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フジワラ侯爵家?
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「やっぱり分からない!!」
どんなに前世を思い出そうとしても、
思い出の欠片も頭の中に甦って来ない。
「本当に僕達は生まれ変わって此処に来たのか?!
そもそもこれって、本当に思い出せるのか?!」
そう言って僕は頭をガシガシと掻いた。
セシルはグシャグシャになった僕の髪にそっと手を置くと、
「ほら、未だ追憶は始まったばかりよ。
そんな直ぐ直ぐ分かるわけないでしょ。
でも絶対思い出せるはずよ。
私だって自信はないけど,
ちゃんとデューデューの事は思い出したんだから!
だから前世はちゃんとあったのよ!
焦らずにゆっくり行きましょう」
そう言って僕の頭を撫でた。
僕はプフっと息を前髪に吹きかけると、
セシルを横目で見て鉛筆を唇の上に乗せると,
キュッと顔を顰めた。
セシルはそんな僕の顔から鉛筆をシュッと抜くと,
膝の上に乗せておいたメモ帳もパッと取り上げて、
「ねえ、ローティが話した事覚えてる?」
そう尋ねて真面目な顔をした。
顔を顰めてセシルを見ると,
「ローティの話ってもしかして
サンクホルムって国の人物達の事?」
思い出したように尋ねると,
「そうそう!」
そう言ってセシルは相槌を打った。
「ほら、この人物達!」
そう言いながら、セシルはメモ帳にスラスラと
“ジェイド
マグノリア
ダリル
アーウィン
国王”
ローティにあの日聞いた名前をメモ帳に書き始めた。
僕はメモ帳を覗き込むと,
「君、よく名前を覚えてたね?
僕、もう良く憶えてなかっただけど……」
そう言いながらメモ帳に書き出された名前をマジマジと見た。
セシルは少し考えたようにすると,
「私…… デューデューの事を思い出してから、
彼らの名前がグルグルと頭の中を反芻しているの……」
そう言って僕の顔を覗き込んだ。
僕は眉間に皺を寄せると,
「それって父さんの他に何かを思い出したって事?」
とそう尋ねた。
セシルは少し考え込むと、
「思い出したって言うか、
フッと頭の中を映像が横切るの。
まるで切り取った絵のような感じで、
何の事かは全然分からないんだけど,
でも……」
そう言いかけて黙った。
僕はセシルに詰め寄り、
「でも……何?」
そう言って顔を覗き込んだ。
セシルは僕をしっかりと見据えると,
「もしかしたら私の記憶違いかもしれないけど、
朧げな記憶の中でこの人達の名を呼んでいたような……
そんな気がするの」
そう言ってまた俯いた。
僕はセシルの手を取ると,
「分かった。
じゃあ、それを一つの例えとしてパズルを組み立ててみよう」
そう言ってメモ帳を掴み目の前に翳した。
横ではセシルが独り言のように
“もしそれが正しいとすると私は……
でもそんなはずは……“
そんな事をブツブツと言っていた。
そんなセシルを唯、眺めていると,
彼女はそんな僕の視線に気付いて、
「ああ、御免なさい。
ただの独り言よ」
そう言ってフッと馬車の外を眺めた。
”おかしい……
セシル独り言を分析してみると,
彼女は何かに気付いている様だけど、
僕には言えない事?!
きっとセシルは何かを未だ僕に隠している……“
追憶探しを始めて最初に思ったのがそれだった。
”仕方ない……
僕だって未だ全ての事を曝け出したわけではない……
きっといつかは全てを話す時が来るとは思うけど、
隠し事を持ったままで先に進めるのか?!”
フッとそう言う思いが頭の中を駆け巡った。
僕はブルブルと頭を振ると,
“よし!”
