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僕は飽きもせずに、
龍輝の寝室から密林の様なサンルームをずっと眺めていた。
するといきなり寝室のドアが開いて、
「おお翠、こんな所にいたのか。
まさか龍輝の寝室にいるとはな」
と、父さんがノックもせずにいきなり寝室へと入って来た。
「あれ? 父さん?
ノックもせずにどうしたの?
良く僕達がここに居るって分かったね?」
いきなり寝室へ入って来た父さんにはビックリしたけど、
バラ園にいるはずだった僕たちの居場所を見つけた事には
更に驚きを隠せなかった。
そんな僕の驚きを他所に、
父さんは龍輝の寝室をキョロキョロと見渡して、
「龍輝、お前の部屋はちっとも変わってないな」
そう言ってサンルームの方へと目を移した。
“此処はあの場所にそっくりだな……”
父さんはそう呟いた後、手をパチンと叩いて、
「お~ そんな事よりも、
此処へはセシルが目覚めた事を伝えに来たのだ」
と、今度は興奮した様にセシルの目覚めを伝え始めた。
まだまだ目覚めまでは時間がかかると思っていた僕は、
「え? セシル、起きたの?!」
と、少しソワソワとし始めた。
「ああ、つい今しがたな。
まだセシルもボーッとして、
何が起きたのか分かってない様だから
スーが甲斐甲斐しく世話しておるぞ。
さあ、セシルの部屋へ戻るぞ」
父さんのそのセリフに、
僕はアタフタとし始めた。
「あ、じゃあ、僕行かなくちゃ!」
急いで龍輝にそう伝え、
ドアを開けて出て行こうとした途端、
「あ…あれ? どっちに行けば良いんだっけ?
へへ」
と、行く方向が分からず、
頭を掻きながら龍輝の居る後ろを振り返った。
龍輝はクスッと小さく笑うと,
「此方です。
私について来て下さい」
そう言って僕たちの先頭を歩き始めた。
僕と父さんは龍輝の後を付いて行きながら、
「父さん、バラ園へ行くって言ったのに、
どうして僕が龍輝の寝室にいるって分かったの?」
そう尋ねた。
父さんはフッと斜め上を見上げると,
「あ~ 私はお前の気が読めるからな」
そう言って何でもない様な顔をした。
「え? 僕の気? 何それ? 初耳なんですけど?!」
今まで父さんからは聞いたことの無かった情報に少し戸惑った。
父さんは僕のそんな態度とは裏腹に、
「そうだろうな、言ってなかったからな」
とあっけらかんとして返事した。
僕は眉を顰めると,
「じゃあ、僕のいる所だったら何処に居ても分かるって事?!
ちょっと怖いんだけど?!」
そう言い返すと,
父さんは笑い出して、
「ハハハ、私はお前の父親だからな。
お前の事だったら何でもわかるぞ~」
と、揶揄ったようにして返してきた。
僕は横目で父さんを見ると,
「何それ?! キモっ!
一体僕のプライバシーは?!」
そう言って父さんの脇腹を拳で軽く突いた。
父さんは僕の拳を自分の掌で受け止めると,
「ハハハ、今頃反抗期か~?」
そう言った後、
「だが、翠が言った様な意味じゃないんだけどな」
そう言って肩を窄めた。
僕は眉間に皺を寄せると,
「え~ じゃあどう言う意味?!」
とそのことが少し気に掛かった。
“僕の気が読めるから僕がどこにいても分かる?!
何それ?!
そんな事が出来るのってやっぱり父さんが龍な所為?!
僕にも出来るのかな?!”
そんなことを考えていると,
「まあ深く考えるで無い。
私も何故とかそんな事は分からないのだ。
ただ、お前が身に纏う空気が私には,
目を閉じていても、どんなに遠くに居ても、
それがお前だと分かると言う事だ」
そう父さんが付け足した。
「う~ん、何だか納得できないんだけど、
何となくは分かるかな?
