋へ行ってずっと時が戻るのを待ってたの。
でも待てど暮らせど時が戻らなくて、
現場を確認しに行ったデューデューからジェイドとダリルが亡くなったって聞いたの……
だからあ~時戻しの術は失敗しちゃったんだって……
その後アーウィンと凄く泣いちゃった」
そう言って少し涙目になった。
「ごめんね、私達はちゃんと転生してここに居るのに、
あのとこに事を思い出すとその時のそのままの感情が私に流れ込んでくるの……」
そう言ってセシルは涙を拭いた。
そして気を取り戻したように
スーッと大きく息を吸い込むと、
「それでね、折角ジェイドが逃がしてくれて助かった命だから、
ジェイド達の分まで一生懸命生きよう!ってアーウィンと誓って、
暫くはデューデューの住処に居たんだけど……」
そう言ってちょっとセシルが戸惑った様にして俯きもごもごと言い始めた。
「え? 居たんだけど何?
何故そんなに言いにくそうな顔をするの?」
セシルの打って変わった態度に僕は少し不思議に思いながらそう尋ねた。
あの時のセシルは少し挙動不審だった。
僕が余りにもせっつくので、
彼女もまたその時の事を話し始めた。
「その……実を言うと私の体調が悪くなって……」
そう言ってちょっと顔を赤らめた。
僕は訳が分からず、
ちょっと混乱した。
「体調が悪くなったって……
言いにくい病気でも患ったの?」
不意そう思い尋ねると、
セシルはちょっと歯切れの悪そうな感じで、
「あ、いや、そう言う訳じゃないんだけど、
医者に見せる必要があったからサンクホルムから遠い地へ行くことに決めたの」
そう言った後でスーが、
「そこで私達と出会ったのよね!」
そう言って手を挙げた。
セシルはそんなスーにクスッと笑うと、
「そうなの。
私達お金が無くてね。
お医者様にかかるお金も全然なかったからデューデューが自分の鱗を剥いでくれたの。
龍の鱗は武器や防具になるから、鱗の条件次第ではかなりの値段で取引されているのよ」
そう言うと、今度はショウが、
「そうです! それを私が購入したのです!
デューデュー様の鱗は今でも我が家の家宝です!
誰にも見せたくないので、
私の書斎に厳重に保管してあります!」
そう言って手を挙げた。
僕はますます頭がこんがらがって眉をしかめた。
セシルはそんな僕にもクスクスと笑うと、
ショウの方を見て、
「私、初めてショウに会った時はヤバイやつって思ったけど、
あれは只の変態だったわ!」
そう言うとスーが直ぐにセシルに続けて、
「でも、それがきっかけで私とショウが出会ったのよね」
そう言ってスーがショウに寄りかかった。
そんなスーにショウもデレデレとすると、
隣で龍輝が
”あ~”と小声で悶えながら、
真っ赤になって顔を塞いでいた。
そんな龍輝を横目で見ていると、
セシルが真剣な顔をして、
「ショウは変態野郎だったけど、
ショウが払ってくれたお金は凄く役に立ったわ」
そう言ったので、
”ん?! お金?! もしかして!”
そう思い、
「もしかして、あのお金ってショウが父さんの鱗に払ったお金?!」
と僕が換金所にある大金を思い出して叫んだ。
するとセシルも手をポーンと叩いて、
「そうよ! あの翠のお金!
私とアーウィンが翠に残したお金なのよ!
貴方が言うように、そこの変態ショウがデューデューの鱗に払ったお金よ!」
そう言ってセシルが鼻をフンと鳴らした。
少し笑いが部屋に広がった後で、
「で? お金を作って医者に行って何が分かったの?
さっきからそこが気になるんだけど?」
そう言ってセシルをせかすと、
セシルは口をもごもごと動かすばかりで言葉にならない声を出した。
余りにもセシルがモジモジとしているので僕が怪訝な顔をしていると、
スーが、
「お姉さまは翠を身ごもっていたのよね!」
そう言ってはつらつとした顔をした。
そこでジュジュが手をポーンと叩くと、
「そうか、それって自分の息子の前で
私はあなたの父親とやりましたって言ってるようなもんだもんね。
それも、ジェイド達が亡くなった直ぐ後でね!」
そう言ってセシルを揶揄った様にした。
セシルは真っ赤になって、
「ジュ……ジュジュ!」
そう言ってジュジュにパンチの動作を入れていたけど、
僕には良く事情が呑み込めなかった。
龍輝の方を横目で見ると、
彼は理解したのか、セシルと同じように真っ赤な顔をして
口に手を当てて唖然としていた。
僕はそんな龍輝の袖を引っ張ると、
龍輝は僕の方をみた。
そして目が合った瞬間、
龍輝の顔が爆発した様にますます真っ赤になって、
その後龍輝はプシューっとガスが抜けたようにその場にヘナヘナとうつ伏せた。
”へっ?! 一体何事?!”