そう自分にハッパをかけ、
「じゃあ、今ハッキリと分かっている事を書き出そう」
そう言うと,セシルの手から鉛筆を抜き取った。
セシルは首を傾げて僕の事を見ると,
「はっきりと分かってる事?」
そう尋ねて僕の指先の鉛筆に目を落とした。
僕は鉛筆をクルッと指の上で回転させると,
メモにスラスラと書き始めた。
”翠ー育ての親 デューデュー
父ー大国の最高神官
母ー小国の姫
二人は駆け落ちー二人とも死亡“
そう書いてセシルの前に差し出した。
「これは、前世とは関係ないけど,
今の時点ではっきりと分かっている事。
父さんは僕にヒントをたくさん教えたと言っていた。
僕の両親がどこの国か言わなかったけど、
これってマグノリアとアーウィンに当てはまらない?
ううん、これって当てはまるのは
マグノリアとアーウィン以外にいない!」
そう断言した。
セシルもメモをジーッとみると,
「確かにそうよね。
この二人しか翠の両親になり得る人物は居ないわね」
そう居てセシルも僕の意見に同意した。
「ねえ、僕達の追憶クエスト,
此処から先に進めないかな?」
そう言ってセシルの反応を見た。
セシルがメモ帳を覗き込んでる時に、
”マグノリア“
と
”アーウィン“
の横に
”マグノリアージェイドの婚約者=小国の王女(翠の母親)“
”アーウィンーサンクホルムの最高大神官(翠の父親)”
そう書き加えた。
「僕が思うに、ジェイドの婚約者だったマグノリアは、
アーウィンと禁断の恋に落ちて駆け落ちした。
そして僕が生まれたけど、
国から追っ手が来て二人は引き離されようとしたから
戦って負けた……とか?
そこを僕だけが父さん、デューデューに助けられ、
育てられたって言うのはどう?」
そう推理すると、
セシルは少し遠慮気味に、
「ねえ、もし私の前世がマグノリアだったら貴方は私の息子?」
そう言って僕の顔をジーッと覗き込んだ。
そんなセシルと目が会い僕達は一緒に笑い出した。
そして二人同時に、
「いや、いや、いや、
面白い推理だけど,
それ、絶対違うでしょ?!」
そお互い言い合って、
またお互いを見合い笑い出した。
そんな僕達にビックリしたローティが、
「へっ?! 何、何?!」
と横槍を入れてきた。
そんなローティの間抜けのような顔を見ると,
僕とセシルはまた見合って二人で笑い出した。
「ごめん,ごめん,
翠が急に変な事を言い出すからそれがおかしくて!」
セシルがそう言って説明していると,
「あ、最初の村が見えてきたよ!」
そうジュジュが叫んで指を差した。
僕達は一旦会話を遮ると,
身を乗り出してジュジュの指さす方を見た。
「今夜はあの村で泊まって幌の修理をし、
出来次第出発になります。
恐らく出発は明日の昼過ぎになると思いますが、
夕方には帝都に到着するでしょう」
そう御者に言われ,
少し身が引き締まった。
”いよいよ明日か……”
そう思うと,胸が高鳴り始めた。
セシルやローティを見ると,
彼らの目がイキイキとしていた。
僕はもう一度目の先に広がる村に目をやると、
馬車に腰掛け背筋を伸ばした。
暫くすると馬車は村への入り口へと辿り着いた。
此処でも身分証を検査するのかと思ったら、
何の検査もなくスッと村に入ることができた。
“身分検査は全ての場所でするんじゃないんだ”
そうセシルに囁くと,
“そうね、小さい村だと割と検査なしが多いわね”
そんなもんかと思いながらセシルの返答に頷いた。
村は丸太で作ったフェンスで囲われてはいたものの、
思ったより小さな村だった。
宿も一つしかなく、
食事処は宿と兼営していた。
小さな市場が有るらしかったけど、
近隣の町から商人達が朝一番にやってきて、
昼前には閉まるらしかった。
そんな訳で皆を宿に下ろすと,
僕はローティとジュジュを従え
馬車の修理場まで御者と共に向かった。
修理場は宿から割と近く、
歩いても行けるような距離にあった。
僕には相場が良く分からないので、
全ての取引をローティとジュジュに任せた。
前にいた町で、
セシルから支払いには
小切手というものが使えると言う事を学んでおいたので,
お金の引換所で小切手なる物を製作して貰っていた。
それに僕の預金はちょっとやそっとでは
底をつかないらしいほど蓄えてあるらしかったので、
馬車の修理も幾ら掛かっても良いので、
馬車に合う最高の修理ができるよう取り計らってくれと
予めローティとジュジュに話を付けておいた。
二人は僕がリクエストした通りに修理の注文をすると、
僕は小切手を修理をしてくれる人に渡した。
予定通り馬車は明日昼前位に修理が終わるらしく、
僕達は昼食の後馬車を受け取り帝都へと向かうことにした。
そうやって迎えた朝は少し緊張した。
僕は皆より早く目が覚めたので、
もう既に開いていた食事処に行くと,
暖かな飲み物とスコーンを注文した。
周りを見渡すと,
小さな村の食事処の割には
人がパラパラと訪れていた。
“此処に泊まってるのは確か昨夜は僕達だけだったよな?