まあ、考えても分からないから、
今はそれで良いや」
そんなことを話しているうちに、
僕達はセシルの寝室に着いた。
また父さんがノックもせずに開けようとするので、
「ゴホン、ゴホン」
と咳払いして、
「父さん,人の部屋に入る時はノックだよ」
そう言うと,僕は部屋のドアをノックした。
父さんが納得できなさそうに僕の所作を眺めていると,
スーが部屋のドアを開けた。
彼女の肩越しに、
ベッドのヘッドボードにもたれ掛かり座るセシルを見つけると,
「セシル!」
そう言って僕はセシルの元へと駆けて行った。
セシルは僕と目が合うと、
「翠……?」
そうか細く言って泣きそうな顔をした。
「目覚めたんだ…。
気分はどう?」
そう言いながらセシルの額に手を当てると、
彼女は震える手で僕の腕を掴んで、
「翠、こっちへ来てもっと顔を良く見せて……」
そう言って僕の腕を引いた。
「セシル……やっぱり……思い……出したの?」
恐る恐るそう尋ねると,
セシルは力強く頷いた。
僕が困惑した様にセシルの顔を見入ると、
彼女は悲しい様な嬉しい様な又懐かしい様な顔をしながら、
「翠……本当に大きくなったのね。
こうして成長した貴方を見ると,
益々ジェイドに似て……」
そう言って何とも言えない様な表情をした。
そんな彼女にどう言った態度を取れば良いのか分からず、
咄嗟に
「え?いや、皆んなは母さん……マグノリアにそっくりだって……」
と頓珍漢な事を言ってしまった。
セシルは僕の顔を見てはにかむと、
「フフフ、そうね、本当にマグノリアにもそっくりね」
そう言って微笑みながら唇を震わせた。
そしてセシルは父さんを見て、
「デューデュー、こっちへ来て」
そう言って近づいた父さんの手を取ると,
「デューデュー、ありがとう……
本当にありがとう……
貴方には何てお礼を言ったら……
本当に感謝しても仕切れないわ」
そう言って涙を流した。
父さんはそんなセシルの涙を袖で拭き上げると,
「お前でも、しをらしくなる事もあるんだな」
そう言ってセシルの頭をガシガシと撫でた。
僕はそんな父さんの行動にハラハラとしながら
「父さん!」
と脇腹を突くと、
「翠、大丈夫よ。
私達はいつもこうだったの。
ねえ、デューデュー!
ああ、本当にあなたに会いたかったわ。
何故今まで忘れている事が出来たのかしら?
こんなにも、こんなにも愛おしい貴方達なのに」
セシルがそう言って僕と父さんを抱きしめていると,
「お話の腰を折って失礼しますが、
お姉様、気分は如何ですか?
夕食の準備ができた様なのですが、
起き上がる事が出来ますか?
ダイニングまで移動しなくてはいけないのですが……」
そう言ってスーが夕食の準備が出来た事を知らせに来た。
セシルは
“う~ん”
と大きく伸びをすると、
「大丈夫よ!
私、もうお腹ぺこぺこ」
そう言ってスルッとベッドから滑り降りた。
スーはニコニコとすると,
「さすがお姉様ね!」
そう言いながらセシルの手を取った。
「さあ、お姉様は私がエスコートしますわ!」
そう言ってセシルと先を歩いていくと,
急にセシルが後をついてくる龍輝を見た。
「ねえ、貴方は山越えで私たちを助けてくれた人よね?」
急にセシルがそんな事を言い出したので、
「そうそう!
