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解呪
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“王女様?”
僕の呟きが聞こえたのかローティは僕を見ると、
「そうそう、肖像画だったけど、
本当に翠にそっくりだった!
特にその勝気そうな瞳とか
流れる様な金色の髪とか……
顔の輪郭なんかもそのまんま!
凛と佇まう雰囲気なんかもそっくりだよ!
2人並んだら姉弟……いや、双子って言っても過言ではないと思う様な激似だったよ」
そう言って僕をマジマジと見た。
ローティの僕を見入る目が何だかぎこち無くて、
僕は咄嗟にオホンと咳払いをした。
するとローティは更に僕の顔に近づいて、
僕の目をジーッと見た。
「でも瞳の色は彼女と違うんだな。
彼女は鮮やかな青い瞳……そう、セシルの様な……
でも翠の瞳は綺麗な緑色なんだな。
柔らかい春の若葉の色だ!
俺は翠の瞳の色の方が好きかな?
結構癒される色をしてるんだな」
そう言って僕に微笑んだ後、
「でもセシルの髪も見事な金髪だよな。
まるであの王女のように……
瞳も目が覚める様な青色で全くセシルと同じ色だよな。
青い瞳って結構たくさんいるけど、
結構印象に残る様な青い色をしてたんだよな。
セシルもそんな感じで……
うん、セシルもそう言えばあの王女に似てるかも?
まあ、セシルの方が人懐っこい顔してるけどな」
そうローティが言うと、
セシルは慌てた様にして後ろを振り向いて、
「さあ早く宿を見つけましょう!
宿街はこっちよ!」
そう言うとズンズンと足早に歩き出した。
“どうしたんだろうセシルのヤツ……
急にきょどったりなんかして……
僕が思っていた反応と違くないか?!”
急にヨソヨソしくなったセシルを変だと思ったけど、
僕は皇家の肖像画を見送りながらその場をさると、
サッサと先に行ってしまったセシル目掛けて走って行った。
先を歩くセシルをチラチラと見ながら、
“そういえば父さん、僕の母親は小さな国の王女って言ったよな?
ローティの言って居た王女と何か関係があるんだろうか?
その王女が僕の母親なんだろうか?!
いやでも、父親は最高神官と言ってたから違うのか?!
でも僕にそっくりって……
あ、そう言えば父さん、
二人は駆け落ちしたって言ったような……
やっぱりローティの言う王女が僕の母親?!
それにセシルも似てるって……
そう言えばセシルは小さな国から来たって言ってたよな?
もしかして僕の母親と同じ国なのか?!
でも商家の娘って……王家では無いよな?
え?? もしかしてセシルが嘘をついてる……とか?!”
そう思って更にセシルをじっと見た。
”待てよ? セシルだって僕に似てると言えば似てない事もないよな?
待て、待て、似てると思って見ると、僕とセシルって兄妹に見えない事もないよな?!
ん? どうなんだ?!
考えすぎて皆がセシルに似てる様に見えるや……“
そんなことを考えているうちにどうやら僕達はすでに宿に到着していて、
セシルは既に宿を取った後だった。
「はい! 男性軍の鍵!
私は隣の部屋だから覗か・な・い・で・ね!」
そう言って僕の目の前に鍵をブラブラと差し出した。
まるで遊び気分だ。
当の僕は、
「あれ? いつの間に宿に?!」
そう言って辺りをキョロキョロと見回した。
「何寝ぼけてるのよ!
ほら行くわよ!
私たちの部屋は2階よ!
ひと段落したら夕食を食べに行くわよ!」
セシルはそう言って仕切りだし、
僕の背を押しながら二階へと続く階段を上っていった。
それぞれの部屋に落ち着き荷物を下ろすローティに、
「あのさ、さっきの王女の話だけど、
王女が何処の国の出身だったか聞いてる?」
そう尋ねると彼は首を捻った。
「うーん、聞いたとは思うが俺も子供だったしな~
覚えていないな~」
そう言って身に纏った防具を取り外し始めた。
「それ結構立派な防具だよね?