やけに人が多くないか?”
そんな事を考えていると,
彼らの会話から自然と耳に届いた。
彼らの話から察すると、
彼らは此処に住む村人達で有ることがわかった。
村人達は割とこの食事処へ訪れている様だ。
僕は注文したスコーンを食べながら
村人達の会話に耳を傾けた。
「最近また侯爵家の息子達が山賊達を捕らえた様だな」
そのセリフに僕の耳がピクッと痙攣した様に引き攣った。
“それって僕達が襲われた時の事?!”
そう思いさらに耳を傾けると、
「侯爵家って、もしかしてフジワラのか?」
と相手の男が尋ねた。
”フジワラ?“
変わった名だな”
そう思っていると,
「あーあそこの双子だな」
と聞こえてきた。
”双子?!
やっぱり彼らの事か?!“
「戦闘においてはこの国で
フジワラ家の右に出る者はいないらしいからな。
山賊の退治なんてフジワラ家にとっては
赤子を捻り潰す様に簡単だろうが、
まあ、フジワラ侯爵家は皇家の犬だから
皇家からの命令じゃ無視もできんだろう。
まあ、その甲斐もあってこの国は平和なんだが……」
「確かにな、侯爵が飼っている龍にしろ、
あの双子にしろ侯爵家からの恩恵は受けているが、
近寄らない方が身の為だな。
一歩間違えば俺らが犯罪者になりかねん。
くわばら、くわばら」
そう言って村人達はフジワラ侯爵家と言う人物達の噂話をしていた。
でも僕にとってはびっくりする様な固有名詞が出てきた。
”龍?! もしかして父さんと同じ様な龍の仲間?!
あの村人等、侯爵家では龍を飼ってると言ったか?!
父さんはその事を知ってるのだろうか?!
もしかして父さんがやらなければいけない事って
龍の仲間を探す事?!
フジワラ侯爵家についてもっと情報を!“
そう思って村人等に確かめようと、
「すみません!」
そう言って声をかけようとしたら、
「翠! 貴方早いわね!
今お部屋まで行ったらベッドに居ないって
ローティが大騒ぎしてたわよ」
そう言ってセシルが食事処へとやってきた。
僕はスコーンの最後の一口を口に放り入れると,
「やばい! すぐに戻るつもりだったんだ!
ちょっと面白い話を聞いて!
ほらあそこに座っている……」
そう言って立ち上がった。
セシルに村人等のことを話そうと思い
彼らの方を振り向いて思わず、
”あっ!“
とため息がこぼれ落ちた。
彼らはもう既に席から立ち上がりドアから出て行くところだった。
セシルはそんな僕に釣られてドアの方を振り向くと,
ドアを出て行った村人等から目を離して、
「何? 何か彼らに用があったの?
追いかけたほうが良い?」
そう言って首を傾げた。
僕はため息を吐いて、
「いや、何でもない」
そう言って首を振ると、
伝票をクシャッとテーブルから掴み取り、
「セシルはこれから朝食?
僕は部屋へ戻って先ずはローティを安心させるよ」
そう言うと、
「待って! 此処へは翠を見つけに来ただけだから、
私も一緒に戻るわ!