彼は山で僕達を助けてくれた龍輝って言うんだ。
彼は双子でね、彼にそっくりな龍星っていう兄弟もいるんだ。
スーの息子達だよ」
そう言うと,セシルが龍輝の耳に手を差し伸べて、
「あら、あなた耳が……」
そう言った後一息ついて、
「貴方、スーに似たのね。
ラッキーボーイね」
そう言って微笑んだ。
「セシル知ってたんだ。
本当にセシルってマグノリアだったんだ……」
僕が未だ信じられない様な表情をすると,
「初めてお目にかかります。
ショウとスーの息子で龍輝と申します」
そう言って龍輝が頭を下げた。
セシルは目を丸くすると,
「あら、ショウの息子にしてはまともね。
まあ、スーの血が濃いって証拠ね」
そう独り言の様に言うと,
「そうだ、ねえ、ショウって相変わらず……」
そう言いかけた時、龍輝が呆れ顔をしながら、
「はい、龍バカです」
そう答えた。
セシルは小さく笑うと,
「プフフ、やっぱりそうなのね。
ショウは今日は居るの?」
そう尋ね始めた。
「はい、恐らく龍達を離しに行ってるのだと思いますが、
夕食の席にはくるはずです」
セシルは龍輝がそう言ったのと同時に
「相変わらずナナ、ナナなのかしら?」
そう言ってプッと笑った。
龍輝は苦笑いして、
「いや……はい、そうですね」
そう言って恥ずかしそうにした。
僕が横から
「え? ナナって?」
そう尋ねるとセシルがすかさず、
「それ、ショウに聞いちゃダメよ。
絶対話終わらないから」
そう言ってケラケラと笑った。
僕はセシルがフジワラ家の事を、
まるで昔ながらの友の様に話す姿に違和感を感じ、
「何だかセシル別人みたい」
そうポツリと呟くと,
「そうだな。マグノリアの性格が強く出てるみたいだな」
そんな風に父さんが横から声をかけて来た。
「父さん、僕達の話聞いてたの?!」
びっくりして尋ねると,
「別に聞きたくて聞いていた訳じゃ無い!
お前達の声が大きいんだ」
そう言って反撃された。
でも母さんの事が少し知れて、
僕はちょっと嬉しかった。
「そうなのか……
僕の母さんってこんな性格してたんだ」
又独り言の様に呟くと,
「そうだなマグノリアは破天荒娘だったな。
それよりもセシルよ,気分はどうだ?
もうすっかり全て思い出したのか?」
と父さんがセシルに尋ねた。
セシルは首を傾げると,
「多分……」
そう言って目を細めた。
「ねえ、眠ってる間どんな感じだったの?
どんな風に前世を思い出していったの?!」
もしかしたら、いつか自分も通る道かもしれないと思うと,
次々と疑問が湧いて来た。
セシルは人差し指を顎に当てながら少し考えた様にすると,
目の前のドアに立ち塞がり、
「そうねえ~って言ってるうちに着いちゃったみたいね。
その事は後で話してあげる。
どうせ今夜は寝ないんでしょう?
デューデューだっているし!」
そう言って父さんにギュッと抱きついた。
セシルが目の前にあるダイニングのドアを開けると、
そこには先程までは居なかった二人の女性が居た。
彼女らは龍星とローティ達と楽しそうに話をしていたけど、
僕たちが入って来たのに気づくと,
綺麗なお辞儀をした。
”綺麗なドレスだな“
なんて思いながら二人を見ていると,
「お姉様、翠、紹介しますね。
彼女達は息子達の婚約者候補で
伯爵家のマチルド嬢と子爵家のミランダ嬢よ」
そう言ってスーが二人を紹介した。
その瞬間僕は龍輝をばっと見た。
「龍輝……婚約者がいたんだ」
そう呟くと,
「貴族にもなれば当たり前よ。
マグノリアだってジェイドが生まれた時から婚約者だって
教えられて来たのよ」
そう言ってセシルが僕に耳打ちした。
すると龍輝が僕を見て、
「翠、彼女は違うんです!
私はずっと断っているんです!」
と言い訳をする様に言い始めたので、
「え……? そん事僕に言われても……」
そう返すと,龍輝はハッとした様にして、
「そうですね。
申し訳ありません」
そうボソッと言って俯いた。
そんな龍輝の態度に少しオロッと来たとこで、
「皆様、遅れて申し訳ありません」
とショウが夕食の為に外から戻って来た。
その瞬間、
「うわー ショウ?