一体どうしたの?
ドロップアイテムじゃ無いよね?
もしかして自分で買ったの?」
そう尋ねると、
「ああ、すごく安かったんだ!
カッコいいだろ?」
そう言ってバーンと僕に目の前に差し出した。
「ちょっと見せてくれる?」
そう尋ねると、
「重いぞ。
気を付けてな」
そう言って防具を僕に手渡した。
「うっっ…
本当に重いね。
何処で買ったの?
サンクホルムで?」
そう尋ねると、
「ああ、国を出る時に城から安く配給されるんだ。
そう言うところは抜け目無いよな」
そう言ってローティは剣を腰から外した。
僕は
「………」
と少し手に取った防具に見入った。
余りにも僕が静かだったからローティが、
「急に黙り込んでどうしたんだ?
何か不都合でも見つけたのか?」
そう尋ねるローティに、
「この防具、もう、そう長くは持たないと思うよ」
そう言うと、彼は変な顔をして僕を見た。
「明日はギルドでパーティー登録するし、
ローティはもう仲間だから言うけど、
僕は鑑定魔法を持ってるんだ」
そう言うと、
「翠は鑑定士なのか?」
そう尋ねた。
僕が頷くと、
「そうか、鑑定士か……
まあ、戦力にはなれないが、
凄く助けになる魔法だよな」
そう言って僕の肩をポンと叩いた。
僕はハッとして、
「いや、違うんだ。
鑑定は僕の職種では無いんだ!
僕は攻撃系のプリーストなんだ!
だからちゃんとローティと一緒に戦えるから!」
そう言ってローティの顔を覗き込んだ。
僕が鑑定士だと言った時にローティが少し残念そうな顔をしたから
早く誤解を解きたかった。
僕もちゃんと戦力になる事を伝えたかった。
ローティはキョトンとした様な顔をすると、
「スゲー! 攻撃系のプリースト?!
いや、何それ?! 今まで攻撃系のプリーストなんて聞いた事がないんだけど!
何? それって攻撃も出来て回復も出来るってこと?!」
そう言って急に興奮し始めた。
僕はそんなローティに呆気に取られながらも、
「あ……まあ、うん、そう言うわけなんだけど、
実は僕の鑑定士としての見解として、
ローティ……
凄く言い難いんだけど……」
そう言い淀むと、
「何?! 鑑定で俺を見たとか?!」
そう言って尋ねて来た。
「うん、勝手に見てごめん……
レベルが上がらないって言ってたから何故だろうと思って……
何か助けにならないかな?って思って……」
そう言うと、ローティは僕の肩をガシッと掴んで、
「もしかして何か分かったのか?!
これまで色んな鑑定士に見てもらったんだが、
何も問題は無かったんだ!」
そう言ってすがる様に僕に言い寄って来た。
「え? これまで鑑定してもらったことあるの?!」
驚いてそう尋ねると、
「ああ、国を出て少なくとも10回は見てもらっている!
なあ翠、一体お前には何が見えたんだ!」
そう言って距離を縮めるローティに、
「あ、や、君には呪詛が掛かっている!
レベルが上がらないのはそのせいだ!
それにその呪詛のせいで君の防具まで負担が掛かっている!
このままだとその防具、壊れて使えなくなってしまうよ!
それにセシルも呪詛にかかった人は解呪しないと死んでしまうって……
君、呪詛にかかった事について、何か心当たりあるの?」
そう言うと、ローティは掴んだ僕の肩に頭を落とした。
「俺、呪詛がかかってるのか?」
ローティは低い声でそう僕に尋ねた。
僕は
「うん、ごめん」
そう言って頷くと、ローティは急に大声で笑い出した。
「ハハハ、国を追い出したばかりか、
バカご丁寧にこんな土産まで付けてくれて……
よっぽど俺達役立たずが邪魔みたいだな」
そう言って今度は泣き出した。
僕はそっとローティの肩に触れ、
「いや、実を言うとその事なんだけど……」
そう言おうとした時、僕達の部屋のドアが勢い良く
“バーン”
と開いた。
そしてセシルが
「一体どうしたの?!