皆がその事でセシルを揶揄っている中、
僕一人だけ状況を分かってないようでいて、
それがバレるのもしゃくで僕も皆と一緒にセシルを揶揄いだすと、
皆が一斉に僕を見た。
そこでまた訳が分からず、
”へっ?!”
とした様な顔をしていると父さんが、
「翠、お前にも前に話したことがあるだろう?
ほら、発情期の!」
父さんにそう言われ、
「あ! 思い出した、そうか、母さんと父さんが発情したんだ!」
そう思わず言うと、
「翠! あなた、何てことを口走るの!
それにデューデュー!
あなた、翠に何を教えたの?!」
とセシルのキーキーとした声が広がって、
そこからのその場は少しカオスっぽくなって
”え? え?”
と皆のやり取りをあっけなくなく見ていた僕に、
やっと少し気を取り戻した龍輝がそっと僕の手に触れた。
悶々とした気持ちが膨らんで来た。
”頭の中ではすでに分かっているのに、
何故僕は否定しようとするのだろうか?!”
僕がジェイドだという事はもう頭のどこかでは分かっている。
セシルの話と照らし合わせたタイミング、
自分の形や龍である父さんに育てられた事を考えると、
全て辻褄が合う。
もう否定する要素が何処にもない。
でもその事実を受け入れるのが怖い。
”何故だ?!
何故こんなにも怖いと思うのだろうか?!
きっと前世が関係しているはずだ。
父さんやセシルが頑として伝えようとしない出来事……
僕達が命を落とした理由……
それがきっと僕の奥底で燻ってこの恐怖を感じさせているんだ。
今は少しでも早く前世の記憶を取り戻さなければ……”
そう言う思いが頭を駆け巡った。
僕がそうして悶々としている間、
龍輝はずっと僕の背中をさすってくれていた。
僕は龍輝の同じ年とは思えないような
大きな手のぬくもりを感じながら俯いた。
”何故だ?
何故龍輝は小さい頃に
少しだけ会っただけの僕にこんなに良くしてくれるんだ?
僕は龍輝に優しくしてもらう事なんて一つもしてないはずだ”
そっと龍輝の方を向くと、
彼は僕の視線に気付き静かにほほ笑んだ。
龍輝は不思議な人だ……
いや、彼は半分人では無い……
僕はフッと
”もしかしてジェイド達の周りにもエルフが居たのだろうか?
彼はその人の生まれ変わりなのだろうか?
でもセシルの前世の話には
エルフの近しい人なんて一つも出てこない……
でも龍輝からは前世に関して知っているような口ぶりは
今のところない……
やっぱりこれは龍輝の善意なのだろうか?”
そんな事を考えてしまった。
余りにも龍輝の顔をジロジロと見ていたのだろうか、
”あの……私の顔に何かついていますか?”
そっと龍輝にそう尋ねられた。
僕はドキッとしてパット顔をそらすと、
”ち……違うんだ! ごめん!”
ドギマギとしてどもったようにそう言い返すと、
直ぐにセシルの方を見て、
「セシル、君は僕がジェイドだったって断言するけど、
髪や目の色とは別に何か根拠でもあるの?」
と話を逸らす為にわざとそう質問した。
セシルは僕の方をじっと見ると、
僕の頭をワシャワシャと掻いて、
「翠、マグノリアは貴方の母親よ。
翠が生まれた瞬間に
ジェイドの生まれ変わりだって事は直ぐに分かったわ」
そう言って僕の鼻を摘んだ。
僕は直ぐに手でセシルの指を払うと、
「どうして?