スーと違って老けたわね」
とセシルが急にショウに話し始めた。
ショウはセシルを見て片眉をあげ目を細めると
「ん?! その言い回し、
お目覚めになられたのですね。
お久しぶりでございます」
そう言ってセシルの前に跪いた。
フジワラ家息子達の婚約者候補を名乗る令嬢達は、
セシルに跪くショウを見て、
セシルは一体何者だ?!などと囁き始めた。
そんな事は梅雨知らず、
スーは皆が揃った事を確かめる様に、
「さあ、さあ、皆様揃ったところでお食事にしましょう!」
とその場を仕切り始めた。
取り敢えずはどこに座っても構わないと言う事で
目の前の椅子に腰を据えると,
龍輝が僕の隣に来て座ろうとした瞬間、
「あの……龍輝様……」
そう言ってミランダ嬢が龍輝の隣にやって来た。
龍騎は
「私は翠の隣に座りますので、
貴方はご自由にご自分のお好きな席へ」
そう冷たく言い放つと、
龍輝は僕の隣に座った。
婚約者候補として、
龍輝は自分の隣に座るものだと思っていたミランダは、
オロオロとし始めた。
実際に龍星の婚約者候補のマチルドは、
龍星の隣に座り楽しそうに会話をしていた。
そんな所へ父さんがやって来て、
「私が隣に座ろう」
そう言ってミランダに話しかけた。
ミランダは呆けた様な顔をすると,
「貴方は?」
そう父さんに尋ねた。
父さんは腰を伸ばし襟の裾を正すと,
「私はデューデューと申します」
と丁寧に自己紹介をした。
父さんの突然の申し出に少し戸惑ったミランダが
「え? あの…?」
と躊躇していると,
「いえ、デューデュー様は私の隣に」
とショウが二人の間に割り込んできた。
そんなショウを見ていたセシルが嫌味の様に
「ショウ、貴方相変わらずなのね。
もしかしてナナも健在なの?」
そう言い放つと,ショウの目がキラリと光った。
「覚えていらっしゃったのですね!
ナナはですね、」
ショウが粋がってそう言い始めた途端、
「あ、いや、ナナの話は良いから早く食べましょう!
私,お腹ペコペコ!」
とマイペースなセシルにショウは踊らされてばかりだった。
そんな感じで夕食の場は終えて行った。
夕食が終わると,先に決めた様に僕達はセシルの部屋に集まる様にした。
そんな中スーは、
「あ~ん、お姉様、私も一緒に色々とお話をしたいけど、
夜更かしするとお肌が~」
そんな事を言っていたけど,
「スー貴方何言ってるの?
貴方、夜更かししようが、
歳を取ろうが、老けないでしょう?!」
と言うセシルの一言で
「あ~ん、お姉様~
懐かしい口調が聞けて嬉しい!
いいわ、今夜だけは夜更かしをするわ!」
と言い包められてしまった。
「ローティ達はどうする?」
僕がローティ達にそう尋ねると,
「俺たちも混ざって良いのか?」
と遠慮気味に尋ねて来た。
「勿論よ!
私達もう仲間でしょ。
貴方達さえ良ければ私の昔話を聞いて頂戴」
セシルのその一言で、僕達の長い夜が始まった。
龍輝の寝室から密林の様なサンルームをずっと眺めていた。
するといきなり寝室のドアが開いて、
「おお翠、こんな所にいたのか。
まさか龍輝の寝室にいるとはな」
と、父さんがノックもせずにいきなり寝室へと入って来た。
「あれ? 父さん?
ノックもせずにどうしたの?