ローティの高笑いが隣の私の部屋まで聞こえて来たんですけど?!って、
え~~?!っっっっっ!!
今度は泣いてるの?!
何何?! 一体何があったの?!」
と言いながら僕達の部屋に飛び込んできた。
そんなセシルを僕は呆気に取られて見ていた。
「セシル! 男の人の寝室に入る時は先ずノックをする様にって何度も!」
そう言いかけて、
「いや違う…あれはセシルじゃない…
セシルとは会ったばかりで寝室に飛び込んできたことなんて……」
と少し頭が混乱し始めた。
当のセシルは、
「翠、何寝ぼけたこと言ってるのよ?!
ちゃんと寝てる?!
それよりもローティ!
笑ったり、泣いたり、一体どうしたの?!」
セシルがそう尋ねると、ローティがしおらしく、
「俺、呪いにかかってるっぽい」
そう言って鼻を啜り出した。
セシルは僕の方を上目遣いで見て、
“もしかして言っちゃったの?”
とジト~っとした様にして言った。
“あ、うん、その事なんだけどね”
と言おうとした瞬間、
「大丈夫よ!
私達も頑張って解呪できる人探すから!
呪いになんて負けちゃダメよ!
それよりも体の調子はどう?!
変な所とか無い?
痛い所か無い?」
そう言ってローティに駆け寄った。
ローティもローティで頭をポリポロと掻きながら、
「あ、うん。
レベル上がらない以外は割と絶好調かな?」
と照れた様にして答えて、
そんなせっかちな2人に向かって僕は、
“絶好調?! 呪詛がかかってて死ぬかもしれない時に絶好調?!
それにセシルも何なんだコイツら~”
と思いながら、
「人の話はちゃんと最後まで聞けー!!」
と怒鳴るしか無かった。
手を取り合い
“うん、うん”
と励まし合っていた2人はびっくりした様にして僕を見た。
そんな2人のびっくりした表情に
「あ~ コホン」
と改めて2人を見た僕は一つ咳払いをして、
「多分それ、僕が解呪できる」
そう言ったら今度は2人して素っ頓狂な声を上げていた。
「ちょ……ちょっと待って!
翠、あなた、解呪できるって一言も言わなかったわよね?!」
そう言って迫るセシルに、
「うん、だって聞かれなかったもん」
そう答えると、セシルはブツブツと何かを頭で弾き始めた様だった。
彼女のその時の目はどう見てもお金にしか見えなかった。
“コイツ……儲け事を考えてるな……”
セシルの考えていることは直ぐに分かった。
「ねえ翠!
あなた、それ、とっても素敵なスキルよ!
私達冒険者止めて貴族街でお店出せるかも!」
急にそんな事を言い始めた。
僕はまた彼女のことをジト~っと見据えると、
彼女は僕の背をバンバンと叩いて、
「冗談よ! 冗談!」
と言っていたけれど、
あの時の彼女の目の輝きからすると、
とても冗談には思えない。
でも横からローティも、
「解呪できるって……
もしかして俺のレベル止まりは呪いのせいだったのか?!
じゃあ、翠が呪いを解いてくれたらレベルが上がるのか?!」
そう言ってがっついて来た。
僕もそこは不確かだったけど、
「恐らくは……」
そう言うと、
「じゃあ……幾らでやってくれるんだ?!