それは母親の感っていうもの?」
そう尋ねると、
セシルは首を振って、
「それはね、ジェイドが自分で自分にスペルを掛けたからよ」
そう言って思いをはせるように遠い目をした。
僕は意味が良く分からず、
「自分でスペルを掛けた?!」
そう聞きなおした。
セシルはコクリと頷くと、
「ええ、ジェイドは自分にスペルを掛けたの。
転生と言うスペルをね。
あの時の状況を考えると、
貴方がジェイドの生まれ変わりであることは間違いないわ。
それはアーウィンにも直ぐに分かったわ。
でも、転生のスペルの事は私には聞かないでね。
私は魔法が使えないから分からないわ」
そう言って肩を窄めた。
”転生のスペル?!”
聞いた事も無いようなスペルに、
「転生のスペルなんて聞いた事ないんだけど、
ジェイドはどうやって学んだか知ってる?」
そう尋ねると、セシルは直ぐに、
「大賢者から教えてもらったみたいよ。
その辺は貴方自身が思いださないと,
私は詳しい事は分からないわ。
ただ、ジェイドはそのスペルが使えたって言うのは知ってるわ。
それをアーウィンにも伝授してくれて……
だから私達も転生出来たって訳」
そう言って教えてくれた。
するとローティが、
「そう言えば噂で聞いた事がある。
サンクホルムには昔多くの賢者がいて、
城に沢山の仕掛けを作っていたって……
ただ……大賢者はおろか、
今ではもう賢者達でさえも居なくなってしまったと聞いたんだが……」
そう言った途端父さんが何か思い出したように、
「いや、確かサンクホルムには賢者はまだいたはずだ。
庭師だった……何という名だったか……」
そう言って考え込むとセシルが、
「もしかしてあのバラ園でいつも手入れをしていたおじいさん?」
そう言って父さんに尋ねた。
「そうだ、その庭師だ。
実を言うと奴は賢者だったのを思い出した。
他の賢者たちを探し出して
賢者の塔を探しに行くと言っていたが……どうなったのか……」
父さんがそう言うと、
「あら彼ってそうだったの?
もしかしてお城って……あの時のまま残ってるの?」
セシルが如何にも当たり前のようにその場にいたように話すので、
僕は不思議な感覚がして堪らなかった。
”セシルってやっぱりマグノリアの生まれ変わりなんだ……
そしてジェイド達とその時を共に過ごした経験があるんだ……”
これまでの話から当たり前の事なんだけど、
再度セシルはマグノリアの生まれ変わりという事を実感した。
一方でローティは、
「あの時のままって奇襲があった時の事か?」
そう言ってセシルに尋ねていた。
セシルはローティを指さすと、
「そう、奇襲があった時に城はかなり形を崩したでしょう?
実を言うと、その時にジェイドは命を落としたの……」
そう言ってセシルは俯いた。
ローティは謙虚な顔になると、
「やっぱりそうだったか……
俺はそうじゃないかとは思っていたんだが、
遺体は見つかってないんだよな?
一部ではもしかしたら難を逃れて何処かで生きてるって希望してる人たちもいるんだが、
そうか、やっぱり亡くなってたのか……」
そう言ってセシルに
続いて俯いた。
でもセシルはブルブルと頭を振り払うと、
「でも心配しないで!