朝食はまたあらためて……」
そう言ってセシルも僕について食事処を後にした。
戻る傍ら、
”フジワラ侯爵家……
何故こんなに気になるんだろう……
帝都に着いたら是非訪ねてみたい……“
そう言う思いが頭の中をグルグルと回り出した。
部屋へ戻ると,僕を心配していたローティに泣き付かれた。
「翠~ 山賊の残党がお前の事を連れ去ったのかと心配しただろ!
あんな事があった後なんだ、
一人でどこかへ行く時は必ず俺を起こしてくれ!」
そう言われると、
ぐうの音も出ない。
「ごめん、僕が考えなしだった。
今度からはちゃんと言ってから出るよ」
そう言うと、
「じゃあ、翠は此処に残って荷物をまとめ始めて!
私達はその間に朝食に行きましょう!」
セシルの提案で僕以外は朝食をとりに行った。
荷物を詰め直す間
セシルと書き出したメモ帳が
パラリとリュックのポケットから滑り落ちた。
僕はメモ帳に書かれてある名前を目で追うと,
その一番下に
”フジワラ侯爵家双子。
龍飼いー父さんと関係が???“
そう付け加えまた元の位置に戻した。
そしてストレージにリュックを入れると,
ベッドの上にドサっと転がった。
そして目を閉じると,
あの時僕を助けてくれた彼の顔を思い浮かべた。
”黒い髪……
黒い瞳……
少し尖った長めの耳……
身長がスラッとして高かったな……
少し歳をとると父さんにちょっと似てるかも……
少し……いや、かなりカッコ良かったな……
確か龍輝って呼ばれて……”
そう思った瞬間僕の身体中の血管がドクンと振動した様にして、
身体が急に強張った様にして動かなくなった。
“え? 何? 体が……動かない……”
急に体が硬直した様になり、
指一本動かせなくなってしまった。
息がヒュッと口から漏れると、
急に息苦しくなった。
“息……苦しい……
何?! 一体何が起きてるの?!”
胸が急に苦しくなってハアハアと肩でかろうじて息をしながら
目をギュッと閉じた。
“誰か助けて!
父さん……”
そう願った瞬間、
誰かの手を僕の頬に感じた。
“大丈夫だよ。
大丈夫だよ”
その声と共に誰かが頬を撫でてくれる感覚がした。
“えっ? 誰?!”
声のする方をみようとしても
目さえも動かす事ができなかった。
“すぐに良くなるからね。
大丈夫だよ”
その声はそう続きながら僕の頭を撫でた。
“この声……聞いた事がある……
いつだったっけ……?!
誰だったっけ……?!”
されるがままにその声を聞きながら瞳を閉じた。
僕の耳には
“大丈夫だよ。
大丈夫だよ“
そう言うセリフが繰り返し,繰り返し流れてきた。
“懐かしい声……
とても気持ち良い……
もっと撫でて……“
そう思い瞳を閉じると、
「翠! 準備は出来た?!
食事処で御者の人に会ったら、
後一時間程で修理が終わると連絡が来たらしいわよ!
それで早めに此処を出ることになったから
準備が出来次第行くわよ!」
そう言いながらセシルが元気よくドアを開けて部屋へと入ってきた。
僕はベッドからバッと起き上がると、
“あれ? 体が動く……?”
そう思い両手を翳して見入った。
セシルは自分の部屋から荷物を持ってくると言い又出て行ったけど、
セシルと入れ違いでローティとジュジュが戻ってきた。
「翠、聞いたか?!
早めに出発できるみたいだぞ。
俺たちはこれから荷物を詰めるから、
翠はまだゆっくりしていてくれ」
そう言われ、僕は又ベッドの端に腰掛けた。
僕の心臓だけがドキドキ、ドキドキと激しく脈打っていた。
“龍輝……龍輝……
何故だろう……
又君にすごく会いたい”
ローティ達を待つ間、
龍輝と言う名前だけが僕の頭の中を何度も何度も反芻していた。
どんなに前世を思い出そうとしても、
思い出の欠片も頭の中に甦って来ない。
「本当に僕達は生まれ変わって此処に来たのか?!