良く僕達がここに居るって分かったね?」
いきなり寝室へ入って来た父さんにはビックリしたけど、
バラ園にいるはずだった僕たちの居場所を見つけた事には
更に驚きを隠せなかった。
そんな僕の驚きを他所に、
父さんは龍輝の寝室をキョロキョロと見渡して、
「龍輝、お前の部屋はちっとも変わってないな」
そう言ってサンルームの方へと目を移した。
“此処はあの場所にそっくりだな……”
父さんはそう呟いた後、手をパチンと叩いて、
「お~ そんな事よりも、
此処へはセシルが目覚めた事を伝えに来たのだ」
と、今度は興奮した様にセシルの目覚めを伝え始めた。
まだまだ目覚めまでは時間がかかると思っていた僕は、
「え? セシル、起きたの?!」
と、少しソワソワとし始めた。
「ああ、つい今しがたな。
まだセシルもボーッとして、
何が起きたのか分かってない様だから
スーが甲斐甲斐しく世話しておるぞ。
さあ、セシルの部屋へ戻るぞ」
父さんのそのセリフに、
僕はアタフタとし始めた。
「あ、じゃあ、僕行かなくちゃ!」
急いで龍輝にそう伝え、
ドアを開けて出て行こうとした途端、
「あ…あれ? どっちに行けば良いんだっけ?
へへ」
と、行く方向が分からず、
頭を掻きながら龍輝の居る後ろを振り返った。
龍輝はクスッと小さく笑うと,
「此方です。
私について来て下さい」
そう言って僕たちの先頭を歩き始めた。
僕と父さんは龍輝の後を付いて行きながら、
「父さん、バラ園へ行くって言ったのに、
どうして僕が龍輝の寝室にいるって分かったの?」
そう尋ねた。
父さんはフッと斜め上を見上げると,
「あ~ 私はお前の気が読めるからな」
そう言って何でもない様な顔をした。
「え? 僕の気? 何それ? 初耳なんですけど?!」
今まで父さんからは聞いたことの無かった情報に少し戸惑った。
父さんは僕のそんな態度とは裏腹に、
「そうだろうな、言ってなかったからな」
とあっけらかんとして返事した。
僕は眉を顰めると,
「じゃあ、僕のいる所だったら何処に居ても分かるって事?!
ちょっと怖いんだけど?!」
そう言い返すと,
父さんは笑い出して、
「ハハハ、私はお前の父親だからな。
お前の事だったら何でもわかるぞ~」
と、揶揄ったようにして返してきた。
僕は横目で父さんを見ると,
「何それ?! キモっ!
一体僕のプライバシーは?!」
そう言って父さんの脇腹を拳で軽く突いた。
父さんは僕の拳を自分の掌で受け止めると,
「ハハハ、今頃反抗期か~?」
そう言った後、
「だが、翠が言った様な意味じゃないんだけどな」
そう言って肩を窄めた。
僕は眉間に皺を寄せると,
「え~ じゃあどう言う意味?!」
とそのことが少し気に掛かった。
“僕の気が読めるから僕がどこにいても分かる?!
何それ?!
そんな事が出来るのってやっぱり父さんが龍な所為?!
僕にも出来るのかな?!”
そんなことを考えていると,
「まあ深く考えるで無い。
私も何故とかそんな事は分からないのだ。
ただ、お前が身に纏う空気が私には,
目を閉じていても、どんなに遠くに居ても、
それがお前だと分かると言う事だ」
そう父さんが付け足した。
「う~ん、何だか納得できないんだけど、
何となくは分かるかな?