こう言っちゃ変だけど、
ジェイドだったらちゃんとここに居るわよ。
まあ、ジェイドの生まれ変わりだけど」
そう言って僕の方を指差した。
皆が一斉に僕の方を向くと、
ローティが
「そう言われてもピンとこないよな」
そう言って僕の顔に自分の顔を近付けて来た。
ビックリした僕が顔を引いたのと同時に
セシルがローティの背を掴んで僕から引きはがすと、
「でもこの事は誰にも言わないでね。
さっきから言ってるけど、私達には目的があるの!」
そう言ってローティの肩に手をポンと置いた。
ローティは手を上げると、
「それは絶対に誓おう」
そう言って、
「その目的っていうのは助けが必要か?」
と尋ねた。
セシルは力強く、
「ええ、一人でも多くの人たちが私たちの味方になってくれたら……」
そう言って頷いた。
ローティは真剣な面差しをすると、
「聞いて良いか分からないが、
マグノリア達はどうやって亡くなったんだ?」
そう言ってセシルの瞳を見つめた。
セシルは膝の上で拳を握り絞めると、
「私とアーウィンが命を落としたのは城の奇襲よりもずっと後なんだけど,
やっぱり城の奇襲に関係してるわ。
城が襲われている時、
ジェイドがデューデューを使って私とアーウィンを逃がしてくれたの。
ずっとあの転生の術は時戻しの術と思っていたから、
もし何かあったら時戻しの術を発動させようってみんなで話し合っていたの……
だから私もアーウィンも油断してたの……」
そう言って自分の日さをドンと拳で叩いた。
ローティはセシルのそのセリフに、
「時戻しの術?」
とすぐさま質問した。
「ええ、ジェイドがね、禁断の書って言うずっと王家に伝わる分厚い本を持ってたの。
賢者達によって書かれたものらしいけど、
その中に時戻しの術って言うのがあって……
でもその術も不完全で、ページが破られてたの。
その後で大賢者に教えもらったみたいよ。
でも大賢者はそれが転生の術って言わなかったから、
私達はずっと時戻しの術って思ってたの。
それでもし時が戻った場合、
私達の記憶がもどれるかな?って合言葉まで作ったりなんかして……」
そう言ってセシルは僕の方を見た。
「じゃあ、セシルはその合言葉を思い出したのか?」
ローティのその問いに、
「ええ、その時にデューデューの事を思い出したの」
そうセシルは答えると、
直ぐに僕の方を見て、
「翠は未だ合言葉も思い出して無いんでしょ?」
そう尋ねた。
「その合言葉ってデューデュー様世界一強いとか何とか言ってた奴だよね?
それだったら未だ……」
そう言って僕は俯いた。
セシルは僕の肩をポンと叩くと、
「大丈夫よ! 直ぐにあなたも思い出せるわ!」
そう言って僕の顔を覗き込んだ。
ローティは何やら色々と考えているようで、
「あのさ、さっき大賢者って出たけどさ、
その……大賢者って今はそこに居るのか覚えているか?
俺の記憶によると、サンクホルムでは未だ大賢者はおろか、
賢者達も絶滅しったって聞いてたんだが……」
とセシルに尋ねると、
セシルはう~んと唸ったようにして一息置くと、
「実はね、詳しくは話せないけど、
大賢者は敵の手の内にあるわ」
そう言って悔しそうな顔をした。
ローティは驚いたような顔をすると、
「ちょ、ちょ、ちょっと待てよ。
敵の手の内って、もしかして大賢者って悪に染まったのか?!」
と身を乗り出して尋ねた。
セシルは少し驚いた様に後ずさりすると、
「違うわ、そうじゃないの。
彼は捕らえれて監禁状態なの」
そう言って両手で頭を抱えた。
ローティはその情報を聞くと、
また一人で考え込んで何やらブツブツと言っていた。
セシルは気を取り直すと、
「まあ、それで話の続きなんだけど、
私達、デューデューの寝屋へ行ってずっと時が戻るのを待ってたの。
でも待てど暮らせど時が戻らなくて、
現場を確認しに行ったデューデューからジェイドとダリルが亡くなったって聞いたの……
だからあ~時戻しの術は失敗しちゃったんだって……
その後アーウィンと凄く泣いちゃった」
そう言って少し涙目になった。
「ごめんね、私達はちゃんと転生してここに居るのに、
あのとこに事を思い出すとその時のそのままの感情が私に流れ込んでくるの……」
そう言ってセシルは涙を拭いた。
そして気を取り戻したように
スーッと大きく息を吸い込むと、
「それでね、折角ジェイドが逃がしてくれて助かった命だから、
ジェイド達の分まで一生懸命生きよう!ってアーウィンと誓って、
暫くはデューデューの住処に居たんだけど……」
そう言ってちょっとセシルが戸惑った様にして俯きもごもごと言い始めた。
「え? 居たんだけど何?