今は払えないかもしれないが、
絶対、絶対頑張ってレベル上げてダンジョン攻略してお金貯めて払うから、
解呪してくれ!」
そう言ってジリジリと攻め入って来た。
僕はハ~っとため息をつくと、
「いや、お金なんて取るつもりはないよ。
僕達仲間だろう?」
そう言うとローティが大きな体でいきなり僕に抱きついて来た。
いきなりよろめいた僕をセシルが支えてくれたけど、
「あ!ごめん! セシル大丈夫だった?!」
と心配した僕をよそに、
“はい! タンクゲット~”
と彼女は満面の笑みで僕に親指を突き立てて見せた。
僕がセシルを
“お前~”
とした様に睨むと、
「はい、はい、そうと決まればほら、ほら」
と僕をローティの前に押しやった。
“なんかこんなセシル、誰かと被るんだよな~”
そう思っても、思い出せもしなければ、
誰かとこんな風に接した記憶も無い。
不思議な感覚だけが取り残されたよな感じだけど、
僕は気を取り直して目の前に立ったローティにスーッと手を差し伸べた。
そして
“解呪”
と呟くと、サーっと掌から金色に煌めく光の粒がローティに降りかかったかと思うと、
彼の体がその光に包まれスーッと光が消えて行った。
「どう? 何か変化を感じる?」
僕がそう尋ねると、
「え?! もう終わったの?!」
と2人とも余りにもの速さでビックリしていた。
「あ、うん、2人には金色の光が見えなかったの?
ローティが金色の光に包まれてスーッと消えて行ったのが見えたんだけど……」
僕がそう言うと、
「え? もっとこう、呪文をうんたら、かんたらとか長々と読み込むんだと思ってたけど、
本当に効いてるの~?」
とセシルは疑いの目で見て来た。
ローティも、
「以前神殿で見たときは確かにズンドコ、ズンドコ呪文を並び立ててたけど、
こんな解呪もあるんだな」
そう言って腕をブンブンと回して見た。
「あ、何だか体がすごく軽い!
ちょっと待って、防具をまた装備して……」
そう言ってまたあの重そうな鎧を装備し始めた。
隣ではセシルが、
「ねえ、ご飯の前にちょっとギルドまで行って今日のうちに登録をして、
ためし狩りに出ましょうよ!
ローティのレベルが本当に上がるのか試して見たいわ!」
そんな風に言い出した。
装備を終えたローティも、
「違う! 防具の重さを全然感じない!」
そう言って今にも宿を飛び出して行きそうな勢いだった。
「2人ともちょっと待ってよ!」
そう言って興奮しまくった2人を呼び止めると、
「あのさ、僕今解呪して思った事があるんだけど、
この呪詛……
僕はこの魔力を知っている!
絶対どこかで感じた事がある!
ねえローティ、君はサンクホルムの出身だって言ってたよね?」
そう尋ねると彼は頷いた。
「レベル上げはずっとサンクホルムで?」
そう尋ねると、
「いや、道中色々魔獣狩りはして見たけど、
サンクホルムを出たときはすでにレベルは5に達していた……」
そう言うローティの言葉を聞いて、
「じゃあ、呪いを掛けられたのはサンクホルム内でって事になるよね?」
そう言うと、ローティも、
「恐らくは……
きっとあの時かもしれない……
いや、でもまさか……」
と、絶対その場で呪いをかけられるはずはないと言った場所を言い始めた。
僕の呟きが聞こえたのかローティは僕を見ると、
「そうそう、肖像画だったけど、
本当に翠にそっくりだった!
特にその勝気そうな瞳とか
流れる様な金色の髪とか……
顔の輪郭なんかもそのまんま!
凛と佇まう雰囲気なんかもそっくりだよ!
2人並んだら姉弟……いや、双子って言っても過言ではないと思う様な激似だったよ」
そう言って僕をマジマジと見た。
ローティの僕を見入る目が何だかぎこち無くて、
僕は咄嗟にオホンと咳払いをした。
するとローティは更に僕の顔に近づいて、
僕の目をジーッと見た。
「でも瞳の色は彼女と違うんだな。
彼女は鮮やかな青い瞳……そう、セシルの様な……
でも翠の瞳は綺麗な緑色なんだな。
柔らかい春の若葉の色だ!