まあ、考えても分からないから、
今はそれで良いや」
そんなことを話しているうちに、
僕達はセシルの寝室に着いた。
また父さんがノックもせずに開けようとするので、
「ゴホン、ゴホン」
と咳払いして、
「父さん,人の部屋に入る時はノックだよ」
そう言うと,僕は部屋のドアをノックした。
父さんが納得できなさそうに僕の所作を眺めていると,
スーが部屋のドアを開けた。
彼女の肩越しに、
ベッドのヘッドボードにもたれ掛かり座るセシルを見つけると,
「セシル!」
そう言って僕はセシルの元へと駆けて行った。
セシルは僕と目が合うと、
「翠……?」
そうか細く言って泣きそうな顔をした。
「目覚めたんだ…。
気分はどう?」
そう言いながらセシルの額に手を当てると、
彼女は震える手で僕の腕を掴んで、
「翠、こっちへ来てもっと顔を良く見せて……」
そう言って僕の腕を引いた。
「セシル……やっぱり……思い……出したの?」
恐る恐るそう尋ねると,
セシルは力強く頷いた。
僕が困惑した様にセシルの顔を見入ると、
彼女は悲しい様な嬉しい様な又懐かしい様な顔をしながら、
「翠……本当に大きくなったのね。
こうして成長した貴方を見ると,
益々ジェイドに似て……」
そう言って何とも言えない様な表情をした。
そんな彼女にどう言った態度を取れば良いのか分からず、
咄嗟に
「え?いや、皆んなは母さん……マグノリアにそっくりだって……」
と頓珍漢な事を言ってしまった。
セシルは僕の顔を見てはにかむと、
「フフフ、そうね、本当にマグノリアにもそっくりね」
そう言って微笑みながら唇を震わせた。
そしてセシルは父さんを見て、
「デューデュー、こっちへ来て」
そう言って近づいた父さんの手を取ると,
「デューデュー、ありがとう……
本当にありがとう……
貴方には何てお礼を言ったら……
本当に感謝しても仕切れないわ」
そう言って涙を流した。
父さんはそんなセシルの涙を袖で拭き上げると,
「お前でも、しをらしくなる事もあるんだな」
そう言ってセシルの頭をガシガシと撫でた。
僕はそんな父さんの行動にハラハラとしながら
「父さん!」
と脇腹を突くと、
「翠、大丈夫よ。
私達はいつもこうだったの。
ねえ、デューデュー!
ああ、本当にあなたに会いたかったわ。
何故今まで忘れている事が出来たのかしら?
こんなにも、こんなにも愛おしい貴方達なのに」
セシルがそう言って僕と父さんを抱きしめていると,
「お話の腰を折って失礼しますが、
お姉様、気分は如何ですか?
夕食の準備ができた様なのですが、
起き上がる事が出来ますか?
ダイニングまで移動しなくてはいけないのですが……」
そう言ってスーが夕食の準備が出来た事を知らせに来た。
セシルは
“う~ん”
と大きく伸びをすると、
「大丈夫よ!
私、もうお腹ぺこぺこ」
そう言ってスルッとベッドから滑り降りた。
スーはニコニコとすると,
「さすがお姉様ね!」
そう言いながらセシルの手を取った。
「さあ、お姉様は私がエスコートしますわ!」
そう言ってセシルと先を歩いていくと,
急にセシルが後をついてくる龍輝を見た。
「ねえ、貴方は山越えで私たちを助けてくれた人よね?」
急にセシルがそんな事を言い出したので、
「そうそう!
彼は山で僕達を助けてくれた龍輝って言うんだ。
彼は双子でね、彼にそっくりな龍星っていう兄弟もいるんだ。
スーの息子達だよ」
そう言うと,セシルが龍輝の耳に手を差し伸べて、
「あら、あなた耳が……」
そう言った後一息ついて、
「貴方、スーに似たのね。
ラッキーボーイね」
そう言って微笑んだ。
「セシル知ってたんだ。
本当にセシルってマグノリアだったんだ……」
僕が未だ信じられない様な表情をすると,
「初めてお目にかかります。
ショウとスーの息子で龍輝と申します」
そう言って龍輝が頭を下げた。
セシルは目を丸くすると,
「あら、ショウの息子にしてはまともね。
まあ、スーの血が濃いって証拠ね」
そう独り言の様に言うと,
「そうだ、ねえ、ショウって相変わらず……」
そう言いかけた時、龍輝が呆れ顔をしながら、
「はい、龍バカです」
そう答えた。
セシルは小さく笑うと,
「プフフ、やっぱりそうなのね。
ショウは今日は居るの?」
そう尋ね始めた。
「はい、恐らく龍達を離しに行ってるのだと思いますが、
夕食の席にはくるはずです」
セシルは龍輝がそう言ったのと同時に
「相変わらずナナ、ナナなのかしら?」
そう言ってプッと笑った。
龍輝は苦笑いして、
「いや……はい、そうですね」
そう言って恥ずかしそうにした。
僕が横から
「え? ナナって?」
そう尋ねるとセシルがすかさず、
「それ、ショウに聞いちゃダメよ。
絶対話終わらないから」
そう言ってケラケラと笑った。
僕はセシルがフジワラ家の事を、
まるで昔ながらの友の様に話す姿に違和感を感じ、
「何だかセシル別人みたい」
そうポツリと呟くと,
「そうだな。マグノリアの性格が強く出てるみたいだな」
そんな風に父さんが横から声をかけて来た。
「父さん、僕達の話聞いてたの?!」
びっくりして尋ねると,
「別に聞きたくて聞いていた訳じゃ無い!