そもそもこれって、本当に思い出せるのか?!」
そう言って僕は頭をガシガシと掻いた。
セシルはグシャグシャになった僕の髪にそっと手を置くと、
「ほら、未だ追憶は始まったばかりよ。
そんな直ぐ直ぐ分かるわけないでしょ。
でも絶対思い出せるはずよ。
私だって自信はないけど,
ちゃんとデューデューの事は思い出したんだから!
だから前世はちゃんとあったのよ!
焦らずにゆっくり行きましょう」
そう言って僕の頭を撫でた。
僕はプフっと息を前髪に吹きかけると、
セシルを横目で見て鉛筆を唇の上に乗せると,
キュッと顔を顰めた。
セシルはそんな僕の顔から鉛筆をシュッと抜くと,
膝の上に乗せておいたメモ帳もパッと取り上げて、
「ねえ、ローティが話した事覚えてる?」
そう尋ねて真面目な顔をした。
顔を顰めてセシルを見ると,
「ローティの話ってもしかして
サンクホルムって国の人物達の事?」
思い出したように尋ねると,
「そうそう!」
そう言ってセシルは相槌を打った。
「ほら、この人物達!」
そう言いながら、セシルはメモ帳にスラスラと
“ジェイド
マグノリア
ダリル
アーウィン
国王”
ローティにあの日聞いた名前をメモ帳に書き始めた。
僕はメモ帳を覗き込むと,
「君、よく名前を覚えてたね?
僕、もう良く憶えてなかっただけど……」
そう言いながらメモ帳に書き出された名前をマジマジと見た。
セシルは少し考えたようにすると,
「私…… デューデューの事を思い出してから、
彼らの名前がグルグルと頭の中を反芻しているの……」
そう言って僕の顔を覗き込んだ。
僕は眉間に皺を寄せると,
「それって父さんの他に何かを思い出したって事?」
とそう尋ねた。
セシルは少し考え込むと、
「思い出したって言うか、
フッと頭の中を映像が横切るの。
まるで切り取った絵のような感じで、
何の事かは全然分からないんだけど,
でも……」
そう言いかけて黙った。
僕はセシルに詰め寄り、
「でも……何?」
そう言って顔を覗き込んだ。
セシルは僕をしっかりと見据えると,
「もしかしたら私の記憶違いかもしれないけど、
朧げな記憶の中でこの人達の名を呼んでいたような……
そんな気がするの」
そう言ってまた俯いた。
僕はセシルの手を取ると,
「分かった。
じゃあ、それを一つの例えとしてパズルを組み立ててみよう」
そう言ってメモ帳を掴み目の前に翳した。
横ではセシルが独り言のように
“もしそれが正しいとすると私は……
でもそんなはずは……“
そんな事をブツブツと言っていた。
そんなセシルを唯、眺めていると,
彼女はそんな僕の視線に気付いて、
「ああ、御免なさい。
ただの独り言よ」
そう言ってフッと馬車の外を眺めた。
”おかしい……
セシル独り言を分析してみると,
彼女は何かに気付いている様だけど、
僕には言えない事?!
きっとセシルは何かを未だ僕に隠している……“
追憶探しを始めて最初に思ったのがそれだった。
”仕方ない……
僕だって未だ全ての事を曝け出したわけではない……
きっといつかは全てを話す時が来るとは思うけど、
隠し事を持ったままで先に進めるのか?!”
フッとそう言う思いが頭の中を駆け巡った。
僕はブルブルと頭を振ると,
“よし!”
