龍の寵愛を受けし者達

樹木緑

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アーウィンの新任命

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うっすらと目を開けると、
見慣れない天井が目に入った。

続けて窓を見ると眩し朝日が目を直撃した。

”ウッ…… 眩しい…… 窓が近い……?“

寝ぼけ眼で辺りを見回すと、

「殿下? お体の具合はよろしいですか?

昨夜は…あの…少し無理をさせてしまいましたので…」

ダリルが少し照れながら僕の横たわるベッドに腰掛けた。

「ダリル……?」

起き上がろうとして、
お尻に痛みと違和感を感じた。

「いっ!」

「殿下!」

慌ててダリルがよろける僕を支えてくれた。

ダリルの腕をガシッと掴むと、
昨夜の記憶が生々しく蘇った。

“ハッ、ダリルの厚い胸……腕の強さ……割れた腹筋……

そして湖で見たままの……いや、あの時よりももっと”

ピクピクと小刻みに動く
雄々しくいきり勃ったそれを握った時に感じた暖かさと、
ドクドクと脈打つ浮き出た血管の感覚が未だ掌にハッキリと残っている。

恥ずかしさで掌で顔を覆うと、
自分の掌からダリルの雄の匂いが広がった。

又心臓がドクドクと脈打って下腹がカーッと熱くなった。

“やばい……”

「殿下? 本当にお身体は大丈夫ですか?」

僕の目の前に立ったダリルの股間が目の前に立ち憚った。

僕の目はダリルのソコに釘付けになった。

よく目を凝らして見ると、
パンツの上からでもその大きさが何となくわかる…

いや、実際の大きさを知ってしまったから、
そう錯覚しているのかもしれないけど、
僕はソコから目が離せずに、ただじっとその中にあるものを又、反芻していた。

「殿下?」

ダリルの呼びかけにハッとして上を向くと、
ダリルが心配そうな顔をして僕を覗き込んでいた。

“ヒーッ”

僕は恥ずかしくて顔を逸らし俯くと、
モゴモゴとした様にして

「だ…だ…大丈夫! あ…有り難う…

ぼ…僕は…本当に大丈夫だから」

そう言ってダリルから離れようとベッドからすべり降りた。

「朝……朝食に行かなきゃ……」

そう言ってテーブルのところへ行こうとしたら足に力が入らず、
その場にヘロヘロと座り込んだ。

”あ…あれ…?“

「殿下! やはり昨夜は無理をさせてしまった様ですね。

私にお捕まり下さい」

そう言ってダリルが直ぐに僕を抱き抱えにやって来た。

そして優しく床から抱き上げると、
いきなりダリルのドアが勢いよくバーンと開いた。

「ちょっと、二人とも聞いた?!」

ノックもせずいきなりダリルの部屋に入って来たマグノリアを見て僕とダリルは固まった。

それもそのはず、僕は丁度ダリルにお姫様抱っこされた所だったから。

僕達もいきなりやって来たマグノリアにビックリしたけど、
そんな僕達の姿を見たマグノリアもビックリして
押し開けた手がそのままの形で固まっていた。

僕は真っ赤になりながらも、

”ギャー裸でなくて良かった!!“

そう心の中で叫んだ。

でも直ぐに気を取り戻して、

「マグノリア! 君ってどうして学ばないの!

部屋に入る時はノックしてっていつも言ってるでしょ!」

ダリルに抱かれながらそう叫ぶと、

「いや、お姫様抱っこされながら意気込まれても、
ちっとも説得力ないから!」

そう言ってマグノリアは伸ばした手で僕を指差した。

そしてツカツカと僕達に歩み寄ると、

「何故ジェイドがお姫様抱っこされてるの?

ちょっと待って! こんな朝早くから自分の部屋に居なかったって事は……」

そう言ってマグノリアが推理し始めたので、
僕は慌てて

「そ…それでこんな朝早くからノックもせずに此処に来た理由は?」

と話を変えようとした。

マグノリアは両手をパーンと叩くと、

「ちょっと、ちょっと、アーウィンの事聞いた?!」

興奮した様にしてそう尋ねるので、

「いや、聞いてないけど、アーウィンが何?」

そう言ってダリルにテーブルの所の椅子に下ろして貰った。

マグノリアは僕達の行動をジーッと片眉を上げて眺めていたけど、
”それよりも“と言う様な感じで、

「アーウィン、新しい最高大神官に任命されたらしいわよ!」

そう言って僕のローブの裾を捲り始めた。

「ちょっと、やめてよ!

なんで僕のローブの裾を捲るんだよ。

で? アーウィンが何だって?」

マグノリアの手をパチパチ叩きながらそう尋ねると、

「ジェイドもしかして大人への階段を上がった?」

マグノリアが意味深な顔をして尋ねるので僕はキョドリながら、

「僕のプライベートはほっといて!

それよりもアーウィンが何だって?」

そう尋ねると、マグノリアも気を取り戻して、

「だから、アーウィン、新しい最高大神官になったんだって!」

マグノリアのその言葉に僕は椅子からズリ落ちそうになった。

「え? 最高大神官? は? どうして? 大神官を通り越して最高大神官?!

前の最高大神官は?!」

普通、最高大神官は国に一人しか存在しなく、前任者が亡くなるか、
余程の事をしないとその責を降りる事はない。

「それがさ、私達、隣国へ留学していた事になってたんだけど、
昨日アーウィン、ラルフに神殿に連れてかれちゃったじゃない?

そこで魔力検査があったらしいの。

回復魔法が使える神官達って魔力測定が定期的にあるらしんだけど、
昨日アーウィンの魔力測定をしたら測定器が壊れちゃったらしくて、
そんなの神殿始まって以来初めてのことらしくて、
測定器が最初から壊れてたんだって再検査してもやっぱり壊れちゃうから、
三度目の正直ってもう一度やったけど、又壊れちゃったらしくて、
それだったら、丁度討伐から帰って負傷した騎士達が運ばれて来てるから、
どれだけの騎士達を回復できるかってなったんだって。

そしたらアーウィン、エリア完全回復、エリア浄化、もうバンバン掛けまくって、
それでも魔力量が全然落ちなくって、昨日神殿では大騒ぎだったんだって。

それで直ぐに国家神殿尋問会に掛けられ、今の最高大神官とダブルでやっていく事になったそうよ?」

「ヒー、アーウィン、エレノアの魔力がそのまま残っちゃったんだ!

え? でも、二人の最高大神官って今まで聞いた事ないんだけど、
それってアリなの?」

「うん、私も神殿の組織的な事は分からないんだけど、
現最高大神官がもうお年で体調も最近は優れないから、
引き継ぎみたいな感じで暫くダブルで行くみたよ?

で、後々はアーウィンにバトンタッチみたい」

「へー、アーウィンの年でそれって凄くない?」

僕がダリルを見上げると、ダリルは何だか考え込んだ様にしていた。

「ダリルどうしたの? 何だか浮かない顔してるね?

ダリルは嬉しくないの?」

そう尋ねると、

「いえ、私の考えすぎかもしれませんが、
何だか私達が城に帰って来たタイミングと合わせた様にしてと思いまして……」

「そう言われればそうだけど、
でも流れから見ると怪しい所って無いよね?」

そうダリルに確認すると、

「それはそうなんですが……でも……

これでアーウィン様は王都に足止めされる事になってしまいましたね」

そうダリルに言われて初めて嫌な予感が身体中を走った。

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