お前達の声が大きいんだ」
そう言って反撃された。
でも母さんの事が少し知れて、
僕はちょっと嬉しかった。
「そうなのか……
僕の母さんってこんな性格してたんだ」
又独り言の様に呟くと,
「そうだなマグノリアは破天荒娘だったな。
それよりもセシルよ,気分はどうだ?
もうすっかり全て思い出したのか?」
と父さんがセシルに尋ねた。
セシルは首を傾げると,
「多分……」
そう言って目を細めた。
「ねえ、眠ってる間どんな感じだったの?
どんな風に前世を思い出していったの?!」
もしかしたら、いつか自分も通る道かもしれないと思うと,
次々と疑問が湧いて来た。
セシルは人差し指を顎に当てながら少し考えた様にすると,
目の前のドアに立ち塞がり、
「そうねえ~って言ってるうちに着いちゃったみたいね。
その事は後で話してあげる。
どうせ今夜は寝ないんでしょう?
デューデューだっているし!」
そう言って父さんにギュッと抱きついた。
セシルが目の前にあるダイニングのドアを開けると、
そこには先程までは居なかった二人の女性が居た。
彼女らは龍星とローティ達と楽しそうに話をしていたけど、
僕たちが入って来たのに気づくと,
綺麗なお辞儀をした。
”綺麗なドレスだな“
なんて思いながら二人を見ていると,
「お姉様、翠、紹介しますね。
彼女達は息子達の婚約者候補で
伯爵家のマチルド嬢と子爵家のミランダ嬢よ」
そう言ってスーが二人を紹介した。
その瞬間僕は龍輝をばっと見た。
「龍輝……婚約者がいたんだ」
そう呟くと,
「貴族にもなれば当たり前よ。
マグノリアだってジェイドが生まれた時から婚約者だって
教えられて来たのよ」
そう言ってセシルが僕に耳打ちした。
すると龍輝が僕を見て、
「翠、彼女は違うんです!
私はずっと断っているんです!」
と言い訳をする様に言い始めたので、
「え……? そん事僕に言われても……」
そう返すと,龍輝はハッとした様にして、
「そうですね。
申し訳ありません」
そうボソッと言って俯いた。
そんな龍輝の態度に少しオロッと来たとこで、
「皆様、遅れて申し訳ありません」
とショウが夕食の為に外から戻って来た。
その瞬間、
「うわー ショウ?
スーと違って老けたわね」
とセシルが急にショウに話し始めた。
ショウはセシルを見て片眉をあげ目を細めると
「ん?! その言い回し、
お目覚めになられたのですね。
お久しぶりでございます」
そう言ってセシルの前に跪いた。
フジワラ家息子達の婚約者候補を名乗る令嬢達は、
セシルに跪くショウを見て、
セシルは一体何者だ?!などと囁き始めた。
そんな事は梅雨知らず、
スーは皆が揃った事を確かめる様に、
「さあ、さあ、皆様揃ったところでお食事にしましょう!」
とその場を仕切り始めた。
取り敢えずはどこに座っても構わないと言う事で
目の前の椅子に腰を据えると,
龍輝が僕の隣に来て座ろうとした瞬間、
「あの……龍輝様……」
そう言ってミランダ嬢が龍輝の隣にやって来た。
龍騎は
「私は翠の隣に座りますので、
貴方はご自由にご自分のお好きな席へ」
そう冷たく言い放つと、
龍輝は僕の隣に座った。
婚約者候補として、
龍輝は自分の隣に座るものだと思っていたミランダは、
オロオロとし始めた。
実際に龍星の婚約者候補のマチルドは、
龍星の隣に座り楽しそうに会話をしていた。
そんな所へ父さんがやって来て、
「私が隣に座ろう」
そう言ってミランダに話しかけた。
ミランダは呆けた様な顔をすると,
「貴方は?」
そう父さんに尋ねた。
父さんは腰を伸ばし襟の裾を正すと,
「私はデューデューと申します」
と丁寧に自己紹介をした。
父さんの突然の申し出に少し戸惑ったミランダが
「え? あの…?」
と躊躇していると,
「いえ、デューデュー様は私の隣に」
とショウが二人の間に割り込んできた。
そんなショウを見ていたセシルが嫌味の様に
「ショウ、貴方相変わらずなのね。
もしかしてナナも健在なの?」
そう言い放つと,ショウの目がキラリと光った。
「覚えていらっしゃったのですね!