そう自分にハッパをかけ、
「じゃあ、今ハッキリと分かっている事を書き出そう」
そう言うと,セシルの手から鉛筆を抜き取った。
セシルは首を傾げて僕の事を見ると,
「はっきりと分かってる事?」
そう尋ねて僕の指先の鉛筆に目を落とした。
僕は鉛筆をクルッと指の上で回転させると,
メモにスラスラと書き始めた。
”翠ー育ての親 デューデュー
父ー大国の最高神官
母ー小国の姫
二人は駆け落ちー二人とも死亡“
そう書いてセシルの前に差し出した。
「これは、前世とは関係ないけど,
今の時点ではっきりと分かっている事。
父さんは僕にヒントをたくさん教えたと言っていた。
僕の両親がどこの国か言わなかったけど、
これってマグノリアとアーウィンに当てはまらない?
ううん、これって当てはまるのは
マグノリアとアーウィン以外にいない!」
そう断言した。
セシルもメモをジーッとみると,
「確かにそうよね。
この二人しか翠の両親になり得る人物は居ないわね」
そう居てセシルも僕の意見に同意した。
「ねえ、僕達の追憶クエスト,
此処から先に進めないかな?」
そう言ってセシルの反応を見た。
セシルがメモ帳を覗き込んでる時に、
”マグノリア“
と
”アーウィン“
の横に
”マグノリアージェイドの婚約者=小国の王女(翠の母親)“
”アーウィンーサンクホルムの最高大神官(翠の父親)”
そう書き加えた。
「僕が思うに、ジェイドの婚約者だったマグノリアは、
アーウィンと禁断の恋に落ちて駆け落ちした。
そして僕が生まれたけど、
国から追っ手が来て二人は引き離されようとしたから
戦って負けた……とか?
そこを僕だけが父さん、デューデューに助けられ、
育てられたって言うのはどう?」
そう推理すると、
セシルは少し遠慮気味に、
「ねえ、もし私の前世がマグノリアだったら貴方は私の息子?」
そう言って僕の顔をジーッと覗き込んだ。
そんなセシルと目が会い僕達は一緒に笑い出した。
そして二人同時に、
「いや、いや、いや、
面白い推理だけど,
それ、絶対違うでしょ?!」
そお互い言い合って、
またお互いを見合い笑い出した。
そんな僕達にビックリしたローティが、
「へっ?! 何、何?!」
と横槍を入れてきた。
そんなローティの間抜けのような顔を見ると,
僕とセシルはまた見合って二人で笑い出した。
「ごめん,ごめん,
翠が急に変な事を言い出すからそれがおかしくて!」
セシルがそう言って説明していると,
「あ、最初の村が見えてきたよ!」
そうジュジュが叫んで指を差した。
僕達は一旦会話を遮ると,
身を乗り出してジュジュの指さす方を見た。
「今夜はあの村で泊まって幌の修理をし、
出来次第出発になります。
恐らく出発は明日の昼過ぎになると思いますが、
夕方には帝都に到着するでしょう」
そう御者に言われ,
少し身が引き締まった。
”いよいよ明日か……”
そう思うと,胸が高鳴り始めた。
セシルやローティを見ると,
彼らの目がイキイキとしていた。
僕はもう一度目の先に広がる村に目をやると、
馬車に腰掛け背筋を伸ばした。
暫くすると馬車は村への入り口へと辿り着いた。
此処でも身分証を検査するのかと思ったら、
何の検査もなくスッと村に入ることができた。
“身分検査は全ての場所でするんじゃないんだ”
そうセシルに囁くと,
“そうね、小さい村だと割と検査なしが多いわね”
そんなもんかと思いながらセシルの返答に頷いた。
村は丸太で作ったフェンスで囲われてはいたものの、
思ったより小さな村だった。
宿も一つしかなく、
食事処は宿と兼営していた。
小さな市場が有るらしかったけど、
近隣の町から商人達が朝一番にやってきて、
昼前には閉まるらしかった。
そんな訳で皆を宿に下ろすと,
僕はローティとジュジュを従え
馬車の修理場まで御者と共に向かった。
修理場は宿から割と近く、
歩いても行けるような距離にあった。
僕には相場が良く分からないので、
全ての取引をローティとジュジュに任せた。
前にいた町で、
セシルから支払いには
小切手というものが使えると言う事を学んでおいたので,
お金の引換所で小切手なる物を製作して貰っていた。
それに僕の預金はちょっとやそっとでは
底をつかないらしいほど蓄えてあるらしかったので、
馬車の修理も幾ら掛かっても良いので、
馬車に合う最高の修理ができるよう取り計らってくれと
予めローティとジュジュに話を付けておいた。
二人は僕がリクエストした通りに修理の注文をすると、
僕は小切手を修理をしてくれる人に渡した。
予定通り馬車は明日昼前位に修理が終わるらしく、
僕達は昼食の後馬車を受け取り帝都へと向かうことにした。
そうやって迎えた朝は少し緊張した。
僕は皆より早く目が覚めたので、
もう既に開いていた食事処に行くと,
暖かな飲み物とスコーンを注文した。
周りを見渡すと,
小さな村の食事処の割には
人がパラパラと訪れていた。
“此処に泊まってるのは確か昨夜は僕達だけだったよな?