俺は翠の瞳の色の方が好きかな?
結構癒される色をしてるんだな」
そう言って僕に微笑んだ後、
「でもセシルの髪も見事な金髪だよな。
まるであの王女のように……
瞳も目が覚める様な青色で全くセシルと同じ色だよな。
青い瞳って結構たくさんいるけど、
結構印象に残る様な青い色をしてたんだよな。
セシルもそんな感じで……
うん、セシルもそう言えばあの王女に似てるかも?
まあ、セシルの方が人懐っこい顔してるけどな」
そうローティが言うと、
セシルは慌てた様にして後ろを振り向いて、
「さあ早く宿を見つけましょう!
宿街はこっちよ!」
そう言うとズンズンと足早に歩き出した。
“どうしたんだろうセシルのヤツ……
急にきょどったりなんかして……
僕が思っていた反応と違くないか?!”
急にヨソヨソしくなったセシルを変だと思ったけど、
僕は皇家の肖像画を見送りながらその場をさると、
サッサと先に行ってしまったセシル目掛けて走って行った。
先を歩くセシルをチラチラと見ながら、
“そういえば父さん、僕の母親は小さな国の王女って言ったよな?
ローティの言って居た王女と何か関係があるんだろうか?
その王女が僕の母親なんだろうか?!
いやでも、父親は最高神官と言ってたから違うのか?!
でも僕にそっくりって……
あ、そう言えば父さん、
二人は駆け落ちしたって言ったような……
やっぱりローティの言う王女が僕の母親?!
それにセシルも似てるって……
そう言えばセシルは小さな国から来たって言ってたよな?
もしかして僕の母親と同じ国なのか?!
でも商家の娘って……王家では無いよな?
え?? もしかしてセシルが嘘をついてる……とか?!”
そう思って更にセシルをじっと見た。
”待てよ? セシルだって僕に似てると言えば似てない事もないよな?
待て、待て、似てると思って見ると、僕とセシルって兄妹に見えない事もないよな?!
ん? どうなんだ?!
考えすぎて皆がセシルに似てる様に見えるや……“
そんなことを考えているうちにどうやら僕達はすでに宿に到着していて、
セシルは既に宿を取った後だった。
「はい! 男性軍の鍵!
私は隣の部屋だから覗か・な・い・で・ね!」
そう言って僕の目の前に鍵をブラブラと差し出した。
まるで遊び気分だ。
当の僕は、
「あれ? いつの間に宿に?!」
そう言って辺りをキョロキョロと見回した。
「何寝ぼけてるのよ!
ほら行くわよ!
私たちの部屋は2階よ!
ひと段落したら夕食を食べに行くわよ!」
セシルはそう言って仕切りだし、
僕の背を押しながら二階へと続く階段を上っていった。
それぞれの部屋に落ち着き荷物を下ろすローティに、
「あのさ、さっきの王女の話だけど、
王女が何処の国の出身だったか聞いてる?」
そう尋ねると彼は首を捻った。
「うーん、聞いたとは思うが俺も子供だったしな~
覚えていないな~」
そう言って身に纏った防具を取り外し始めた。
「それ結構立派な防具だよね?
一体どうしたの?
ドロップアイテムじゃ無いよね?
もしかして自分で買ったの?」
そう尋ねると、
「ああ、すごく安かったんだ!
カッコいいだろ?」
そう言ってバーンと僕に目の前に差し出した。
「ちょっと見せてくれる?」
そう尋ねると、
「重いぞ。
気を付けてな」
そう言って防具を僕に手渡した。
「うっっ…
本当に重いね。
何処で買ったの?
サンクホルムで?」
そう尋ねると、
「ああ、国を出る時に城から安く配給されるんだ。
そう言うところは抜け目無いよな」
そう言ってローティは剣を腰から外した。
僕は
「………」
と少し手に取った防具に見入った。
余りにも僕が静かだったからローティが、
「急に黙り込んでどうしたんだ?