ナナはですね、」
ショウが粋がってそう言い始めた途端、
「あ、いや、ナナの話は良いから早く食べましょう!
私,お腹ペコペコ!」
とマイペースなセシルにショウは踊らされてばかりだった。
そんな感じで夕食の場は終えて行った。
夕食が終わると,先に決めた様に僕達はセシルの部屋に集まる様にした。
そんな中スーは、
「あ~ん、お姉様、私も一緒に色々とお話をしたいけど、
夜更かしするとお肌が~」
そんな事を言っていたけど,
「スー貴方何言ってるの?
貴方、夜更かししようが、
歳を取ろうが、老けないでしょう?!」
と言うセシルの一言で
「あ~ん、お姉様~
懐かしい口調が聞けて嬉しい!
いいわ、今夜だけは夜更かしをするわ!」
と言い包められてしまった。
「ローティ達はどうする?」
僕がローティ達にそう尋ねると,
「俺たちも混ざって良いのか?」
と遠慮気味に尋ねて来た。
「勿論よ!
私達もう仲間でしょ。
貴方達さえ良ければ私の昔話を聞いて頂戴」
セシルのその一言で、僕達の長い夜が始まった。
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BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け


前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
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ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

スキルも魔力もないけど異世界転移しました
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
なんとかなれ!!!!!!!!!
入社四日目の新卒である菅原悠斗は通勤途中、車に轢かれそうになる。
死を覚悟したその次の瞬間、目の前には草原が広がっていた。これが俗に言う異世界転移なのだ——そう悟った悠斗は絶望を感じながらも、これから待ち受けるチートやハーレムを期待に掲げ、近くの村へと辿り着く。
そこで知らされたのは、彼には魔力はおろかスキルも全く無い──物語の主人公には程遠い存在ということだった。
「異世界転生……いや、転移って言うんですっけ。よくあるチーレムってやつにはならなかったけど、良い友だちが沢山できたからほんっと恵まれてるんですよ、俺!」
「友人のわりに全員お前に向けてる目おかしくないか?」
チートは無いけどなんやかんや人柄とかで、知り合った異世界人からいい感じに重めの友情とか愛を向けられる主人公の話が書けたらと思っています。冒険よりは、心を繋いでいく話が書きたいです。
「何って……友だちになりたいだけだが?」な受けが好きです。
6/30 一度完結しました。続きが書け次第、番外編として更新していけたらと思います。

BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました
厘/りん
BL
ナルン王国の下町に暮らす ルカ。
この国は一部の人だけに使える魔法が神様から贈られる。ルカはその一人で武器や防具、アクセサリーに『加護』を付けて売って生活をしていた。
ある日、配達の為に下町を歩いていたら指輪が落ちていた。見覚えのある指輪だったので届けに行くと…。
国を救った英雄(強面の可愛い物好き)と出生に秘密ありの痩せた青年のお話。
☆英雄騎士 現在28歳
ルカ 現在18歳
☆第11回BL小説大賞 21位
皆様のおかげで、奨励賞をいただきました。ありがとう御座いました。
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