やけに人が多くないか?”
そんな事を考えていると,
彼らの会話から自然と耳に届いた。
彼らの話から察すると、
彼らは此処に住む村人達で有ることがわかった。
村人達は割とこの食事処へ訪れている様だ。
僕は注文したスコーンを食べながら
村人達の会話に耳を傾けた。
「最近また侯爵家の息子達が山賊達を捕らえた様だな」
そのセリフに僕の耳がピクッと痙攣した様に引き攣った。
“それって僕達が襲われた時の事?!”
そう思いさらに耳を傾けると、
「侯爵家って、もしかしてフジワラのか?」
と相手の男が尋ねた。
”フジワラ?“
変わった名だな”
そう思っていると,
「あーあそこの双子だな」
と聞こえてきた。
”双子?!
やっぱり彼らの事か?!“
「戦闘においてはこの国で
フジワラ家の右に出る者はいないらしいからな。
山賊の退治なんてフジワラ家にとっては
赤子を捻り潰す様に簡単だろうが、
まあ、フジワラ侯爵家は皇家の犬だから
皇家からの命令じゃ無視もできんだろう。
まあ、その甲斐もあってこの国は平和なんだが……」
「確かにな、侯爵が飼っている龍にしろ、
あの双子にしろ侯爵家からの恩恵は受けているが、
近寄らない方が身の為だな。
一歩間違えば俺らが犯罪者になりかねん。
くわばら、くわばら」
そう言って村人達はフジワラ侯爵家と言う人物達の噂話をしていた。
でも僕にとってはびっくりする様な固有名詞が出てきた。
”龍?! もしかして父さんと同じ様な龍の仲間?!
あの村人等、侯爵家では龍を飼ってると言ったか?!
父さんはその事を知ってるのだろうか?!
もしかして父さんがやらなければいけない事って
龍の仲間を探す事?!
フジワラ侯爵家についてもっと情報を!“
そう思って村人等に確かめようと、
「すみません!」
そう言って声をかけようとしたら、
「翠! 貴方早いわね!
今お部屋まで行ったらベッドに居ないって
ローティが大騒ぎしてたわよ」
そう言ってセシルが食事処へとやってきた。
僕はスコーンの最後の一口を口に放り入れると,
「やばい! すぐに戻るつもりだったんだ!
ちょっと面白い話を聞いて!
ほらあそこに座っている……」
そう言って立ち上がった。
セシルに村人等のことを話そうと思い
彼らの方を振り向いて思わず、
”あっ!“
とため息がこぼれ落ちた。
彼らはもう既に席から立ち上がりドアから出て行くところだった。
セシルはそんな僕に釣られてドアの方を振り向くと,
ドアを出て行った村人等から目を離して、
「何? 何か彼らに用があったの?
追いかけたほうが良い?」
そう言って首を傾げた。
僕はため息を吐いて、
「いや、何でもない」
そう言って首を振ると、
伝票をクシャッとテーブルから掴み取り、
「セシルはこれから朝食?
僕は部屋へ戻って先ずはローティを安心させるよ」
そう言うと、
「待って! 此処へは翠を見つけに来ただけだから、
私も一緒に戻るわ!