何か不都合でも見つけたのか?」
そう尋ねるローティに、
「この防具、もう、そう長くは持たないと思うよ」
そう言うと、彼は変な顔をして僕を見た。
「明日はギルドでパーティー登録するし、
ローティはもう仲間だから言うけど、
僕は鑑定魔法を持ってるんだ」
そう言うと、
「翠は鑑定士なのか?」
そう尋ねた。
僕が頷くと、
「そうか、鑑定士か……
まあ、戦力にはなれないが、
凄く助けになる魔法だよな」
そう言って僕の肩をポンと叩いた。
僕はハッとして、
「いや、違うんだ。
鑑定は僕の職種では無いんだ!
僕は攻撃系のプリーストなんだ!
だからちゃんとローティと一緒に戦えるから!」
そう言ってローティの顔を覗き込んだ。
僕が鑑定士だと言った時にローティが少し残念そうな顔をしたから
早く誤解を解きたかった。
僕もちゃんと戦力になる事を伝えたかった。
ローティはキョトンとした様な顔をすると、
「スゲー! 攻撃系のプリースト?!
いや、何それ?! 今まで攻撃系のプリーストなんて聞いた事がないんだけど!
何? それって攻撃も出来て回復も出来るってこと?!」
そう言って急に興奮し始めた。
僕はそんなローティに呆気に取られながらも、
「あ……まあ、うん、そう言うわけなんだけど、
実は僕の鑑定士としての見解として、
ローティ……
凄く言い難いんだけど……」
そう言い淀むと、
「何?! 鑑定で俺を見たとか?!」
そう言って尋ねて来た。
「うん、勝手に見てごめん……
レベルが上がらないって言ってたから何故だろうと思って……
何か助けにならないかな?って思って……」
そう言うと、ローティは僕の肩をガシッと掴んで、
「もしかして何か分かったのか?!
これまで色んな鑑定士に見てもらったんだが、
何も問題は無かったんだ!」
そう言ってすがる様に僕に言い寄って来た。
「え? これまで鑑定してもらったことあるの?!」
驚いてそう尋ねると、
「ああ、国を出て少なくとも10回は見てもらっている!
なあ翠、一体お前には何が見えたんだ!」
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「あ、や、君には呪詛が掛かっている!
レベルが上がらないのはそのせいだ!
それにその呪詛のせいで君の防具まで負担が掛かっている!
このままだとその防具、壊れて使えなくなってしまうよ!
それにセシルも呪詛にかかった人は解呪しないと死んでしまうって……
君、呪詛にかかった事について、何か心当たりあるの?」
そう言うと、ローティは掴んだ僕の肩に頭を落とした。
「俺、呪詛がかかってるのか?」
ローティは低い声でそう僕に尋ねた。
僕は
「うん、ごめん」
そう言って頷くと、ローティは急に大声で笑い出した。
「ハハハ、国を追い出したばかりか、
バカご丁寧にこんな土産まで付けてくれて……
よっぽど俺達役立たずが邪魔みたいだな」
そう言って今度は泣き出した。
僕はそっとローティの肩に触れ、
「いや、実を言うとその事なんだけど……」
そう言おうとした時、僕達の部屋のドアが勢い良く
“バーン”
と開いた。
そしてセシルが
「一体どうしたの?!
ローティの高笑いが隣の私の部屋まで聞こえて来たんですけど?!って、
え~~?!っっっっっ!!
今度は泣いてるの?!
何何?! 一体何があったの?!」
と言いながら僕達の部屋に飛び込んできた。
そんなセシルを僕は呆気に取られて見ていた。
「セシル! 男の人の寝室に入る時は先ずノックをする様にって何度も!」
そう言いかけて、
「いや違う…あれはセシルじゃない…
セシルとは会ったばかりで寝室に飛び込んできたことなんて……」
と少し頭が混乱し始めた。
当のセシルは、
「翠、何寝ぼけたこと言ってるのよ?!