何故そんなに言いにくそうな顔をするの?」
セシルの打って変わった態度に僕は少し不思議に思いながらそう尋ねた。
あの時のセシルは少し挙動不審だった。
僕が余りにもせっつくので、
彼女もまたその時の事を話し始めた。
「その……実を言うと私の体調が悪くなって……」
そう言ってちょっと顔を赤らめた。
僕は訳が分からず、
ちょっと混乱した。
「体調が悪くなったって……
言いにくい病気でも患ったの?」
不意そう思い尋ねると、
セシルはちょっと歯切れの悪そうな感じで、
「あ、いや、そう言う訳じゃないんだけど、
医者に見せる必要があったからサンクホルムから遠い地へ行くことに決めたの」
そう言った後でスーが、
「そこで私達と出会ったのよね!」
そう言って手を挙げた。
セシルはそんなスーにクスッと笑うと、
「そうなの。
私達お金が無くてね。
お医者様にかかるお金も全然なかったからデューデューが自分の鱗を剥いでくれたの。
龍の鱗は武器や防具になるから、鱗の条件次第ではかなりの値段で取引されているのよ」
そう言うと、今度はショウが、
「そうです! それを私が購入したのです!
デューデュー様の鱗は今でも我が家の家宝です!
誰にも見せたくないので、
私の書斎に厳重に保管してあります!」
そう言って手を挙げた。
僕はますます頭がこんがらがって眉をしかめた。
セシルはそんな僕にもクスクスと笑うと、
ショウの方を見て、
「私、初めてショウに会った時はヤバイやつって思ったけど、
あれは只の変態だったわ!」
そう言うとスーが直ぐにセシルに続けて、
「でも、それがきっかけで私とショウが出会ったのよね」
そう言ってスーがショウに寄りかかった。
そんなスーにショウもデレデレとすると、
隣で龍輝が
”あ~”と小声で悶えながら、
真っ赤になって顔を塞いでいた。
そんな龍輝を横目で見ていると、
セシルが真剣な顔をして、
「ショウは変態野郎だったけど、
ショウが払ってくれたお金は凄く役に立ったわ」
そう言ったので、
”ん?! お金?! もしかして!”
そう思い、
「もしかして、あのお金ってショウが父さんの鱗に払ったお金?!」
と僕が換金所にある大金を思い出して叫んだ。
するとセシルも手をポーンと叩いて、
「そうよ! あの翠のお金!
私とアーウィンが翠に残したお金なのよ!
貴方が言うように、そこの変態ショウがデューデューの鱗に払ったお金よ!」
そう言ってセシルが鼻をフンと鳴らした。
少し笑いが部屋に広がった後で、
「で? お金を作って医者に行って何が分かったの?
さっきからそこが気になるんだけど?」
そう言ってセシルをせかすと、
セシルは口をもごもごと動かすばかりで言葉にならない声を出した。
余りにもセシルがモジモジとしているので僕が怪訝な顔をしていると、
スーが、
「お姉さまは翠を身ごもっていたのよね!」
そう言ってはつらつとした顔をした。
そこでジュジュが手をポーンと叩くと、
「そうか、それって自分の息子の前で
私はあなたの父親とやりましたって言ってるようなもんだもんね。
それも、ジェイド達が亡くなった直ぐ後でね!」
そう言ってセシルを揶揄った様にした。
セシルは真っ赤になって、
「ジュ……ジュジュ!」
そう言ってジュジュにパンチの動作を入れていたけど、
僕には良く事情が呑み込めなかった。
龍輝の方を横目で見ると、
彼は理解したのか、セシルと同じように真っ赤な顔をして
口に手を当てて唖然としていた。
僕はそんな龍輝の袖を引っ張ると、
龍輝は僕の方をみた。
そして目が合った瞬間、
龍輝の顔が爆発した様にますます真っ赤になって、
その後龍輝はプシューっとガスが抜けたようにその場にヘナヘナとうつ伏せた。
”へっ?! 一体何事?!”
皆がその事でセシルを揶揄っている中、
僕一人だけ状況を分かってないようでいて、
それがバレるのもしゃくで僕も皆と一緒にセシルを揶揄いだすと、
皆が一斉に僕を見た。
そこでまた訳が分からず、
”へっ?!”
とした様な顔をしていると父さんが、
「翠、お前にも前に話したことがあるだろう?
ほら、発情期の!」
父さんにそう言われ、
「あ! 思い出した、そうか、母さんと父さんが発情したんだ!」
そう思わず言うと、
「翠! あなた、何てことを口走るの!
それにデューデュー!
あなた、翠に何を教えたの?!」
とセシルのキーキーとした声が広がって、
そこからのその場は少しカオスっぽくなって
”え? え?”
と皆のやり取りをあっけなくなく見ていた僕に、
やっと少し気を取り戻した龍輝がそっと僕の手に触れた。
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