朝食はまたあらためて……」
そう言ってセシルも僕について食事処を後にした。
戻る傍ら、
”フジワラ侯爵家……
何故こんなに気になるんだろう……
帝都に着いたら是非訪ねてみたい……“
そう言う思いが頭の中をグルグルと回り出した。
部屋へ戻ると,僕を心配していたローティに泣き付かれた。
「翠~ 山賊の残党がお前の事を連れ去ったのかと心配しただろ!
あんな事があった後なんだ、
一人でどこかへ行く時は必ず俺を起こしてくれ!」
そう言われると、
ぐうの音も出ない。
「ごめん、僕が考えなしだった。
今度からはちゃんと言ってから出るよ」
そう言うと、
「じゃあ、翠は此処に残って荷物をまとめ始めて!
私達はその間に朝食に行きましょう!」
セシルの提案で僕以外は朝食をとりに行った。
荷物を詰め直す間
セシルと書き出したメモ帳が
パラリとリュックのポケットから滑り落ちた。
僕はメモ帳に書かれてある名前を目で追うと,
その一番下に
”フジワラ侯爵家双子。
龍飼いー父さんと関係が???“
そう付け加えまた元の位置に戻した。
そしてストレージにリュックを入れると,
ベッドの上にドサっと転がった。
そして目を閉じると,
あの時僕を助けてくれた彼の顔を思い浮かべた。
”黒い髪……
黒い瞳……
少し尖った長めの耳……
身長がスラッとして高かったな……
少し歳をとると父さんにちょっと似てるかも……
少し……いや、かなりカッコ良かったな……
確か龍輝って呼ばれて……”
そう思った瞬間僕の身体中の血管がドクンと振動した様にして、
身体が急に強張った様にして動かなくなった。
“え? 何? 体が……動かない……”
急に体が硬直した様になり、
指一本動かせなくなってしまった。
息がヒュッと口から漏れると、
急に息苦しくなった。
“息……苦しい……
何?! 一体何が起きてるの?!”
胸が急に苦しくなってハアハアと肩でかろうじて息をしながら
目をギュッと閉じた。
“誰か助けて!
父さん……”
そう願った瞬間、
誰かの手を僕の頬に感じた。
“大丈夫だよ。
大丈夫だよ”
その声と共に誰かが頬を撫でてくれる感覚がした。
“えっ? 誰?!”
声のする方をみようとしても
目さえも動かす事ができなかった。
“すぐに良くなるからね。
大丈夫だよ”
その声はそう続きながら僕の頭を撫でた。
“この声……聞いた事がある……
いつだったっけ……?!
誰だったっけ……?!”
されるがままにその声を聞きながら瞳を閉じた。
僕の耳には
“大丈夫だよ。
大丈夫だよ“
そう言うセリフが繰り返し,繰り返し流れてきた。
“懐かしい声……
とても気持ち良い……
もっと撫でて……“
そう思い瞳を閉じると、
「翠! 準備は出来た?!
食事処で御者の人に会ったら、
後一時間程で修理が終わると連絡が来たらしいわよ!
それで早めに此処を出ることになったから
準備が出来次第行くわよ!」
そう言いながらセシルが元気よくドアを開けて部屋へと入ってきた。
僕はベッドからバッと起き上がると、
“あれ? 体が動く……?”
そう思い両手を翳して見入った。
セシルは自分の部屋から荷物を持ってくると言い又出て行ったけど、
セシルと入れ違いでローティとジュジュが戻ってきた。
「翠、聞いたか?!
早めに出発できるみたいだぞ。
俺たちはこれから荷物を詰めるから、
翠はまだゆっくりしていてくれ」
そう言われ、僕は又ベッドの端に腰掛けた。
僕の心臓だけがドキドキ、ドキドキと激しく脈打っていた。
“龍輝……龍輝……
何故だろう……
又君にすごく会いたい”
ローティ達を待つ間、
龍輝と言う名前だけが僕の頭の中を何度も何度も反芻していた。
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