ちゃんと寝てる?!
それよりもローティ!
笑ったり、泣いたり、一体どうしたの?!」
セシルがそう尋ねると、ローティがしおらしく、
「俺、呪いにかかってるっぽい」
そう言って鼻を啜り出した。
セシルは僕の方を上目遣いで見て、
“もしかして言っちゃったの?”
とジト~っとした様にして言った。
“あ、うん、その事なんだけどね”
と言おうとした瞬間、
「大丈夫よ!
私達も頑張って解呪できる人探すから!
呪いになんて負けちゃダメよ!
それよりも体の調子はどう?!
変な所とか無い?
痛い所か無い?」
そう言ってローティに駆け寄った。
ローティもローティで頭をポリポロと掻きながら、
「あ、うん。
レベル上がらない以外は割と絶好調かな?」
と照れた様にして答えて、
そんなせっかちな2人に向かって僕は、
“絶好調?! 呪詛がかかってて死ぬかもしれない時に絶好調?!
それにセシルも何なんだコイツら~”
と思いながら、
「人の話はちゃんと最後まで聞けー!!」
と怒鳴るしか無かった。
手を取り合い
“うん、うん”
と励まし合っていた2人はびっくりした様にして僕を見た。
そんな2人のびっくりした表情に
「あ~ コホン」
と改めて2人を見た僕は一つ咳払いをして、
「多分それ、僕が解呪できる」
そう言ったら今度は2人して素っ頓狂な声を上げていた。
「ちょ……ちょっと待って!
翠、あなた、解呪できるって一言も言わなかったわよね?!」
そう言って迫るセシルに、
「うん、だって聞かれなかったもん」
そう答えると、セシルはブツブツと何かを頭で弾き始めた様だった。
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“コイツ……儲け事を考えてるな……”
セシルの考えていることは直ぐに分かった。
「ねえ翠!
あなた、それ、とっても素敵なスキルよ!
私達冒険者止めて貴族街でお店出せるかも!」
急にそんな事を言い始めた。
僕はまた彼女のことをジト~っと見据えると、
彼女は僕の背をバンバンと叩いて、
「冗談よ! 冗談!」
と言っていたけれど、
あの時の彼女の目の輝きからすると、
とても冗談には思えない。
でも横からローティも、
「解呪できるって……
もしかして俺のレベル止まりは呪いのせいだったのか?!
じゃあ、翠が呪いを解いてくれたらレベルが上がるのか?!」
そう言ってがっついて来た。
僕もそこは不確かだったけど、
「恐らくは……」
そう言うと、
「じゃあ……幾らでやってくれるんだ?!
今は払えないかもしれないが、
絶対、絶対頑張ってレベル上げてダンジョン攻略してお金貯めて払うから、
解呪してくれ!」
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「いや、お金なんて取るつもりはないよ。
僕達仲間だろう?」
そう言うとローティが大きな体でいきなり僕に抱きついて来た。
いきなりよろめいた僕をセシルが支えてくれたけど、
「あ!ごめん! セシル大丈夫だった?!」
と心配した僕をよそに、
“はい! タンクゲット~”
と彼女は満面の笑みで僕に親指を突き立てて見せた。
僕がセシルを
“お前~”
とした様に睨むと、
「はい、はい、そうと決まればほら、ほら」
と僕をローティの前に押しやった。
“なんかこんなセシル、誰かと被るんだよな~”
そう思っても、思い出せもしなければ、
誰かとこんな風に接した記憶も無い。
不思議な感覚だけが取り残されたよな感じだけど、
僕は気を取り直して目の前に立ったローティにスーッと手を差し伸べた。
そして
“解呪”
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彼の体がその光に包まれスーッと光が消えて行った。
「どう? 何か変化を感じる?」
僕がそう尋ねると、
「え?! もう終わったの?!」
と2人とも余りにもの速さでビックリしていた。
「あ、うん、2人には金色の光が見えなかったの?
ローティが金色の光に包まれてスーッと消えて行ったのが見えたんだけど……」
僕がそう言うと、
「え? もっとこう、呪文をうんたら、かんたらとか長々と読み込むんだと思ってたけど、
本当に効いてるの~?」
とセシルは疑いの目で見て来た。
ローティも、
「以前神殿で見たときは確かにズンドコ、ズンドコ呪文を並び立ててたけど、
こんな解呪もあるんだな」
そう言って腕をブンブンと回して見た。
「あ、何だか体がすごく軽い!
ちょっと待って、防具をまた装備して……」
そう言ってまたあの重そうな鎧を装備し始めた。
隣ではセシルが、
「ねえ、ご飯の前にちょっとギルドまで行って今日のうちに登録をして、
ためし狩りに出ましょうよ!
ローティのレベルが本当に上がるのか試して見たいわ!」
そんな風に言い出した。
装備を終えたローティも、
「違う! 防具の重さを全然感じない!」
そう言って今にも宿を飛び出して行きそうな勢いだった。
「2人ともちょっと待ってよ!」
そう言って興奮しまくった2人を呼び止めると、
「あのさ、僕今解呪して思った事があるんだけど、
この呪詛……
僕はこの魔力を知っている!
絶対どこかで感じた事がある!
ねえローティ、君はサンクホルムの出身だって言ってたよね?」
そう尋ねると彼は頷いた。
「レベル上げはずっとサンクホルムで?」
そう尋ねると、
「いや、道中色々魔獣狩りはして見たけど、
サンクホルムを出たときはすでにレベルは5に達していた……」
そう言うローティの言葉を聞いて、
「じゃあ、呪いを掛けられたのはサンクホルム内でって事になるよね?」
そう言うと、ローティも、
「恐らくは……
きっとあの時かもしれない……
いや、でもまさか……」
と、絶対その場で呪いをかけられるはずはないと言った場所を言い始めた。
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「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け


前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
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ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

スキルも魔力もないけど異世界転移しました
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
なんとかなれ!!!!!!!!!
入社四日目の新卒である菅原悠斗は通勤途中、車に轢かれそうになる。
死を覚悟したその次の瞬間、目の前には草原が広がっていた。これが俗に言う異世界転移なのだ——そう悟った悠斗は絶望を感じながらも、これから待ち受けるチートやハーレムを期待に掲げ、近くの村へと辿り着く。
そこで知らされたのは、彼には魔力はおろかスキルも全く無い──物語の主人公には程遠い存在ということだった。
「異世界転生……いや、転移って言うんですっけ。よくあるチーレムってやつにはならなかったけど、良い友だちが沢山できたからほんっと恵まれてるんですよ、俺!」
「友人のわりに全員お前に向けてる目おかしくないか?」
チートは無いけどなんやかんや人柄とかで、知り合った異世界人からいい感じに重めの友情とか愛を向けられる主人公の話が書けたらと思っています。冒険よりは、心を繋いでいく話が書きたいです。
「何って……友だちになりたいだけだが?」な受けが好きです。
6/30 一度完結しました。続きが書け次第、番外編として更新していけたらと思います。

BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました
厘/りん
BL
ナルン王国の下町に暮らす ルカ。
この国は一部の人だけに使える魔法が神様から贈られる。ルカはその一人で武器や防具、アクセサリーに『加護』を付けて売って生活をしていた。
ある日、配達の為に下町を歩いていたら指輪が落ちていた。見覚えのある指輪だったので届けに行くと…。
国を救った英雄(強面の可愛い物好き)と出生に秘密ありの痩せた青年のお話。
☆英雄騎士 現在28歳
ルカ 現在18歳
☆第11回BL小説大賞 21位
皆様のおかげで、奨励賞をいただきました。ありがとう御座いました。
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